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シンクロ、デジタル配信で世界の音楽市場を狙う~フランス企業がアドバイス

2013年11月
分野:音楽

音楽の流通面でデジタル配信の存在感が世界的に高まる中、シンクロやデジタル配信など楽曲の新たな活用手法を模索するビジネスワークショップが2013年10月25日、ジェトロ東京本部で開催された。英語の楽曲が席巻する世界市場に、日本同様「非英語圏」であるフランスから挑み実績をあげているフランス企業2社が、日本企業にアドバイスした。

いかにも日本的な楽曲にシンクロの機会あり

レ・プロデュクシヨン・オントルプリーズは、2012年にパリに設立されたシンクロ(注1)専門のイメージ音楽制作会社。高級服飾ブランドのイブ・サンローランやホンダ・ヨーロッパの広告や映画で使用する音楽を手がけた実績を持つ。同社は米国にも拠点を設立し、権利を有する楽曲の米国市場向けピッチング業務(注2)も開始した。

(注1)音楽を映像と同期(シンクロ)させて録音すること。
(注2)シンクロさせる曲を選択し権利を処理するミュージック・スーパーバイザーに対する提案。

同社のCEOであるブノワ・トルグエ氏によれば、日本の著作権法にはシンクロ権を直接定めた規定はない。また日本では、例えばテレビCMで使用された楽曲が人気となって楽曲の売上が伸びることが多く、双方にメリットがあるということから、シンクロへの対価が支払われない場合もあるという

しかし海外ではシンクロ権という独自の権利が認められており、例えばフランスのように法律上に明記が無い場合も含めて、シンクロ処理のため対価の支払いが必須であることが商慣習上確立していることが多い。トルグエ氏によれば、シンクロ権の処理にかかる費用は、使用されるメディア媒体(価格が高い順にテレビCM、映画、インターネット)や、期間、放映される国・地域によって大幅に変動する。よって、契約にあたっては、各要素を勘案し予め十分に吟味すべきであるとした。

トルグエ氏はまた、米国のテレビドラマ「ゴシップガール」にシンクロさせる楽曲として、「いかにもフランス的」なフランス人女性歌手オースティーヌの楽曲「デカルケ」が採用された事例を挙げた。同氏はこの事例を通じて「どの国にでもある音楽ではなく、その曲の独自性や日本らしさがはっきりと現れているものであれば、世界でシンクロに利用される可能性がある」と述べ、世界で一定の需要がある「いかにも日本的な楽曲」のニーズを着実に捉えていくことが重要だとアドバイスした。

2003年にパリで設立された音楽出版社であり、シンクロ権も手掛けるアブズィロン・テクノロジーズのCEOであるファブリス・アブズィル氏も、同様の見解を示した。その例として、同氏が担当したプラダの香水「CANDY」のCMでは、1960年代のフランス音楽を好む米国出身のウェス・アンダーソン監督の要望に沿って、外国人が思い描くフランスの典型的なイメージに合う楽曲3曲を提供したという。

ダウンロードを追い上げるストリーミング

アーティスト・楽曲製作者・音楽レーベルのデジタル権の管理を行うアブズィル氏の調べによれば、世界における音楽のデジタル活用による総売上のうち、55%がダウンロード、45%がストリーミングによる。また、合法ストリーミングの売上の約65%をユーチューブが、その他をスポッティファイ、ディーザーなどが占めているという。各デジタル配信サービスの詳細については、以下の表のとおり。

表:世界における音楽の主なデジタル配信サービス
米国・ユーチューブ(You Tube) 米国・グーグル(Google)が2006年に買収した、広告運営による無料の動画ストリーミングサービス。 レーベル大手3社(ユニバーサル、ソニー、EMI)のミュージック・ビデオを広告運営により無料配信するサービス「ヴィーヴォ(VEVO)」へインフラを提供している。
米国・アイチューンズ(iTunes) 米国・アップルが運営する、音楽をダウンロード販売するオンラインストア。米国では2013年6月に「アイチューンズ ラジオ(iTunes Radio)」で無料ストリーミングサービスの提供を開始。
スウェーデン・スポッティファイ(Sportify) 音楽のストリーミング配信サービス。広告入りの無料配信と、契約による有料配信がある。米国など多数の国で展開中。
フランス・ディーザー(Deezer) 音楽のストリーミング配信サービス。広告入りの無料配信と、契約による有料配信がある。多数の国で展開中だが、米国・日本・インドへは未進出。

※アブズィル氏のアドバイス、各社ウェブサイトを基に、ジェトロ作成。

アブズィル氏は「ここ数年主流だったダウンロードから、ストリーミングサービスが急速に広まっている」、「2013年末までにダウンロードとストリーミングの割合は、半々ぐらいになるだろう」と述べ、ストリーミングサービスの更なる成長を見込んでいる。
また、アブズィル氏はこうした中、消費者がどのように音楽を購入し、どのようにデジタル配信サービスを利用しているかといったデータを活用することの重要性が増していると述べた。さらに、多々あるデジタル配信サービスの中で、アーティスト・楽曲製作者・音楽レーベルらがどれを選択するかは、各々のスタイルや戦略次第だという。さらに、戦略は月ごとに進化させる必要があることから、同氏は音楽レーベルらに対して定期的に、例えばユーチューブの異なる複数のチャンネルにおけるミュージック・ビデオの管理方法などについて助言していると述べた。

デジタル配信では効果的な情報提供が重要

動画サイトを活用したビジネスやオンラインマーケティングの経験を豊富に持つアブズィル氏はさらに、ユーチューブに代表される動画配信サービスがもたらす広告収入は、音楽業界にとって重要な収益源であり続けると述べた。

同氏は成功例として、あるアーティストのプロデューサーが、扱うアーティストの3つのミュージック・ビデオがヴィーヴォで計1億6千万回再生されたことにより、アグリゲーター(注3)経由で約50万ユーロも還元されたことを挙げた。

(注3)楽曲の権利者から委託を受け、デジタル配信を仲介する。

同氏によれば、現代社会ではお金ではなく「時間」が最重要であり、ユーチューブに代表される動画配信サイトの視聴者は、1つのミュージック・ビデオを8秒再生して気に入らなければ即座に停止させ、他のビデオの視聴に移ってしまう。他方、もし視聴者があるミュージック・ビデオを気に入れば、より長く視聴するだけでなく、何度も再生し、友人達へも推薦・共有する可能性がある。こうした波及効果を最大限に得るため、ミュージック・ビデオ配信の際、情報発信面で重要・効果的な情報(アーティスト名、楽曲名、バイオグラフィなど)も合わせて発信していくことが肝要であると、アブズィル氏はアドバイスした。

アブズィル氏はまた、インターネット上の情報提供においては、言語が決定的な鍵を握ると述べた。例えばフランス人アーティストの楽曲をアイチューンズなどで配信する場合には、フランス語・英語に限らず、他言語でも情報が提供される場合もあるという。

利用料の回収漏れを防ぐ

アブズィル氏は更に、日本の楽曲が利用されたにも関らず、申告漏れや記載ミスによって著作権や著作隣接権の利用料を海外から回収できていない場合があると述べた。

また、日本のアーティストがフランスでツアーを行う場合、フランスのプロモーターがフランス音楽著作権協会(サセム)に対して演奏する楽曲を申請し実演料を支払うが、サセムで管理されていない楽曲の場合は回収が困難であるという。他方、アイチューンズで日本の楽曲をフランスへ配信する場合には記録が残るため、その心配は無いという。

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