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市場・トレンド情報

進む映画の国際共同製作‐公的支援も活用可能

2013年6月
分野:映画

カンヌ国際映画祭に併設されたカンヌ・フィルム・マーケットの会場内で、国立映画・動画センター(CNC)が発表した報告書によると、2012年にフランスで製作された映画の約半数が国際共同製作によるものである。国際共同製作には相手国市場の販路を活用できるメリットがある。国際共同製作を行う日本の製作会社は、日本の文化庁による支援の他、相手がフランスの製作会社であればCNCによる補助金を活用することも可能である。

フィクション映画を中心に進む製作の国際化

CNCは2013年5月21日にカンヌで、2012年のフランスの映画・視聴覚・マルチメディア分野における主要な経済動向について、報告書( bilan 2012 du CNC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )を発表した。

これによると、フランスにおける2012年のフィクション映画の製作数は2010年以降3年連続で225本と横ばいであった(表1参照)。他方、増加傾向にあるドキュメンタリー映画の製作数は2012年に過去10年での最高の42本に達し、2011年に3,410万ユーロであったドキュメンタリー映画への投資額は4,202万ユーロへと伸びた。アニメ映画の製作数も過去最高の12本と好調であった。

表1:フランスにおけるジャンル別映画製作数(2012年)
2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
フィクション 195 195 225 225 225
 フランス主導 154 151 169 172 162
 フランス以外が主導 41 44 56 53 63
ドキュメンタリー 35 30 27 37 42
 フランス主導 33 27 25 30 37
 フランス以外が主導 2 3 2 7 5
アニメーション 10 5 9 10 12
 フランス主導 9 4 9 5 10
 フランス以外が主導 1 1 0 5 2
240 230 261 272 279
 フランス主導 196 182 203 207 209
 フランス以外が主導 44 48 58 65 70

(出所:フランス国立映画・動画センター(CNC)の報告書「bilan2012」)

フランス以外の国が主導して(すなわちフランス以外の国の製作者の出資比率が他の共同製作相手のそれを上回って)フランスで製作した映画の数は、フィクション・ドキュメンタリー・アニメーションの3分野合計で2008年に44本であったのが、2012年は70本へと伸びた(59%増)。これはフランス主導で製作された映画を含む全体の増加率(16%)を大きく上回るもので、フランスの映画製作における国際化の進展が示された。なお、2012年にフランス以外の国が主導し、製作した映画の数をジャンル別にみると、フィクション映画が63本(前年から10本増)と最も多い。

約半数が国際共同製作映画

2012年には37の国外のパートナーと間で、過去10年にわたり最多である129本の映画が共同製作された(表2)。この数は同年に製作された全ての映画(279本)の46.2%に相当し、前年の割合である44.1%を上回った。

表2:フランスにおける共同製作映画の数と投資額(2012年)
フランスが主導した
共同製作映画
フランス以外が主導した
共同製作映画
映画の製作数 59 70 129
フランスによる投資
(万ユーロ)
341.48 58.63 400.11
外国による投資
(万ユーロ)
98.73 218.02 316.75
440.21 276.65 716.86

(出所:表1に同じ)

このうち、フランスが主導した共同製作映画の数は2011年に55であったのが、2012年には59に増えた。反面、投資額については、前年比5.4%減の4億4,021万ユーロとなった。フランスが主導した共同製作映画の相手国を本数別にみると、10年来の最大のパートナーであるベルギーが圧倒的1位(35本)であり、2位がルクセンブルグ(9本)、3位がドイツ(5本)、4位がイタリア(4本)で、これにイスラエル(3本)、カナダ(2本)、スペイン(2本)が続いた。

フランス以外の国が主導した共同製作映画の数も、2011年に65本であったのが2012年に70本に増えた。投資額についても前年比6.1%増の2億7,665万ユーロに達した。フランス以外が主導した共同製作映画の相手国を本数が多い順を挙げると、ドイツ(18本)、イタリア(14本)、ベルギー(11本)、スペイン(8本)であった。

フランスの共同製作相手に欧州諸国が多いのは、「欧州映画共同製作条約」の影響が大きい。同条約は欧州における共同製作を促進する目的で1992年に制定されたもので、フランスは2002年に加盟した。同条約の加盟国3ヵ国以上が製作した共同製作映画は、条約の定義を満たす場合、共同製作に参加する各国の法律に沿って自国映画に提供される便益を得られる。2012年にフランスで共同製作された映画の約3分の1にあたる44本がこの協定に基づくもので、うち13本がフランス主導であった。残る31本がフランス以外の国の主導によるものであり、うち22本のフランスによる参加は財政的なもののみであったという。

フィルム・マーケット会期中に新協定に署名

カンヌ・フィルム・マーケット会期中に配布された映画雑誌「エクラン・トタル」も、共同製作の動向を取り上げた。同誌949号別冊は、フランスは世界で唯一、52もの多くのパートナー国と共同製作に関する2国間協定を締結していると紹介。締結相手国(表3)には欧州とアフリカ地域の国が多く、米国と日本は含まれていない。同誌は今後特にアフリカ諸国との間で締結が発展する余地があると分析する。

表3:映画の共同製作に関するフランスの2国間協定の締結相手国
地域(相手国数) 相手国
北米(1) カナダ
中南米(6) アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ベネズエラ
欧州ロシアCIS(27) オーストリア、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、チェコ、デンマーク、フィンランド、グルジア、ドイツ、英国、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、アイスランド、ルクセンブルグ、マケドニア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、ウクライナ
アジア大洋州(3) オーストラリア、インド、ニュージーランド
中国北アジア(2) 中国、韓国
中東アフリカ(13) アルジェリア、ブルキナファソ、カメルーン、エジプト、ギニア、イスラエル、コートジボワール、レバノン、モロッコ、セネガル、南アフリカ共和国、チュニジア、トルコ

(注)仏語でのアルファベット表記順
(出所:「エクラン・トタル」949号別冊およびCNCサイト)

なお、EU米国間で自由貿易協定の締結に向けた議論が加速する中、フランスではハリウッド映画から自国映画を保護しようとする動きがみられる。既にフランスの貿易省は3月25日、文化の多様性を理由に「視聴覚サービス部門を交渉から除外すべき」と表明し、カンヌにおいても5月20日にオレリー・フィリペティ文化・通信相が「将来の欧州における文化的例外の強化」をテーマとする会合を開催した。同会合では、映画監督のコンスタン・コスタ=ガヴラス氏が、EU米国間の自由貿易協定の交渉のための権限委任(マンデート)において同部門を除外するよう請願する5,500人分の映画関係者とアーティストの署名を、出席していたアンドゥルラ・バシリウ欧州委員(教育・文化・多言語主義・青少年担当)に手渡した。6月14日、EU外相理事会はEUと米国の間の包括的な自由貿易協定である「環大西洋貿易投資協定(TTIP)」の交渉マンデートを欧州委に付与することで合意したが、このマンデートから映画や音楽などオーディオビジュアル(AV)分野は除外された。

他方、マーケット会期中、上記52カ国にクロアチアとコロンビアが加わることが発表された。CNCは20日、フィリペティ文化・通信相がクロアチアのアンドレア・ズラタール・ヴィオリック文化相と、長編映画についての共同製作に関する協定に署名した旨を公表した。また24日には、CNCのエリック・ギャランドー会長が在仏コロンビア特命全権大使と共同製作に関する協定に署名した。

21日には、既に共同製作に関する2国間協定を締結済みであるイタリアと、長編映画の共同製作の発展支援のための基金を創設する協定に両国の文化相が署名した。同基金へは毎年50万ユーロが出資され、両国の製作者による意欲的な計画の発展のために使われる。

日本参加の共同製作作品がカンヌで選定

カンヌ・フィルム・マーケットでジェトロと公益財団法人ユニジャパンが出展したジャパン・ブースの受付にも、各国の来場者らから共同製作相手を探しているとの問い合わせが相次ぎ、10月の東京国際映画祭の併設マーケット「TIFFCOM」において開催予定のネットワーキングやセミナーなどのイベントである「 コプロコネクション外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 」を案内する等した。

日本の映画関係者からは国際共同製作のメリットとして「相手国における販路を相互に活用できる」、「話題性を獲得できる」、「主に相手国市場を狙う場合、同国で一般的に日本の俳優が知られていない場合、日本人俳優の知名度は同国にとって関係ないため、起用する日本人俳優の知名度を問われない」といった点が挙がった。2国間の共同製作に関する協定については「共同製作相手国における利益の配分について、協定が無い場合には個別交渉することになる。もし協定があれば、それに基づきスムーズに受けることができるだろう」との意見があった。

ユニジャパンでは2011年度より、同法人が認定する国際共同製作映画(劇場用長編)の活動支援を行っている( 平成25年度ユニジャパン国際共同製作認定(ユニジャパン認定)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )。また、認定を受けた作品に対しては、さらに文化庁が認めた場合、文化庁から補助金が拠出されている( 文化庁:映画製作への支援(文化芸術振興費補助金)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )(表4)。この支援を受けたフランスとの共同製作作品である「ライク・サムワン・イン・ラブ」が早速、2012年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された。

表4:国際共同製作映画支援事業における支援作品(2011年度)
タイトル 共同製作国・地域 製作会社 監督
人間万事塞翁が犬 台湾 四面楚歌 李天爵
ライク・ワムサン・イン・ラブ フランス ユーロスペース アッバス・キアロスタミ
グスコーブドリの伝記 香港 手塚プロダクション 杉井ギサブロー
劇場版BLOOD-C The Last Dark 米国 Production I.G. 塩谷直義

(出所:ユニジャパン「Japanese Film 2013」)

CNCによる支援も利用可能

上述の他、フランスと長編映画(フィクション、アニメーション、ドキュメンタリー)の共同製作を行う場合、CNCが文化の多様性促進に貢献する「世界の映画」に対して拠出している補助金( aide aux cinémas du monde外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )を利用することも可能だ。

申請の条件として、作品は(1)フランス以外の国の製作会社とフランスの製作会社によって共同製作され、(2)フランス国外に在住する外国人(フランス語以外の言語で上映される場合は例外的にフランス人も可)によって監督され、(3)主にフランス国外で上映される必要がある。(4)作品の言語は、監督の母国と上映される国を含む、国外(フランス以外)の公用語もしくは通用語である必要がある。

CNCによれば「世界の映画」への支援額は2013年、600万ユーロに増えた。年間約50の計画を支援する目的で 4回のセッション外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます が開催される予定である。計画は専門家の委員会によって選定され、選定にあたっては(1)芸術的な質、(2)公衆に異なる視点や新たな感性を示せること、(3)計画が依拠すべき外国のネットワークが脆弱であること(支援の必要性)などが考慮される。

「製作前の支援」は上映前に申請する必要があり、支援上限額は25万ユーロである。「製作後の支援」はフランスの製作会社が申請する必要があり、支援上限額は5万ユーロである。
フランスの製作会社による出資率は50%を超えることはできないが、(1)初回もしくは2回目の申請である場合、(2)予算が125万ユーロを下回る場合、(3)CNC指定のリストに記載された低財源国(日本は含まれない)との共同製作である場合、フランス制作会社の出資率の上限は80%となる。

(パリ事務所)

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