日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛乳・乳製品のHSコード

0401:ミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥しまたは砂糖その他の甘味料を加えたものを除く。)
0402:ミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥しまたは砂糖その他の甘味料を加えたものに限る。)
0403:バターミルク、凝固したミルクおよびクリーム、ヨーグルト、ケフィアその他発酵させまたは酸性化したミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をしてあるかないかまたは砂糖その他の甘味料、香味料、果実、ナットもしくはココアを加えてあるかないかを問わない。)
0405:ミルクから得たバターその他の油脂およびデイリースプレッド
0406:チーズおよびカード

HSコード210500(アイスクリームその他の氷菓)に関しては、本ポータルサイト「EU」の「菓子」を確認してください。

EUにおいて、動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物性原材料(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し、特定の規則が課されています。「加工済み乳製品」であるか、「加工済み乳を含む混合食品」であるかで、適用される規則や要求される書類が変わってくるため留意が必要です。事前に、混合食品に該当するかどうかをEUの国境管理所(BCP: Border Control Post)に確認するようにしてください。各加盟国の国境管理所の連絡先は、欧州委員会のウェブサイトに掲載されています。「混合食品」の輸出については、本ポータルサイト「EU」の「混合食品」で確認してください。「乳製品」と「混合食品」の違いについては、「輸入規制」の「4. その他 混合食品」の項を参照してください。

なお、本ポータルサイトにおける「生乳(牛乳)」とは直接飲用に供する目的で処理した生乳も含み、「原料乳」とは「輸出乳製品の原料として使用する生乳」を指します。

調査時点での最新情報を記載していますが、関連規則は常に変更される可能性がある点に留意してください。 また、EUの公的管理の新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

なお、公的管理とは、次の各分野に関するEU法令・その他のルールへの適合をEU加盟国当局が統一して管理することを指します。

  • 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など) の製造と使用
  • 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  • 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  • 動物衛生に関する要件
  • 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  • 動物福祉に関する要件
  • 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  • 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  • 有機製品および有機製品のラベル表示
  • 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示

関連リンク

根拠法等
規則(EEC)2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州議会・理事会規則 (EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

EUの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年8月

EUへの入域条件

EU域内に「原料乳(生乳)」「乳製品」を輸出するためには、一次生産(生産農場)から加工に至るまで、EUの求める衛生基準を満たすことが求められています。国レベルでは、対象の動物性食品(原料)の動物種が「薬理的活性物質、農薬、汚染物質の管理計画(以下「管理計画」)の承認リストに掲載されていること、さらに、EU域内への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」として掲載されていることが必要です。
事業者レベルでは、当該「原料乳」を「EU(HACCP)認定施設」または「登録生産農場」から調達し、「EU(HACCP)認定施設」で加工を行うことで初めて輸出が可能となります。

EU域内に日本産の乳および乳製品を輸出するには、国レベルでは、

  1. 規則(EU)2017/625に基づき、「薬理的活性物質、農薬、汚染物質の管理計画」の承認を受け、対象品目が実施規則 (EU) 2021/404、2021/405の国別のリスト(「管理計画承認リスト」)に掲載されること。
  2. 対象品目が実施規則(EU) 2021/404(動物衛生)または、実施規則(EU) 2021/405(公衆衛生)の「第三国リスト」に掲載されること。日本は承認リスト(実施規則 (EU) 2021/404 ANNEX XV2)に掲載されている。
  3. さらに、国際獣疫事務局(OIE :Office International des Epizooties)が定める国際基準(陸生動物衛生規約)に基づき、国内の牛群の牛結核病(bovine tubercle bacillus)・ブルセラ病(Brucella)についての洗浄国認定を取得している。

ことが必要とされ、日本は1、2の「乳・乳製品」の国レベルでの入域条件を満たしています。3に関しても、清浄化を達成していますが、清浄化宣言に向けて、引き続き、一部の牛を対象に能動的「清浄性維持サーベイランス」を実施し、3年ごとに再検討が行われます(後述の5)を参照)。

また、事業者レベルでは、

  1. EU向け「原料乳(生乳)」「乳製品」に使用される国内産「原料乳」は登録農場から調達すること。あるいは、登録を希望する生乳生産者は、生産農場が所在する地域を管轄する都道府県に「EU等向け輸出乳製品」の生産農場の登録申請を行い、登録番号を入手する必要があります。
    ただし、輸入した原料乳をEU輸出向け乳製品に使用する場合は、EU規則に基づく衛生およびHACCP管理基準を満たすことを証明する外国政府機関が発行または裏書きした証明書類、あるいはEU加盟国による公的書類を用意できる事業者から調達することで輸出が可能となります。詳細は、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)を確認してください。

    一定の加熱処理を行わないEU向け乳製品の「原料乳」は取扱要綱別添1‐1に規定される「ブルセラ症及び結核清浄群」に由来する必要があります。「取扱要綱」は農林水産省のウェブサイトから確認することができます。

  2. また、別添1‐1に規定される「ブルセラ症及び結核清浄群」に由来しない場合には、原料乳の生産日から遡って12カ月間以内に実施された別添1‐2に規定される「ブルセラ症及び結核の検査」の結果が陰性であることを条件として、使用することができます。その場合、さらに、「取扱要綱」別表3に規定される、一定の殺菌基準を満たす加熱処理が「原料乳」に施され、記録を管理すること、(アルカリホスファターゼ試験などの結果が陰性であること)動物衛生当局によって確認をすることが求められます。
  3. EU向け「乳製品」に関しては、4)、5)に基づき「原料乳」を調達し、EU HACCP管理基準を満たす認定施設(乳処理施設を含む)で加工する必要があります。2023年8月現在、認定を受けた農場・乳処理施設・加工施設は日本に存在しません。また、EUにおいて動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物性原材料(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し、特定の規則が課されています。「加工済み乳製品」であるか、「加工済み乳を含む混合食品」であるかで、適用される規則や要求される書類が変わるため留意が必要です。「乳製品」と「混合食品」の違いについては、「輸入規制」の「4. その他 混合食品」の項を参照してください。

これら4~6に必要な要件や公的証明書、施設の認定などに関しては、農林水産省の「取扱要綱」や本ウェブサイトの「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類など(輸出者側で必要な手続き)」の項を必ず確認してください。

※本項以降では、EU規制に加え、主要EU加盟国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても本ポータルサイトでは言及しています。しかし、これはジェトロで把握できた範囲において言及しているものであり、各国の独自規制を網羅しているものではありません。また、各項目で明示的な言及がない国については、記載できる情報がないということであり、独自規制が存在しないということではありません。

2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年8月

「輸入規則」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項のとおり、EU加盟国に「生乳」あるいは「乳製品」を輸出する場合、原料となる「原料乳」を登録を受けている農場から調達すること、さらに「生乳」「乳製品」は認定された乳処理施設または加工施設(EU(HACCP)認定施設)を経由する必要があります。

原料乳の生産農場登録

農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)で輸出要件や衛生条件、生産農場の要件、原料乳の基準を確認のうえ、「取扱要綱」に指定される別紙様式(様式1-1 生産農場登録様式(乳製品))および必要情報を添えて、管轄する都道府県の畜産主務課に届け出を行います。登録され、番号が通知された生産農場の一覧は、動物検疫所のウェブサイトで公表されます。登録を受けた農場には定期的な立ち入り検査があります。

登録農家からEUへ乳製品を輸出する目的で原料乳を出荷する場合は、「取扱要綱」にのっとり、当該生産農場を管轄する都道府県の家畜保健衛生所に「原料乳に関する確認書」の発行を受けます。ただし、生産農場と乳処理施設が隣接しており、これらの所有者が同じで連続的に加工が行われる場合は、当該乳製品の出荷前に発行されます。なお、本確認書の発行には、原料乳の出荷先の乳製品取扱施設の認定施設番号も必要となります。

一定の加熱処理を行わないEU向け乳製品のこれらの「原料乳」は「取扱要綱」別添1‐1に規定される「ブルセラ症及び結核清浄群」に由来する必要があります。
あるいは、一定の加熱殺菌が行われ、動物衛生当局が確認した(乳製品の)「原料乳」の場合には、「取扱要綱」別表3に規定される、殺菌基準を満たす加熱処理と記録を管理すること、また原料乳の生産日から遡って12 カ月間以内に生乳の由来する動物に実施された「取扱要綱」別添1-2に基づく「ブルセラ症又は結核の検査」の結果が陽性ではないことを条件として、家畜保健衛生所より別紙様式6-1の「確認書」が発行され、認定乳処理施設および乳製品加工施設に出荷することが可能となります。
ただし、外国から輸入された「原料乳」を使用する場合には本「確認書」は発行されず、外国政府機関が発行または裏書きした証明書類や公的証明書が必要となります。

乳処理施設および乳製品加工施設の衛生認定

「取扱要綱」に記載される衛生条件や個別基準を確認のうえ、関連書類を添付し、「取扱要綱」別紙様式3‐2の「施設認定申請書」を認定施設の管轄の都道府県知事を経由して、厚生労働省に申請します。関連資料には次の書類が挙げられます。

  • 施設の構造・設備に関する資料
  • 製品に関する資料
  • 衛生管理(マニュアルなど)に関する資料
  • 従業者の健康診断実施体制に関する資料
  • 作業手順書
  • HACCPに関する資料
  • 食品衛生法に基づく過去の処分事例がある場合はその資料など

2023年8月現在、国内には、EU輸出向け衛生認定された乳製品の加工施設はありません。

EU向け乳製品衛生証明書

EU輸出向け乳製品の場合、「取扱要綱」に指定する別紙様式10 - 1「衛生証明書発行申請書(乳製品)」を、認定施設の管轄の保健所または電子メール・NACCSを通じて規定される次の添付書類と一緒に申請します。

申請の際、使用される原料乳がEUの衛生条件を満たしていることを証明する次の書類や、トレーサビリティを示す資料などが求められます。

  • 日本産原料乳の場合:前述の登録農場に由来する「原料乳に関する確認書」(「取扱要綱」別紙様式6-1、原料乳の出荷先の乳製品取扱施設の認定施設番号も記入)の写し、原料乳製品(乳製品の原料となる乳製品で、直接飲用の牛乳を含む)を使用する場合には当該乳製品に発行される別紙様式10-2 衛生証明書様式(乳製品)
  • EU加盟国産原料乳の場合:EU加盟国産であることを証明する公的書類
  • 「第三国リスト外国産」原料乳の場合:EUの衛生要件を満たすことを証明する外国政府機関発行の証明書類

認定施設を管轄する保健所により発行された「衛生証明書」は、動物検疫所において「輸出検疫証明書」の発行に必要とされます。

輸出検疫証明書の発行

輸出検疫の申請・証明書の発行手続きについては「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項を参照してください(動物検疫所による発行)。

なお、EUにおいて、動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物性原材料(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し、特定の規則が課されています。「加工済み乳製品」であるか、「加工済み乳を含む混合食品」であるかで、適用される規則や要求される書類が変わるため留意が必要です。「乳製品」と「混合食品」の違いについては、「輸入規制」の「4.その他 混合食品」の項を参照してください。また事前に、混合食品に該当するかどうかをEUの国境管理所(BCP: Border Control Post)に確認するようにしてください。各加盟国の国境管理所の連絡先は、欧州委員会のウェブサイトに掲載されています。
混合食品の輸出に必要な書類については、本ポータルサイト「EU」の「混合食品」で確認してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年8月

サーベイランス実施(原料乳生産動物の抗体検査・ツベルクリン検査)

「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目」の項のとおり、EU向け「原料乳(生乳)」「乳製品」に使用される国内産「原料乳」は登録農場から調達する必要があります。

さらに、2021年4月21日以降、家畜の伝染病予防に関する動物の衛生要件に関して一般要件および個別要件を規定する委任規則(EU)2020/692が施行されており、乳・乳製品のモニタリング計画は同規則規定に沿ってあるいは国際獣疫事務局(OIE)が定める国際基準(陸生動物衛生規約)に準拠して実施されます。

農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)のとおり、

  • 一定の加熱処理を行わないEU向け乳製品のこれらの「原料乳」は「取扱要綱」別添1‐1に規定される「ブルセラ症及び結核清浄群」に由来する必要があります。
  • ただし、上記を満たさない場合、原料乳の生産日から遡って12カ月間以内に実施された別添1‐2に規定される「ブルセラ症及び結核の検査」の結果が陰性であること、さらにそこから得られた「原料乳」は「取扱要綱」別表3に規定される、殺菌基準を満たす加熱処理(アルカリホスファターゼ試験などの結果が陰性であることを動物衛生当局が確認済みであること。)と記録を管理することが求められます。

また、乳・乳製品の疾病リスクを軽減するために講じる措置は同規則ANNEX XXVIIに規定されています。

動物検疫所への輸出検疫検査の申請

欧州委員会規則(EU)2017/625および実施規則(EU)2021/632のANNEXのリストの掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード0401~0406類はEUの国境での動物検疫の対象となっています。

EU域内へ「生乳」・「乳製品」を輸出する場合、「輸入規制」の「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載のとおり、「取扱要綱」の要件を満たした、登録農場からの原料乳の調達や認定施設(乳処理施設含む)を経由した「原料乳製品」の調達を経て、施設所轄(都道府県)の家畜保健衛生所が発行した「原料乳に関する確認書」と、保健所が発行した「衛生証明書(「EU向け乳製品衛生証明書」)」を提出したうえで、日本の動物検疫所でも動物検疫検査を受ける必要があります。(【EU向け乳製品衛生証明書】を参照)

輸出検疫検査の申請においては、「取扱要綱」の別紙様式12-4(未殺菌)または12-6(特定の処理)の乳製品の「輸出検疫証明書様式」の輸出条件を確認したうえで、動物検疫所に次を提出します。

  • 輸出検査申請書(※1 )
  • 「EU向け乳製品衛生証明書」の写し(所轄(都道府県)の保健所から入手)
  • 「取扱要綱」に規定される別紙様式6-1「原料乳に関する確認書」の原本(原料乳の出荷先の乳製品取扱施設の認定施設番号が記入されたもの)
  • 輸入原料を用いた乳製品を輸出する場合は、該当する原料に対する外国政府当局が発行または裏書きした衛生証明書または公的証明書の写し

この申請はNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を利用して行うことができます。

動物検疫所による書類審査または現物検査などの結果、家畜の伝染性疾病を広げる恐れがないこと、EUが求める輸入条件を満たしていること、EUへの輸出が可能であることを確認されると、「輸出検疫証明書」が発行されます(ここでいう輸出検疫証明書はEUが求める公的証明書を意味する)。

ヒトの消費向け動物性・動物由来食品の輸入に関する公的証明書(衛生証明書)には、食品公衆衛生 (ヒトが食べて安全か)の観点のみから発行されるものと、食品公衆衛生と獣医証明(家畜などの伝染病の予防や動物衛生)の両方の観点から発行されるものがあり、乳や乳製品には後者の公的証明書が求められます。公的証明書(衛生証明書や動物衛生証明書)の様式は、実施規則(EU) 2020/2235 Annex III Chapter 33からChapter 38で規定されているものとなります。

※1 輸出検査申請書(規則別記様式第29号)は、動物検疫所のウェブサイトで確認できますが、2023年8月現在、国内にはEU輸出向けに衛生認定された乳製品の加工施設はないため、日本産の生乳・乳製品(日本産の原料乳または原料乳製品を調達し日本で製造した乳製品)をEUに輸出することはできません。

ただし、EUにおいて、動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物性原材料(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し、特定の規則が課されています。「加工済み乳製品」であるか、「加工済み乳を含む混合食品」であるかで、適用される規則や要求される書類が変わるため留意が必要です。「乳製品」と「混合食品」の違いについては、「輸入規制」の「4. その他 混合食品」の項を参照してください。「混合食品」の製造施設の場合、未加工の動物由来食品から混合食品を製造する場合を除き、EUの衛生認定を受ける必要はありません。詳細は本ポータルサイト「混合食品」で確認してください。

輸出国側での現物検査

前述の申請事項に基づいて、動物検疫所は現物の検査を行う場合があるとしています。現物検査は、動物検疫所、家畜防疫官の指定検査場所および農林水産大臣の指定検査場所のいずれかで実施され、必要に応じて精密検査、生産工場などの調査が実施される場合があります。これらの書類検査・現物検査のうえ、認められた場合に、輸出検疫証明書(EUが求める書式の公的証明書)が交付されます。

輸出入検疫を受ける空港や港を管轄する動物検疫所の問い合わせ先リストは、動物検疫所のウェブサイトで確認することができます。

原料乳の衛生基準は牛の生乳の場合、一般生菌数が10万/ミリリットル、体細胞数は40万ミリリットルとなっています。生乳の殺菌基準(低温殺菌方法・UHTなど)については「取扱要綱」の別表3に記載されています。

公衆衛生に関しては、「食品関連の規制」の「1. 食品規格」の項を確認してください。

4. その他混合食品

調査時点:2023年8月

EU独自の定義として、「動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物性原材料(Products of plant origin)の両方を含む食品」を「混合食品」とし、動物由来食品(欧州議会理事会「規則 (EC) 853/2004 第1条」)とは別に定義しています。詳細は、農林水産省「欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出混合食品の取扱要綱」または本ポータルサイトの「EU」の「混合食品」で確認してください。

加工済み乳製品と混合食品の違い

加工済み乳製品(動物由来食品)
規則(EC)853/2004 ANNEX Iおよび規則(EU)2019/626 (第2条)の定義により、動物由来食品および乳製品は次のように分類されます。
「動物由来食品(Products of animal origin)」とは、はちみつ、血液、ゼラチンおよび昆虫を含む動物由来の食品を指す。
「乳製品(Dairy products)」とは、生乳の加工または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する加工済み製品をいう。
なお、EUにおいて「未加工食品」とは、加工を受けていない食料品をいい、分割、分離、切断、スライス、骨抜き、刻み、皮剥ぎ、粉末化、切り込み、洗浄、トリミング、殻剥き、製粉、冷却、急速冷凍または解凍された食品も含むと定義されます(欧州議会・理事会規則 (EC) 852/2004 第2条 の1項)。
一方、「加工」とは、当初の(加工前の)材料を実質的に変化させるプロセスのことであり、加熱、くん蒸、保蔵(curing)、熟成、乾燥、マリネ(marinating)、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせも含まれます。
混合食品
前述のとおり、EU独自の定義として、「動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物性原材料(Products of plant origin)の両方を含む食品」動物由来食品を「混合食品」(規則 (EC) 853/2004 第1条)としています。
一方、添加される植物原材料が動物性加工食品に特徴をつける目的である場合や、動物性加工食品の性質上、植物原材料が欠かせない場合は混合食品とされず、動物由来食品とされます。例えば、フルーツ入りヨーグルトや、ハーブが添加されたチーズ、オリーブオイル入りのツナ缶などが該当します。
同じ名称(例えばクレープ)であっても殻付き卵と生乳から製造したクレープは加工済み動物性食品ですが、加工済み液卵と加熱処理をされ常温保存可能な牛乳を混ぜてつくられたクレープは混合食品となる場合があります。アイスクリームであっても、生乳から製造されるフルーツやナッツ入りのアイスクリームは乳製品ですが、加工乳(熱処理乳、粉乳)を原料とするフルーツやナッツ入り氷菓の製造は混合食品とされる場合があります。

このため、同じ名称の食品であっても原材料や製造手順(方法)により混合食品か否か変わるため、事前にEUの国境管理所(BCP: Border Control Post)に確認するようにしてください。各加盟国の国境管理所の連絡先は、欧州委員会のウェブサイトに掲載されています。
例えば、フランスにおいてはロワシー空港のSIVEPに次の情報を伝えることで、問い合わせできます。

  • 食品の税関コード (EU側のHSコード)
  • 動物性原材料・植物性原材料の割合
  • 食品の種類
  • 構成(成分)
  • 意図されている用途
  • 原産国

委任規則 (EU) 2022/2292では、本規則対象の混合食品を輸出する際に、動物性加工済原料がEU域内外の認定施設由来であることなどを証明するため、公的機関が発行する公的証明書(Official Certificate)または輸入者による自己宣誓書(Private Attestation)の添付が必要とされています。

委任規則 (EU) 2022/2292第20条に記載される特定のHSコード(例えば、1517(マーガリン、動物性油脂や植物性油脂の混合物およびそれらの調製品)、1601 00, 1602, 1603 00, 1604, 1605, 1702(乳糖など)、1704,1806, 1901(麦芽エキスならびに穀粉などの調製食料品およびミルク、ホエイなどの調製食料品)などを含む)に該当する混合食品については、次の3つのカテゴリーに分類されます。

  1. 温度管理が必要なもの(カテゴリーA)
  2. 温度管理が不要かつ原材料に肉製品(エキス含む)あるいは初乳由来原料を含むもの(カテゴリーB)
  3. 温度管理が不要かつ原材料として肉製品以外の動物由来加工食品(乳、卵、水産製品など)を含むもの(カテゴリーC)

輸出する混合食品が前記の1および2の条件に当てはまる場合は公的証明書、3の条件に当てはまる場合は自己宣誓書が必要になります。
詳細は、本ポータルサイトの「EU」の「混合食品」でも確認できます。

なお、加工済み動物由来原料から混合食品を製造する施設については、EUの衛生認定の取得は必要ありませんが(加工済み動物由来原料は認定施設から調達)、HACCPに沿った衛生管理のうえ、動物性原料(原料乳や原料卵)は認定施設から調達する必要があります。ただし、未加工の動物性原料と植物性原料から混合食品を同時に製造する加工施設には認定が必要となります。

特定CNコードに分類される混合食品に必要な生産国要件、施設の認可要否ならびに添付書類などの詳細は、本ポータルサイトの「EU」の「混合食品」で確認してください。

なお、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱 」は整備されていますが、2023年8月時点で、日本には「乳製品」「肉製品」の認定加工施設は存在しません。

EUの国境管理所で公的検査の対象となる動物性食品および混合食品

BCPにおける公的管理の対象となる製品の具体的なCNコードは、実施規則(EU) 2021/632のANNEXに規定されています。

国境管理所での公的管理の対象から除外される混合食品

ただし、前述の「カテゴリーCの混合食品(常温での長期保存が可能で肉製品を含まない)」に該当し、次の要件を満たす、委任規則(EU) 2021/630のANNEXのリストに挙げられているCNコードの場合は、国境管理所での公的管理の対象からは除外され、上市の際に自己宣誓書((EU) 2020/2235 ANNEX V)を添付するのみでよいとされています(通関時の確認免除の対象)。

  • 原料の卵製品および乳製品について、EU規則に基づく加熱処理※がされていること
  • ヒトの食用であることが明記されていること
  • 包装されているまたは、密封されていること

※委任規則(EU) 2020/692において、乳製品については付属書27のB欄、卵製品については付属書28に定められた加熱処理

BCPで自己宣誓書の確認免除の対象品目については、頻繁に変更となりますので、本ポータルサイトの「EU」の「混合食品」または規則原文で確認してください。
なお、通関時の確認が免除される品目については、輸入後、各加盟国当局が市場流通時に規制への適否を監視することとされており、自己宣誓書の添付自体が免除されているわけではない(すなわち、当該混合食品に使用される動物性加工原料がEU 域内外の認定施設由来であることが免除されているわけではない)ことに注意が必要です。
その他、動物検疫については「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項も確認してください。

EUの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年8月

農産物市場体系を確立する欧州議会理事会規則(EU)1308/2013の第75条と第78条により、いくつかの製品・セクター(対象品目)に関しては、EU域内で流通するための食品の規格または名称の定義が設けられています。乳・乳製品は、EUの共通農業政策(CAP)における農産品の共通市場制度(CMO)の対象となっており(第78条)、生産者の競争力の向上、需給バランスの維持、伝統と生産者の正当な利益の保護、消費者の保護を目的に、同規則ANNEX VIIの第III編および第IV編に「生乳」「乳製品」の定義、一部乳製品の各加盟国言語の販売時の名称、ラベル表示義務や、義務付けられている登録内容、輸送に関するルールなどの基準が定められています。また、同規則ANNEX VIIの第IV編に飲用乳の成分規格が次のとおり定められています。

飲用乳の成分規格
名称 要件
生乳(raw milk) 40℃以上に加熱されていない乳、またはこれと同等の効果を有する処理を受けていない乳。
全乳(whole milk) 乳脂肪分に関して、次のいずれかの要件を満たす加熱処理乳。
・標準化全乳(standardised whole milk) 乳脂肪分が3.5%以上の乳。ただし、加盟国は、乳脂肪分が4.0%以上の全乳の追加カテゴリーを設けることができる。
・非標準化全乳(non-standardised whole milk) 乳脂肪の添加や除去、または天然の乳脂肪分が変化した乳との混合により、搾乳段階から乳脂肪分が変化していない乳。ただし、乳脂肪分は3.5%を下回ってはならない。
半脱脂乳(semi-skimmed milk) 乳脂肪分が1.5%以上1.8%以下に低減された加熱処理乳。
無脂肪乳(skimmed-milk) 乳脂肪分が0.5%以下に低減された加熱処理乳。

また、飲用乳は、次の要件を満たす必要があります。

  • 採取した飲用乳の原産地で記録された生乳の平均凝固点に近い凝固点を有すること。
  • 20℃で3.5%の乳脂肪分を含む乳については、1リットルあたり1,028グラム以上の質量を有するものとし、脂肪分が異なる場合は、1リットルあたりこれと同等の質量を有すること。
  • 3.5%の乳脂肪分を含む乳については、最低2.9%のタンパク質を含むものとし、乳脂肪分が異なる場合は、これと同等の濃度を含むこと

CNコード(HSコード)0405(ミルクから得たバターその他の油脂およびデイリースプレッド)または2106に該当する乳製品は、次の要件を満たすものにかぎり、表に掲げる販売名称を使用して、最終消費者に直接または外食事業者を介し、加工せずに配達または販売することができます。

バターなどの成分規格
販売名称 要件
バター
(Butter)
乳脂肪分80%以上90%未満、最大水分含量16%、最大乾燥無脂乳原料含量2%の製品。
3/4脂肪バター
(Three-quarter fat butter)
乳脂肪分が60%以上62%以下の製品。
ハーフ脂肪バター
(Half fat butter)
乳脂肪分が39%以上41%以下の製品。
デイリースプレッドX%
(Dairy spread X %)
以下の乳脂肪分を有する製品。
  • 39%未満
  • 41%超60%未満
  • 62%超80%未満
食品衛生
さらに、EU域外から輸入される食品については、欧州議会・理事会規則(EC) 178/2002に基づきEUが求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。
このため、EU の食品輸入事業者は、輸入した食品がEUの食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、加盟国の所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会規則(EC) 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、EUが当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。
EUの衛生法(衛生パッケージ)は規則(EC) 178/2002 (食品一般法)、規則(EC)852/2004 (一般食品の衛生規則)、規則(EC)853/2004 (動物性食品の衛生規則)、(EC) 183/2005 (動物の飼料に要求される衛生規則) そして新公的管理規則(EU)2017/625およびこれらの規則を補完する関連規則(例えば、委任規則 (EU) 2019/625など)により構成されています。
例えば、原料乳の衛生基準は牛の生乳の場合、一般生菌数が10万/ミリリットル、体細胞数は40万/ミリリットルとなっています。生乳の殺菌基準(低温殺菌方法・UHTなど)や微生物学的基準が設けられていますので、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)で確認してください。
認定施設衛生管理等に関する基準
その他、施設の衛生基準および乳および乳製品の個別基準に関しては、「取扱要綱」別添3で確認してください。

関連リンク

関係省庁
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欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 852/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 183/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則(EU) 2022/2292(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
農林水産省 「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5.3MB)

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年8月

前述のとおり、欧州委員会規則(EU)2017/625に基づき、EU域内に乳・乳製品を輸出することが可能な認定を受けた加工施設などの事業者は、別途定められたモニタリング計画および実施要領(危害分析およびHACCP 計画)に従い、定期的な天然毒素、微生物学的汚染物質、化学的汚染物質農薬や残留動物用医薬品などのモニタリング検査の実施が必要です。(薬理的活性物質、農薬、汚染物質の管理計画(以下「管理計画」))詳細は実施規則 (EU) 2021/808ならびに関連規則に規定されますが、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」で確認することができます。

また、2021年4月21日以降、家畜の伝染病予防に関する動物の衛生要件に関して一般要件および個別要件を規定する委任規則(EU)2020/692が施行されます。乳・乳製品のモニタリング計画は同規則のANNEX IIに適合して、あるいは国際獣疫事務局(OIE)の定める規定に沿って実施されます。また、乳・乳製品の疾病リスクを軽減するために講じる措置は同規則ANNEXE XXVIIに規定されています。

動物由来食品の最大農薬残留基準値(MRL)
EUでは、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit:MRL)が規定されています(欧州議会・理事会規則(EC)396/2005)。MRLはEU農薬データベースの「生乳(Milk)」で確認することができます。当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの上限値が適用されます。なお、加工食品についても本規制の対象となりますが、加工食品に適用されるMRLは調査時点で設定されていないため、原材料として使用する「生乳」のMRLに注意してください。
EUにおける動物由来食品向け(動物用医薬品中の)残留薬理的活性物質(pharmacologically active substances)に関しては、EU規則(EC) 470/2009および規則(EU) No 37/2010 ANNEXに規定されています。薬理的活性物質とは、「動物用医薬品の製造での使用を意図した物質または物質の混合物で、製造過程により有効成分となるもの (委任規則 (EU) 2019/2090 第2条)」とされ、動物由来食品に許容される活性物質とその最大残留基準値(MRL)が規則(EU)37/2010 ANNEXに規定されます。ただし、「家畜飼料の添加物」に関しては規則(EC)1831/2003に規定されます。詳細は、本ポータルサイトEU向け「牛肉」のページで確認することができます。
なお、動物用医薬品または家畜の飼料添加物として認可あるいは使用禁止される、または認可されない薬理的活性物質および残留物質のリストに関しては、規則(EU) 37/2010のANNEXならびに委任規則 (EU) 2022/1644のANNEX Iで、第三国から輸入される動物製品のサンプリング頻度など公的管理に関する規定は、委任規則 (EU) 2022/1646で確認することができます。
動物用医薬品: AMR対策
EUでは、薬剤耐性(Antimicrobial Resistance:AMR)の対策として、2022年1月28日から動物用医薬品(veterinary medicinal products)の新規則 (EU)2019/6が適用を開始されています。
本規則の関連規則として「特定の感染症のヒト向け治療用の抗菌剤/抗微生物薬の基準」ならびに「動物の健康に必要不可欠とされない基準」について委任規則(EU) 2021/1760のANNEXに、「特定の感染症のヒト向けの治療用とされる抗菌剤/ 抗微生物薬(Antimicrobials or groups of antimicrobials )のリスト」(動物に使用できない)に関しては、実施規則 (EU) 2022/1255のANNEX に規定され、2023年2月9日からEU加盟国で適用されています。
さらに、「第三国からEUに輸入される動物又は動物由来食品に対し特定の抗菌剤/ 抗微生物薬の使用を禁止する」委任規則(EU)2023/905が2023年5月に発布されています。 CNコード0105項にカバーされる家きん(鶏(ガルルス・ドメスティクス)を含む「生きた動物」に本規則が適用され、次のことが禁止されます。
  • 「ヒト向け医療に使用が限定される抗菌剤リスト」に指定された抗菌剤をEUに輸出する動物または動物由来の製品に使用すること
  • 成長促進や生産量増加を目的とした抗菌剤の使用
    ただし、本規則は混合食品、ゼラチン・コラーゲンなどの原材料など本規則第1条第3項に規定される製品には適用されません。
これらの規則は日本からEUに輸出される畜水産物にも適用され、公的証明書などに関する関連実施規則の適用日から24カ月後に、適用開始とされています。ただし、2023年9月現在、公的証明書などに関する実施規則については、草案の段階となっており、SPS通報の実施中となっています。
なお、本新規則と同時期に旧指令90/167/EECに代わり、医薬用飼料 (medicated feed)にかかる新規則 (EU) 2019/4が施行されています。本規則のANNEX IIに抗微生物薬(Antimicrobials)が24物質指定されており、2023年に欧州委員会と欧州食品安全機関(EFSA)はこれら24物質の交差汚染による最大許容量をまとめるとしています。
※医薬用飼料 (medicated feed)とは管理された条件下で製造された飼料(動物向け食品)と動物用医薬品の混合物であり、家畜、養殖水産種、ペットの疾病を治療または制御する目的で獣医の処方箋により経口投与される。
これらの新規則も、EUの公的管理規則2017/625の対象となっているため、動向に注意が必要です。
これらの関連規則に関しては、欧州委員会の残留動物医薬品などに関するウェブサイトまたは農林水産省のウェブサイト「EUの新たな動物用医薬品規則への対応」で確認することができます。
なお、本項目に関して、EU加盟国によってEU規制に上乗せで課される独自規制が設定される場合があることにも留意が必要です。

関連リンク

関係省庁
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規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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規則(EU)2019/4 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(2023年9月1日更新)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5.3MB)
欧州委員会 「残留動物医薬品に関する規則」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「EUの新たな動物用医薬品規則への対応」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵および卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5.3MB)
EU農薬データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「EUにおける残留農薬に関する規制」(2015年2月)

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2023年8月

EUでは、食品に含まれる汚染物質の上限値を食品カテゴリーごとに欧州委員会規則(EC)1881/2006で規定していましたが、2023年5月25日より新規則(EU)2023/915に置き換えられています

ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます。食品中の汚染物質の最大基準値が食品カテゴリーごとに規定されており、基準値を超過したものは原料として使用したり混ぜたりすることができません。

乳・乳製品が該当する汚染物質の上限値は、次のとおりです。ただし、ここに記載されている以外にも、乳児・幼児用の食品、医療用栄養食品に関しては別途、汚染物質(ヒ素、硝酸塩など)や上限値が規定されているため注意が必要です。

汚染物質の上限値
物質名 上限値 対象品目
アフラトキシンM1 0.05 ㎍/kg 生乳、加熱処理乳、乳を原材料とする食品の原料乳
0.025 ㎍/kg 乳児用調製乳、フォローアップミルク
0.02 mg/kg(湿重量) 生乳、加熱処理乳、乳を原材料とする食品の原料乳
0.02 mg/kg(湿重量) 乳児用調製乳、フォローアップミルク(粉末)
0.01 mg/kg(湿重量) 乳児用調製乳、フォローアップミルク(液体)
0.1 mg/kg(湿重量) 乳脂肪を含む油脂
カドミウム 0.01 mg/kg(湿重量) 乳児用調製乳、フォローアップミルク(粉末)
0.005 mg/kg(湿重量) 乳児用調製乳、フォローアップミルク(液体)
無機スズ 50 mg/kg(湿重量) 缶詰の乳児用調製乳、フォローアップミルク(乾燥したものおよび粉末状のものを除く)
グリシドール(グリシジル脂肪酸エステル) 50 ㎍/kg 乳児用調製乳、フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳(粉末)
6.0 ㎍/kg 乳児用調製乳、フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳(液体)
3-モノクロロプロパンジオール(3-MCPD)と3-MCPD脂肪酸エステルの合計 125 ㎍/kg 乳児用調製乳、フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳(粉末)
15 ㎍/kg 乳児用調製乳、フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳(液体)
ダイオキシン類の合計(WHO-PCDD/F-TEQ)(ポリ塩化ジベンゾパラダイオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの毒性等量合計) 2.0 pg/g脂肪※ 乳脂肪を含む生乳および乳製品
0.1 pg/g(湿重量) 乳幼児用食品
ダイオキシン類、ダイオキシン様PCB類の合計(WHO-PCDD/F-PCB-TEQ)(ポリ塩化ジベンゾパラダイオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ビフェニルの毒性等量合計) 4.0 pg/g脂肪※ 乳脂肪を含む生乳および乳製品
0.2 pg/g(湿重量) 乳幼児用食品
PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153,PCB180の合計(ICES-6) 40 ng/g脂肪※ 乳脂肪を含む生乳および乳製品
1 ng/g(湿重量) 乳幼児用食品
ベンゾ[a]ピレン 2.0 ㎍/kg 食用油脂(カカオバターを除く)
1.0 ㎍/kg 乳児用調製乳およびフォローアップミルク
ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、クリセンの総量 10.0 ㎍/kg 食用油脂(カカオバターを除く)
1.0 ㎍/kg 乳児用調製乳およびフォローアップミルク
メラミン 2.5 mg/kg 乳児用調製乳およびフォローアップミルク以外の食品
1 mg/kg 粉末状の乳幼児用調製乳、フォローアップミルク
0.15 mg/kg 液体状の乳幼児用調製乳、フォローアップミルク
過塩素酸塩 0.01 mg/kg 乳児用調製乳、フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳

なお、2021年8月30日以降カドミウムと鉛の上限値のリストに、「塩」や「香辛料」が追加されているため、加工食品などの原材料として使用する場合は注意が必要です。

また、食品事業者に適用されるEU規則「食品の微生物学的基準に関する委員会規則(EC) 2073/2005」によりEUにおける食品中の微生物学的判断の基準が規定されており、同規則によりいくつかの乳製品のサルモネラの上限値が定められています。

例えば、「1.11 生乳または低温殺菌よりも低い温度で処理された牛乳を原料として製造されたチーズ、バター、クリーム」「1.12 粉乳およびラクトセラム粉末」「1.13 アイスクリーム(ただし、アイスクリームはサルモネラ菌のリスクを排除することを可能にする製造方法または組成を採用している製品は除く)」の濃度基準の測定に際しては、1ロットあたり任意に採取した5サンプルについて検査し、すべてのサンプルの25g中サルモネラが検出されないこと(不検出)が基準となります。
その他、チーズ、粉乳、粉末ラクトセラムにはブドウ球菌腸毒素の上限値が定められています。
詳細は、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」の「別添3 HACCP 方式による衛生管理実施基準」で確認することができます。

原料乳の衛生基準は牛の生乳の場合、一般生菌数が10万/ミリリットル、体細胞数は40万/ミリリットルとなっています。生乳の殺菌基準(低温殺菌方法・UHTなど)については「取扱要綱」の別表3に記載されています。

乳児用調製粉乳および6カ月未満の乳児用の特別な医学的目的の粉末栄養製品やフォローアップミルクに関しては、さらに厳しい上限値が課されます。

その他、各加盟国の独自規制や推奨(勧告)が公表されることもあるため、注意が必要です。

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4. 食品添加物

調査時点:2023年8月

EUでは、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物と、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。

なお、ラベルに表示する際には項目での一括表示ではなく、E番号または添加物名で表示する必要があります。例えば、日本では、「pH調整剤」と一括表示が許可されていますが、EUにおいては、「E500(または「炭酸ナトリウム」)E336(または「酒石酸カリウム」)」と表示する必要があります。

食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。食品酵素については、調査時点ではポジティブリストが完成していないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

食品改良剤に関するEU根拠法
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 規則(EC) 1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わずに食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。
ただし、次は食品添加物として使用されない場合本規則の適用外である。
—加工助剤(processing aids)
—植物の健康に関する共同体ルールに従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
—栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
—理事会指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
—規則(EC) 1334/2008の範囲に該当する香味料
—規則(EC) 1332/2008の範囲に該当する酵素(ポジティブリスト完成まで)
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと。
食品香料 規則(EC) 1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
‘‘flavouring”、具体的な名称または香料の概要で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 規則(EC) 1332/2008 植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。
同規則で定められている食品酵素の名称または販売概要で表示

EU では「漂白剤」「炭化剤」「保色剤」が食品添加物として分類に含まれていない一方で、「酸味料」「加工でん粉」「コントラスト増強剤」が食品添加物とされています。

EU規制におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が「01 乳製品およびその代用品」の食品カテゴリーにおいて使用可能かどうかを確認する必要があります。

ただし、規則(EC)1333/2008のANNEX IIに記載されていない場合でも、ANNEX IIIに掲載されている添加物やキャリアは使用条件に従って食品添加物、食物酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)に使用することが可能です。その他、ANNEX II PART B(食品への使用が認められるすべての食品添加物で着色料、甘味料以外のリスト)やPART Cのグループ分類(「quantum satis(適量)」の使用を認める)の確認も必要です。
他方、同規則ANNEX II Part Aに「食品添加物を含むことが禁止されている食品」が規定されているため、注意が必要です。

食品に添加できるビタミンおよびミネラル成分
生乳などの未加工品に添加することはできませんが、食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。規則(EU) 2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する規則(EC)1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100グラムあたり2グラムを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。
なお、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていませんが、国によってEU規制の運用が異なる場合があることに留意が必要です。
また、加工助剤に関しては、食品添加物とされておらず、各加盟国法で定められている場合があります。例えば、フランスにおいては加工助剤に関して、「特定の食品の製造における加工助剤の使用に関する2006年10月19日付アレテ」で規定されており、食品加工助剤として使用できる酵素のポジティブリストや抽出溶媒などについて定められています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年8月

EUでは、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されているまたは通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Materials:食品接触素材)について、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています(欧州議会・理事会規則(EC)1935/2004)。また、欧州委員会規則(EC)2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)がそれぞれ定められています。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付(輸入者作成)が求められています。プラスチックの適合宣言書には、規則 (EU) 10/2011のANNEX IVの情報を記載する必要があります。

なお、食品接触を意図する「再生プラスチック」に関して、旧規則の規則(EC) 282/2008が廃止され、2022年10月10日から、新規則(EU) 2022/1616が施行されています。リサイクル業者、または、再生プラスチックが含まれるプラスチック加工製造業者向けは本規則ANNEX IIIに規定される「適合宣言書」の提出が求められます。

主な食品接触素材に関する根拠法
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 規則(EU) 10/2011 ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
規則(EC) 450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで“DO NOT EAT’’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 規則(EU) 2022/1616 同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能で、「認定されたリサイクル工程」を使用する域外の事業者はEU加盟国に通知、登録が必要であった。新規則ではこれに加え、「新規技術を用いたリサイクル」、リサイクルスキーム(システム)、および除染設備に関してもEUへの通知・登録が必要となっている。
セラミック 指令84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 指令2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
BPA(ビスフェノールA) 規則(EU) 2018/213 乳幼児向け食品に接触することが意図された包装材の原料への禁止
エポキシ樹脂 規則1895/2005/EC エポキシ誘導体の定義と使用制限
ゴム 指令93/11/EEC エラストマーまたはゴムに由来するN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソアミンに転化可能な物質の放出、基準、分析方法に関する規則

また、EUレベルでの法規制に加えて、EU加盟国は独自規制を導入することが可能となっているため、注意が必要です。

フランスでは、国内法(デクレ・アレテ)により、ゴム、シリコンゴム(ポリマー)、イオン放射線処理、金属・合金 (ステンレススチール、アルミニウム) に関する独自規制が定められており、適用される基準値や添加できる物質のポジティブリストなどが規定されています。
また、食品の包装と保管、着色に関する1912年6月28日付アレテにより、一部の製造・醸造を除き、飲食品に直接、銅、亜鉛、亜鉛メッキが触れることは禁止されており、食品に接触する重金属(ヒ素、鉛、スズ)、紙・ボール紙、ニス・コーティング剤、人口着色料などについても独自規定が設けられています。

その他、ガラス・グラスセラミックなどに含有する重金属量(カドミニウム、鉛、クローム)の上限値や禁止の有無を定めた規定、製造に使用できる素材(木材など)の規定や洗浄剤それぞれ該当規定を確認する必要があります 。
また、法令No 2012-1442に基づき、食品に接触するすべての包装容器などについてビスフェノールAの使用が禁止されています。日本では缶の裏側にビスフェノールAが使用されていることが多いため、留意が必要です。

EUの包装および包装廃棄物規制
なお、2023年11月現在では、草案の段階ですが、EUの容器包装についてリサイクルやリユースの促進や包装廃棄物を促進させることを目的として、包装および包装廃棄物規制の改正規則案が提出されています。本改正規則(案)は、2025年採択予定、2026年運用開始予定となっていますが、最新情報は、農林水産省ウェブサイトの「EUの包装および包装廃棄物規制について」で確認することができます。

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規則(EC) 1895/2005 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令93/11/EEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2007年5月10日付 デクレNo 2007-766 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2008年12月30日付 デクレNo 2008-1469 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1994年11月9日付飲食品に接触するゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1992年11月25日付飲食品に接触するシリコンゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1986年8月12日付飲食品に接触する製品・素材へのイオン放射線処理に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1976年1月13日付食品に接触するステンレス製品・素材に関するアレテ (フランス語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(375KB)
1987年8月27日付飲食品に接触するアルミニウムまたはアルミニウム合金製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1985年11月7日付アレテ飲食品に接触するセラミック製品から抽出可能なカドミニウムや鉛の上限値に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1999年9月8日付アレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1912年6月28日付食品の包装と保管、着色に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス法令No 2012-1442(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示した仏国内法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、Version à la date du で最新の日付を入力してください。
その他参考情報
欧州委員会 食品接触素材について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 食品接触材に関する各国当局窓口(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス国立計測試験研究所(LNE)(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「輸出先国における容器・包装に関する規制」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)(2020年3月)」

6. ラベル表示

調査時点:2023年8月

認定施設由来であることを証明する衛生識別マーク
EUに輸出される「生乳」「乳製品」には、規則(EC)853/2004 ANNEX IIの第I編に記載のとおり、製造者は認定施設から出荷する前に、読みやすく、消えないように識別マークを表示する必要があります。出荷国名および施設認定番号を楕円マークの中に明示し、表示は製品、包装または梱包に直接印刷するか、印刷するラベルを貼付します。(加工用の原材料の場合は外部外箱に貼付することができます。)
施設の承認番号が表示されたラッピングまたはパッケージ上に参照記述を含めることも可能です(規則(EC)853/2004 ANNEX III 第IX編)。
その他、消費者向け事前包装された食品のラベル表示は、欧州議会・理事会規則(EU) 1169/2011で規定されています。同規制はEU域内で流通する食品全般(ケータリング向け食品含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。EU 市場で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。なお、アレルギーを誘発し、最終製品に残存する添加物や加工助剤も表示は必須となっています。
包装済み「生乳」または「乳製品」を輸出する場合、欧州議会・理事会規則(EU) 1169/2011で第9条(次表の中では「同規則」)および関連EU規則に基づき次の項目を表示する義務があり、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
その他、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されています。
ラベル表示義務項目
生乳 乳製品 項目 補足説明
食品の名称 「生乳」一部「乳製品」の名称は、「食品規格」の項で説明のとおり、
  1. 法的名称:EUまたは加盟国の法律、規則などで定められた名称 で表示する必要があり、理事会規則(EU)1308/2013 Annex VIIに定められる、食品規格に準拠した食品の名称を使用しなくてはいけません。
本規則に定められていない「乳製品」の場合は、
  1. 慣習的名称:当該販売国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
  2. 説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすいほかの製品と区別できる食品を形容した説明、および必要に応じてその用途を示す名称。
を表示します。知的財産など保護された商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
食品規格に基づく法的名称
規則(EU)1308/2013

消費用「生乳」の名称: 規則(EU)1308/2013 Annex VII, 第IV編,第3項 の定義に準拠した販売名称を使用(「食品規格」の飲用乳の成分規格を参照)する。

「乳製品」の名称: 規則(EU)1308/2013 Annex VII, 第III編,第2項に規定される範囲に準じて、同項に記載される各加盟国言語の販売時の名称を使用する。

  例外的に使用可能な名称
欧州委員会決定2010/791/EU
上記のとおり、「乳製品」の販売名称において「乳」「クリーム」の名称を規則(EU)1308/2013に規定される定義の範囲外である植物由来製品などに使用することはできません。(例: 「豆乳 Soy milk 」の名称は「動物の乳から抽出される液体」でないため使用できません。
ただし、決定2010/791/EUのANNEXに規定される名称の使用は可能です。各加盟国言語で、使用可能な名称が違うため注意が必要です。(例:フランス語・スペイン語では「Lait d’amande/ Leche de almendras(アーモンドミルク)」の名称の使用は可能ですが、英語では使用できません。)
    食品名称に付随する個別項目
(EU) 1169/2011
同規則第9条に規定されるとおり、
  1. 購入者の誤解を招く恐れがある場合は「粉末化、再冷凍、フリーズドライ、急速冷凍、濃縮、燻製」などの施された特定の処理
  2. 販売前に冷凍され、解凍状態で販売される食品の場合「解凍済み(defrosted)」を添える(例外あり)
  3. 肉の切り身、骨付き肉、スライス、塊、または枝肉の外観を有する肉製品および肉調製品で、添加水が最終製品の重量の5%を超える場合は、食品の名称に添加水の存在の表示
を含める必要があります。
その他、一片の肉から成るような印象を与えるが、実は複数片からなる食肉製品や調製品に記載する各国言語の表示や、異なる動物に由来するタンパク質を添加した食肉製品や調製品については別途記載の規定が定められています。原文を確認してください
  原材料リスト
(EU) 1169/2011
単一原材料で食品の名称同一である場合は不要です。
ただし添加物などを添加した場合や加工食品の場合、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。ただし、乳製品などの場合で、製造に必要な微生物や食物酵素以外の原材料を一切使用していないチーズ・バター・発酵クリーム・乳の場合は不要です(生チーズやプロセスチーズ以外のチーズの場合は、製造に必要な塩も含む)(同規則第19条)。
また、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。
食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。ただし、加工助剤や最終製品において技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては同規則第20条を参照してください。
原材料の量の表示は同規則ANNEX VIIIを参照してください。
  アレルギー物質 食品の名称が、当該物質で明確に記載されている場合は不要ですが、表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1キログラム/1リットルあたり10ミリグラムを超える二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
原材料リストの標記を太字などで強調する場合、太字、異なるフォントや色を使用して強調する必要があります。原材料リストがない場合は特定のアレルゲン物質を「含む‘contains’」の表記が必要となります。
正味量

「L(リットル)」「cl(センチリットル)」「ml(ミリリットル)」「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で液体の場合は、体積単位で、その他の製品は質量の単位で表示します。

文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。

公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上
また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、指令76/211/EECにより、次のとおり規定されています。
公称重量
(g)
許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量
に対する%
g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5
表示されている正味量が関連するEU規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。
〇g eマーク
図:eマーク
賞味期限または消費期限 包装済みの食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the ‘use by’ date)を表示する必要があります。
冷凍製品の場合は、冷凍日を「Frozen on 日/月/年」の表示義務が追加されます(同規則ANNEX. X)。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(EU域内事業者でない場合は、EUへの輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
原産地 乳・乳製品(50%以上の生乳が含まれる)の原材料として使用される乳のラベル表示に関しては、同規則第26条に記載されており、製品の原産国または起源地が表示されていて、それが主原材料の原産国または起源地と異なる場合は、
  1. 当該の主原材料の原産国または起源地もあわせて表示しなければならない。
  2. 主原材料の原産国または起源地が食品の原産国または起源地と異なる旨を、表示しなければならない。
例「(〇○:主原料)は(××:最終製品の原産地)に由来しない」(○○ do/does not originate from ××)と記載する。(例えば、最終製品の「クリームスープ」と主原料の「クリーム」の原産地が異なる)主原料とは、最終製品の50%以上を占める原材料、または、製品の名称から消費者が通常想起する原材料(「クリームスープ」における「クリーム」)を指します。
また、最終製品の原産地が表記されていなくても、原産地を想起させる国旗などがパッケージに表示されている場合も、本規制の対象となります(委員会維持実施規則(EU)2018/775)。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
  栄養表示 「単一の原材料」または「単一の原材料からなる未加工製品」あるいは、「熟成(maturing)による単一の原材料からなる加工製品」の場合は不要ですが、同規則ANNEX Vに記載される製品以外の場合、次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。
  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
製造ロット番号
(EU指令2011/91/EU)
EU域内で流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。
さらに、動物性食品に関しては、【認定施設由来であることを証明する衛生識別マーク】で記載のとおり、すべての段階でのトレーサビリティを目的として「衛生識別マーク」の表示が必要となります(規則(EC)853/2004)。

食品のラベルに使用される言語は、EUの公用語であれば複数の記載が可能ですが、当該製品を販売する国の公用語を必ず使用する必要があります(欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011 Article 15)。
また、ラベル表示に使用する文字の大きさについても、同規則において次のとおり指定されています。

Appendix
  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2ミリ以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9ミリ以上

また、日EU経済連携協定の発効に伴い、日本の地理的表示(GI)がEU圏内でも保護されることになりました。一方、乳・乳製品に関しては、カマンベールやゴルゴンゾーラなど27品目が地理的表示に指定されているため、「(日本の)○○県産カマンベール」や「ゴルゴンゾーラスタイル(日本の)○○県産…」などの表記は禁止されています。

栄養・健康に関する強調表示
規則(EC) 1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:健康強調表示「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」、栄養強調表示「脂肪分 0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式(EUリスト)で定められており、強調表示が可能な栄養素など・記載可能な表現・強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められているため、強調表示を行う場合には、注意が必要です。
例えば、カルシウムの強調表示において、「Calcium is needed for the maintenance of normal bones(カルシウムは正常な骨の維持に必要です)」「Calcium contributes to normal blood clotting(カルシウムは正常な血液凝固に寄与します)」という表現は許可されますが、「Calcium helps to keep a healthy blood pressure.(カルシウムは健康的な血圧の維持に寄与します)」という表現は許可されていません。ポジティブリストに関しては、欧州委員会のデータベースで検索が可能です。
その他、特定の母集団向けのカルシウムの強調表示について(EU) No 1228/2014(50代以上の女性向け)で定められています。
詳細は、ジェトロレポート「健康食品関連規制調査 (EU)」でも確認することができます。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 貿易総局(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC)853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 852/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) 1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令 76/211/EEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
決定 2010/791/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2018/775(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令 2011/91/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)1760/2000 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 1825/2000(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) 1924/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) 1228/2014 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
欧州委員会 食品表示法について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 ラベル表示に関するガイダンス集(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Food Labelling Information System (FLIS)(食品ラベル規則の検索ツール)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 「栄養・健康に関する強調表示データベース」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ 「EU向け食品ラベルの翻訳例」(2020年12月)
農林水産省 日EU・EPAにおける地理的表示(GI)の取扱いについてPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.2MB)
ジェトロ EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)
ジェトロ「健康食品関連規制調査 (EU)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

7. その他

調査時点:2023年8月

有機食品に関する規制
EU域内で有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会規則(EC) 834/2007および 規則(EC)1235/2008で規定されていますが、新公的管理の規則(EU)2017/625に照らし合わせ、新規則 (EU) 2018/848が2022年1月1日から適用されています。
日本の有機JAS制度は、有機農産物および有機農産物加工食品に関して、EUの有機制度との同等性を有するとみなされており、EU域内で「有機」として販売が可能な国のリスト(第三国リスト)に掲載されています。しかし、日本の畜産物は「同等性」利用の対象外となっているため、有機JASを取得した「生乳」や「乳製品」であっても、EUへ「有機食品」として輸出することはできません(スイスは有機JAS畜産物の同等性が認められています)。
有機JAS製品の同等性を利用せずに、EUで有機食品として販売する場合
有機JAS対象外品目や「同等性」の対象外品目については、規則 (EU) 2018/848ならびに関連規則(例えば、実施規則 (EU) 2021/1165、規則(EC)1235/2008第10条にのっとり、EUに登録された有機認証団体(同規則ANNEX IVにリスト)から直接認定を受けることで、EUで有機食品としての販売が可能です。ただし、リストに掲載されていても、実質的には認定が不可能なケースもあるため、詳細は有機認証団体に直接問い合わせてください。

EUでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年8月

輸入ライセンス
「食品関連の規制」の「1. 食品規格」の項で記載のとおり、農産物市場体系を確立する欧州議会理事会規則(EU)1308/2013により、乳・乳製品は、EU の共通農業政策(CAP)における農産品の共通市場制度(CMO)の対象となっていますが(第78条)、規則2016/1237(ANNEX I)により輸入ライセンスの対象品目から「乳・乳製品」は削除されています。このため、EU規制において、乳・乳製品に際して輸入ライセンスの要件は定められていません。ただし、名称の定義については「食品関連の規制」の「1. 食品規格」の項を参照してください。
その他、「生乳」「乳製品」のEUへの入域条件は「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項を、EU輸入時の事前通知や国境検疫検査(公的統制)に必要な書類や手続きは、「輸入手続き」の「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)」および「3. 輸入時の検査・検疫」の項を必ず確認してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
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その他参考情報
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2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2023年8月

事前通知
第三国由来の動物性食品をEUに輸出するには、国境検疫所における公的管理の対象となるため、委任規則2019/1602に記載されているとおり、輸入港の国境検疫所(Border Control Post:BCP)に貨物が到着する24時間前までに、EUのウェブシステム「TRACES」または「TRACES」と互換性のある電子システム経由で「共通衛生入域文書(CHEDs)」に必要な情報を事前通知する必要があります。動物由来食品向け「CHED-P」に必要な情報や様式は実施規則(EU)2019/1715 ANNEXに規定されています。また、「CHED-P」の作成方法に関しては、欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。
「CHEDs」は、BCPでの国境検疫検査に合格すると発行されますが、事前通知において、空白や不完全な項目がある場合、関係当局は署名をしないとされています。また、完全な「CHEDs」が提示されるまで、通関手続き(関税の支払いなど)の通過は認められません。
必要書類
日本から乳・乳製品をEU域内に輸入する際には、次の書類が必要になります。
通常の通関書類(インボイスおよびパッキングリスト)に加えて、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項に記載のとおり日本で発行された「公的証明書(輸出検疫証明書)」および識別マークの貼付が必要です。
  • 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document))
  • EU域外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。
  • インボイス(商業送り状)
  • パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  • 価格申告書(Customs Value Declaration)
    CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  • 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
  • 共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED-P) /動物衛生証明書や公衆衛生証明書および識別マーク・その他必要に応じた公的証明書や事業者による宣言書
「生乳」「乳製品」にかかる公的証明書(衛生証明書および輸出検疫証明書)の様式は、実施規則 (EU) 2020/2235で規定されています。
なお、混合食品にかかる証明に関しては、本ポータルサイト「混合食品」で確認することができます。
輸入時の検査や、国境管理所における動物検疫については「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」の項を参照してください。
原産地証明
また、日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」)に基づく特恵税率の適用を受けるためには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となりますが、「日EU・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者または通関業者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。書式に関しては税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2019/1602 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2019/1715 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2016/341(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2020/2235(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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その他参考情報
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局「証明書・書類・機能」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会「TRACES NT Documentation : CHED」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 国境動物検疫 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 各加盟国の国境検査所 BCPs(動物検疫)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関「原産地規則ポータル」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 日EU・EPAガイダンス「特恵の要求、確認および否認」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(455KB)
欧州委員会日EU・EPAガイダンス「原産地に関する申告」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(481KB)
欧州委員会 税制・関税同盟「日本」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(722KB)
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(711KB)
ジェトロ「日EU・EPA解説書」PDFファイル(9.93 MB)
ジェトロ「原産地証明ナビ」
欧州委員会 TRACES(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年8月

輸入港について
EU規則 (EU) 2017/625第47条および実施規則(EU)2021/632のANNEX のリストに掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード0401~0406類はEUの国境での動物検疫の対象となっています。動物検疫の検査は輸入港の国境検疫所(Border Control Post:BCP)で実施されるため、EUに輸出される乳・乳製品は、必ず、BCPが設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは、欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。
また、個人消費目的の手荷物、サンプル品などに関する公的管理が免除される製品に関しては委任規則(EU) 2019/2122に規定されます。基本的に手荷物であっても乳製品は、国境での公的管理の対象となっています。(ANNEX I Part 2)
EU域内への「生乳」「乳製品」の輸入に際し、「輸入規制」の「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項に記載の【EUへの入域条件】(農場登録・施設認定など)を満たしたうえで、「輸入規制」の「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類など(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載の手順にのっとり、日本の動物検疫所に「輸出検疫証明書」およびEUが求める書式の獣医検疫(動物衛生)証明書(公的証明書)をあらかじめ発行してもらいます。「生乳」「乳製品」にかかる公的証明書(衛生証明書および輸出検疫証明書)の様式は、実施規則 (EU) 2020/2235で規定されています。
公的管理・国境管理所におけるチェック
規則 ( EU ) 2017/625ならびに委任規則 (EU) 2022/2292により、第三国からEUに輸入されるヒトの消費を目的とする動物および製品に課される要件を規定し 、動物由来食品に関する現行の衛生要件(規則(EC)853/2004)との整合が図られています。
動物検疫の手続きなどについては、EU規則(EU) 2017/625および関連規則に規定されています。
動物検疫は、
(1)文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)、
(2)同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)、
(3)現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)
の3段階により行われます。
(1)の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、写しやファックスは認められません。また、(3)の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます(乳、冷蔵・冷凍乳製品の現物検査の確率は3割となっています)。動物検疫の結果、輸入条件に適合することが確認されると、検査官から「共通衛生入域文書(CHEDs)」が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。
これら動物検疫上の検査に加えて、ほかのEU規制についても、適合状況をあわせて検査される場合があります(規則(EU) 2017/625 第45条)。
なお、公的管理とは、次の各分野に関するEU 法令・その他のルールへの適合をEU加盟国当局が統一に管理することを指します。
  • 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など)の製造と使用
  • 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  • 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  • 動物衛生に関する要件
  • 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  • 動物福祉に関する要件
  • 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  • 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  • 有機製品および有機製品のラベル表示
  • 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示
いずれの検査についても、要した費用は請求されます。
また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回繰り返した場合は、欧州委員会は第三国の発送国の当局に対して、必要な調査と是正が要請されます。
なお、混合食品にかかる国境検査に関しては、「輸入規制」の「4. その他 混合食品」の項でも確認することができますが、国境管理所での公的管理の対象ではない食品であっても、「混合食品に用いられる加工済動物由来原材料の原産地がEUの第三国リストに掲載され、かつ、EU が認可した施設で製造されたものである」という原則が適用されないというわけではなく、仕向け地、EU市場、倉庫で公的管理の検査が実施されます。
公的管理の新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年8月

食品事業者はEUの衛生法または加盟国法に従い動物由来の原材料を含む食品を取り扱う場合、第一次産業、家庭用消費を除き、管轄当局により各施設の登録、通知、または承認を受けることが義務付けられている場合があります。(「一般食品に関する衛生規則」規則(EC)852/2004第6条ならびに「動物性食品に関する衛生規則」規則(EC)853/2004第4条)

例えば、フランスの場合、個人消費者向けの小売りについては申請(Déclaration)を様式CERFA 13984 の「Section 2 ACTIVITÉS DE COMMERCE OU DE PRODUCTION FERMIÈRE(商行為または農産物の生産)」の欄に必要事項を記入して、 管轄地域の住民保護局(DDPP : 競争・消費・不正抑止局DGCCRFに管轄される衛生面の監督局)に申請をする必要があります。
一方、と畜所、動物性食品加工業者の施設だけでなく、業務用食品卸売店に関しては、施設の衛生認定義務 (Agrément sanitaire)があり、CERFA 13983を送付し、住民保護局により認可を取得する必要があります。
取り扱う販売量や販売形態により、申請(Déclaration)で済む場合もあるので最寄りの住民保護局に確認してください。

なお、レストランの場合であっても、動物性食品を取り扱う場合、事業を開始する前に、住民保護局に申告をする必要があり、所定の様式 「CERFA 13984」の「Section 1 – ACTIVITÉS DE RESTAURATION(外食事業)」に必要事項を記入して郵送するか、オンラインで申請をする必要があります。
この申請は、宅配サービス、遠隔販売(オンライン販売)、フードトラック、慈善活動、自宅で調理した料理の提供、公共給食の場合においても同様に必要となります。

その他、販売時の「生乳」「乳製品」の名称に関しては、「食品関連の規則」の「1. 食品規格」および「6. ラベル表示」の項を確認してください。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC)178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 852/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物性食品市場の施設の衛生認定にかかる2006年6月8日のアレテ(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したフランス国内法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、「version à la date d'aujourd'hui」で最新時点のもの確認してください。
その他参考情報
フランス行政ポータルサイト 動物由来食品取扱いの申請および施設衛生認定(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

5. その他

調査時点:2023年8月

なし

EU内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年8月

EUは域外共通関税制度の下、域外からの輸入品の関税率は域内各国で一律となっています。

関税および統計的分類表、ならびに共通関税率に関する欧州理事会規則(EEC)2658/87では、共通関税を設定するために合同関税品目分類表(CN)とよばれる物品の分類表を設定しており、これはHSコードに相当します。そのため、当該合同関税品目分類表のCNコードの中から該当する品目の関税率を特定する必要があります。

また、日本からEUへの輸出品は、日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」)の適用対象となっていますが、「日EU・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日EU・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関する詳細は、税関のウェブサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により、税関当局に照会することができます。

乳・乳製品が該当するCNコードと関税率
CNコード/品目 関税率
通常 EPA適用
040110.10
2リットルを越えない包装済みミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥しまたは砂糖その他の甘味料を加えたものを除く。)で乳脂肪分が1%以下のもの
13.80ユーロ/100kg 非課税
(0%)
0401.20.11
2リットルを越えない包装済みミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥しまたは砂糖その他の甘味料を加えたものを除く。)で乳脂肪分が3%以下のもの
18.80ユーロ/100kg 非課税
(0%)
0401.20.91
2リットルを越えない包装済みミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥しまたは砂糖その他の甘味料を加えたものを除く。)で乳脂肪分が3%以上6%以下のもの
22.70ユーロ/100kg 非課税
(0%)
0401.50.9190
2リットルを越えない包装済みミルク(濃縮もしくは乾燥しまたは砂糖その他の甘味料を加えたものを除く。)で乳脂肪分が45%以上
183.70ユーロ/100kg 非課税
(0%)
0402
ミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥しまたは砂糖その他の甘味料を加えたものに限る。)
16.80 ~183.70 ユーロ/100kg※ 非課税
(0%)
0402.10.11
2リットルを越えない粉状の(濃縮もしくは乾燥をした)包装済みミルクおよびクリームで、砂糖その他の甘味料を加えておらず、乳脂肪分が1.5%以下のもの
125.40ユーロ/100kg※ 非課税
(0%)
0402.21.11
2リットルを越えない粉状の(濃縮もしくは乾燥をした)包装済みミルクおよびクリームで、砂糖その他の甘味料を加えておらず、乳脂肪分が1.5%以上27%以下のもの
135.70ユーロ/100kg※ 非課税
(0%)
0403
バターミルク、凝固したミルクおよびクリーム、ヨーグルト、ケフィアその他発酵させまたは酸性化したミルクおよびクリーム
12.40 ~168.80ユーロ/100kg※ 非課税
(0%)
0405
ミルクから得たバターその他の油脂およびデイリースプレッド
189.60 ~231.30ユーロ/100kg 非課税
(0%)
0406 チーズおよびカード 139.10 ~221.20ユーロ/100kg 非課税
(0%)

※HSコードは参考として記載しています。変更になることがあるため、必ず欧州委員会の関税検索サイト、または仕向け地の税関に最新のコードを確認してください。

その他、関税率は、欧州委員会通商総局が提供する「Access2Markets」や税制・関税同盟総局が提供する「TARIC Consultation」などで検索できます。さらに、「日EU・EPA」の原産地ルールや税率に関しても、「Access2Markets」で確認ができます。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 税制関税同盟総会(European Commission Taxation and Customs Union Taric Consultation) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EEC)2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
欧州委員会 Access2Markets (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 TARIC Consultation(関税検索サイト) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関 原産地規則ポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関 EPA原産地規則マニュアルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
欧州委員会 日EU・EPAガイダンス「特恵の要求、確認および否認」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545KB)
欧州委員会日EU・EPAガイダンス「原産地に関する申告」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(481KB)
欧州委員会 税制・関税同盟「日本」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(722KB)
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(711KB)
ジェトロ「日EU・EPA解説書」PDFファイル(9.93 MB)
ジェトロ「原産地証明ナビ」

2. その他の税

調査時点:2023年8月

EUへの輸入には、輸入関税に加え、各国が独自に定める付加価値税(VAT)や物品税が課されます。これらの税率は国によって異なるため、最終消費国ごとに確認する必要があります。なお、VATに関する共通システムに関しては欧州理事会指令2006/112において規定されています。
乳および乳製品に該当するHSコード(0401~0406)の製品の販売について、ドイツの場合は、7%のVATが課されます。フランスの場合は、5.5%のVATが課されます。イタリアの場合は、5%または10%のVATが課されます。オランダの場合は、9%のVATが課されます。

関連リンク

根拠法等
指令2006/112(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
欧州委員会 Access2Markets (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 TARIC Consultation(関税検索サイト) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. その他

調査時点:2023年8月

なし

その他

調査時点:2023年8月

なし