外資に関する規制
最終更新日:2024年07月29日
- 最近の制度変更
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2021年11月30日
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規制業種・禁止業種
外国投資はこれまで、原則として自由化されていたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて外国投資の一部が制限されるようになり、戦略的業種に該当する企業のEUおよび欧州自由貿易連合(EFTA)域外からの買収にあたっては、管轄省庁からの事前承認が必要となっている(外国投資に関する勅令571/2023号)。
投資手続きは原則として事後届出(実施後30日以内)を行うだけでよい(事前承認が必要なケースについては、後述の「投資規制」を参照)。
- 通常届出
投資を行った非居住者が行う。 - 特別届出
- 通常の証券投資により、投資サービス会社・信用金庫・その他金融機関などが証券の購入、譲渡、保有や管理を行った場合は、投資の届出が必要。
関連法令:証券取引法(法6/2023号、2023年3月17日付) - 流通していない証券への投資の場合、証券を保管・管理する機関が届出を行わなければならないが、その他の企業・証券会社・信用金庫が当該投資を仲介した場合は、仲介企業が届出を行う。
- 記名株への投資の場合、投資を行う個人または企業、あるいはその代理人が届出を行う。
- 投資信託の場合は、投資の諸手続きを行った機関・企業が届出を行う。
- 通常の証券投資により、投資サービス会社・信用金庫・その他金融機関などが証券の購入、譲渡、保有や管理を行った場合は、投資の届出が必要。
事前届出および事後届出が必要な場合
タックス・ヘイブン国・地域からの投資には事前届出および事後届出が必要となるが、次の場合は事前届出が不要となる。なお、タックス・ヘイブン国・地域は、勅令1080/1991号(1991年7月5日付)で規定されている。
- 通常の証券投資、および証券取引委員会(CNMV)に登録された投資信託への投資
- 外資比率の合計が、資本金の50%を超えない場合
- 届出先
経済・商業・企業省 貿易投資局(Direccion General de Comercio e Inversiones, Secretaria de Estado de Comercio, Ministerio de Economia, Comercio y Empresa)
所在地:Paseo de la Castellana, 162, 28071 Madrid. - 届出の手続き
通常の事後届出手続き(電子形式)の場合は、次のとおり。- 投資が行われてから30日以内に行う。
電子届出に関するサイト:SOLICITUD DE INFORMACIÓN SOBRE INVERSIONES EXTERIORES(minetur.gob.es) - 提出文書
- 現行の指定届出用紙
- 投資を行った者が非居住者であることの証明書
- 投資の主要な特徴を記した書類(必ず投資の額面価額および実質価額を記入)
- 投資が行われたスペイン企業や在スペイン支店の納税番号証(CIF)のコピー
- 事前許可書(事前許可が必要な案件の場合)
- 投資が行われてから30日以内に行う。
その他関連法令:マネーロンダリング・テロ資金予防法10/2010、およびその施行細則(勅令304/2014)、改正証券取引法6/2007、上場企業の透明性に関する勅令1362/2007、資本移動、外国取引およびマネーロンダリング防止に関する法19/2003、2001年5月28日付経済省令(Orden 28 de mayo de 2001)、2001年5月31日付貿易投資局訓令(Resolucion 31 de mayo de 2001)
これらの法令によって法人の所有者・名義の特定が強化されている。
その他
- 証券取引委員会への連絡
外国投資家は、在スペイン上場企業の株式保有率(議決権付)に変更が生じた場合、証券取引委員会および当該企業に対し、その旨の通知が義務付けられている。
関連法令:勅令1362/2007 - 外資が保有するスペイン企業と在スペイン支店は、経済・商業・企業省 貿易投資局外国投資部に対し、投資推移に関する年次報告書を提出しなければならない。
投資規制
ジェトロ:投資規制(198KB)
新型コロナウイルス感染拡大後の投資スクリーニング(事前審査)制度導入により、規制業種が拡大された。2023年9月から、同変更を反映した新・外国投資法(勅令571/2023、2023年7月4日付)が施行された。事前承認にかかる期間は3カ月程度。
- 規制業種
以下業種では、監督官庁が個別に定める制度により規制が設けられている。
該当業種:航空輸送、テレビ・ラジオ放送、鉱物・鉱物性資源・鉱脈権、ギャンブル、通信、警備保障、民間使途の武器・弾薬・爆薬等の製造・販売や流通・販売、国防関連業種 - 国防関連業種
国防と直接関連する業種(武器・弾薬・爆薬、軍需品の製造・流通)への投資は、国防省担当局の事前許可の申請が必要。許可の可否は、外国投資委員会の報告書に基づき、内閣が決定する。なお、経済・商業・企業省 貿易投資局への申請は不要。 - 新型コロナウイルス感染拡大を受けた投資スクリーニング(事前審査)制度
EUおよび欧州自由貿易連合(EFTA)域外の外国企業(外資比率が25%以上のEUおよびEFTA域内の企業も含む)が、エネルギーや通信などの重要インフラや、デジタル関連等の重要技術、経済安全保障や機密データに関わる業種・セクターのスペイン企業について10%以上の株式取得を行う場合、政府の事前承認を得ることが義務付けられている。
また2020年11月から(勅令法34/2020)、EUおよびEFTA域内の企業による、スペインの上場企業の株式10%以上の取得、または非上場企業への5億ユーロ超の投資についても、その業種を問わず、事前承認を取得することが義務付けられている(ただし、この措置は、2024年12月31日までの時限的適用)。
関連法令:勅令法571/2023、勅令法8/2020、勅令法34/2020、法19/2003(スペイン官報ウェブサイト)
出資比率
業種によっては、外資比率を制限するなどの規制がある。
- 規制業種
例:情報通信分野への投資
EU加盟国からの投資は制約を受けないが、EU域外国からの投資には、原則として外資比率が制限されている。
その他業種については、各現行規制を確認する必要がある。 - 原則として規制はないが、出資比率によって、事前許可申請や届出等の義務が生じるのは、次の場合である。
- タックス・ヘイブン国・地域からの投資で、外資比率の合計が資本金の50%超の場合は、事前届出が必要。
- 国防関連業種では、上場企業への投資の場合、外国投資家の出資比率が資本金の5%を超えるか、それ以下でも経営に影響を及ぼし得る場合は、事前許可の申請が義務付けられる(例外規定あり)。
「規制業種・禁止業種」の項を参照。
外国企業の土地所有の可否
規制はない。ただし、300万5,060.52ユーロ超の不動産投資などについては、原則として経済・商業・企業省 貿易投資局への事前と事後の届出が必要。外資比率が20%に満たない場合など、届出が不要になる場合もある。
経済・商業・企業省 貿易投資局への届出が必要な不動産投資は、次のとおり。
- スペイン国内で計300万5,060.52ユーロを超える不動産購入
- タックス・ヘイブン国・地域からの、すべての不動産投資
「規制業種・禁止業種」の項を参照。
資本金に関する規制
資本金の額については、原則として自由。スペイン国内への投資は、貿易投資局への事後の届出を要する。上場企業への参入には、勅令1362/2007(EU透明性指令のスペイン国内法)を順守しなければならない。
その他規制
一般的に、スペイン国内市場向け製品については、国産化率が問題にされることはない。また、輸出を義務付ける法令はない。