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日本以外からの輸入などで円高に対応‐他国品はドル安ユーロ高が追い風

2010年11月
分野:食品・農林水産物

昨今の円高がドイツにおける日本からの農林水産物・食品の輸入に与える影響およびその対応につき、在デュッセルドルフの日本食品輸入業者などにインタビューを行った。日本食品の輸入業者は円高による仕入れ価格の上昇分を100%顧客に転嫁できないため、円高はビジネス全体に大きな影響を与えている。日本からの輸入を中国など日本以外の国・地域からの輸入に切り替える動きもみられた。

対ユーロの円高傾向は当分続く見込み

2008年9月のリーマン・ショックとその後の世界的な金融危機は急激な円高をもたらした。

2008年8月初めの為替相場は、1ユーロ=167.85円であったが、同年12月には117.80円となった。その後、2009年には1ユーロがおよそ110円台半ばから130円台で推移し、2010年には100円台後半から120円台で推移してきた。リーマン・ショック前の160円台後半からすると3割以上の円高である。

一方、ユーロの対ドル相場も、リーマン・ショック前には1ドル=1.55ユーロであったものが、最近は1.35ユーロとなり、2割近くユーロ高となっている。

円高によるコスト増の全面的な価格転嫁は困難

デュッセルドルフで日本から生鮮食品、清酒などを主に空輸し卸売りしているFujita & Co.の藤田博史社長によると、円高はビジネス全体に多大な影響を与えているという。同社長によれば円がユーロに対して3割上がっても、コスト増の約半分は自社で吸収せざるを得ない状況にある。為替が5円上がった場合、価格を改定するようにしているが、5円のうち2円くらいしか顧客に転嫁できていないという。価格転嫁がうまく行かないのは特にレストラン側から値上げに対する強い抵抗があるためである。同社の取り扱い食品には、円高にもかかわらず売上げが伸びている商品はなく、円高対策として日本以外の国や地域から商品を仕入れることを検討しているという。

また、韓国系の輸入商社Kim's Asiaのイェ・スク・スン(Ye-Sook Sung)社長も、日本から食品をコンテナで2カ月に一本程度仕入れているが、日本品は仕入れ価格が高くなっているので韓国品の仕入れが増えているとしている。

さらに、JIK社のルーズベ・ハセロー(Roozbeh Hasellou)社長は、「日本からの仕入れ価格が非常に高くなっているので、ガリや粉わさび、割りばしなど中国から直接仕入れる商品の比重がだんだん高くなってきている。ただ、日本からはできるだけ20フィートのコンテナで大量に仕入れてコスト引き下げ努力をしているので、今のところはコスト増ではあるが、円高のために輸入数量が減少しているということはない」としている。一方、同社は、米国からはカリフォルニア米などを輸入しているが、こちらの方はドル安の影響もあって好調であるし、カナダから仕入れている魚介類については、為替の影響は全くないという。今後は中国からの輸入にシフトして行かざるを得ないだろうとしている。

松竹食品の原益男社長は、「ドイツ国内の取引先に対しては、ほぼすべての食品の販売価格を引き上げている。その際、日本からコンテナで仕入れる度にコストを計算し直して、価格を改定しているが、他社との競争もあるので、コスト上昇分を100%販売価格になかなか転嫁できていない状況だ」という。

一方、インターネットで日本食の通販をしているJa-Martの関利香社長は、日本から直輸入している商品の比率を引き下げて欧州やドイツ国内からの調達を多くしているので、円高の影響は比較的少ないとしている。

第三国・地域からの輸入にシフト

以上のように、円高の影響は日本からの輸入食品全般に及んでいるが、レストランや消費者の価格に対する目が厳しくなっているため、為替によるコスト上昇分を卸売価格や小売価格に100%転嫁できていない状況だ。従って多くの場合、輸入者自身がコスト増の一部ないし半分程度を負担せざるを得ない状況となっている。

その結果、どうしても日本から買わなければならない商品以外は、台湾、中国、韓国、ベトナム、タイ、米国など、日本以外の国・地域からの輸入に切り替える傾向がみられる。これらの国・地域からの輸入は円高の影響を受けないばかりか、ドル安ユーロ高が追い風となって非常に好調だ。欧州産の米(ゆめにしき)やオランダ産の醤油などEU域内からの輸入やドイツ国内からの仕入れを増やしているケースもみられた。

緑茶、カレー、清酒など消費者が日本製を好む商品に関しては、円高にもかかわらず販売数量が大きく落ち込んでいないものもある。しかし輸入業者の多くは、以前から、海苔、うどんやそばなどの麺類、甘生姜、わさび、たくあんなどの輸入を中国からの輸入にシフトさせており、今回の円高はそれを加速させている。

(デュッセルドルフ・センター)