関税制度
最終更新日:2023年11月16日
管轄官庁
経済財務省(Ministerio de Economía y Finanzas:MEF)
税務監督庁(Superintendencia Nacional de Aduanas y de Administración Tributaria:SUNAT)
Tel:+51 (1) 315-0730
関税率問い合わせ先
税務監督庁(SUNAT)税関局
Av. Gamarra No 680 Chucuito, Callao
Tel:+51 (1) 634‐3600
- 関税率表:Arancel de Aduanas 2022(1.93MB)
- 関税率検索エンジン "TRATAMIENTO ARANCELARIO POR SUBPARTIDA NACIONAL"
Codigo(コード)の欄にHSコード(アンデス共同体共通関税分類(NANDINA)の10桁)を入力し、「Consultar」(照会)をクリックすると関税率が表示される。
関税体系
1. 基本税率(WTO譲許税率)、2. 暫定税率、3. スライド関税、4. 不正廉売関税・相殺関税
- 基本税率(WTO譲許税率=Derechos ad valorem)
0%、6%、11%2021年のWTOおよびアンデス共同体(CAN)のHS品目表改正に伴い、2022年1月に関税率表が更新された。
根拠法:大統領令279-2010-EF(2011年1月1日発効)、大統領令312-2014-EF(2014年12月19日発効)、大統領令314-2014-EF(2014年12月19日発効)、アンデス共同体(CAN)決議885(2021年10月21日採択)、大統領令404-2021-EF(2022年1月1日発効)8,003品目の関税率による内訳は次のとおり。
ペルーの関税構造 関税率 品目(NANDINA)
(合計8,003)構成比 11% 676 8.4% 6% 1,677 21.0% 0% 5,650 70.6% (注)関税率表98章の特別対応品目を除く。
- 暫定税率(Derechos Correctivos Provisionales ad valorem)
カルタヘナ合意に基づくアンデス共同体(CAN)加盟国の製品に対する暫定是正措置で、コロンビア産のパーム油、植物性油脂、マーガリンなどに課税される。
根拠法:通商観光省決議226-2005-MINCETUR/DM(2005年7月27日公布) - スライド関税(価格帯制=Sistema de Franja de Precios)
コメ、メイズ、牛乳、砂糖などの農産品48品目を対象に、関税定率表(Tabla Aduanera)で定める価格帯に基づき可変追加税(Derechos Variables Adicionales)を適用。輸入価格が価格帯の範囲を超える場合は、可変追加税により税額を調整する。いずれの場合もWTO譲許税率を超えない。
根拠法:大統領令115-2001-EF(2001年6月22日公布)- スライド関税の調べ方
関税率検索エンジン(税務監督庁ウェブサイト) "TRATAMIENTO ARANCELARIO POR SUBPARTIDA NACIONAL"
Codigo(コード)の欄にHSコード(アンデス共同体共通関税分類(NANDINA)の10桁)を入力し、「Consultar」(照会)をクリックすると、スライド関税(Derecho Específicos)として大文字Sが表示される。これをクリックすると、価格帯の可変税額が表示される。
- スライド関税の調べ方
- 不正廉売関税・相殺関税(Derechos Antidumping y Compensatorios)
不当に低い輸出価格(ダンピング価格)の産品が輸入されることにより、ペルーの同一産品の生産に損害が生じる場合に、不当廉売関税を賦課する。また、輸出国で直接または間接的に補助金を受けた産品が輸入されることにより、ペルーの同一産品の生産に損害が生じる場合に、相殺関税を賦課する。いずれの場合も、公正競争・知的財産保護庁(INDECOPI)の決議をもって適用される。- 不当廉売関税・相殺関税の調べ方
関税率検索エンジン(税務監督庁ウェブサイト) "Derechos Antidumping"
Codigo(コード)の欄にHSコード(アンデス共同体共通関税分類(NANDINA)の10桁)を入力し、「Consultar」(照会)をクリックすると、基本関税とともに、相殺関税が適用されていれば、その税率が表示される。
- 不当廉売関税・相殺関税の調べ方
品目分類
HS分類準拠のアンデス共同体共通関税分類(NANDINA)
HS分類準拠のアンデス共同体共通関税分類(NANDINA)を品目分類に用いている。10桁表示される。
1998年、世界税関機構(WCO)のHS条約に加盟し、2002年1月よりNANDINAの8桁コードに下2桁を加えた10桁コードを採用。WTOのHS条約改定に伴う2021年10月のCANのNANDINA改定決議に従い、2022年1月1日より現行制度が適用されている。
根拠法:大統領令011-98-RE(1998年6月5日公布)、アンデス共同体(CAN)決議507(2001年6月22日採択)、CAN決議885(2021年10月21日採択)、大統領令404-2021-EF(2022年1月1日発効)
関税の種類
従価税
課税基準
CIF価格
対日輸入適用税率
日本・ペルー経済連携協定(EPA)に基づく特恵関税率、あるいはCPTPP(TPP11)に基づく特恵関税率が適用可。
日本・ペルー経済連携協定(EPA)およびCPTPP(TPP11)の特恵税率については、関税率検索エンジンを参照。
関税率検索エンジン(税務監督庁ウェブサイト) "TRATAMIENTO ARANCELARIO POR SUBPARTIDA NACIONAL"
Codigo(コード)の欄にHSコード(アンデス共同体共通関税分類(NANDINA)の10桁)を入力し、「Consultar」(照会)をクリックすると関税率が表示される。さらに、ページ下方の「CONVENIOS」(協定)のボタンをクリックすると、日本を含む各国とのFTA/EPA/CPTPP譲許税率が表示される。
特恵等特別措置
1. アンデス共同体(CAN)、2. ラテンアメリカ統合連合(ALADI)加盟国、3. FTA/EPA締結国
- アンデス共同体(CAN)
アンデス共同体加盟国(ボリビア、コロンビア、エクアドル)原産品の関税は、原則無税である。ただし、暫定措置として適用除外が認められている。 - ラテンアメリカ統合連合(ALADI)加盟国
ペルーがALADIの枠組みにおいて締結している経済補完協定(メルコスール、キューバ)、すべてのALADI加盟国が参加する地域協定に基づき、締結国の原産品に特恵税率が適用される。 - FTA/EPA締結国
ペルーがFTA/EPAを締結、発効済の国・地域の原産品に対して、各FTA/EPAに基づく特恵税率が適用される。- 特恵貿易協定に基づく特恵税率の調べ方
関税率検索エンジン(税務監督庁ウェブサイト) "TRATAMIENTO ARANCELARIO POR SUBPARTIDA NACIONAL"
Codigo(コード)の欄にHSコード(アンデス共同体共通関税分類(NANDINA)の10桁)を入力し、「Consultar」(照会)をクリックすると、関税率が表示される。さらに、「CONVENIOS」(協定)をクリックすると、FTA/EPA、経済補完協定など特恵貿易協定に基づく特恵税率が表示される。
- 特恵貿易協定に基づく特恵税率の調べ方
関連法
1. 関税一般法、2. 関税定率法、3. 関税一般法罰則規定、4. 関税犯罪法
関税以外の諸税
1. 一般売上税、2. 選択消費税
- 一般売上税(Impuesto General de Venta:IGV)
輸入時、CIF価格に関税および、その他輸入税を加算した額に、一般売上税18%(厳密には一般売上税16%+地方振興税2%)を賦課。 - 選択消費税(Impuesto Selectivo de Consumo:ISC)
特定の輸入品目(石油製品、酒類、新車、中古車、清涼飲料、タバコなど)に課税される。次の3つの方式で運用されている。
- 従価税方式
一般売上税・選択消費税法統一規則附属書Ⅳ・A項に掲げる品目について、CIF価格に関税およびその他輸入税を加算した額に対してISCが賦課される。税率は品目により異なる。 - 従量税方式
一般売上税・選択消費税法統一規則附属書Ⅲに掲げる品目について、品目ごとに定めた単位当たりの輸入量に基づきISCが賦課される。税率は品目により異なる。 - 小売価格方式
一般売上税・選択消費税法統一規則附属書Ⅳ・C項に掲げる品目について、輸入者が設定した小売価格に0.840を掛けて求めた額が賦課される。
- 従価税方式
根拠法:大統領令055-99-EF「一般売上税・選択消費税法統一規則」(1999年4月15日公布)
その他
輸出奨励を目的とした輸入財の関税払戻(ドローバック)制度がある。
輸出奨励を目的とした輸入財の関税払戻(ドローバック)制度
輸出品製造に用いるために輸入した材料にかかる関税納付額が、同製品の輸出FOB価格(コミッション等経費を除く)の50%未満で、年間輸出額が所定の上限額を超えない場合、輸出業者や製造者が申請すると、FOB価格の3%相当が払い戻される。
鉱産物、原油、石油製品、魚粉、コーヒー、砂糖等の主要伝統産品ならびに非伝統産品でも競争力の高いアルパカ製品、綿糸など279品目は対象外である。制度導入時5%でスタートした関税払戻率は、2009年の8%を境に引き下げが続き、輸出業界の反発を招いたことから、政府は2017年1月から2年限定で4%に引き上げた。しかし、2019年1月以降、再び3%に引き下げた。
根拠法:大統領令104-95-EF「ドローバック施行細則」(1995年6月17日公布)、大統領令282-2016-EF(2016年10月14日公布)
ドローバック制度関連情報(税務監督庁ウェブサイト):Restitucion de Derechos Arancelarios - Drawback
罰則規定の不備に関する是正措置
優遇関税が適用された輸入原料品を、それと知らずに現地企業から調達した輸出業者が関税払戻申請をした際、虚偽申請と見なされ、払戻税全額返還と同額の追徴課税の罰則が適用される事例が続出したことから、政府は2004年6月に当面の是正措置を講じ、同年12月に「関税一般法違反調整法」として法制化した。
これにより、単なる記載ミスと判断された場合は返還請求額の10%納付により罰則を免除され、同制度の適用資格を失うなどの混乱が解消された。また、優遇関税が適用された輸入原料品を含む場合、申請の際に、完成品のFOB価格から当該部分の控除が可能となった。
根拠法:大統領令077-2004-EF(2004年6月12日公布)、大統領令176-2004-EF(2004年12月7日公布)、法律28438(2004年12月28日公布)