ペルーの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • ペルー経済は2024年後半から回復傾向。
  • 鉱物資源価格の上昇とエルニーニョ現象終息による農水産業の回復で貿易黒字は大幅増。
  • 2024年の対内直接投資は、鉱業に加え、リマ空港拡張などインフラ分野が注目集める。
  • 対日貿易は輸出入ともに増加。

公開日:2025年7月2日

マクロ経済 
2024年後半から景気は回復基調

2024年のペルー経済は、2023年に発生したエルニーニョ現象で大きな被害を受けた農水産業に改善がみられたことや内需の回復から、実質GDP成長率は3.3%となった。産業別に見ると、農業(4.9%増)、漁業(24.9%増)、製造業(4.0%増)、建設業(3.6%増)、商業(3.0%増)など、全産業でプラス成長を記録した。

ペドロ・カスティージョ前大統領の罷免により、2022年12月にディナ・ボルアルテ大統領が就任した。各世論調査では2024年後半以降のボルアルテ大統領の支持率は3~5%で推移している。しかし財政健全化、外貨準備高の安定的確保、自由貿易と民間投資の推進など経済政策の方向性に変更はなく、経済のファンダメンタルズは安定している。

2024年の後半から繊維製品、家具・木製品、魚粉・魚油、そのほかの製造業で生産が徐々に回復した。ペルー中央準備銀行の統計によると、国税庁に納税登録された民間部門のフォーマルな雇用者は、2024年12月には443万9,000人となり、前年同月比で6.2%増加した。

表1 ペルーの需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)
項目 2022年 2023年 2024年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4
実質GDP成長率 2.8 △ 0.4 3.3 1.4 3.7 3.9 4.2
階層レベル2の項目民間最終消費支出 3.6 0.1 2.8 1.2 2.3 3.5 4.0
階層レベル2の項目政府最終消費支出 △ 0.2 4.6 2.3 3.2 3.9 4.2 △ 1.4
階層レベル2の項目国内総固定資本形成 0.7 △ 5.4 4.9 5.5 3.1 6.8 4.4
階層レベル2の項目財・サービスの輸出 5.2 4.9 5.1 3.7 △ 1.2 12.8 5.1
階層レベル2の項目財・サービスの輸入 4.4 △ 1.3 6.9 5.7 4.0 7.1 10.6

〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。
〔出所〕ペルー中央準備銀行(BCR)「Nota Semanal」

貿易 
貿易黒字は48.3%の大幅増

2024年の貿易(通関ベース)は、輸出が前年比15.5%増の746億4,500万ドル、輸入が4.9%増の512億5,000万ドルだった。貿易収支は233億9,600万ドルの黒字で、前年の157億7,400万ドルから48.3%の増加となった。黒字幅が大幅に増加した背景として、主力輸出産品である銅や金などの鉱物資源の価格上昇と、2023年に農水産業に大打撃を与えたエルニーニョ現象の終息で、農水産品の輸出が回復したことが挙げられる。

国別に見ると、最大の貿易相手国は中国で、往復貿易額は397億4,700万ドルと前年比10.9%増を記録した。ペルーの貿易額全体に占める割合は31.6%となる。同国への輸出は9.1%増の251億9,100万ドルだった。通商観光省(MINCETUR)によると、鉱物資源が中国向け輸出額の90.9%を占め、ペルーの銅輸出額全体の71.6%が中国向けだった。その他の主要輸出品としては魚粉などの水産品が6.5%を占めた。中国からの輸入は14.2%増の145億5,600万ドルだった。MINCETURによると、携帯電話やパソコンなどIT機器の輸入額全体の68.3%、自動車の25.4%を中国が占めた。

2位の貿易相手国は米国で、往復貿易額は前年比3.2%減の188億3,800万ドルだった。輸出は3.9%増の95億2,800万ドルだった。MINCETURによると、米国向けの主要輸出品は農産物で、ブルーベリー、ブドウ、アスパラガス、コーヒーの4品目で60%を占めている。ペルーの果実輸出額全体の42%が米国市場向けだった。同国からの輸入は9.5%減の93億1,000万ドルだった。MINCETURによると石油が輸入額の47.2%を占めており43億9,900万ドルだった。これはペルーの石油輸入額全体の54.0%に相当する。往復貿易額は中国の半分以下だが、米国との貿易は、農産物の輸出による雇用創出や、輸入に頼る石油の安定的な調達につながっており、ペルー経済の基盤を支える重要な役割を果たしている。

表2 ペルーの主要国・地域別輸出入 [通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出(FOB) 輸入(FOB)
2023年 2024年 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
北米 13,082.9 14,254.9 19.1 9.0 13,092.6 12,250.7 23.9 △ 6.4
階層レベル2の項目米国 9,174.2 9,527.9 12.8 3.9 10,284.8 9,310.1 18.2 △ 9.5
階層レベル2の項目カナダ 3,042.4 3,833.0 5.1 26.0 1,121.2 1,322.4 2.6 17.9
階層レベル2の項目メキシコ 866.3 894.1 1.2 3.2 1,686.6 1,618.2 3.2 △ 4.1
EU 6,919.5 8,274.2 11.1 19.6 4,342.8 4,715.9 9.2 8.6
階層レベル2の項目オランダ 1,785.4 2,487.5 3.3 39.3 220.3 253.5 0.5 15.1
階層レベル2の項目スペイン 1,881.9 2,100.8 2.8 11.6 737.9 800.9 1.6 8.5
階層レベル2の項目ドイツ 973.7 943.8 1.3 △ 3.1 1,082.7 1,150.2 2.2 6.2
英国 1,305.9 852.5 1.1 △ 34.7 297.4 257.2 0.5 △ 13.5
スイス 1,682.1 2,635.1 3.5 56.7 141.8 151.2 0.3 6.6
アンデス共同体 2,513.3 2,611.1 3.5 3.9 3,195.4 3,785.4 7.4 18.5
階層レベル2の項目エクアドル 1,158.6 1,058.0 1.4 △ 8.7 1,128.3 1,530.1 3.0 35.6
階層レベル2の項目コロンビア 821.3 935.2 1.3 13.9 1,196.5 1,444.5 2.8 20.7
階層レベル2の項目ボリビア 533.3 617.9 0.8 15.9 870.5 810.7 1.6 △ 6.9
チリ 1,899.3 2,202.5 3.0 16.0 1,235.6 1,186.4 2.3 △ 4.0
メルコスール 1,973.9 1,900.2 2.5 △ 3.7 6,273.2 6,288.7 12.3 0.2
階層レベル2の項目ブラジル 1,728.8 1,642.2 2.2 △ 5.0 3,491.7 3,287.9 6.4 △ 5.8
階層レベル2の項目アルゼンチン 194.4 195.3 0.3 0.5 2,436.4 2,597.9 5.1 6.6
その他 35,230.2 41,914.8 56.2 19.0 20,288.8 22,614.4 44.1 11.5
階層レベル2の項目中国 23,094.9 25,191.0 33.7 9.1 12,743.8 14,555.5 28.4 14.2
階層レベル2の項目インド 2,531.1 4,717.9 6.3 86.4 1,051.6 1,080.7 2.1 2.8
階層レベル2の項目日本 2,314.8 3,336.3 4.5 44.1 1,016.3 1,054.6 2.1 3.8
階層レベル2の項目韓国 2,347.0 2,080.1 2.8 △ 11.4 774.2 670.3 1.3 △ 13.4
合計 64,607.0 74,645.4 100.0 15.5 48,867.5 51,249.8 100.0 4.9

〔注〕アンデス共同体:ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー。メルコスール:ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、ベネズエラ(加盟資格停止中)
〔出所〕通商観光省(MINCETUR)

鉱物資源と農産・加工品の取引価格上昇で輸出が拡大

2024年の輸出を品目別に見ると、最も多いのが銅で前年比1.1%増の234億600万ドルを記録し、輸出額全体に占める割合は31.4%だった。これに金が続き56.5%増の136億900万ドルで、輸出額全体に占める割合は18.2%だった。国際市況が2024年に入り上昇したことで輸出額が大幅増となった。

農産品・加工食品(非伝統産品)は前年比21.7%増の115億5,600万ドルで、輸出額全体に占める割合は金に続く15.5%だった。このうちコーヒーの輸出は11億200万ドルで前年比32.9%増加し、12億3,600万ドルを記録した2022年に次いで、過去2番目に多い年となった。数量で見ても2024年は16.0%増の23万8,000トンとなっている。コーヒーの国際価格の上昇とペルー政府が取り組む高付加価値化の取り組みが奏功し輸出額の増加につながった。ペルー農業灌漑省(MIDAGRI)によると、コーヒー生産者の85%は1~5ヘクタールの小規模農家であるが、コーヒー生産に関わる雇用は間接的なものを含めると200万人に達する。そこで政府は付加価値向上のため有機栽培によるコーヒー生産に力を入れており、ペルーはエチオピアと並ぶ世界的な有機コーヒー生産国に位置付けられるようになった。輸出先国は58カ国・地域にのぼる。上位輸出先には米国、ドイツ、ベルギー、カナダ、スウェーデンなどが続き、有機食品に関心が高い米国、欧州地域に支持されている。ペルー産コーヒーはさまざまな品種が栽培されているのも特徴で、主なものとしてはカトゥーラ、ティピカ、ブルボン、カティモール、パチェ、ゲイシャなどがある。

輸入を品目別に見ると、全体の49.2%を占める原材料・中間財が前年比3.4%増の252億700万ドルであった。2024年後半から国内製造業と農水産業が回復傾向をみせ、投入財として微増に転じた。また、資本財は前年比9.0%増の148億8,600万ドルだった。工業用、輸送機器、建築資材、農業用のいずれも増加した。ペルーでは国内経済の先行指数として建設関連部門の動向が注視されるが(注)、2024年は建設資材の輸入が14.4%増の13億1,100万ドルと持ち直しており、2025年の経済展望にとりプラス材料といえる。消費財は3.1%増の111億4,000万ドルと、2024年後半からの個人消費の回復を反映するかたちとなった。

(注)住宅建築を含む建設部門が好調だと個人消費が強固と判断されるため、ペルーのエコノミストや有識者は、経済の行方を見極める材料として建設関係の数値を重視している。

表3-1 ペルーの主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
伝統産品 46,134 54,076 72.4 17.2
階層レベル2の項目銅(地金・精鉱) 23,143 23,406 31.4 1.1
階層レベル2の項目 8,694 13,609 18.2 56.5
階層レベル2の項目亜鉛(地金・精鉱) 2,231 2,301 3.1 3.2
階層レベル2の項目魚粉 904 1,613 2.2 78.4
階層レベル2の項目石油派生製品 1,632 1,602 2.1 △ 1.8
階層レベル2の項目天然ガス 1,540 1,494 2.0 △ 3.0
階層レベル2の項目鉛(地金・精鉱) 1,493 1,197 1.6 △ 19.9
階層レベル2の項目コーヒー 829 1,102 1.5 32.9
階層レベル2の項目魚油 238 675 0.9 183.9
非伝統産品 18,473 20,570 27.6 11.3
階層レベル2の項目農産品・加工食品 9,496 11,556 15.5 21.7
果実 5,659 6,670 8.9 17.9
生鮮ブルーベリー 1,694 2,281 3.1 34.6
生鮮ブドウ 1,765 1,728 2.3 △ 2.1
生鮮・乾燥アボカド 1,025 1,324 1.8 29.1
野菜 1,575 1,616 2.2 2.6
アスパラガス 508 482 0.6 △ 5.1
階層レベル2の項目化学品 1,668 1,807 2.4 8.4
階層レベル2の項目繊維製品 1,604 1,638 2.2 2.2
階層レベル2の項目水産品 1,778 1,319 1.8 △ 25.8
階層レベル3の項目魚類 (生鮮、冷凍、干物含む) 377 509 0.7 35.0
階層レベル3の項目赤イカ(ポタ)(粉末含む) 864 352 0.5 △ 59.3
階層レベル2の項目金属製品 1,124 1,524 2.0 35.6
階層レベル3の項目銅線 325 453 0.6 39.1
階層レベル3の項目合金銀 106 223 0.3 111.2
階層レベル2の項目非鉄金属 922 800 1.1 △ 13.2
階層レベル2の項目機械 727 753 1.0 3.6
階層レベル2の項目木材・紙 103 85 0.1 △ 17.8
その他 346 341 0.5 △ 1.3
合計(その他含む) 64,607 74,645 100.0 15.5

〔出所〕通商観光省(MINCETUR)

表3-2 ペルーの主要品目別輸入(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
原材料・中間財 24,380 25,207 49.2 3.4
階層レベル2の項目工業用 15,170 16,243 31.7 7.1
階層レベル2の項目燃料・潤滑油 8,607 8,144 15.9 △ 5.4
階層レベル2の項目農業用 603 820 1.6 36.0
資本財 13,663 14,886 29.0 9.0
階層レベル2の項目工業用 8,750 9,429 18.4 7.8
階層レベル2の項目輸送機器 3,607 3,972 7.7 10.1
階層レベル2の項目建築資材 1,146 1,311 2.6 14.4
階層レベル2の項目農業用 160 174 0.3 8.6
消費財 10,803 11,140 21.7 3.1
階層レベル2の項目非耐久消費財 6,397 6,803 13.3 6.3
階層レベル2の項目耐久消費財 4,405 4,336 8.5 △ 1.6
その他 21 18 0.0 △ 17.0
合計(その他含む) 48,867 51,250 100.0 4.9

〔出所〕通商観光省(MINCETUR)

表4 ペルーのFTA発効・署名・交渉状況(単位:%)
FTA 発効日 ペルーの貿易に占める構成比(2024年)
往復 輸出 輸入
発効済み アンデス共同体(CAN) 1996年3月10日 5.7 4.0 8.1
キューバ 2001年3月9日 0.0 0.0 0.0
米国 2009年1月1日 16.9 14.7 19.9
チリ 2009年3月1日 3.0 3.4 2.5
シンガポール 2009年8月1日 0.1 0.0 0.2
カナダ 2009年8月1日 4.6 5.9 2.8
中国 2010年3月1日 35.6 38.8 31.0
韓国 2011年8月1日 2.5 3.2 1.4
タイ 2011年12月31日 0.6 0.2 1.1
メキシコ 2012年2月1日 2.2 1.4 3.5
日本 2012年3月1日 3.9 5.1 2.2
パナマ 2012年5月1日 0.6 0.9 0.1
EU 2013年3月1日 11.6 12.8 10.1
コスタリカ 2013年6月1日 0.2 0.2 0.3
メルコスール アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ:2006年1月2日、パラグアイ:2006年2月6日、ベネズエラ(経済補完協定):2013年6月1日 7.3 2.9 13.4
欧州自由貿易連合(EFTA) スイス、リヒテンシュタイン:2011年7月1日、アイスランド:2011年10月1日、ノルウェー:2012年7月1日 2.6 4.2 0.4
太平洋同盟 2016年5月1日 7.4 6.2 9.1
ホンジュラス 2017年1月1日 0.1 0.2 0.0
オーストラリア 2020年2月11日 0.2 0.1 0.4
英国、コロンビア、エクアドル 2021年1月1日 1.0 1.3 0.5
環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP) 2021年9月19日 15.3 16.5 13.7
合計 100.0 100.0 100.0
署名済み グアテマラ
香港
交渉中 インド
トルコ
エルサルバドル
ニカラグア

〔注〕アンデス共同体:ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー。メルコスール:ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、ベネズエラ(加盟資格停止中)。ボリビアは2024年7月にメルコスールに加盟したが、現在関税制度を中心とした国内法規をメルコスールの規制・枠組みに適用させている途上である。太平洋同盟 : コロンビア、チリ、メキシコ、ペルー。英国はEU28の数値に内包されていることから、合計には含めていない。CPTPPにはブルネイ、マレーシア、ニュージーランド、ベトナムの数値のみ内包されており、その他の国は上段に記述の協定で表示されている。
〔出所〕FTA情報は通商観光省(MINCETUR)、構成比は国家税務監督庁(SUNAT)

対内直接投資 
鉱業部門で54億ドルの投資

エネルギー鉱山省(MINEM)は2025年2月、2024年末時点での鉱業部門における対内投資額が54億5,560万ドルに達したと発表した。三菱商事が参加するアンタミナ銅鉱山では、拡張計画に関する環境影響調査が終了し、2024年2月14日付けでペルー政府の承認が下りたことから、追加投資額は16億400万ドルに上ると見込まれる。

ペルーの首都にあるリマ空港の運営コンセッション(運営権委譲)の委託先であるドイツ資本のリマ・エアポート・パートナーズ(Lima Airport Partners)は、滑走路拡張に伴う管制塔の設置とターミナルの移設工事を進め、公共交通施設投資監督庁(OSITRÁN)は投資額を3億4,271万7,655ドルと発表した。新ターミナルの供用開始は2024年12月が予定されていたが、工事や安全確保のための試験の遅れから2025年にずれ込んでいる。

表5 ペルーの主な対内直接投資案件(2024年)(単位:100万ドル)
業種 企業名/プロジェクト名 国籍 時期 投資額 概要
鉱業 アンタミナ鉱山会社(Antamina) オーストラリア/ スイス / カナダ /日本 2024年2月 1,604 アンタミナ銅鉱山の拡張計画に関する環境影響調査が終了し、2024年2月14日付けでペルー政府の承認が下りた。
インフラ DPワールド(DP World) UAE 2024年6月 400 カジャオ港のふ頭拡張と物流機能向上への投資。コンテナ取扱量が270万TEU増加する見込み。
インフラ リマ・エアポート・パートナーズ(Lima Airport Partners) ドイツ 2024年12月 343 ホルヘチャベス国際空港の拡張プロジェクトへの投資。滑走路拡張に伴う管制塔の設置とターミナルの移設工事が行われる。
インフラ 中国遠洋海運集団(Cosco Shipping)、ボルカン(Volcan) 中国、ペルー 2024年11月 不明 チャンカイ港建設プロジェクトへの投資。2024年11月、習近平国家主席のペルー訪問に合わせて開港された。
製造業 クラメル(Kramer) イスラエル 2024年5月 2 業務用音響機材の販売のため、リマへの拠点開設と在庫移動を実施。中南米ではペルーのほか、メキシコ、コロンビア、ブラジル、チリに展開。
製造業 ボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth) ドイツ 2024年11月 1 ペルー南部最大の都市アレキパにサービス・センターを設置。ペルーとボリビアを対象に鉱山向け油圧機器、自動化システムの提供と人材育成を図る
物流 エマージェント・コールド・ラテンアメリカ(Emergent Cold Latam) ブラジル 2024年8月 17 カジャオでの冷蔵施設建設プロジェクト。リマ首都圏向けコールド・チェーンの強化を計画。

〔注〕時期は発表または報道された月
〔出所〕 各社発表および報道などから作成

対日関係 
輸出入ともに増加

2024年のペルーの対日貿易は、対世界貿易と同様に輸出入ともに増加した。

輸出先としては中国、米国、インド、カナダに次いで日本が5位で、輸入元としては中国、米国、中南米諸国やカナダ、ドイツ、インドに続き12位となっている。

輸出品目は伝統産品が大半を占める傾向に変化はなく、2024年も全輸出額の94.6%となった。中でも銅(地金・精鉱)は全体の52.7%を占める。銅は中国に次いで日本が2番目の輸出先となっている。輸入では、自動車および同部品、機械類および同部品、タイヤなど化学品が主な品目となっている。ペルー経済は2023年から2024年前半まで低調であったが、バス(10人以上乗り)や鉄鋼・同製品、医療機器などの輸入増などにより、年間輸入総額は前年比3.8%増の10億5,500万ドルとなった。

表6-1 ペルーの対日主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
伝統産品 2,117.0 3,154.8 94.6 49.0
階層レベル2の項目銅(地金・精鉱) 1,315.8 1,759.7 52.7 33.7
階層レベル2の項目亜鉛(地金・精鉱) 157.2 130.1 3.9 △ 17.3
階層レベル2の項目錫(地金・精鉱) 63.5 114.1 3.4 79.5
階層レベル2の項目鉄(地金・精鉱) 57.3 47.2 1.4 △ 17.6
階層レベル2の項目原油・同派生製品 283.0 746.3 22.4 163.7
階層レベル2の項目天然ガス 178.0 229.6 6.9 28.9
階層レベル2の項目魚粉 38.5 61.8 1.9 60.5
階層レベル2の項目魚油 0.0 0.3 0.0
階層レベル2の項目コーヒー 17.7 31.9 1.0 80.0
非伝統産品 197.8 181.5 5.4 △ 8.2
階層レベル2の項目農産品・加工食品 103.9 99.6 3.0 △ 4.1
階層レベル3の項目果実 67.9 70.6 2.1 3.9
階層レベル4の項目生鮮アボカド 35.2 33.4 1.0 △ 5.1
階層レベル4の項目生鮮ブドウ 7.9 14.5 0.4 82.6
階層レベル4の項目生鮮バナナ 5.7 6.1 0.2 7.9
階層レベル4の項目冷凍マンゴー 8.0 5.9 0.2 △ 25.8
階層レベル4の項目その他の冷凍フルーツ 8.0 8.5 0.3 6.4
階層レベル3の項目野菜 14.9 9.8 0.3 △ 34.4
階層レベル4の項目冷凍アスパラガス 9.9 4.6 0.1 △ 53.7
階層レベル4の項目 リマ豆 (Pallares) 2.0 2.7 0.1 38.0
階層レベル4の項目生鮮アスパラガス 0.8 1.0 0.0 23.0
階層レベル2の項目水産品 77.5 69.3 2.1 △ 10.6
階層レベル3の項目冷凍マスのフィレ 15.6 24.6 0.7 57.6
階層レベル3の項目赤イカ(ポタ) 33.8 20.0 0.6 △ 40.7
階層レベル3の項目とびこ 16.6 14.4 0.4 △ 13.2
階層レベル2の項目アルミニウムのくず 0.3 0.6 0.0 91.6
階層レベル2の項目衣類 8.4 9.1 0.3 8.1
階層レベル2の項目化学品 3.4 2.6 0.1 △ 23.3
階層レベル2の項目植物性・動物性着色料 2.8 2.1 0.1 △ 23.8
階層レベル2の項目アルパカの毛 1.5 0.8 0.0 △ 42.4
合計(その他含む) 2,314.8 3,336.3 100.0 44.1

〔出所〕通商観光省(MINCETUR)

表6-2 ペルーの対日主要品目別輸入(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
自動車および同部品 337.6 329.9 31.3 △ 2.3
階層レベル2の項目乗用車 145.5 141.0 13.4 △ 3.0
階層レベル2の項目商用車・トラック 123.6 108.2 10.3 △ 12.5
階層レベル2の項目バス(10人以上乗り) 33.3 45.3 4.3 35.9
機械類および同部品 250.7 247.4 23.5 △ 1.3
階層レベル2の項目ショベルカー 47.2 50.7 4.8 7.6
階層レベル2の項目印刷機・プリンター・複写機 27.3 32.7 3.1 19.7
階層レベル2の項目ブルドーザー・地ならし機 34.2 17.6 1.7 △ 48.5
電気製品および同部品 22.5 20.2 1.9 △ 10.5
階層レベル2の項目電動機及び発電機(原動機とセットにした発電機を除く。) 4.8 4.1 0.4 △ 13.5
階層レベル2の項目テレビカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ 3.2 1.6 0.2 △ 49.2
階層レベル2の項目電話機器 1.8 2.4 0.2 35.4
その他機械類 21.8 27.3 2.6 25.4
階層レベル2の項目医療機器 4.5 10.2 1.0 127.5
階層レベル2の項目化学分析用機器 6.4 8.6 0.8 34.1
階層レベル2の項目エックス線機器 5.8 3.9 0.4 △ 32.3
化学品 190.9 189.3 18.0 △ 0.8
階層レベル2の項目タイヤ(新品に限る) 126.0 126.0 11.9 0.0
鉄鋼・鉄鋼製品 118.8 129.7 12.3 9.2
階層レベル2の項目鉄フラットロール(めっきしたもの) 47.9 50.8 4.8 6.2
セメント(クリンカー) 0.0 1.3 0.1
その他 73.9 109.5 10.4 48.1
合計(その他含む) 1,016.3 1,054.6 100.0 3.8

〔注〕寄付や外交サービスも含まれる。
〔出所〕通商観光省(MINCETUR)

基礎的経済指標

(△はマイナス値)
項目 単位 2022年 2023年 2024年
実質GDP成長率 (%) 2.8 △ 0.4 3.3
1人当たりGDP (米ドル) 7,319 7,930 8,485
消費者物価上昇率 (%) 8.5 3.2 2.0
失業率 (%) 4.7 5.4 5.6
貿易収支 (100万米ドル) 8,965 15,740 23,396
経常収支 (100万米ドル) △ 10,093 1,836 6,337
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 70,308 69,095 76,338
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 101,632 104,987 108,432
為替レート (1米ドルにつき、ソル、期中平均) 3.84 3.74 3.76

〔注〕
失業率:全国都市部の失業率
貿易収支:通関ベース(財のみ)
〔出所〕
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、:ペルー情報統計院(INEI)
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
貿易収支、対外債務残高(グロス):ペルー中央準備銀行(BCR)「Nota Semanal」
失業率、経常収支:ペルー中央準備銀行(BCR)「Memoria Anual」