外資に関する奨励

最終更新日:2024年08月06日

奨励業種

外資限定の奨励業種はないが、観光・出版・電力などの分野では、所得税の優遇措置がとられている。また、現政権は、エネルギー転換、保健、農業、地方開発などの分野における再工業化を産業政策の要としており、これらの分野への投資促進に力を入れている。各地方自治体による独自の優遇措置もある。

  1. 所得税の免除
    外資に限定した奨励業種はないが、次の事業を実施するに当たり、一定の条件を満たす場合は所得税が免除される。
    1. 電力
      2014年法律第1715号および2003年政令第2755号で定義された、風力、バイオマスまたは農業廃棄物、太陽光、地熱または海洋エネルギーによって生成された電力の販売にかかる所得税を発電会社に限り2031年まで免除する(2016年法第1819号、税法第235-2条、第99条第3項)。非課税対象となるために、発電事業者は、[1]京都議定書の条件に従い、CO2排出削減証書を取得し、販売する。[2]CO2排出削減証書の販売によって得た資金の少なくとも50%を、事業者がプロジェクトを実施する地域の社会福祉へ投資する必要がある。この投資は発電所の建設や運営によって影響を受ける割合に応じて各自治体で行われる。風力、バイオマスまたは農業廃棄物、太陽光、地熱または海洋エネルギーによる電力の販売による所得税非課税に関して、税法第235-2条3項と2014年法律第1715号を同時に適応することはできない。
    2. ホテル
      2027年12月31日までに、人口20万人未満の地域または政府の開発強化地域に指定された自治体に建設される新しいホテルは、所得税が10年間15%と優遇税率が適応される。また、同日までに増改築が行われたホテルについても、条件を満たせば同税率が適用される。増改築の場合の所得税優遇税率の適用条件は、改築・増築費の占める割合が、不動産購入価格の50%を下回らないことである。これらの条件における各事例(建設、改築、増築) では、物件管理をしなければならない。それができない場合は改装物件の所在地の自治体の承認を得なければならない(2021年政令第1652号)。
    3. エコツーリズム、アグロツーリズム
      2021年政令第1652号において2027年12月31日までに、人口20万人未満の地域または政府の開発強化地域に指定された自治体に建設される、エコツーリズムやアグロツーリズムに関するテーマパークについては、優遇税率が適応され所得税率が10年間15%となる。また、同日までに増改築が行われたテーマパークについても、条件を満たせば優遇税率が適用される。増改築の場合の免税条件は、改築・増築費の占める割合が、不動産購入価格の50%を下回らないことである。
  2. 環境保護へのインセンティブ
    環境保全・改善に向けた投資を行った場合、投資額の25%相当は法人所得税の課税対象から控除できる(税法255条)。
  3. 優先投資誘致セクター
    今後の発展の可能性が高い産業セクターは、投資誘致の対象となっている。詳細は、PROCOLOMBIAのウェブページ(INVESTMENT SECTORS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

各種優遇措置

次のような各種優遇措置や制度等がある。
フリー・トレードゾーン、輸出経済特区、プラン・バジェホ(Plan Vallejo)制度、大規模輸出者(Altex)、国際リース、一時輸入、原料輸入、国際販売会社(C.I.)、諸税返還証明(CERT)、その他税制優遇措置。
また、投資事業にかかる法的安定性の保証を行っている。

各種優遇措置

フリー・トレードゾーン

コロンビアの主なフリー・トレードゾーン(保税地区)は、次のとおり。

PROCOLOMBIAの投資情報ウェブサイト:常設フリー・トレードゾーン(ZF)便覧(FREE TRADE ZONES DIRECTORY外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  1. 概要
    フリー・トレードゾーン(ZF)には、次の4種類がある。
    • 常設ZF(Zona Franca Permanente:ZFP)
    • 特別常設ZF(Zona Franca Permanente Especial:ZFPE)
      社会・経済的な効果をもたらすことを目的として創設された。従来の地理的に限定された保税地区内にではなく、国内のどこに会社を設立しても、申請が承認されればZFと同様の優遇措置が適用される(2007年大蔵・公債省政令第383号)。ZFPがZFPEとして認証されるためには2007年政令第383号393-3条に定められた要件を遵守するとともに、前述の規則に記載されている投資を行わなければならない。事業ごとに異なる条件が規定されている。
    • オフショアZF(Zona Franca Permanente Costa Afuera:ZFP-CA)
      オフショアにおいて、炭化水素部門に関連する活動が認められている。
      炭化水素および鉱業セクターの場合、特別為替制度が適用されることに気をつけなければならない。これらの分野への投資は、対外規制通達(CIRCULAR REGLAMENTARIA EXTERNA - DCIN - 83外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4.0MB))の第11章、およびそれに修正、置き換え、追加されるその他の規定を順守しなければならない。
    • 一時的ZF(Zona Franca Transitoria:ZFT)
      経済・貿易にとって重要なフェア、展示会、会合、セミナーなどが開催される場所。

    詳細は、PROCOLOMBIAのウェブサイトを参照。

    4種類のZFには、それぞれ次のような奨励措置が提供されている。

    1. 常設ZF(ZFPおよびZFPE)
      • ZFPは、投資額または雇用人数に応じて最長30年間まで稼働許可が得られる上に、さらに最長30年間の延長が可能。
      • ZFPEは、投資額または雇用人数に応じて最長30年間まで稼働許可が得られる上に、さらに最長15年間の延長が可能。
      • ZF利用者により海外から持ち込まれる物品に対しては、無関税で付加価値税(IVA)も免除される。
      • ZFで生産された物品が国内で販売される場合、海外産の原料に対してのみ輸入扱いとなる。
      • ZFの製造工場用の建設機械や機械類は免税となる。
      • 商品持ち込み手続きが簡略化される。
      • ZFにおける外貨支払い用として外貨を所有し、外貨取引ができる。
      • 国内および外国の金融機関の当座預金口座に、外貨を保有できる。
      • ZFの利用者は海外送金税が免除される。

      既存の企業も、規定条件を満たすことで、ZFPEの申請が可能となる。

    2. 一時的ZF(ZFT)
      奨励措置として、ZFT展示利用者により、外国または他のZFから展示目的で持ち込まれる物品、および次のものも無関税での持ち込みが可能。
      • 非売品のサンプル
      • 印刷物、カタログ、その他広告類
      • パビリオンの装飾やメンテナンスに必要な物、備品類
      • 展示会場でデモンストレーション用にのみ利用される物
      • 食品および飲料
  2. 税制優遇
    1. 優遇所得税率の適用:所得税20%(2023年からの一般税率は35%)。ZFPEを構成する企業も、この優遇税率を受けられ、商品およびサービス輸出産業の企業も優遇税率を受けられる。ただし、商品およびサービスの輸出以外による収入については、適用対象外となる。また、ZFPEは優遇税率を受けられない。
    2. 地域内に持ち込まれる財・サービスに対する関税および付加価値税は免除される。
    3. ZF内で生産された製品は、関税および付加価値税を払って輸入(国内製品化)することができる。原材料輸入時に関税を払う方法によっても、製品を国内製品化することができる。
  3. 為替インセンティブ
    1. 外貨の保有、国内外銀行への外貨預金口座の保有が認められる。

輸出経済特区(Zonas Especiales Económicas de Exportación:ZEEE)

輸出経済特区は、雇用の増加、技術移転、地方開発などに裨益する輸出を目的とした新規投資を促進するため、国内の国境に位置する4つの自治体に適用される特別制度である(2001年法律第677号)。製品・サービスの輸出を通じて、国の発展に恩恵をもたらす新企業には経済的・社会的分野で自社の発展を促進する法的制度が適応される。2016年以降の新規投資については7万5,000UVT(31億8,090万ペソ)以上とし、製品・サービスの50%以上を輸出することなどが義務付けられる。一方、輸入関税や付加価値税の免除、輸出利益に対する所得税の免除、労働契約の弾力的適用が認められる。
コロンビア政府は、2001年法律第677号、2015年政令第1074号にまとめられた2002年政令第1227号、2003年政令第045号によって輸出経済特区について規定しており、ブエナベントゥーラ(バジェ・デル・カウカ県)、ククタ(ノルテ・デ・サンタンデール県)、バジェドゥパール(セサル県)、イピアレス市がZEEEに指定されている。
ZEEEの恩典利用企業となる場合は商工観光省との事前契約が必要であり、契約期間は5年から20年である。

プラン・バジェホ(Plan Vallejo)制度(輸出向け生産のための関税・付加価値税優遇措置)

輸出向け生産に使用される原材料や機械設備の輸入に対しては、関税の免除および付加価値税の支払い猶予、より効率的な税関手続きの適用などを中心とする優遇措置がとられる。ただし、その適用については商工観光省との事前契約が必要となる。
現在有効なプラン・バジェホの形態は、原材料および投入財向けプラン・バジェホ、農業部門の資本財向けプラン・バジェホ、サービスの輸出向けプラン・バジェホ、ジュニア・プラン・バジェホ、スペア部品に関するプラン・バジェホとなっている。

なお、商工観光省は2020年10月19日付法令1371号により、制度の一部改正を行った。通称プラン・バジェホ・エクスプレス(Plan Vallejo Exprés)と呼ばれる。

詳細は、PROCOLOMBIAのウェブサイトからダウンロードできる。

国際リース

国際リースは、資本財の一時輸入調達の際に適用でき、関税・付加価値税の支払いを分割して行うことで、キャッシュフローへの圧迫を軽減することができる。この場合、国内における一時輸入滞留期間は5年を超えることが可能。同様に、当該資本財の一時輸入滞留期間に輸入される場合に限り、別便で到着する付属品、部品、交換部品の長期一時輸入が許可されることもある。

税務当局の課税(関税、付加価値税)は半年ごとで、財の一時輸入滞留期間が5年を超える場合でも、支払い猶予期間は5年である。契約期間が5年を超える場合は、支払い猶予期間(5年)の最後の分割支払いを行う際に、未払いの税金をすべて支払わなくてはならない。

リース料を受け取る賃貸人がコロンビアに住所を置かない国際リース会社である場合、所得税および補完的な税の源泉徴収の対象となり、税率は14%である(資本および国内労働収入)。

一時輸入

このプログラムは、一時的に国内に入るが、通常の使用による劣化以外は何の変化を受けることなく、一定期間内に再輸出される商品について適用される。本制度の利点は、輸入関税や付加価値税の累積を受けないこと、そして一時的輸入のために定められた形態により、通常輸入とは異なる関税が適用されることである。こうした特典を受けるためには、次の要件を満たす必要がある。

  • 輸入商品は、消費目的ではないもので、保税在庫の管理のために種類・数量等が完全に特定されていなければならない。
  • 一時輸入滞留期間が終了する際には、諸税の支払いに関する義務を履行するという保証が必要。
  • 輸入者は、一時的輸入期間が切れた場合は、商品を再輸出するか、または輸入制度を一時的輸入制度から確定輸入制度に変更し、その場合には適切な額の関税を支払う旨約束すること。

原料輸入

輸入された原料や消費財を利用して国内で製造した製品を、法的要件を満たして輸出する者は、原料や消費財の輸入実績額を上限として、これらに対して課税された税金やその他納付金が免除される。1967年法令第444号第179条で規定されている。

国際販売会社(Comercialización Internacional:C.I.)

コロンビアに設立された企業で、海外においてコロンビア製品を販売することを主な目的とする場合、国税庁(DIAN)の登記管理部で国際販売会社(C.I.)としての登記を行うことができる。この登記を行った企業は、輸出向けに国内で購入した製品に対する付加価値税(IVA)が免除されるほか、輸出商品の納入業者への支払いに課される源泉徴収(通常3.5%)が免除され、国際販売会社に納入する業者による販売は間接的輸出とみなされ、付加価値税(IVA)の還付といった優遇税制措置が受けられる。これらの優遇措置を利用するためには、企業は法が定める要件を満たすとともに、輸出計画を添えてDIANに登録しなければならない。

国際販売会社(C.I.)として認定・登録された後、国内市場で商品を購入する場合には、購入先業者には納入業者証明(C.P.)と呼ばれる書類が必要となり、購入した商品は6カ月以内に輸出しなければならない。しかし、購入した商品(原料など)を輸出前に加工する場合には、国内市場で加工輸出用の原料を購入した時点から1年以内に輸出しなければならない。1979年法律第67号により、本制度は創設された。

諸税返還証明(Certificado de Reembolso Tributario:CERT)

この証明書所持者には、輸出対象製品の製造プロセスや販売プロセスにおいて、輸出業者により支払われた税金や間接税の全部または一部が返還される。このCERTの還付基準は、輸出製品およびその製品に影響する間接税に基づき、コロンビア政府が定める(2002年政令第1989号参照)。

その他税制優遇措置

  1. 商品とサービスの輸出にかかわる工業・商業(営業)税(ICA)の免除
    特定の市や地方では、企業が商品やサービスの輸出によって得た収入を、ICAの課税所得から控除することが認められている。
  2. 即時償却・追加所得控除
    • 科学面、技術面、あるいは革新的なプロジェクトへの投資については、投資金額の100%相当が課税所得から控除される(即時償却扱い)。
    • 身体的障害のある労働者に支払われた給与と給付金については、同金額の200%相当(通常の100%増し)が課税所得から控除される。
  3. 所得税減免(税額控除)
    次の税金等は所得税から直接差し引かれる。控除額が税額を超えることはない。
    • 海外で支払われた税金。
    • 基礎工業用に購入された重機に関して支払われた付加価値税(IVA)。
    • 収益性の高い農牧業企業に対する株式に投資をし、最低2年間投資を維持した者は、純所得額の1%を上限として、投資額を所得税から差し引くことができる。
    • 科学面、技術面、あるいは革新的なプロジェクトへの投資については、投資金額の25%相当を所得税額から控除できる(税法256条、2016年法律第1819号)。

投資事業にかかる法的安定性の保証

コロンビアは、「コロンビアにおける投資家のための法的安定性に関する法律」(2005年政令第2950号、2008年政令第1474号)により、投資家に対する法的安定性を確保している。同法により、国内外の投資家はコロンビア政府との間に保護契約関係を持つこととなり、法規制の改正等によって生じるリスクを軽減することが可能となった。
同法の下で交わされる「法的安定性に基づいた契約」は、契約実施中に投資にかかる規則(例外あり)や契約に定められた事項の解釈が投資家にとって不利な方向に変更された場合、こうした変更の適用を受けないことを保証するものである。同契約は3~20年の期間を対象として締結することが可能で、法定月額最低賃金以上の投資を行う投資家が対象となる。なお、法的安定性を得られる代わりに、対象企業は、契約年度に応じて年間投資額の一定率に相当する額を、代価としてコロンビア政府に支払わなければならない。同契約に関する情報は、商工観光省のウェブページ(Contratos de Estabilidad Jurídica外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

その他

特になし。