関税制度
最終更新日:2024年08月19日
管轄官庁
財務省税関庁
関税率問い合わせ先
財務省税関庁
財務省税関庁(Servicio Nacional de Aduanas)
関税体系
基本税率は一律6%。協定税率(GATT譲許税率)には、ラテンアメリカ統合連合(ALADI)、自由貿易協定、経済補完協定締結国・地域に対する譲許関税率がある。
基本税率
2003年1月1日以降、ほぼすべての品目に対し、一律6%が適用されている〔法19589号・1998年11月14日官報掲載〕。
ただし、免税店で購入した個人消費用の商品は、675ドルを超えない範囲であれば、関税が賦課されない。
(注)輸入額が1,000ドル(FOB)を超える場合は、税関庁公認の通関業者を通じて、輸入手続きを行わなければならない。
協定税率・譲許税率
- ラテンアメリカ統合連合(ALADI)の加盟国
アルゼンチン、ブラジル、チリ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ、メキシコ、コロンビア、エクアドル、ベネズエラ、ボリビア、キューバ、パナマ。
- 自由貿易協定・経済補完協定締結国・地域、部分到達協定締結国
米国、EU、カナダ、メルコスール(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ)、太平洋同盟(メキシコ、コロンビア、ペルー)、中米5カ国(コスタリカ、エルサルバドル、ホンジュラス、グアテマラ、ニカラグア)、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、韓国、EFTA、中国、P4(ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ)、日本、パナマ、インド、キューバ、オーストラリア、トルコ、マレーシア、ベトナム、香港、タイ、インドネシア、英国、CPTPP。
品目分類
HS分類(1990年1月より)
税関庁:チリ関税率表2022年版(財務省令473号・2021年12月10日官報掲載)"Arancel Aduanero Vigente 2022"
税関庁:関税率相関表 "Tablas de Correlación Arancel Aduanero"
2022年1月1日から、〔財務省令473号〕の関税率表による品目分類が適用されている。
ただし、各FTA、EPA、その他の通商協定における原産地規則の適用にあたっては、次の関税率表による品目分類が用いられている。
- チリの関税率表による品目分類に基づくもの
- Sistema Armonizado(SA) 2012年版〔財務省令1148号・2011年12月22日官報掲載〕
ベトナム、香港、タイ、太平洋同盟、EFTA、EU、韓国、メキシコ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、英国 - SA 2007年版〔財務省令997号・2006年12月16日官報掲載〕
マレーシア、オーストラリア、パナマ - SA 2002年版〔財務省令1019号・2001年12月31日官報掲載〕
P4、日本、トルコ、カナダ - SA 2017年版〔財務省令514号・2016年12月28日官報掲載〕
インド、米国、中国、インドネシア
- Sistema Armonizado(SA) 2012年版〔財務省令1148号・2011年12月22日官報掲載〕
- ラテンアメリカ統合連合(ALADI)の関税率表による品目分類に基づくもの
- NALADISA 2007年版:エクアドル
- NALADISA 2012年版:キューバ、メルコスール(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)、ペルー
- NALADISA 1993、1996年版:ボリビア
- NALADISA 1993年版:ベネズエラ
- SA 2017年版:コロンビア
- Idem Mercosur:ウルグアイ
関税の種類
従価税。別途、従量税が賦課される品目もある。
課税基準
CIF価格。一部例外もある。
対日輸入適用税率
日本チリEPA特恵税率(日本チリEPA原産地証明書の提出が必要)を適用。ただし、除外品目および再協議品目については、WTO協定税率または基本税率6%が適用される。
日本チリEPA発効に伴い2007年9月3日より、EPA特恵関税率を適用。品目の関税減免カテゴリーにより、適用関税減免率および関税減免スケジュールは異なる。関税減免カテゴリーは、次のとおり。
- A:協定発効時に関税撤廃(すなわち関税0%)。
乗用自動車、貨物自動車、ブルドーザー、デジタルカメラなど。 - B5:基本関税6%を協定発効年より毎年1%ずつ累計して減税し、6年目の1月1日より関税0%。
一部の自動車用部品、自動車用タイヤなど。 - B7:基本関税6%を協定発効年より毎年0.75%ずつ累計して減税し、8年目の1月1日より関税0%。
- B10:基本関税6%を11等分したものを協定発効年より毎年累計して減税し、11年目の1月1日より関税0%。
- B12:基本関税6%を13等分したものを協定発効年より毎年累計して減税し、13年目の1月1日より関税0%。
- B12*:日本側品目別関税減免スケジュールリストの第5欄の注記に示された条件、方法により関税減免を行う。
- B15:基本関税6%を協定発効年より毎年0.375%ずつ累計して減税し、16年目の1月1日より関税0%。
- P:基本関税6%の4.8%を6等分したものを毎年累計して減税。
- Q:関税割当品目
一部の牛肉、一部の豚肉、一部の鶏肉、トマトジュース・ピューレなど、協定発効後5年目以降は交渉により決定するが、未決の場合は5年目の割当量および関税率を適用。 - R:当初関税減免はないが、3年目あるいは5年目に関税減免等の市場アクセスの向上について交渉を行う。
チーズ、一部の鶏肉、魚の干物などの一部。 - X:協定除外品目
出所:日本チリEPA協定書付属書1第1部(一般的注釈)、付属書1第3部第1節(チリ側の表についての注釈)
特恵等特別措置
ALADI加盟国、自由貿易協定締結国、経済補完協定締結国・地域に対し、譲許関税率を適用。
- 開発途上国の原産品輸入に対する関税撤廃〔法18687号・1988年〕
〔法20690号・2013年9月28日付官報掲載〕が加える修正により、2013年11月1日以降、開発途上国の原産品輸入に対する関税が撤廃された。
ただし、小麦、小麦粉、砂糖は除外される。対象国、原産地規則、申請手続き等は、〔財務省令1432号・2014年2月28日官報掲載〕に定められている。 - 資本財輸入に対する関税免除〔法18687号・1988年1月5日官報掲載〕
〔法20269号3条・2008年6月27日官報掲載〕が加える修正により、〔法18634号・1987年8月5日官報掲載〕に規定する資本財に該当し、かつ、〔財務省令55号・2007年9月3日官報掲載〕のリストに含まれている資本財の輸入に対し、関税が免除される。
これらの資本財の部品・付属品に関しては、資本財と同一書類にて輸入され、その金額が資本財の10%を超えない場合に限り、関税が免除される。申請方法は、〔税関ファックス通達48159号・2008年7月10日付〕に示される様式を用いて輸入申告書(DECLARACION JURADA)を作成し、輸入証書(DECLARACION DE INGRESO:DIN)に添付して税関に提出する。
- 特殊車両の輸入の関税免除
トラクター、救急車、特殊車両(HS:87.03)など〔法18483号6条・1985年〕。
身障者用車両の輸入関税は、50%の割引が適用される〔法17238号6条・1969年〕。 - コンピューター、その部品・部分、独立性を有しない付属品(キーボード、マウス等)の関税免除
カナダとの自由貿易協定(1997年7月5日発効)C-07条の規定が第三国にも適用される。
関連法
関税条例〔法効力を有する財務省令DFL 30号・2005年6月4日官報掲載〕
関税規則〔税関庁決議書1300号・2006年3月30日官報掲載〕
関税以外の諸税
付加価値税(IVA)、奢侈税、たばこ税、飲料税、新車への環境税、ガソリン・重油特殊税など。
- 付加価値税(IVA):IVA法〔財務省令825号・1974年12月31日官報掲載〕
CIF価格、関税およびその他の諸税の合計額に対し、19%の付加価値税(IVA)が賦課される〔財務省令19888号1条・2003年〕。
輸出業者が輸出活動のため商品を購入、またはサービスを利用した際に支払ったIVAや、同目的のために商品を輸入した際に支払った税金に関しては、国税庁(SII)に申請すれば、その還付を受けられる〔IVA法36条〕。
または、〔経済省令79号・1991年6月3日官報掲載〕に従って、経済省に申請を行い、同業者の国内販売額・輸出額の比率に応じ輸出額(FOB)の19%まで回収できる。また、〔法20848号20条・2015年6月25日官報掲載〕が〔IVA法12条B-10〕に加える修正により、500万ドルを超える対内投資プロジェクト実施のために輸入され、輸入後(または環境アセスメント取得後、国有財産省から用地のコンセッション(公共施設等運営)権の譲渡を受けた後)、12カ月以内に課税所得、非課税所得または免税所得が発生する資本財で、〔経済省令370号・2007年5月9日官報掲載〕のリストに記載されている資本財の輸入に対し、IVAが免除される。2020年の税制改革〔21210号・2020年2月24日官報掲載〕により免税処理に関する規制を改正し、資本財の設置から少なくとも12カ月経過後という期間を2カ月に短縮した。
同制度の適用を受けるには、所定の様式に対内投資促進庁(InvestChile)発行の投資証明書を添付して財務省に申請を行う。
その他、IVAが免除される条件(商品、企業・団体等)は、〔IVA法12条、13条〕に規定されている。 - 中古品〔財務省令679号2条補足規定の3・1981年12月14日官報掲載〕
中古品の輸入が許可されている場合、CIF価格に対し3%(新品にかかる関税の50%に相当)が追加で賦課される。
- 奢侈税〔財務省令825号・1974年〕
次の品目の初回販売時または輸入時に、CIF価格と関税の合計額に対し、次の税率が追加で賦課される〔IVA法37条〕。
- 50%:花火、爆竹(産業用、鉱業用、農業用、シグナル用を除く)
- 15%:金製品、プラチナ製品、象牙製品、宝石、貴石、高級毛皮、高級絨毯、高級タペストリー、キャビア(保存食)、空気銃、空気銃用弾丸・備品
- たばこ税〔法20780号4条・2014年、財務省令828号4条・1974年12月31日官報掲載〕
2014年の税制改革により、たばこ税に修正が加えられた。各パッケージ、箱ごとに、消費者販売価格に対し、次の税率が追加で賦課される。
- 52.6%:葉巻たばこ(HS:2402-1000)
- 30%の従価税と紙巻たばこ1本につき0.0010304240 UTM(注)の従量税:紙巻たばこ他(HS:2402-2000、9000)
- 59.7%:水パイプたばこ他(HS:2403-1100、1900、9110、9190)
(注1)UTM(Unidad Tributario Mensual)は月間課税単位、2カ月前の消費者物価上昇率に応じて毎月改訂。2023年7月の1UTMは6万3,326ペソ。
(注2)UTMベースの従量税をペソ価へ換算する際には、小数点第4位までの数値を適用し、同第5位以下は切り捨てる。その後、ドル価へ換算の際には同第9位までの数値を適用し、同第10位以下は切り捨てる。
IVAの算出にあたっては、(CIF価格)+(関税6%)+(30%の従価税)+(従量税)の合計額に19%が賦課される。 - アルコール飲料および非アルコール飲料に対する追加税〔IVA法(法令825号)42条・1974年〕
2014年の税制改革により修正が加えられた。CIF価格と関税の合計額に対し、次の税率が追加で賦課される〔法20780号2条の10・2014年〕。
- 10%:非アルコール飲料、ミネラルウォーター
- 18%:非アルコール飲料で、砂糖の含有量が240ml当たり15gを超えるもの
- 20.5%:ワイン、シャンパン、ビールなど
- 31.5%:ウイスキー、ピスコ、焼酎、リキュール、ベルモント類などの蒸留酒
(例)CIF価格1,000ドルのウイスキーの場合
- 関税6%:1,000 × 6% = 60ドル
- 追加税31.5%:(1,000 + 60)× 31.5% = 333.9ドル
- IVA 19%:(1,000 + 60)× 19% =201.4ドル
- ガソリンおよびディーゼル自動車への環境税〔法20780号3条・2014年〕
2014年の税制改革により、ガソリン車およびディーゼル車の新車販売に対し、NOx、燃費、車両価格に応じた追加の税が導入された。
同税額の算出に必要な車種ごとのNOx排出量(g/km)、都市部における燃費(km/リットル)は、運輸通信省が定め、国税局に通知する。国税局のウェブサイトにて、税額の算出が可能となっている。適用開始は2014年12月29日からで、段階的に引き上げられ、2017年以降の算出式は次のとおり〔運輸通信省令241号・2014年11月29日官報掲載〕。
UTM = (35 /燃費 + 120 × NOx排出量)× (販売価格 × 0.00000006)
ただし、付加価値税(IVA)が支払われているミニバス(運転手用も含め9座席を越えるもの)、タクシー、トラック(最大有効搭載量が2トン以上)、バンなどは課税の対象外とされている。
(注)IVA法〔法令825号・1974年〕により賦課されていた追加のシリンダー税(43条bis)は1999年1月1日に、自動車用奢侈税(46条)は2007年1月1日にそれぞれ廃止された。
国税局(Servicio Impuestos Internos)"ASISTENTE DE CÁLCULO DE IMPUESTO A EMISIONES CONTAMINANTES DE VEHÍCULOS NUEVOS"
- 車両用軽油・ガソリン税
- 自動車用の軽油、ガソリン他の燃料の初回販売時または輸入時に次のような従量税が賦課される〔法18502号6条・1986年4月3日官報掲載〕。
- 軽油:1.5 UTM/m3
- ガソリン:6 UTM/m3 など
なお、同従量税は、IVAの課税対象外。また、国外への輸出やフリーゾーンへの販売の際には課税されない。
- 価格帯制度(MEPCO)
国内での燃料販売の際の価格安定メカニズムとして、2014年に価格帯制度(MEPCO)を導入〔法20765号・2014年7月9日官報掲載、法20794号・2014年11月12日官報掲載〕。
- 自動車用の軽油、ガソリン他の燃料の初回販売時または輸入時に次のような従量税が賦課される〔法18502号6条・1986年4月3日官報掲載〕。
- 小麦、小麦粉、砂糖の価格帯制度(Banda de Precio)〔法18525号12条・1986年6月30日官報掲載、財務省令831号・2003年10月4日官報掲載〕
農産物の国際価格変動が国内市場に与える影響を緩和するために制定された制度。小麦、砂糖の最高価格と最低価格(価格帯)が定められており、輸入価格が最高価格以上の場合は差額分を関税額より控除、最低価格以下の場合は従量税を賦課することにより、価格調整を行っている。
また、小麦粉には、小麦の関税変動の1.56倍が適用される〔財務省令831号16条〕。
同適用対象の関税番号は次のとおり〔財務省令831号3条〕。- 小麦:1001.9000
- 小麦粉:1101.0000
- 砂糖:1701.1100、1200、9100、9910、9920、9990
ただし、WTOにより、適用可能な最高関税率は、小麦と小麦粉は31.5%、砂糖は98.0%となっている〔法19772号1条・2001年〕。
また、砂糖に関しては、年間の関税撤廃クオータが定められている〔法19772号・2001年11月19日官報掲載、財務省令1251号・2008年〕。
その他
輸出や資本財輸入・購入を奨励するため、関税の払戻し、免除・延べ払い、融資制度などがある。
- 輸出奨励のための関税払戻し制度
- 輸出産品に組み込まれた輸入品の関税払戻し制度〔財務省令18708号・1988年〕
- 非伝統産品輸出の関税払戻し制度〔財務省令18480号・1985年〕
- 輸出民間保税倉庫制度〔税関規則集3章16〕
- 投資奨励のための資本財輸入に対する関税免除、延べ払い、国産資本財購入に対する融資制度〔財務省令20269号・2008年、同18634号・1987年〕
詳細は「外資に関する奨励-各種優遇措置」の輸出奨励措置、投資促進奨励措置を参照。