外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2024年07月19日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

外国企業がアルゼンチンに拠点を設置する際の会社形態には、株式会社、有限会社、支店などがある。

担当機関

司法総監察局(Inspección General de Justicia:IGJ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

会社法(1972年法律19550号)に基づき、外国企業も、国内企業と同様の会社設立手続きを行う。外国企業による新たな会社の設立、または既存の企業への出資のいずれの場合でも、自国で法的正当性をもって設立されている企業であることの事前証明が必要となる。また、商業公共登記所において、現地法人の定款などの登録が求められる。登録は、会社を設立する所在地の商業公共登記所で行う。ブエノスアイレス市の場合は、司法総監察局(Inspección General de Justicia:IGJ)で行う。

企業形態

主な企業形態は、株式会社、有限会社、支店、簡易型株式会社。

  1. 株式会社
    1. 複数株主株式会社(Sociedad Anónima:S.A.)
      複数株主株式会社の設立には、会社の株主が最低2人、役員(株主である必要はない)は1人以上が必要。役員の大半は国内に居住しなければならない。株主の国籍、所在国は問われない。外国企業が株主の場合、外国企業は事前に商業公共登記所での登録が必要。最低資本金は3,000万ペソ。定款は公証人の下で作成され、商業公共登記所に登録する必要がある。ブエノスアイレス市で株式会社を設立する場合は、司法総監察局(IGJ)への登録が必要。資本金が20億ペソ以上の場合は国家の管理下に置かれ、特別な要件などが求められる。
    2. 単一株主株式会社(Sociedad Anónima Unipersonal:SAU)
      2015年の会社法改正により、株主が1人の単一株主株式会社の設立が可能となった。単一株主株式会社は、個人事業主が有限責任を負うことができる法的手段を求める要望を背景に設けられた法人形態。外国の法人が単一株式会社の株主になることも可能。
  2. 有限会社(Sociedad de Responsabilidad Limitada:S.R.L.)
    株式会社より設立が容易で、会社の定款はより柔軟。共同経営者(出資者)は最低2人必要だが、50人を超えない範囲で置くことが可能。共同経営者の変更の場合、商業公共登記所 において登録が必要となる。会社の経営者および代表者は、取締役(Gerente)(共同経営者である必要はない)が担当する。株式会社と同様、商業公共登記所での登録が必要。
    最低資本金額は定められていないが、会社の目的に見合った額が必要である。有限会社の資本金額は、約20万ペソとされている。なお、株式公開は認められない。
  3. 支店(Sucursal
    外国企業が支店を設立する場合、当該外国企業が代表者を任命する。それにより支店は、本社のすべての事業を行うことができる。ただし、現地での事業責任が本社にも及ぶ。会計義務は、本社とは別に支店独自の財務諸表を定期的に作成する必要がある。代表者は保証保険を契約する必要がある。
  4. 簡易型株式会社(Sociedad por Acciones Simplificadas:S.A.S.)
    起業家資本支援法(2017年法律27349号)に規定。株式会社、有限会社と異なり、オンライン手続きにより会社を設立できる。起業家による会社設立を簡易化するのが目的で、業種の制限はない。法的代表者は納税者番号を有しなければならない。資本金は最低賃金2カ月分相当、株主は1人、外国人であることも可能。

外国企業の会社清算手続き・必要書類

企業の解散、清算については、会社法(法律19550号)に基づいた手続きが必要となる。

会社法(1972年法律19550号)に基づき、解散、清算に関しては、次の手続きを行う。以下は株式会社の手続きだが、基本的には、その他の会社形態についても同様である。

  1. 株主総会において、会社の解散および清算を決定する。
  2. 株主総会において清算人を任命する。
  3. 清算人は、会社の解散と清算に向けて会計、債権債務の整理、事前調査(デュージェリデンス)を行う。
  4. 官報で会社の解散および清算を告知する。
  5. 会社の解散、清算に伴う決算および資産の分配計画を取締役(パートナー)に提出する。承認するか否かを決定しなければならない。承認後、司法総監察局(IGJ)に解散許可申請書および決算書を提出する。
  6. 司法総監察局(IGJ)が会社の解散の申請を承認した場合、会社の登記が無効となる。清算人は、10年間に渡って解散した会社に係るすべての書類を保管する義務がある。
  7. 申請が承認された後、清算人は債権・債務の整理、株主間での資産の分配などを行う。
  8. 解散、清算の手続き中は、会社は法人格を保つため、清算人は、会社の代表として取締役などと同様の義務を果たす。

その他

特になし。