為替管理制度
最終更新日:2023年12月21日
管轄官庁/中央銀行
ベトナム国家銀行(中央銀行)、財政省、国家証券委員会
為替相場管理
ベトナムにおいては、中国と同様に管理フロート制が採用され、中央銀行が介入し為替レートを一定の水準に保っている。
管理フロート制
管理フロート制とは、為替相場を決定するための制度の一つで、自国の通貨の変動幅を固定し、その幅の範囲内で各国通貨が自由に取引される制度のこと。通貨の変動幅は、ベトナム中央銀行によって管理される。
中央銀行発行2015年12月31日付決定2730/QD-NHNNにより、2016年1月以降、中央銀行のウェブサイトに米ドル(USD)をベトナムドン(VND)に換算する中心レートが毎日公示されている。また、中央銀行発行2022年10月17日付決定1747/QD-NHNNにより、この中心レートの上下5%の範囲内での取引が認められている。
毎週木曜日には、他の通貨について米ドルを介してドンに換算するクロス為替レートが公示される。
同制度の下、ベトナムの国内外為替市場は厳格に管理されている。1998年9月に導入された外貨の強制売却制度は、輸出企業が外貨を獲得した際にその80%を外国為替公認銀行に売り渡すように義務付けるものであったが、1999年以降その強制売却割合は段階的に引き下げられ、2003年4月に廃止され現在に至る。外資企業には、2001年1月から経常支払いについて、ドンを米ドルに換算する権利を付与されている。
貿易取引
公式通貨はベトナムドン(VND)。外資系企業は、信用状、為替手形、振込指示書など、種々の支払い方法を用いて決済することができるが、信用状取引が一般的である。
- 公式通貨
ベトナムの公式通貨はベトナムドン(VND)である。
現在流通している銀行券は、100ドン、200ドン、500ドン、1,000ドン、2,000ドン、5,000ドン、10,000ドン、20,000ドン、50,000ドン、100,000ドン、200,000ドンおよび500,000ドンである。
現在流通している硬貨は、200ドン、500ドン、1,000ドン、2,000ドンおよび5,000ドンである。 - 決済方法
外資系企業は、信用状、為替手形、振込指示書など、種々の支払い方法を用いて決済することができる。確認信用状(confirmed L/C)については、ベトナムの個人や企業は、煩雑な手続きに要するコストやベトナムの現地銀行から指定される担保要件の厳しさなどから、その使用に抵抗感を示すことが多々ある。
なお、確認信用状とは、発行銀行が支払いを保証する信用状でも、発行銀行自体が信用不安であれば信用状の信用度は低くなるため、発行銀行に加えて国際的に信用力の高い銀行が重ねて支払いを保証する信用状のことを指す。
現在、一覧払い信用状(At sight L/C)と180日までの信用状が最も一般的に使用されている。一覧払い信用状とは、一覧払手形の振出を要求し、手形の呈示があれば、発行した銀行が即時決済する条件のものをいう。すなわち、支払い期日=呈示日の信用状のことであり、小切手などはこれにあたる。
貿易外取引
2013年3月18日付国会常務委員会令06/2013/UBTVQH13、2014年8月1日付中央銀行通達16/2014/TT-NHNN(2018年12月31日付中央銀行通達49/2018/TT-NHNNおよび2019年6月26日付中央銀行通達06/2019/TT-NHNNにより改正)および2022年12月30日付中央銀行通達20/2022/TT-NHNNに基づき、在ベトナム商業銀行に外貨口座の開設、および預金をすることができる。ただし、認められる外貨口座の用途は、法人や個人によって異なる。
用途 | 法人 | 個人 |
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資本取引
2013年3月18日付国会常務委員会令06/2013/UBTVQH13により、外国直接投資や対外直接投資による資本取引に関する規定が定められている。また、中央銀行発行2022年9月30日付通達12/2022/TT-NHNNおよび2023年6月30日付通達08/2023/TT-NHNNにより、ベトナム国外の貸主からの長期借入契約(返済期限1年超)は中央銀行への登録が必要である。
- 外国直接投資(FDI)
外国直接投資による資本金は、ベトナム国内の銀行で開設した資本口座へ振り込まれる必要があり、かつ、企業登録証明書が発給された日から90日以内に、企業の設立登記時に登録した財産の数量、種類どおりに会社に対して持分を出資しなければいけない。なお、改正企業法59/2020/QH14では、現物出資を行う場合、対象財産の運搬・輸入および所有権移転のための行政手続に要する期間は、当該90日間には算入されないとの例外が定められる予定である。一般的な外資企業では米ドルでの資本金登録を行い、米ドルでの資本金振込をするケースが最も一般的となっている。資本については、特定された用途にのみ使用が認められている。
なお、ライセンス手続きやPPP契約の締結などの出資手続が完了する前の開業準備行為に要する費用の支払いについては、これまでベトナム法上明確に定められていなかった。しかし、2019年6月26日付中央銀行通達06/2019/TT-NHNNにて、[1]ベトナム国内への海外送金、または[2]外国投資家がベトナム国内でライセンスを受けている銀行に開設している外貨もしくはベトナムドン口座から送金をする方法により、投資に関する法令上の投資手続(投資登録証明書の発行、PPP契約の締結、資本出資および株式取得に対する承認の取得など)の完了前であっても、外国投資家から、ベトナム国内に向けて開業準備行為に要する費用を支払うことができることが明記された。また、前記投資に関する法令上の投資手続が完了した後は、開業準備行為のために支払った費用については、[1]その全部または一部を出資金に振り替えること、[2]その全部または一部を当該FDI企業の借入金に振り替えること、[3]未使用の残高がある場合には、これを返金するべく海外送金することができることが明記された。
- 対外直接投資
企業法、投資法および各事業内容に応じたベトナム法令に準拠して、設立・営業している法人居住者は、ベトナム国外への直接投資を実施する場合、自社の認定信用機関にて開設された外貨預金口座にある外貨を投資資金として海外へ送金できる。
- 海外からの借入
政令219/2013/ND-CP、中央銀行通達08/2023/TT-NHNNおよび中央銀行通達12/2022/TT-NHNNによると、当事者間で合意した借入契約条件に従ってベトナム国外の貸主からの借入を行い、その返済をすることができる(以下、クロスボーダーローン)。
返済期限が借入日から1年以内の短期クロスボーダーローンは、クロスボーダーローンの再構築および国内ローンの元金を含まない弁済期到来短期ローンの弁済のために使用しなければならず、中長期目的の投資への使用が認められていない。前記の弁済期到来短期ローンとは、投資プロジェクトや事業計画その他プロジェクトを実施するにあたり発生したローンで、企業会計制度に関する現行法令に従って計上されたものである。なお、短期クロスボーダーローンにつき、中央銀行への申請手続は法的には求められていない。
一方、返済期限が借入日から1年を超える長期クロスボーダーローンは、長期運転資金目的を含め投資プロジェクトや事業計画に関連する中長期目的の投資への使用およびクロスボーダーローンの再構築への使用が認められており、借入の実施前までに中央銀行への事前申請およびオンライン方式による月次報告が義務付けられている。なお、1年超の借入を行える上限枠は、総投資額-資本金である。 - 海外からの借入に関わる費用
中央銀行発行2023年6月30日付通達08/2023/TT-NHNNによると、原則的に任意で決定することが可能であるが、中央銀行総裁は、必要に応じて、クロスボーダーローンに関わる費用の上限額を設定できることとなっている。
- 間接投資(外国投資家によるベトナム企業への資本拠出もしくは持分取得)
中央銀行発行2014年3月12日付通達05/2014/TT-NHNN(2019年6月26日付中央銀行通達06/2019/TT-NHNNにより改正)により、外国投資家は、ベトナム国内での間接投資活動を行う場合、認可された金融機関に開設したドンの間接投資口座を通じて実施しなければならない。すでに開設済みの間接投資口座を保有しているにもかかわらず、金融機関でも間接投資口座を開設したい場合は、すでに開設済みの間接投資口座を閉鎖し、残額を全額新口座へ移動させなければならない。間接投資口座の開設・閉鎖手続きは、当該銀行の規定に従って行う。
なお、同通達第5条では、外国投資家によるベトナムでの間接投資活動を次のとおり定めている。
- 通達06/2019/TT-NHNN第3条第2項が定めるFDI企業に該当しない企業であり、かつ、ベトナムの証券取引所に未上場の企業または取引登録されていない企業への出資ならびにこれら企業の株式および拠出資本の売却と購入。
- ベトナム証券取引所に上場の企業または取引登録されている企業への出資ならびにこれら企業の株式および拠出資本の売却と購入。
- ベトナム証券取引所における債券および他の証券の売却と購入。
- ベトナム国内での発行が許可されているドン建て有価証券の売却と購入。
- 証券に関する法律の下、投資信託業務を行うことを許可されたベトナム資産運用会社や証券会社・組織を通じたドン建ての投資委託(信用機関や外国銀行の支店を経由したドン建て投資信託は、中央銀行の規定により認められている)。
- 証券投資ファンドおよびファンド運営会社への出資および拠出資本の譲渡。
- 法律に従った他の間接投資形態。
関連法
外貨管理の施行ガイドライン、ベトナム出入国時の所持可能現金額、対外借入および融資返済規制など。
- 外国為替管理
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2005年12月13日付国会常務委員会令28/2005/PL-UBTVQH11
2013年3月18日付国会常務委員会令06/2013/UBTVQH13
2014年7月17日付政令70/2014/ND-CP - 非政府保証の海外借入
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2013年12月26日付政令219/2013/ND-CP
2019年6月26日付中央銀行通達06/2019/TT-NHNN
2022年9月30日付中央銀行通達12/2022/TT-NHNN
2023年6月30日付中央銀行通達08/2023/TT-NHNN - 政府保証の海外借入
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2013年9月24日付中央銀行通達22/2013/TT-NHNN
- ベトナムへの外国間接投資
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2014年3月12日付中央銀行通達05/2014/TT-NHNN(一部無効):ベトナムで海外間接投資を実行するための間接投資口座の開設・保有に関する通達
同通達は次の通達により改正されている。
2019年6月26日付中央銀行通達06/2019/TT-NHNN:ベトナムで海外直接投資を実施するための外国為替管理に関する通達 - ベトナム出入国時の所持可能現金
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2011年8月12日付中央銀行通達15/2011/TT-NHNN
- ベトナム国内での外貨の使用
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2013年12月31日付政令222/2013/ND-CP:現金決済
2019年11月14日付政令88/2019/ND-CP:通貨および銀行業者の行政違反に対する罰則
2021年12月31日付政令143/2021/ND-CP:政令88/2019/ND-CPを改正
2023年5月12日付政令23/2023/ND-CP:政令88/2019/ND-CPを改正2013年12月26日付中央銀行通達32/2013/TT-NHNN(一部無効):使用の制限
2015年10月19日付中央銀行通達16/2015/TT-NHNNおよび2019年03月29日付通達03/2019/TT-NHNN:2013年12月26日付中央銀行通達32/2013/TT-NHNNに対する改正。2015年12月8日付中央銀行通達24/2015/TT-NHNN:金融機関の居住者に対する外貨建て貸出規制
2018年12月28日付中央銀行通達42/2018/TT-NHNN:通達24/2015/TT-NHNNを改正2019年11月15日付中央銀行通達22/2019/TT-NHNN:銀行・外国銀行支店における負債資本倍率の制限
2020年8月14日付中央銀行通達08/2020/TT-NHNN:通達22/2019/TT-NHNNを改正
2022年12月31日付通達26/2022/TT-NHNN:通達22/2019/TT-NHNNを改正2020年12月30日付中央銀行通達23/2020/TT-NHNN:ノンバンク金融機関における負債資本倍率の制限
2022年12月30日付中央銀行通達20/2022/TT-NHNN:海外への片道送金に関する施行細則
その他
ベトナムに入出国する際、現金5,000米ドル、または1,500万ドン以上に相当する他の外貨を所持する場合は、税関に申告しなければならない。
- 外貨管理法令2013
国会常務委員会発の外貨管理法令06/2013/UBTVQH13は2013年3月18日に発行、2014年1月1日より有効となり、2005年の外貨管理法令(28/2005/PL-UBTVQH11)で一部明確ではなかった規定を補足している。
- ベトナム出入国時の所持可能現金額
2011年8月12日付中央銀行通達15/2011/TT-NHNNによると、ベトナムに入出国する際に、現金5,000米ドル、または1,500万ドン以上に相当する他の外貨を所持する場合は、税関に申告しなければならない。特に、ベトナムを出国する際にその金額以上を持ち出す場合、金融機関発行の確認書もしくは中央銀行発行の認証証明書を税関に提出する必要がある。
- 金融機関の外貨建ての貸出し
金融機関(在ベトナム外国銀行支店を含む)のベトナム居住者に対する外貨建て貸出しに関する2015年12月8日付中央銀行通達24/2015/TT-NHNN(2018年12月28日付中央銀行通達42/2018/TT-NHNNにより改正)によると、金融機関は、次の場合に限り外貨建て貸出しを行うことができる。
- 輸入される物品・サービスならびに借入人による物品の製造および売買に関し、海外での支払いのために短期借入を行う場合。ただし、売上から発生した外貨が当該借入の返済に充てられる場合に限る。なお、当該規制は2019年3月31日まで有効であった。
- 輸入される物品・サービスならびにベトナム国境の検問所から輸出される物品の借入人による製造および売買に関し、海外での支払いのために短期借入を行う場合。ただし、売上から発生した外貨が当該借入の返済に充てられる場合に限る。
- 輸入される物品・サービスに関し、海外での支払いのために中期および長期借入を行う場合。ただし、事業活動により得た借入人の外貨を当該借入の返済に充てられる場合に限る。なお、当該規制は2019年9月30日まで有効であった。
- 事業活動により得た外貨を利用できないとき、または当該借入の返済に充てることが相応しくないときに、石油の輸入について商工省により年間割当を受けている主要石油輸入事業者が、石油の輸入に関する支払いを行うために短期借入が与えられた場合。
- ベトナム国境の検問所から輸出される物品の国内の借入人による製造および売買のために短期借入が与えられた場合。ただし、売上から発生した外貨が当該借入の返済に充てられる場合に限る。法律に基づき外貨での支払いが要求される支払いに借り入れた外貨を使わない限り、信用機関または外国銀行支店からの借入金の受領後、借入人は借り入れた外貨を現物外国為替取引により貸付人に売却しなければならない。
- 国会または首相の決定により投資の対象となり、また、計画投資省により海外への投資証明書を発行されたプロジェクトの直接海外投資を実施するため、借入を行う場合。
- 中央銀行による総融資限度額の設定
2020年12月31日付中央銀行通達23/2020/TT-NHNNおよび2019年11月15日付中央銀行通達22/2019/TT-NHNN(2020年8月14日付通達08/2020/TT-NHNN、2022年12月31日付通達26/2022/TT-NHNNにより改正)によると、証券投資および売買目的に金融機関が提供できる融資額または有価証券割引の合計貸方残高は、金融機関の定款資本の5%が上限とされている。
なお、通達22/2019/TT-NHNN第12条第1項および第2項により、融資および有価証券割引業務を行う上で、金融機関は次の条件を満たさなければならない。- 信用供与は、法令で定められるその他の制限と安全率を確保する。
- 不良債権は、融資残高全体の3%を超えてはならない。
- 商業銀行および外国銀行支店の内部統制システムに関する中央銀行の諸規則、ならびに信用機関および外国銀行支店のリスク管理のための資産分類、引当金の設定および取り崩しに関する諸規則に従い、適切なリスク管理を行っていること。
- また、次に該当する場合の融資は許容されていない。
- 担保資産が信用機関または信用機関の子会社により発行された株式である場合。
- 担保資産が、借入人が株式を取得するための資金を貸付した企業が発行する株式である場合。
- 信用機関が発行する株式への出資のために顧客が借入する場合。
- 顧客が金融機関法第126条第1項に基づく規制を受ける企業である場合。
- 顧客が金融機関法第126条第1項および第4項の規制を受ける関係者である場合。
- 顧客が金融機関法第127条第1項(改正および補遺を含む)の規制を受ける者のいずれかに該当する場合またはその者の関係者である場合。
- 顧客が信用機関の子会社または関連会社である場合。
- 外貨管理および金(ゴールド)販売の違反に対する処分
通貨および銀行業者の行政違反に対する罰則に関する2019年11月14日付政令88/2019/ND-CP(2021年12月31日付政令143/2021/ND-CPおよび2023年5月12日付政令23/2023/ND-CPにより一部改正)には、通貨および銀行業務に関する罰則が定められており、その中に、外貨管理および金(ゴールド)販売に対する処分も規定されている。- 主な処分形式
- 警告
- 罰金
- 追加処分形式
- 通貨、銀行に関する法律に違反する場合、権限機関から発行される銀行の活動・サービスに関するライセンスの使用権利を剥奪し、中央銀行が許可する銀行活動、営業活動を一定期間停止する。
- 行政違反行為を犯した場合、外貨管理および金販売のライセンスを取り消しまたは修正し、当該違反にかかる外貨、ドンまたは金を没収する。
各違反行為による罰金額の詳細は次のPDFを参照。
ジェトロ:通貨および銀行業務に関する違反行為とその罰金額(407KB) - 主な処分形式
- ベトナム国内で外貨使用が許可される取引
ベトナム国内での外貨使用制限規定の実施ガイダンスを定めた2013年12月26日付中央銀行通達32/2013/TT-NHNN、ならびに同通達の一部改正を定めた2015年10月19日付中央銀行通達16/2015/TT-NHNNおよび2019年3月29日付中央銀行通達03/2019/TT-NHNNによると、ベトナム国内取引は、原則としてドンを使用しなければならず、次の一部の例外取引に対してのみ外貨の使用が認められている。- 法人格を有する「居住者(※定義は後述)」と法人格がない当該居住者の従属支店・事務所との間での内部資本の銀行送金
- ベトナムでの外国投資プロジェクトの実施のために居住者が銀行振込で行う出資
- EPE(輸出加工企業)に関する次の場合:
- EPEである居住者が輸出商品の生産・加工・再処理・組立、または輸出のためにベトナム国内から商品を購入する際の、契約額の通貨、およびその銀行送金
- EPEに販売する商品に対してベトナム国内企業が提示する見積額の通貨、およびその銀行送金
- EPE間の契約額の通貨、またはEPE間の銀行送金
- 企業は外国人労働者である居住者・非居住者に労働契約書に規定される給料・手当・ボーナスを外貨で指定し、送金または外貨現金で支払うことができる
- 非居住者に関する次の場合:
- 非居住者間の銀行送金
- 居住者との契約上の非居住者側の契約額の通貨、および非居住者から居住者への商品・サービス購入代金の銀行送金
- 非居住者に販売する商品・サービスに対する居住者が提示する見積額の通貨、および銀行送金
- 次のような競売に関する送金の場合、外国投資家は外貨による預金・エスクローを行うことができる。
- 首相が承認した新規上場の下で国営企業株式を取得する
- 国営企業および首相が承認した出資撤退計画のある国が出資した企業の株式の取得およびこれら企業への出資
- 首相が承認した出資撤退計画のある他企業に出資している国営企業の株式の取得およびこれら企業への出資
- 国防と安全保障、石油ガス、その他の必要な場合に、中央銀行が書面による許可を与えた場合
※2013年3月18日付国会常務委員会令06/2013/UBTVQH13によると、「居住者」とは次のとおり定義されている。
- 金融機関法の規定に従ってベトナムで設立、運営されている金融機関、在ベトナム外国銀行支店
- ベトナムで設立、運営されている経済組織(信用機関を含まない)
- 前述ⅰ項およびⅱ項に規定される機関の在海外駐在員事務所
- 海外におけるベトナムの外交公館・領事館、在外国際機関におけるベトナムの代表機関
- ベトナムに居住しているベトナム人、12カ月未満海外に滞在するベトナム人、前述のⅲ項およびⅳ項に規定される機関に勤務しているベトナム人(同行が認可される個人を含む)
- 観光、留学、治療、家族や友人などの訪問の目的で海外に行くベトナム人
- ベトナムに12カ月以上滞在することが許可される外国人(観光、留学、治療、またはベトナムにおける外交公館・領事館・国際機関・外国機関の駐在員事務所での勤務の目的で来越する外国人は非居住者である)
- ベトナムにおける外国金融機関の支店、投資法の規定に従って投資活動に参加する外国投資家(投資方法を問わず)、ベトナムにおける外国請負業者の事務所
- ベトナム国内での現金支払いが禁止される取引
2013年12月31日付政令222/2013/ND-CPによると、次の取引において現金支払いが禁止されている。- 企業への資本拠出、企業の持分の購入、売却もしくは譲渡
- 金融機関以外の企業同士による融資取引
- 預金金利の上限規制
ドンの上限金利は、2023年6月16日付中央銀行決定1124/QD-NHNNにより、普通預金と満期1カ月未満の定期預金の上限金利が年0.5%、1カ月以上6カ月未満の定期預金の上限金利が年4.75%と規定されている。なお、人民信用基金やマイクロ金融機関における、1カ月以上6カ月未満の定期預金の上限金利は年5.25%となる。
米ドルの上限金利は、2015年12月17日付中央銀行決定2589/QD-NHNNにより、いずれも0%と規定されている。