市場・トレンド情報

ベトナム工業機械需要トレンド

2010年3月
分野:機械・部品

主要品目の生産量の推移

「2008年版 統計年鑑」の「工業分野の主要製品」から、どのような製品の生産量が伸びているか見ていきたい。ここから、どの分野、機器の需要が大きいか予測することが出来るであろう。

この「主要製品」には電力、水道を除き107品目の生産統計が掲載され、上位品目の2006~2008年の年平均伸び率は次のようになった。

順位 品目(単位) 前年比(成長率:%) 平均伸び率
(%)
2006年 2007年 2008年
1 ウールカーペット
(1,000平方メートル)
21.5
(-35)
99.0
(360)
94.0
(-5)
107
2 ハードレザー
(トン)
8,540
(119)
15,095
(77)
16,604
(10)
69
3 脱穀・精米機
(台)
8,687
(218)
6,317
(-27)
5,685
(-10)
60
4 ピュアウォーター
(100万リットル)
660.2
(101)
803.3
(22)
883.6
(10)
44
5 電灯
(1,000個)
208,133
(104)
222,244
(7)
243,027
(9)
40
6 ガスレンジ
(1,000台)
835.2
(-20)
1,812.2
(117)
2,140.1
(18)
38
7 はんだ(スティック)
(トン)
24,180
(31)
38,891
(61)
43,862
(13)
35
8 既製服
(100万枚)
1,155.5
(14)
1,936.1
(68)
2,323.2
(20)
34
8 水産物缶詰
(トン)
68,586
(83)
68,200
(-1)
81,840
(20)
34
10
(1,000トン)
1,030.6
(14)
1,727.0
(68)
1,899.7
(10)
31

※ 2008年は初期統計値

上位品目は急増後にマイナスや横ばいになり、安定的な成長といいがたいものも多い。安定的な高い成長をしているのは15~30%台に多く、15%以上の成長率は38品目、エアコン(30%)、スチールバー(29%)、ニットウール(27%)、燐灰石(27%)、錠剤(25%)、糸(24%)、自動車(23%)などがある。

ハイテクに対応できないベトナム企業

ホーチミン市のハイテクパークでは、投資総額10億ドルにおよぶIntelのチップ組立・検査工場が2010年5月より稼動予定だが、ベトナム企業からの原材料調達は、10%に満たないという。

長期的には国内調達を増やす計画だが、Intel Products Vietnam社のRick Howarth社長によると、1日数百万個の大量供給に応えられる国内企業を探すのは難しく、技術的に対応できても、財力やオートメーション設備などの問題にぶつかるという。

同氏によるとチップの原材料は、世界的にも特殊な技術を持った日本、中国、台湾などの企業しか作れないものも多く、現状では投資が難しいため今後5~10年の間にベトナム企業の参入は期待できないと語る。だがIntelの投資で現地の裾野産業が変化し、約2,000の業種が生まれたというコスタリカの例もあるように、間接的な原料供給なら期待できるだろう。

高い精度が要求される金型もほとんど輸入しており、国内では消費材やプラスチック製品に使うものにしか対応できない。国内金型メーカーの設計・製造能力は弱く、高技術設備を持っていてもメーカーとの連携が不足している。

高い中古品の利用、企業の関心は金銭面

ホーチミン市科学技術局が2008年2月に市内の輸出加工区・工業団地内429社(国内企業55%、外資企業45%)を対象に行った調査では、大半の企業が「技術的価値が50~90%残っている中古設備を購入する」と回答している。技術的価値が50%以下でも購入するという回答も10%あった。調査対象の79%が中国、台湾等の機械設備を使用しており、18%は日本、米国、フランス、ドイツ製などを使っていた。

設備の変更は企業にとって難しい問題のようだ。国内企業は資金がなく、資金があっても一時的なコスト増から設備購入を躊躇している。「技術改革の希望がある」とした企業は2%、73%は既存設備で十分と考えている。

ハノイ省エネセンターによる調査でも、多くの企業での旧式技術の利用が明らかになっている。企業は燃費を重視せず、皮革・履物生産では、原材料、労働コストに次いでエネルギーにコストがかかっている。ボイラーなどでも、効率の高い石油ボイラーでなく、コストの低い石炭ボイラーに関心が持たれている。

オーダーメイドはすれ違い

特殊な機械が必要な場合のオーダーメイドも活発でない。Ben Tre省の飴メーカーは、飴を押し出す設備を購入したが、一部設備の不足がわかり、手作業も難しかったため1カ月かけて自分で造った。一旦は機械工場に依頼し完成したものの、エンジニアの不理解からラインに合わなかった。

このような例もあるように、メーカーは特殊機械の製造を機械メーカーに頼みたくないという心理もある。失敗の確率が高いからだ。機械1台で2万~3万ドルを失うだけで、小規模企業は存続の危機に立たされる。

実際、ベトナムの機械メーカーも特殊機械の依頼を受けることに消極的で、ホーチミン市には中小の機械工場が数百あるが、オーダーメイドを請負うのは数社しかない。また発注側は、半年程度で完成しなければ発注自体をキャンセルしてしまうことが多く、「失敗」の原因の大半は顧客の我慢にあると指摘するメーカーもある。

環境配慮型は必須のトレンド

Hoang Trung Hai副首相は2009年6月10日の会議で、ハノイ・ホーチミン市人民委員会が改善を進めている、環境汚染を引き起こす17産業の新規許認可凍結および都市部からの移転に関する規制の全国適用を原則的に承認するとした。

規制草案によると、指定対象となった17産業は、▽化学薬品(肥料・電池・バッテリー・農薬・洗浄剤・染色剤等の生産)、▽再生業、廃棄物の売買、▽繊維製品の染色や脱色等、▽ゴムの精練・延ばし、▽革のなめし、▽電気めっき、▽機械加工、▽金属包装・印刷、▽パルプ生産、▽建材・陶器・ガラス生産、▽木材加工(木材彫刻・家庭用木製品加工を除く)、▽生鮮食品・醤油類・塩・食用油の生産、▽砂糖菓子・飴・アルコール・酒・ビール・清涼飲料水生産、▽タバコ生産、▽産業用の家畜・家禽の飼育、▽家畜の解体、▽石炭加工。

世界的に環境保護が叫ばれて久しく、ベトナムも近年環境対策、企業に対する取締りを強化している。資金面や中古品を念頭に置く企業が多いことから、すぐには切り替わらないだろうが、今後環境配慮型の機械の需要が増すことは確実だろう。

製造業の発展と機械の需要

最近ではSonyが生産から撤退したが、先に触れたIntelの大型投資や、Sonyの撤退と時期を同じくして携帯電話工場に6億ドルを投じたSamsungの例もあるように、ベトナムでの工場設立を本格化する世界大手も多い。伊バイクメーカーPiaggioもベトナムを一大生産拠点とすることを決めている。自動車分野ではTruong Hai自動車やXuan Kien自動車といった、国内組立メーカーの躍進も目覚ましい。

WTO加盟などで貿易障壁が低くなり輸入品が入りやすくなるなか、工業立国を目指すベトナムが今後どう産業発展の舵を取るのか注目される。しかし現状として、ベトナム企業はハイテク製品の生産は無論、その原材料や極めて高い精度が求められる部品も生産できない。目下期待できるのは、そういったハイテク系のメーカーに伴い進出する衛星企業に、供給できるような原材料の生産といったところだろう。このため必要とされる機械設備も、超高度技術製品の需要が大きく高まるのはまだ先になると見られる。

(ホーチミン事務所)

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