市場・トレンド情報

ベトナム機械産業概況

2010年3月
分野:機械・部品

工業生産・輸入

「Sai Gon Tiep Thi」誌によると、機械の生産額(1994年の固定価格)は1995年の13兆8,000億ドンから、2008年には132兆7,000億ドンと10倍に増加している。しかし工業生産全体に対する比率を見ると、1995年の29.8%から2008年は29.3%と、工業分野全体において機械産業(国内生産)は目立った変化をしていない。

一方、近年急増しているのが輸入で、統計総局によると機械設備・部品の輸入額(推計)は、2005年:52億5,400万ドル、2006年:65億5,500万ドル、2007年:103億7,600万ドル、2008年:137億1,200万ドル、2009年:123億6,900万ドルとなっており、WTO加盟年である2007年に激増した。経済危機の影響が出た2009年も微減にとどまっている。なお2009年の輸入額全体(688億3,000万ドル)に占める機械輸入は、およそ2割である。

図1:機械設備・部品輸入額の推移
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出所:統計総局

また、この3年の輸入相手先を見てみると、中国、日本、韓国、ドイツ、台湾、シンガポール、米国の7カ国/地域が上位5位に入っており、トップ3は1位:中国、2位:日本、3位:韓国で固定されている。なかでも中国と日本が群を抜いており、後はほぼ横並びとなっている。

図2:機械の輸入相手国・地域(速報値)
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出所:統計総局

復調する経済

2009年ベトナムの経済成長率は前年比5.32%と2005~2007年の8%台から落ち込んだが、世界的な経済危機下においては高い成長率を維持したといえる。一方で近年20%台の伸びを示してきた輸出額は、マイナス9.7%と低迷。二ケタ成長を続けてきた工業生産額の伸びも7.6%と一ケタ台に落ちたが、2009年下期の工業生産額の前年同期比成長率は、7カ月:5.1%、8カ月:5.6%、9カ月:6.5%、10カ月:7%、11カ月:7.3%と少しずつ右肩上がりになっており、2010年の2桁回復が期待できる。また2009年の小売・サービス売上高の伸び率は18.6%増、価格上昇要素を除いても11%増と依然として高い。2008年は31%増で、価格上昇要素を排除した伸び率は6.5%だった(数値は速報値)。

機械産業を取り巻く環境

ベトナムはWTO加盟により経済、貿易面で大きな転換を迎えた。他にも域内、ASEANと中国や韓国との自由貿易協定、また日本との経済連携協定など様々な貿易協定を結んでおり、ベトナムから各国への輸出がやりやすくなる一方、ベトナムにも輸入品が入りやすくなっている。まだベトナム工業は発展段階にあるため、特に工業製品の輸入は今後も増えるとみられる。

ベトナムでは各方面で発展計画を策定しており、工業分野では「2020年を見据えた2010年までの機械分野発展戦略」、「2020年を見据えた2010年までの裾野産業発展計画」、「2020年を見据えた2010年までのベトナム自動車産業発展戦略」などがあるが、目標が高すぎたり、どう実現していくのか不明であったりして、計画倒れになる問題が生じている。その好例が、内地化率が目標を大きく下回るなどして2009年末にメディアで大きく報じられた自動車産業発展戦略の失敗であろう。

期待できる機械設備のベトナムへの輸出

工業化を進めるベトナムだが、先にも触れたように産業の発展計画は順調に進んでおらず、国産化は思うようにいっていない。機械でも、高度な技術を要するものは生産できず輸入に頼り、さほど高い技術を要さないものでは安価な中国製品が地位を得ている。機械の生産額も10年あまりで10倍に伸びたとはいえ、全体に対する比率は変わっていない。「工業」誌のウェブサイトによると、1990年代初頭は国内需要の8~10%に応えられるに過ぎなかった国内機械産業は、近年40%にまで対応できるようになった。先の発展戦略の目標は「2010年までに全国の機械製品需要の45~50%に応える」で達成も目前のように感じられるが、ベトナム企業の存在感はここまでないというのが実感で、市場で扱われている機械や設備納入の報道を見ると、輸入額にも表れているように、中国、日本、または欧米が主である。また現在、旧式・中古の機械設備を使用するベトナム企業は多く、今後の生産拡大・技術革新にあたっての設備投資需要は非常に大きいと思われる。

(ホーチミン事務所)