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市場・トレンド情報

報道等にみられる食に関するトレンド ‐ 高まる消費者の食への安全意識

2010年12月
分野:食品・農林水産物

スーパーなど近代的流通形態のシェア高まる

Sai Gon Tiep Thi誌が実施した「2010年ホーチミン市の消費者心理・行動」調査報告書では(※1)、スーパーマーケットやショッピングセンターといった近代的流通形態が消費者にとって魅力的な場所になってきている。

また、同報告書は、消費者は偽造品や食品安全衛生面で欠陥のある商品に不安をもち、食品安全衛生の水準、耐久性、性能、栄養価により関心を持つようになっているとしている。一方、消費者がブランドに対して抱くイメージは、1.信頼53.7%、2.商品の品質29.1%、3.高品質製品の称号8.9%となっており、これら3つのイメージ(要素)で全体の9割を占める。商品については、価格はあまり重視されておらず、関心が持たれる商品の特性は、「品質、耐久性」が74%、「安全、使いやすさ、利便性」が12%と続く。また消費者の多くが、「品質がよければ高くても買う」と答えており、相次ぐ食品安全のトラブルが消費者心理に強く影響していることが窺える。

近代的流通形態の利用者の多くは中・高所得者層であるが、その利便性から今後もスーパーなどの利用者が増加することが予想される。Grocery Report 2008-The Nielsenの資料によると、旧来型の伝統的流通形態が依然として優勢ではあるが、2008年の市場シェアは旧来型が83%、近代型が17%であったのに対し、2010年では旧来型76%、近代型24%(推計値)と近代型の市場シェアが高まっている。一部報道では、近代型流通形態を通じた小売売上高は、2010年に市場シェアの40%に達するとの予想もみられる(※2)。

※1, Sai Gon Tiep Thi新聞 2010年9月3日P.14、6日P.4
※2, Thoi Bao Kinh Te Saigon新聞 2008年12月24日P.26

加工食品や調理済食品に注目集まる~食生活の変化で生活習慣病も

2008年頃より、食品価格の高騰で加工食品や調理済食品に注目が集まるようになった(※3)。生鮮品を購入し家で調理するより、時間を節約でき価格も比較的安いことから、多くの人が加工食品・調理済食品を利用するようになってきている。以前はこれら食品に見向きもしなかった消費者も、食品・ガスなどの度重なる値上げをきっかけに購入しはじめ、とくに共働きの核家族の主婦を中心に人気を集めている。2008年の消費トレンドに関するセミナーでは、家庭の消費は食品やミルク、洗剤といった生活に不可欠な品目が優先され、生鮮・加工食品、ミルク、洗剤の売上はどのスーパーマーケットでも40~50%増加したと報道されている(※4)。

また一部報道では、以前ベトナム人の食事で脂質が占める割合は総摂取カロリーの6%を占める程度だったが、現在はこれが15%になったと指摘している。都市部の一部の人ではこの割合が25%を超える例もあるという。栄養院によると、ベトナム人の食事は大きく変化しており、外食や加工食品を食べる機会が増え、伝統的な食事は少なくなっている。

米の消費量も減っており、以前は1人あたり1日平均500グラムを食べていたが、現在は400グラムに落ち込んでいる。一方でパンやインスタント粥などの加工食品が伸びている。

肉の消費量は1985年から1990年までに11倍に増加、増加率こそ落ちているが、現在一部の都市住民は1日150グラムの肉を食べている(適切とされる量は1日100グラム以下)。一方で野菜の消費量は伸びておらず、ベトナムのように青果物が豊富に栽培される国にあって、1人あたりの1日の平均野菜消費量は200グラムである。奨励消費量は400グラムであり、ガンや心臓病を避けるためには1日800~900グラムの青果物をとるべきとされている。また魚を食べる量も少なく、1日あたり50グラムで日本人の2分の1である。タンパク質を豊富に含み、かつ安価な豆腐の消費量も少ない。

牛乳の消費量では1990年の1人1日あたり0.4グラムから、2005年には29.9グラムにまで増加した。貧しい地域ほど牛乳の摂取機会が少なく、貧困村の牛乳消費量は、非貧困村の5分の1、また都市部の牛乳消費量は、農村部より4倍大きいことがわかっている(※5)。

また都市部の子供はエネルギー価が高く栄養分の少ない加工食品を食べることが多くなり、肥満になりやすいとの報道もある。6~10歳の子供の肥満率は都市部で7.6%、これに対し農村では1.3%。子供の「横の伸び」は大きくなる一方、「縦の伸び」は小さく、身長は特に農村でWHO基準より低い(※6)。

また食生活の変化に伴う生活習慣病も注目を集めている。最近では糖尿病患者が増加しており、その増加率は世界で最も高いと報道されている。ベトナム糖尿病教育者会の統計によると、2002年に糖尿病にかかっている人の割合は人口の2.7%を占めるに過ぎなかったが、現在では7.2%を超え、なかでも都市部に集中している。糖尿病にかかる人は通常30~65歳が多いが、現在は9~10歳の小児患者もおり、2025年までにベトナムの糖尿病患者数は300万人に達するとみられている(※7)。

※3, Sai Gon Tiep Thi新聞 2008年5月19日P.15
※4, Thoi Bao Kinh Te Sai Gon新聞 2008年8月21日P.32
※5, Tuoi Tre新聞 2009年3月16日P.9
※6, Lao Dong新聞 2009年10月19日P.2
※7, Sai Gon Giai Phong新聞 2010年11月13日P.3

品質・安全・健康志向

消費者の食の安全への意識は、特に2008年以降高まっている。2008年、2009年は相次ぐ食品のトラブルが大きく報道され、消費者の購買心理に大きな影響を与えた。

ベトナム消費者保護・標準協会が行った消費者調査結果によると、消費者の食料・食品への関心は高く、食品の「安全衛生」が「最も重要な問題」と回答した人は全体の95%(※8)を占めた。また同報道では、食品類への関心は、関心の高い順に野菜、肉、果実、乳製品となっており、88%の消費者が、目視では安全な食品であるか否かを見分けることができないとしている。

TNS Vietnam社の2008年調査によると、日用消費財市場の最大のトレンドは「安全・安心」であり、生産地が不明であったり、健康に害を与える製品に対しては消費者の顕著な反応がみられるとしている。またお茶や乳製品などの健康関連食品は、2008年に最も急速に伸びた食品と指摘している。同調査では、80%を超える消費者が「健康に良い商品にはより多くを支払う」と答えており、9割近い消費者が「品質がよければ高くても買う」と答えている。こうした消費者の食の安全への意識の高まりを反映して、ベトナムでは消費期限や成分、原産地といった食品の安全性が、消費者の最優先の関心事となっている。

市場調査会社Mancom社が、1.家庭用品、2.食品、飲料、3.ファッション、美容の3分野について2009年11月10日までの統計データを分析した結果、消費者がより賢明になっていることが判明したとの報道もなされている(※9)。本調査は消費者7万人以上を対象としたもので、上記3分野の商品を選ぶ際に消費者が重要視したのは、「品質」「価格」「デザイン」「ブランド」であった。

なかでも消費者が最も重視したのは「品質」で、回答者の42%が品質を重視すると答えた。次いでブランドの25%、価格の20%、デザイン13%の順であった。品質を重視すると回答した消費者が価格を重視すると回答した消費者と比べて高い比率を示していることから、消費者が品質の高い商品への支出にためらいがないことがわかる。各分野別にみても品質とブランドが最も重要なものであり、食品・飲料で44%と24%、家庭用品で42%と24%となっている。家庭用品では多国籍企業の商品が選ばれているが、食品・飲料ではベトナム製品が選ばれている。

市場調査会社各社によると、今後のベトナムでの消費トレンドは、「安全と健康」、「外国産より国産品」、「市場よりスーパー」である(※10)。「安全と健康」では、偽造品が増加し、その防止が難しい中で、消費者の知識は向上しており、安全かつ健康を保証した商品が消費者にとって第一の選択基準になると指摘している。「安全と健康」は食品・飲料・医薬品などの分野でより顕著なトレンドになると予想され、消費期限、原材料やその生産地など食品安全に関する要素が何よりの関心事になるものとみられる。

「外国産より国産品」では、国産品が価格面での強みのほか、購入者の心理や習慣に適していることから、ベトナム製品は消費者に安心感をもたらすとし、原材料の出所や使用手順・使用期限なども明らかな国産品が好まれるようになっている。ベトナムの生産業者も高品質で美しく、豊富な種類の商品を出すため技術への投資を強化するなど、品質をより重視するようになっている。

「市場よりスーパー」では、スーパーマーケットなどの近代的な流通形態は、1.豊富な品揃え、2.生産地が明確であること、3.食品の安全衛生面で安心感が得られること、4.輸送上の利便性、5.買い物時間の短縮など利点が多いことから、今後の必須トレンドとなるものとみられる。

一方、食の安全に対する意識が高まるなか、多くの食品メーカーが「安全」の二文字をつけて商品を売るようになっているが、そういった文字を見るとかえって疑わしく感じるという消費者の声も出てきている(※11)。

また広がる消費者ニーズのひとつに、ナチュラル志向があり、特に女性は天然素材を用いた製品を求める傾向が強い。一方で近代技術についての強い要望もあり、安心感のある天然素材で、かつ近代技術と同等の品質を持つ製品が必要とされている。

※8, Thoi Bao Kinh Te Viet Nam新聞 2009年12月13日P.2
※9, Thoi Bao Kinh Te Viet Nam新聞 2009年11月23日P.8
※10, Sai Gon Giai Phong新聞 2010年4月20日P.3
※11, Dau Tu新聞 2010年1月8日P.19

飲料メーカーも活発な商品開発

ベトナムの清涼飲料水市場においても、最近著しい成長と変化が見られる。

飲料メーカーの商品開発が盛んになったのは、ごく最近の傾向である。これまで路上の茶屋や出店が多く、喉が渇けばすぐに購入でき、またサトウキビジュースやココナツジュース、フルーツシェイクなど天然素材の飲料が広く展開していた市場では、ペットボトル入り飲料はそれほど需要が多くなく、リサイクル可能な瓶入りが主流であった。しかし、経済成長や都市化に伴う人々の生活様式の変化に伴い、持ち運び、保存が可能なペットボトル入り飲料が開発されるようになった。

なかでも栄養ドリンクと緑茶飲料の消費量増加が顕著である。健康意識の高まりと、清涼飲料水という形での伝統的な茶風味への関心という時代の趨勢を掴み、国内飲料メーカー各社は、初期段階では価格と生産量で成功している。2006年に初めてボトル詰緑茶飲料「0°」を生産したTan Hiep Phat社は2009年、薬草茶「Dr .Thanh」を生産する工場への大規模投資を行うなど、各社ともに緑茶・健康茶製品の生産を大幅に拡大している。

TNS Indochina社の調査によると、2008年にベトナム経済は低迷したものの、清涼飲料水への支出を増やした、または現状維持とした人は65%で、支出を削減した人は23%にとどまったと報じられている(※12)。

香港誌「Media」によると2009年、ベトナムにおける内外の清涼飲料水ブランドは2ケタ成長となった。これは、市場調査会社TNSの調査による広告収入の急増にも示されており、2009年上半期のベトナム清涼飲料水の広告収入は前年同期比93%増の3,610万ドルに達している。また英国の市場調査会社Euromonitor Internationalの調査によると、ベトナムの清涼飲料水の消費量は2008年には1人あたり9.5リットルに過ぎなかったが、今後ベトナムの清涼飲料水市場は2010~15年に40%ほど拡大するとも報じられている(※13)。市場の著しい伸びに伴い、国内飲料メーカー大手各社では技術、生産設備、生産規模拡大等の投資が相次いでいる。

アルコール飲料業界も同様にその成長は著しい。市場分析を専門とする英国のBusiness Monitor International 社の報告書「Food and Drink 2009年第1四半期」では、各種アルコール飲料の消費量は、今後2013年までに50.6%増加すると指摘している。売上高も年間16%伸びる見込みであり、2008年にアルコール飲料の97.9%を占めたビールが、2010~2013年に50.7%の成長を示し、飲料消費の伸びに貢献する主役になると予測している。また、ベトナム酒・ビール・清涼飲料水協会では、ベトナムの1人あたり各種飲料消費量は現在の年間18リットルから、2020年には28リットルに増加すると予測しており、ベトナムの飲料業界は2010年に15%成長すると予想している。これはベトナムの各産業分野の中で最も高い成長率である(※14)。

※12, Dau Tu 新聞 2009年3月16日P.5、Sai Gon Tiep Thi新聞 3月23日P.14
※13, Nhip Cau Dau Tu新聞 2010年8月23日P.34
※14, Dau Tu新聞 2010年3月5日P.13、12日P.4

消費トレンドの変化~2010年は「安全」と「節約」がキーワード

消費者の購買行動やトレンドは、インフレや経済などさまざまな要素に関係している。TNS Worldpanel Vietnam社の2008年調査によると、ベトナムの消費者はブランドに大きな関心を持っており、生活用品と贅沢品で消費傾向がはっきりと分かれていた。生活用品に対しては価格をしっかり考える一方、贅沢品には高くても支出する傾向がみられた。同社の調査では「健康によい製品なら高品質のブランド品で高いものを買う」と答えた人が90%に上った(※15)。

一方で2009年になると、ベトナムの消費トレンドは一変した。相次ぐ食品トラブルや、偽造品の増加に伴い、「価格」よりも「安全」「品質」志向が高まり、それまで高い評価を得ていなかった国産品が、消費者に安心感をもたらすことから注目を集めた。

また2010年に入るといっそうの変化が見られ、Sai Gon Giai Phong Thu Bay新聞が2010年4~8月にホーチミン市で実施した消費者調査では、「安全」と「節約」がキーワードであることがわかった。同調査では飲食分野では56.5%が、外食する際には珍しい料理がある店を選ぶとし、75.67%が祝日や家族のイベントごとがある際には、家族総出でレストランにいくと答えている。消費財では、「価格」より「安全」という傾向が明らかで、43.1%は毎日の食品や消費財を選ぶ際に最も関心を持つ要素として、品質面で「安心」できるものを買うとしている。おいしい、見栄えが良いなどの回答も35.7%であった。手ごろな価格という回答は20.1%と低かった。また同調査では、旅行に関しては支出を控える「節約」傾向があらわれている(※16)。

※15, Thoi Bao Kinh Te Sai Gon新聞 2008年8月21日P.32
※16, Sai Gon Giai Phong Thu Bay新聞 2010年8月21日P.10

(ホーチミン事務所)

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