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日本産および日系企業現地生産品の小売での販売動向

売り上げ伸ばす日系企業の現地生産品 ‐ 現地の需要に合わせて商品開発

2010年12月
分野:食品・農林水産物

売れ筋商品、売上が急増している商品

ベトナムで日本食品を購入する場合、以前は日本食品専門店でしか入手できなかったが、最近は日本の調味料、酒類、菓子類は庶民的なスーパーマーケットでも入手できるようになった。日本食品を取り扱うスーパーマーケットへの聞き取り調査(※1)から、日本食品はここ3、4年で輸入量が増えていることがわかった。
※1, PCSC/Unimart (ハノイ)、Co.op Mart(ホーチミン市)、Maximark(ホーチミン市)、Lotte Mart(ホーチミン市)で実施。

1999年からハノイで輸入卸売およびスーパーマーケットUnimartを経営するPCSC社では、特に2006年前後から日本食品の取扱量が増加した。それ以前は3カ月から半年に一度日本から輸入していたが、現在は毎月輸入しているという。ホーチミン市のスーパーマーケットCo.op mart、およびMaximarkは利用客のほぼ100%がベトナム人であるが、両店ともにここ3、4年、輸入食品取扱量が増加傾向にある。特にMaximarkはホーチミン市の中でも比較的輸入品が多いことで知られているが、日本食品の取扱いは以前に比べ品数、量ともに増えている。大型スーパーマーケットLotte Martは、2008年にホーチミン市でオープンし、開店当初から数多くの輸入食品を扱っている。これら輸入卸売りや大型スーパーマーケットの他にも、小規模な日本食品専門店も2008年以降増加傾向にあり、その頃から庶民的なスーパーマーケットでも日本食品を広く見かけるようになった。

これらの店で特に取扱量が多いのは、調味料と菓子類である。日本からの輸入品もあるが、近隣諸国の日系メーカーによる生産品も多く、またベトナムに進出した日系食品メーカーが製造する現地生産品の品数も増加している。

日系企業の現地生産品が好調~調味料、即席麺、米、酒類など

在ベトナムの日系食品メーカーによる生産品で売上が伸びているものとして、うま味調味料・風味調味料と即席麺、粥、マヨネーズが挙げられる。うま味調味料と即席麺は、90年代初頭から日系食品メーカーの投資が相次ぎ、国内で製造・販売されるようになった。消費者の需要に合わせた商品開発が行われ、現在に至るまで国内企業、外資企業ともに成長を続けてきた。一部報道によると、即席麺、粥ではVina Acecook、Asia Food、Uni Presidentなど大手国内企業や外資企業が市場シェアの90%を占める(※2)。発売当初は袋入りが主流であったが、カップ入り、トレー入りが多様なシーンに応えられるよう開発され、味もスタンダードなものに加え、キムチ風味、タイ風味も登場し、ベトナム人にも馴染みの深い米麺のフォーやブンまで、さまざまな商品展開を行っている。

調味料もベトナム風にアレンジしたものが多数開発され、チキンベースやとんこつベース、魚介ベースなど、スープや煮込み料理の風味付けや下味付けに幅広く利用され、ベトナム全国各地で広く浸透している。風味調味料は、Maggi(Nestle)、Aji Ngon(Ajinomoto)、Chin Su(Masan)、Knorr(Uniliver)の4社が市場シェアのほとんどを占めており、輸入品は一部でしか見られない。都市部の約27%の家庭は調味料への支出に関心を持ち、消費者の93%は天然由来の調味料を好むという報道もなされている(※3)。家庭料理をはじめ、外食のベトナム料理店でも風味調味料は欠かせない食材となっており、消費者のニーズにあった商品の開発が日々行われている。

また2005年よりAjinomoto Vietnam社が販売を開始したマヨネーズは、今や一般家庭にも広く浸透している。同社がマヨネーズを販売する以前は、日本料理店や専門の外国料理店でしかマヨネーズを食す機会はなかった。スーパーマーケットで取り扱うマヨネーズも瓶入りの輸入品のみであり、一般消費者の間で認知度が非常に低い食品であった。しかし、すでにベトナム市場でうま味調味料メーカーとして広く知られていたAjinomoto Vietnam社により、ベトナム人向けにアレンジされた「LISAマヨネーズ」が開発され、一般消費者にも広く受け入れられるようになった。発売から5年が経過した現在、一般家庭にも常備されるまでに浸透している。ベトナム人にも「マヨネ」の名称で親しまれており、日系食品メーカーが製造していることから、マヨネーズは「日本の調味料」と認識しているベトナム人も少なくない。

また同社は「LISA」シリーズとして、しょうゆと酢の販売も行っている。ベトナム人に合った商品開発が行われているため、日本のそれとは風味や味が異なるものの、「日本風しょうゆ、酢」としてベトナム人にも広く認識されている。

また「こしひかり」などのジャポニカ米も、日本企業の投資による現地企業との合弁会社がベトナム国内で生産しており、日本産の輸入米よりも安く購入でき、味もよいため、在住日本人や日本料理店で広く親しまれている。ベトナムは元来米食文化であり、米の生産量、輸出量ともに世界で上位5位内に入る(※4)。インディカ米が主流だが、品種改良や生産工程の開発によりジャポニカ米が生産されるようになり、庶民的なスーパーマーケットでも国産のインディカ米に混じって「こしひかり」が販売されるようになった。一部の日本食通の高所得者層を中心に、ベトナム産ジャポニカ米が浸透しはじめている。

同様に日本の酒類も、日本企業と現地企業の合弁会社が国産の原料を使用し製造している。日本酒、焼酎(米・芋・麦)、梅酒など種類も豊富で、日本からの輸入品よりも安く入手できるため、取り扱うスーパーマーケットは増加している。また日本料理店や高級ベトナム料理店でもこれら現地で製造された日本の酒類がメニューに取り入れられている。

※2, Tin Tuc新聞 2010年3月17日P.4
※3, Nhip Cau Dau Tu新聞 2010年9月13日P.16
※4, 2009年生産量5位、輸出量2位(USDA"World Production, Market and Trade Reports")

わさびなど日本特産の調味料も普及

現地の日系企業の生産品以外に、輸入日本食品で多く見かけるようになったのが日本特産の調味料である。わさびは比較的前から市場に出回っていたものの、マヨネーズ同様、高級海鮮料理店や日本食専門店でしか見かけることはなかった。しかし最近では庶民的なベトナム料理店や大衆居酒屋でも、刺身はもちろんのこと、貝の酒蒸しや生春巻き、ヤギ肉など代表的なベトナム料理と一緒に提供されるようになった。スーパーマーケットでも日本産、日本メーカーの近隣諸国産、台湾産が販売されている。

わさびやマヨネーズほど浸透はしていないが、輸入品の日本のしょうゆと酢も同様に増加傾向にある。スーパーマーケットでは比較的目立つ場所に陳列されており、サイズも1リットル入りの大きなものから卓上用の小瓶まで、また「減塩」や「特選」、「刺身用」、「てりやき」など品揃えも豊富になっている。スーパーマーケットではベトナム人消費者が興味深く手に取る姿もときどき見られ、日本の調味料に興味・関心がでてきたことが窺われる。

贈答用に好まれる日本産菓子

日本の菓子類も以前に比べると種類が豊富になった。主にクッキーやチョコレート、飴類が中心で、日系メーカー産の菓子類が菓子コーナーに広く並べられている。日本産の菓子類は現地産、近隣諸国産に比べ高価であるため、高所得者層の家族間や友人間での贈答用や、経営者が自社社員への配布用として購入しているようだ。聞き取り調査を実施したハノイのUnimartでは、ベトナム産や諸外国産の菓子類は特に旧正月前に売上が一気に伸びるが、日本産の菓子は季節を問わず一年を通して売行きがよいとしている。これら菓子類は賞味期限が長く長期間の保存が可能なため、販売側にも購入者側にも重宝されている。

輸入粉ミルクやベビーフードの品揃えは多様化

ミルクや乳製品は、主要輸入品目として近年その輸入が増加し続けている。統計総局の資料によると、2004年のミルク、乳製品輸入額は2億120万ドルであったのに対し、2010年は約7億1,600万ドル(速報値)となった。

日本産の粉ミルクの輸入も増えている。粉ミルクだけでなく、日本産の赤ちゃん用ビスケットやお粥などの離乳食を扱っているスーパーマーケットも少なくない。ただ日本産の粉ミルクやベビーフードは国産品に比べ高価なため、国産品や諸外国産品は気軽に手にとって見ることが出来るのに対し、一部スーパーマーケットでは日本産は鍵付きのショーケースに入れて販売しているところもある。日本産のほか、韓国産、オーストラリア産、ニュージーランド産、米国産と輸入粉ミルクの品揃えは多様化しており、同時にベトナム産の粉ミルクも商品開発が盛んで種類も豊富になっている。粉ミルク、ベビーフードは子供の体質にあったものが好まれるため、製品の生産国によって売れ筋に違いが生じるわけではなく、子供が好むものが優先されるようだ。

ベトナムにおける「粉ミルク」の位置付けは、日本とは異なり、「子供の成長によい」「頭が良くなる」「健康によい」など、「成長促進」「健康補助食品」としてのイメージが強い。また酪農が発達していないベトナムでは、一部報道によると生乳は需要全体の3割程度に過ぎず、残りは粉乳や加工乳が利用されている(※5)。そのため離乳後の幼児にも生乳の代わりに粉ミルクを与えることが多く、幼稚園や託児所でも粉ミルクを利用している。各社とも製品開発が盛んで、「カルシウム入り」「ビタミン入り」「鉄分入り」など種類も豊富で、メーカーによっては15~18歳を対象にした「試験に受かりやすい」粉ミルクなども開発している。
※5, Dau Tu新聞 2010年7月19日

粉ミルクについては、2008年に中国産粉ミルクのメラミン混入事案が発生して以降、消費者の間で輸入粉ミルクに対する不信感が強まり、特に中国産粉ミルクは消費者から敬遠されるようになった。それに伴い国産粉ミルクの需要が高まったが、輸入粉ミルク原料を使用して製造する国産粉ミルクにもメラミンの混入が見られるといった報道が相次ぎ、オーストラリア産や日本産など、高価でも安全な粉ミルクを求める消費者が増加した。一方で安価な国内産や中国産粉ミルクは、農村地域をはじめ低所得者層には今もなお支持されている。

日本産品と競合する外国産品および現地産品

日本から輸入される日本食品と競合するものとしては、主にベトナムや近隣諸国の日系食品メーカーで生産される調味料や菓子類、近隣諸国産の果実、粉ミルク、ベビーフード、および韓国系食品が挙げられる。ベトナムは農業国でもあり、大豆や米、野菜、果実など比較的日本に似た作物が豊富であり、また近隣のタイや中国からの輸入果実も多い。調味料では、風味や味は日本とは異なるものの、しょうゆやみそ、酢も古くからベトナム料理に広く使用されてきた。日本産の高価な食材を使用しなくとも、ベトナム人の嗜好に合ったベトナム産や近隣諸国産の食材が安価に手に入るため、日本産食品の需要は現時点ではベトナム在住日本人および一部の高所得者層に限られている。

国内企業の成長著しい調味料の分野

調味料は多くのベトナムの現地食品メーカーが製造している。日本をはじめ外資系の食品メーカーも1990年代から投資を開始し、台湾系、中国系など諸外国からの投資が相次いだ。また調味料はべトナム国内企業の成長が著しい分野でもある。しょうゆや酢はベトナムでも古くから使用されているため、現地メーカー品は種類も豊富で価格も安い。各社ともベトナム人の嗜好に合った開発を行っており、調味料は現地メーカー製品が根強い人気を誇る。

日本の調味料に比較的風味が近いとされているのは中国産、韓国産である。中国産、韓国産の調味料は庶民的なスーパーマーケットでも広く販売されるようになり、価格は日本産の半分から3分の1程度で購入できる。しかし、既に多くの現地食品メーカーや外資系メーカーが多様な調味料を開発しており、価格が高くなじみの少ない輸入品よりも、国産が好まれているようだ。

外国産品の日本風のしょうゆと酢は、シンガポールの日系メーカー品が大半を占め、日本で生産された純粋の日本産は日本食品専門店以外ではほとんど見かけることはない。わさびは台湾産が最も多く、日系メーカー産に似た名前を付けた台湾メーカー産は値段が安く、スーパーマーケットでの取扱量が最も多い。その他、粉末だしや風味調味料、焼きのりも台湾からの輸入品が多く、日本産品よりも安い。例えば、台湾産の練りわさびは40グラム入りのチューブタイプで2万ドン(約1ドル ※6)前後で購入でき、焼きのりも2万~3万ドン(約1~1.5ドル)で、日本産の約半額である。
※6, 1ドル=19,500ドン換算(2010年10月 Vietcombank)以下同様

シンガポールの日系メーカー産の調味料(しょうゆ、酢)はほとんどがアルファベット表記であるが、台湾産の食品にはパッケージに日本語が記載されていることも多く、一見すると日本産と間違いやすいため、台湾産とは気づかずに購入する消費者もいるものと思われる。

韓国系、タイ系、台湾系の現地菓子メーカー製品に人気

菓子類で人気が高いのが、韓国系やタイ系、台湾系の現地菓子メーカー製品である。パイやミニケーキをはじめ、クッキー、ビスケット、チョコレート、飴など多様な商品が開発されており、市場に見合った価格帯で販売されているため、スーパーマーケットから路上の個人商店まで、また都市部から農村地域まで、全国各地で幅広く販売されている。

外国産品の輸入菓子類ではクッキー、チョコレート、米菓が多い。クッキーやチョコレートはタイやシンガポールの日系メーカー産も多く、特に2008年以降急増している。ベトナム国内産の菓子と大差ない価格設定がされているため、こちらも国内各地で広く販売されるようになった。これら菓子類は公共バスの車体に大々的な広告を行ったり、テレビコマーシャルでも人気クイズ番組の合間に広告を放映するなど、広告・宣伝活動も積極的に行われている。

その他、商品の名前や形を日系メーカー製品に似せ、パッケージに日本語を記載したタイ系や中国系メーカーの菓子も増えている。また米菓はタイ産、台湾産、マレーシア産が多く、ベトナム国内で製造しているものも、中国語や日本語が記載されているものもある。

これら近隣諸国産、もしくは国内外資メーカー産の菓子類は1箱1万ドン(約0.5ドル)前後から価格設定されているため、ベトナム現地メーカー産の菓子とそれほど変わらない。

安価で、素朴な感じが消費者に好まれる中国産「ふじ」

果実の輸入も近年増加している。統計総局の資料では、2008年以前の主要輸入品目には果実は含まれていなかったが、2009年より果実の輸入データが公表されるようになった。2009年の輸入額は年間2億8,000万ドル、2010年は2億9,400万ドル(速報値)である。果実はひとつひとつの単価が安いため、数量的には非常に多くの果実が輸入されているということになる。

輸入果実の中でも最も多いのが、中国産である。りんごや柿、梨をはじめ、じゃがいもなどの根菜やキノコ類、ほうれん草などの野菜類まで中国産が広く流通している。果実では特にりんごが多く、BigCやLotte Martなど大型スーパーマーケットでも中国産「ふじ」を扱う店は非常に多い。米国産やオーストラリア産のりんごに比べ安価で、見た目にも素朴な中国産「ふじ」は多くの消費者に好まれている。

メラミン混入や残留農薬が発見された野菜など、中国産品は安全面でのトラブルが多く、ベトナムでは以前に比べて中国産品を敬遠する傾向が見られるようになったものの、それでもなお中国産果実の流入は非常に多い。路上の伝統的市場で販売されている果実にも中国産は広く浸透しており、生産元、生産者が明らかでない果実はほとんどが中国産である。消費者も見た目の色や形がよく、価格の安いものを好むため、生産元まで確認することはまれである。食品への安全意識が高まる中、それでもなお中国産果実の売れ行きが良い理由は、価格の安さと豊富な品揃え、見た目のきれいさ、新鮮さにある。

その他、オーストラリアや米国産、ニュージーランド産、南アフリカ産のりんご、ぶどうやキウイ、オレンジなどの輸入も増加している。これら輸入果実はスーパーマーケットで販売されており、青果コーナーには多様な種類の果実がその生産国を明記し、キロ単位の量り売りで陳列されている。色、形がきれいな輸入果実は贈答用としても人気が高く、中・高所得者層を中心に売上を伸ばしている。

一方で日本産の果実は、大型スーパーマーケットや日本食品専門店でもほとんど見られない。ハノイの輸入卸売業社でスーパーマーケットUnimartを経営するPCSC社では、高価な果実が好まれる旧正月前にかぎり、日本産りんごの「ふじ」や梨の「幸水」を輸入するが、日本産は仕入価格が高いため、旧正月以外の時期には仕入れないとしている。また日本産の果実でなくとも、市場にはすでにさまざまな果実が流通しており、高価な日本産よりも安い諸外国産のほうが好まれるのが実情となっている。

安価で、安全なイメージが好まれる外国産粉ミルク

粉ミルクでは、国内メーカーのVina MilkやNutifoodをはじめ、Abbott、Dutch Ladyなど大手外資乳業メーカーも国内に生産工場を設け、開発に取り組んでいる。スーパーマーケットでは粉ミルクコーナーがかなりの売り場面積を占めており、輸入品では韓国産、オーストラリア産、米国産も多く、その数、種類ともに非常に豊富である。

日本産では和光堂や明治の製品が見られるが、主にこの2社のみで、品数も1、2種類と非常に少なく、粉ミルクコーナーのごく一部に置いてあるに過ぎない。ベトナムでは粉ミルクは乳児だけでなく、成長過程の子供向けにも利用されるため購入頻度が高く、購入時には価格と安全性が重視される。日本産は品質の良さで認められているが、頻繁に購入できる価格ではなく、より安価で、かつ安全なイメージの強い諸外国産が好まれているようである。

増勢目立つ韓国食品

外国食品の中でも増勢が目立つのが、韓国食品である。韓国産、ベトナム国内の韓国系メーカーの製品がともに急増している。ベトナム在住韓国人の数は2007年以降増加傾向にあり、またその数は在住邦人の約10倍ともいわれ、ハノイ、ホーチミン市を中心に在住韓国人の数は急増している。韓国料理店、コンビニエンスストア、ベーカリーショップ、ファストフード店など、韓国資本の飲食産業、外食産業も盛んである。

ベトナム人の間にも韓国文化が浸透しつつある。例えば平日夜8時~10時台のテレビではベトナム語吹き替え版韓国ドラマが放映されており、携帯電話や菓子、化粧品のテレビコマーシャル、街頭広告にも韓国人俳優が起用されている。中高生向けに韓国人俳優のグッズを扱う専門店まで登場し、今や一般家庭にも韓国文化が深く浸透している。

ベトナム同様、米食文化の韓国料理はベトナム人にも馴染みやすく、市場に溢れる韓国食品は菓子やのり、漬物、即席麺、みそ類など種類も非常に豊富である。特に菓子類では韓国系ORION社が製造するチョコパイ、ミニケーキは個人商店でも広く見かけることができ、子供のおやつとしても大変な人気を誇る。キムチにいたっては、各スーパーマーケットの冷蔵コーナーでかなりの面積を占めて販売されている。また即席麺の消費量がアジア地域で最も多いとされるベトナムで、韓国系メーカーの即席麺、もしくはベトナムメーカーによる韓国風味の即席麺は非常に売行きがよい。ホーチミン市のMaximarkでの聞き取り調査でも、韓国食品は菓子類、即席麺をはじめとして、非常に売行きが良く、日本製品に比べ販売スピードが速いという報告がなされている。

またこれら食品より時期的に遅く販売が始まったのが、韓国系メーカーの氷菓類で、最近急増している。ホーチミン市では24時間営業のコンビニエンスストアに行けば必ず見かけることができ、またハノイでも輸入食品を多く取り扱うスーパーマーケットで豊富に見かけるようになった。価格はベトナム国内産氷菓の数倍するが、ニュージーランド産や近隣諸国産の有名メーカー製品よりも安く、魅力的なパッケージと見た目のキレイさから購入するベトナム人消費者は多いようだ。

日本産の類似商品(現地消費者に日本産と認識されている外国産品など)

ベトナムの消費者に日本産と認識されている商品としては、タイやシンガポールで日系メーカーが製造する調味料、菓子類、飲料、および台湾や韓国製品が挙げられる。これらは2007年前後から市場に広く出回るようになった。現在ではスーパーマーケットをはじめ、路上の個人商店などでも見かけることができるようになり、価格も日本で生産され輸入された日本産品の半額から3分の1程度で購入できる。

調味料

前述のように、シンガポールやタイの日系メーカーによる調味料は数多く輸入されており、スーパーマーケットでの取扱いが増加している。いずれも有名メーカーのもので、表記はアルファベットがほとんどだが、スーパーマーケットの販売ポップには「日本のしょうゆ、酢」と記載されていることも多く、日本産と認識しているベトナム人は多いとみられる。

また、台湾産のわさび、本だし、のりなども「日本産」と認識されている。こちらはパッケージに日本語が記載されているものが多く、見た目にも間違いやすい。日本産か否かはパッケージ裏面に記載されている輸入商品のラベルを確認しなければ分からないが、ラベル自体が小さく、印刷されている文字が読めない商品もあり、購入時に注意して生産元を確認する消費者以外は、なかなか気づきにくい。

菓子類

調味料同様に、シンガポールやタイの日系メーカーによる菓子類が非常に増えている。チョコレート、クッキー、飴、ミニケーキ、クラッカーなど種類も豊富で、パッケージに日本語が記載されているものも多い。その他マレーシア産や台湾産の菓子類、米菓も多く、日系メーカーではないが日本語のような商品名や、パッケージに日本語が記載されているものも多いため、日本産と間違われやすい。

飲料

飲料も調味料や菓子類と同様に、シンガポールやタイの日系メーカー産が多い。特に多いのが茶、果汁飲料、乳酸飲料である。日本食品専門店以外のスーパーマーケットでも販売されるようになり、価格は国内産の飲料とそれほど変わらない。また日本産の缶ビールを取り扱うスーパーマーケットも増加傾向にある。

しかし、国内飲料メーカーも非常に多くの商品を開発しており、特に外国産の飲料が好まれるという傾向は見られない。これまで外国産もしくは外資系飲料メーカーによって製造される飲料といえば、炭酸飲料が中心であった。しかし最近のトレンドの変化に伴い、果汁飲料や茶飲料、清涼飲料など健康を考慮した飲料が好まれるようになり、外国産よりも、ベトナム人の嗜好に合うようにベトナムメーカーが開発した国産飲料が売上を伸ばしている。また日本の大手飲料メーカーもベトナムに工場を設立し、現地生産を行っている。

ベトナムはコーヒー生産国、茶生産国であり、輸出量も世界的に見て上位に入る。北部タイグエン(Thai Nguyen)地域では緑茶の栽培が盛んであり、緑茶飲料のパッケージには「Thai Nguyen産緑茶使用」と記載されている商品も多い。特に、安全な国産原料を利用していることを謳った表記は、消費者に安心感をもたらし、輸入品よりも国産品が好まれる傾向がみられる。

今後の日本食品市場~販売価格の高さがネック

ホーチミン市とハノイ市のスーパーマーケット、輸入卸売業者を対象に実施した聞き取り調査では、対象企業の多くが今後の日本産食品の取扱いについて、消費者からの強い要求がない限り、大幅に増やす予定はないと指摘している。

その理由として、為替の変動による仕入価格の変化と、販売できなかった商品の回収制度が確立されていないことが挙げられている。為替による仕入価格の変動の影響も大きく、特に最近の円高により日本産食品は店頭販売価格が大きく上昇している。日本産に比べ近隣諸国産は安価に仕入れることができ、価格変動もそれほど大きくない。輸送にかかる時間も短縮できるため、果実、精肉も仕入れやすいなどメリットも多い。また国内で生産される食品は、ある程度の期間店頭においても販売できない場合、メーカーや卸売業者が回収するシステムができているが、諸外国産の製品では、そうしたシステムを確立することが難しい。

日本産食品は国内産や近隣諸国産に比べ仕入・販売価格が高く、在住外国人や一部高所得者を除いて、一般消費者にはまだ馴染みの薄い商品である。賞味期限、使用期限の短い商品では期限内に販売できないこともあるという。日本産は取扱い商品の多くが調味料や菓子など賞味期限の長い加工食品となっているが、それでも売れ残った場合には廃棄処分するしかなく、店側の損失となる場合もある。

これらの課題が改善されれば、日本産食品を取り扱うスーパーマーケットや輸入業者が増えることが予想される。実際に消費者の輸入食品への興味、関心が高まっていることは事実であり、各社とも輸入食品の取扱量は増加している。ただし日本産食品に限っていえば、やはりまだ販売価格が高く、ベトナムの一般消費者の生活レベルとの乖離が大きい点で、広く普及するにはまだ時間がかかることが予想される。

(ホーチミン事務所)

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