台湾の貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2023年の実質GDP成長率は輸出と投資の低迷により1.3%に減速。
  • 貿易は半導体の在庫調整により輸出入ともにマイナス。
  • 対内直接投資は前年比15.4%減、対外直接投資は2.4倍も対中投資の構成比は低下。
  • 日本からの対台湾直接投資は前年比63.5%減、対日直接投資は2.9倍に。

公開日:2024年8月5日

マクロ経済 
輸出と投資の低迷により実質GDP成長率は1.3%に減速

2023年の台湾の実質GDP成長率は1.3%となり、前年の2.6%から減速した。需要項目別寄与度でみると、民間消費が3.7ポイントで内需を牽引し、第4四半期は年末のセールや自家用車需要が好調だった。固定資本形成は、旅行需要の伸びから航空関連の投資は好調だったものの、製造業の投資は引き続き低調に推移し、通年ではマイナス2.3ポイントだった。

財貨・サービスの輸出は、第1から第3四半期までマイナスが続き、第4四半期からプラスに転じたものの、最終商品の需要が弱く、在庫調整に時間がかかり、通年ではマイナス3.2ポイントだった。財貨・サービスの輸入は、半導体の設備投資減少や、原材料輸入の低調により、マイナス3.5ポイントだった。

主計総処は2024年通年の実質GDP成長率について、5月時点で3.94%と予測している。内需については、民間消費の寄与が最も大きく、賃金上昇による所得増加、株高による資産効果や海外旅行需要の継続を期待した。固定資本形成については、民間企業の投資は半導体の先進パッケージング(封止)や研究開発を中心に継続されるものの、近年は比較対象となる基数が高いことから、伸び幅は限定的との見方を示した。

表1 台湾の需要項目別実質GDP成長率(単位:%、ポイント)(△はマイナス値)
項目 2022年 2023年 2024年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1
実質GDP成長率 2.6 1.3 △ 3.5 1.4 2.2 4.8 6.6
階層レベル2の項目民間最終消費支出 1.7 3.7 3.0 5.7 4.2 2.2 2.3
階層レベル2の項目政府最終消費支出 0.7 0.1 0.4 0.0 0.0 0.1 0.2
階層レベル2の項目固定資本形成 2.0 △ 2.3 △ 0.7 △ 2.2 △ 3.4 △ 2.9 △ 1.5
階層レベル2の項目財貨・サービスの輸出 1.1 △ 3.2 △ 8.4 △ 5.4 △ 1.0 1.7 5.7
階層レベル2の項目財貨・サービスの輸入 2.2 △ 3.5 △ 2.8 △ 5.2 △ 2.7 △ 3.3 0.2

〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。2023年通年および第4四半期は速報値。2024年第1四半期は概算値。
〔出所〕行政院主計総処発表資料から作成

貿易 
半導体の在庫調整を主因に輸出入ともにマイナス

2023年の貿易(通関ベース)は、輸出が前年比9.8%減の4,324億3,226万ドル、輸入は17.9%減の3,514億4,061万ドルと、輸出入ともに伸び率は前年比マイナスとなった。

国・地域別にみると、輸出は最大の輸出先である中国向けが20.9%減となったほか、香港向けも12.8%減だった。輸出全体に占める中国および香港の構成比は35.2%となった。中国および香港の構成比は、米国が対中追加関税を発動した2018年以降、減少傾向が顕著になっており、2017年比では6.0ポイント低下した。ASEAN(5.4%減)、日本(6.5%減)向けも減少となった。一方、米国は1.6%増、欧州は2.9%増となり、いずれも過去最高額を更新した。米国は2018年以降、輸出に占める構成比が増加しており、2023年は17.6%と2018年比で5.8ポイント上昇した。

輸入についても、主要国・地域で軒並み減少した。最大の輸入先である中国は16.4%減、香港は1.4%減、日本は18.8%減、ASEANは24.0%減、米国は11.1%減、欧州は8.8%減となった。

表2 台湾の主要国・地域別輸出入[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2022 2023年 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 335,847 290,435 67.2 △ 13.5 257,276 206,262 58.7 △ 19.8
階層レベル2の項目中国 121,093 95,733 22.1 △ 20.9 84,002 70,230 20.0 △ 16.4
階層レベル2の項目香港 64,782 56,515 13.1 △ 12.8 1,506 1,485 0.4 △ 1.4
階層レベル2の項目日本 33,609 31,436 7.3 △ 6.5 54,626 44,330 12.6 △ 18.8
階層レベル2の項目韓国 22,178 18,205 4.2 △ 17.9 34,261 28,418 8.1 △ 17.1
階層レベル2の項目ASEAN 80,609 76,274 17.6 △ 5.4 53,937 41,011 11.7 △ 24.0
階層レベル3の項目シンガポール 29,523 29,738 6.9 0.7 12,526 9,524 2.7 △ 24.0
階層レベル3の項目マレーシア 17,014 15,166 3.5 △ 10.9 13,549 9,685 2.8 △ 28.5
階層レベル3の項目ベトナム 14,574 11,725 2.7 △ 19.5 6,985 6,144 1.7 △ 12.0
階層レベル3の項目フィリピン 7,640 5,062 1.2 △ 33.7 3,081 2,348 0.7 △ 23.8
階層レベル3の項目タイ 7,550 10,859 2.5 43.8 6,291 5,380 1.5 △ 14.5
階層レベル3の項目インドネシア 3,215 3,010 0.7 △ 6.4 11,212 7,386 2.1 △ 34.1
階層レベル2の項目インド 5,319 6,010 1.4 13.0 3,141 2,211 0.6 △ 29.6
階層レベル2の項目オーストラリア 7,538 5,797 1.3 △ 23.1 24,642 17,504 5.0 △ 29.0
北米 78,354 78,869 18.2 0.7 48,235 42,649 12.1 △ 11.6
階層レベル2の項目米国 75,052 76,234 17.6 1.6 45,691 40,617 11.6 △ 11.1
欧州 41,099 42,284 9.8 2.9 51,072 46,572 13.3 △ 8.8
階層レベル2の項目EU 34,918 36,822 8.5 5.5 40,422 36,999 10.5 △ 8.5
階層レベル2の項目英国 4,051 3,626 0.8 △ 10.5 2,592 2,726 0.8 5.2
階層レベル2の項目ロシア 855 793 0.2 △ 7.2 4,925 4,273 1.2 △ 13.2
中南米 8,687 8,093 1.9 △ 6.8 9,028 8,194 2.3 △ 9.2
中東 6,474 5,902 1.4 △ 8.8 35,728 26,496 7.5 △ 25.8
アフリカ 3,025 1,941 0.4 △ 35.8 4,764 2,798 0.8 △ 41.3
合計(その他含む) 479,415 432,432 100 △ 9.8 428,083 351,441 100.0 △ 17.9

〔注〕アジア大洋州は、ASEAN10+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港を加えた合計値。
〔出所〕財政部統計処データベースより作成

半導体を中心とする電子部品の貿易が減速

輸出を商品別(注)にみると、構成比の約5割を占める電気機器および部品が、主要品目である集積回路(IC)など半導体の在庫調整継続などの影響により9.7%減となった。このほか、卑金属および同製品(22.0%減)、プラスチック・ゴムおよび同製品(23.3%減)をはじめ多くの主要品目が2桁減となった。

輸入は、半導体関連の設備投資減少などにより、構成比の約3割を占める電気機器および部品が15.9%減となった。その他、輸送機器(7.1%増)を除き、原油・鉱産物(26.6%減)、化学品(20.1%減)など軒並み減少した。

財政部は今後の見通しについて、インフレや利上げによる世界経済への影響や、地政学的衝突などの制約要因はあるものの、高性能コンピューティング(HPC)やデータセンター、人工知能(AI)、車載用電子機器などの新興・デジタル領域における需要は引き続き拡大しており、2024年の輸出は回復が続くと分析している。

(注)HSコード改正(HS2022)に伴い、2023年6月から「光学器材」に分類されていた輸出品目の一部が「情報通信機器」に分類された。また、「光学器材」の範囲が拡大され、「光学および精密機器」に名称変更された。

表3 台湾の主要品目別輸出入[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2022年 2023年 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械および電気機器 309,816 299,912 69.4 △ 3.2 192,339 157,113 44.7 △ 18.3
階層レベル2の項目電気機器および部品 246,679 222,656 51.5 △ 9.7 127,625 107,360 30.5 △ 15.9
階層レベル2の項目原子炉、ボイラー 63,137 77,256 17.9 22.4 64,714 49,752 14.2 △ 23.1
化学品 49,492 38,375 8.9 △ 22.5 46,680 37,287 10.6 △ 20.1
階層レベル2の項目プラスチック・ゴム 26,016 19,957 4.6 △ 23.3 10,655 8,597 2.4 △ 19.3
階層レベル2の項目化学工業品 23,476 18,418 4.3 △ 21.5 36,024 28,690 8.2 △ 20.4
卑金属および同製品 36,866 28,738 6.6 △ 22.0 28,127 22,806 6.5 △ 18.9
原油・鉱産物 19,745 14,621 3.4 △ 25.9 83,932 61,642 17.5 △ 26.6
精密・光学機器 16,832 13,237 3.1 △ 21.4 17,872 14,907 4.2 △ 16.6
輸送機器 16,629 12,440 2.9 △ 25.2 14,642 15,684 4.5 7.1
食料品 5,337 5,059 1.2 △ 5.2 18,448 17,142 4.9 △ 7.1
合計(その他含む) 479,415 432,432 100.0 △ 9.8 428,083 351,441 100.0 △ 17.9

〔注〕食料品はHS分類における第1~4部。
〔出所〕財政部統計処データベースより作成

通商政策 
対中依存の引き下げを目指し、輸出先の多角化に取り組む

両岸関係では、2023年4月12日に中国商務部は、台湾の中国に対する貿易制限措置について、貿易障壁調査を行うとする公告を発表した。同調査の対象範囲は2,509品目としたほか、海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)に基づき、台湾産品に対して行っている税制優遇措置の停止または一部停止の可能性については、同調査の状況を踏まえて、相応の措置を取ることを検討するとした。2023年12月15日には、中国商務部は台湾が実施している措置を「貿易障壁」と認定し、12月21日にECFAに基づいて台湾に対して実施している関税引き下げ措置をパラ-キシレン、プロペン、塩化ビニルなど12品目の石油化学品について停止すると発表した。これに加え、2024年5月30日には、石油化学品や紡績、鉄鋼、金属、輸送機器部品など134品目について、6月15日から関税引き下げ措置を停止するとした。

台湾経済部は中国の関税引き下げ措置停止に対し、大変遺憾としつつ、台湾の輸出総額に占めるECFA関連品目の対中輸出額の割合は徐々に減少しており、影響はコントロールできる範囲内と表明した。なお、2023年のECFA対象品目の輸出額は前年比23.0%減の158億ドルで、対中輸出に占める割合は16.5%であった。

このほか中国は2021年3月1日から台湾産パイナップルの輸入を有害生物の検出を理由に一時停止したほか、同年9月20日から台湾産果物のバンレイシ(釈迦頭)とレンブ(蓮霧)、2022年6月13日からは台湾産高級魚のハタの輸入を一時停止した。また、2022年8月3日からは台湾産かんきつ類、タチウオ、冷凍アジの輸入を一時停止していた。中国は2023年6月20日から台湾産バンレイシの条件付輸入を再開、同年12月22日から台湾産ハタの輸入を一部再開したが、台湾は中国に対し政治的操作をやめるよう対話を呼びかけている。これに加え、台湾農業部は中国市場への依存を避けるため、マレーシアやシンガポール、米国、日本など新たな市場の開拓を進めている。

台湾外交部は、2023年3月26日に中米のホンジュラス、2024年1月15日に大洋州地域のナウルと外交関係を終了したと発表した。両国とも台湾との断交後、中国との国交を樹立し、これにより、台湾との外交関係を持つ国は1978年の米国との断交以降最も少ない12カ国となった。

米国と台湾は2023年5月18日に「21世紀の貿易に関する米国・台湾イニシアチブ」の第1段階の合意を発表した。第1段階では、税関手続きと貿易の円滑化、良き規制慣行、サービスの国内規制、反腐敗、中小企業の5分野で合意に至った。米国在台湾協会(AIT)と駐米国台北経済文化代表処(TECRO)が6月1日に署名し、当該協定の実施法が6月21日、7月18日にそれぞれ米国の下院および上院により可決され、台湾では7月26日に立法院により可決された。8月7日にバイデン大統領が署名し、同法は成立した。第2段階として、農業、労働、環境、デジタル貿易、基準、国営企業および非市場的政策・慣行など、合意に至っていない7つの分野については引き続き協議が行われている。

環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)については、行政院が2021年9月23日に正式にCPTPPへの加入申請をしたと発表し、その後も加盟国の支持を得るための働きかけを継続して行っている。

対内・対外直接投資 
対内直接投資は前年比減、対外投資は前年比2.4倍

経済部投資審議司(以下、投資審議司)によると、2023年の対内直接投資(中国を除く、認可ベース)は、前年比15.4%減の112億5,477万ドルとなった。投資金額が最も大きかったのは、シンガポールの星展銀行(DBS Bank)が台湾子会社に16億6,881万ドルの増資を行った案件であった。欧米からの洋上風力関連の投資も前年に引き続き行われた。カナダのCDP Groupe Infrastructures、ドイツの雲林ホールディング(Yunlin Holding)、オランダのノースランド・パワー・ハイロン・ホールディングス(NP Hai Long Holdings)など、上位10件中6件が洋上風力関連だった。

業種別では、金融保険の構成比が47.6%で最大となったほか、次いでエネルギー・水供給14.0%、卸・小売り8.8%であった。中国からの直接投資は前年比23.3%減の2,969万ドルとなった。

表4 台湾の国・地域別対内・対外直接投資[認可ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 対内直接投資 対外直接投資
2022年 2023年 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 4,705 3,722 33.1 △ 20.9 6,781 6,988 29.6 3.1
階層レベル2の項目シンガポール 487 2,282 20.3 368.9 3,363 2,438 10.3 △ 27.5
階層レベル2の項目日本 1,699 620 5.5 △ 63.5 73 215 0.9 193.1
階層レベル2の項目香港 365 227 2.0 △ 37.8 238 242 1.0 1.7
階層レベル2の項目タイ 369 121 1.1 △ 67.3 275 928 3.9 237.2
階層レベル2の項目韓国 136 37 0.3 △ 72.7 467 404 1.7 △ 13.6
階層レベル2の項目インドネシア 29 3 0.0 △ 90.1 305 266 1.1 △ 12.7
階層レベル2の項目ベトナム 1 1 0.0 △ 21.6 549 1,033 4.4 88.2
階層レベル2の項目インド 1 4 0.0 330.7 109 163 0.7 50.1
階層レベル2の項目サモア 409 289 2.6 △ 29.3 229 424 1.8 84.8
階層レベル2の項目オーストラリア 1,144 14 0.1 △ 98.8 413 154 0.7 △ 62.8
欧州 5,375 4,082 0.3 △ 24.0 898 5,399 22.9 501.6
階層レベル2の項目ドイツ 100 1,553 13.8 1,446.0 268 3,911 16.6 1,357.9
階層レベル2の項目オランダ 903 856 7.6 △ 5.2 42 41 0.2 △ 1.2
階層レベル2の項目デンマーク 3,577 404 3.6 △ 88.7 3 1 0.0 △ 61.6
階層レベル2の項目ルクセンブルク 189 91 0.0 51.8 3 1 0.0 △ 50.9
階層レベル2の項目イタリア 1 7 0.0 940.0 236 194 0.8 △ 18.1
階層レベル2の項目英国 533 838 7.4 57.1 53 58 0.2 9.1
中南米 2,642 1,346 11.6 △ 49.1 1,133 1,398 5.9 23.4
階層レベル2の項目英領中南米地域 2,502 1,225 10.9 △ 51.0 947 1,276 5.4 34.6
北米 441 2,019 17.9 357.5 1,095 9,705 41.2 786.3
階層レベル2の項目カナダ 43 1,086 9.6 2,454.2 6 15 0.1 139.8
階層レベル2の項目米国 399 933 8.3 134.0 1,089 9,690 41.1 790.0
アフリカ 140 86 0.8 △ 38.6 56 86 0.4 53.5
合計(その他含む) 13,303 11,255 100.0 △ 15.4 9,962 23,577 100.0 136.7
中国 39 30 △ 23.3 5,047 3,037 △ 39.8

〔注〕合計に中国は含まない。中国を含めた2023年の合計は112億8,446万ドル(対内)、266億1,406万ドル(対外)。地域分類は経済部投資審議委員会の定義に基づく。
〔出所〕経済部投資審議委員会発表資料より作成

表5 台湾の業種別対内・対外直接投資[認可ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 対内直接投資 対外直接投資
2022年 2023年 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
鉱業 △ 100.0 848 100 0.4 △ 88.2
製造業 2,291 1,386 12.3 △ 39.5 3,492 16,027 68.0 359.0
階層レベル2の項目電気・電子 678 523 4.6 △ 22.9 1,918 14,238 60.4 642.3
階層レベル2の項目金属 48 263 2.3 447.6 562 434 1.8 △ 22.8
階層レベル2の項目機械 973 216 1.9 △ 77.8 61 83 0.4 36.7
階層レベル2の項目化学・薬品 300 107 1.0 △ 64.3 242 441 1.9 82.0
階層レベル2の項目輸送機器 139 52 0.5 △ 62.3 221 154 0.7 △ 30.2
階層レベル2の項目食品・飲料・タバコ 13 37 0.3 189.5 37 33 0.1 △ 11.4
階層レベル2の項目繊維・アパレル 25 18 0.2 △ 26.3 215 121 0.5 △ 43.6
階層レベル2の項目ゴム・プラスチック 22 14 0.1 △ 35.3 103 323 1.4 213.9
階層レベル2の項目木材・製紙 7 5 0.0 △ 32.7 89 70 0.3 △ 21.3
階層レベル2の項目プリンター・複合機 9 0 △ 94.7 1 0.0 全減
金融・保険 5,539 5,359 47.6 △ 3.2 2,355 4,860 20.6 106.3
エネルギー・水供給 1,893 1,571 14.0 △ 17.0 2 39 0.2 2,016.2
卸・小売り 1,885 989 8.8 △ 47.5 1,108 1,759 7.5 58.8
専門・科学・技術サービス 497 735 6.5 47.8 133 80 0.3 △ 39.6
情報通信 494 704 6.3 42.6 108 106 0.5 △ 17.0
不動産 366 238 2.1 △ 35.0 33 285 1.2 765.3
建設 84 65 0.6 △ 22.4 15 130 0.6 759.3
運輸・倉庫 64 57 0.5 △ 10.3 1,807 35 0.1 △ 98.1
宿泊・飲食 75 27 0.2 △ 64.0 6 7 0.0 15.4
合計(その他含む) 13,303 11,255 100.0 △ 15.4 9,962 23,577 100.0 136.7

〔注〕中国は含まない。
〔出所〕 経済部投資審議委員会発表資料より作成

表6 台湾の主な対内直接投資案件(2023年)(単位:万ドル)
業種 企業名 国籍 時期 投資額 概要
金融 星展銀行(DBS Bank) シンガポール 5月 166,881 星展(台湾)商業銀行への増資により、融資や外為等各種金融業務を実施。
電力 CDP Groupe Infrastructures カナダ 11月 101,678 風力発電関連の投資を行う台湾辰星控股への貸付・投資。
電力 雲林ホールディング(Yunlin Holding) ドイツ 3月 93,797 允能風力發電への増資。
電力 雲林ホールディング(Yunlin Holding) ドイツ 11月 57,714 允能風力發電への増資。
ソフトウエア マイクロソフト 米国 4月 43,000 台湾マイクロソフトへの増資。
電力 オーステッド・ウインド・パワー・TWホールディング(Orsted Wind Power TW Holding) デンマーク 5月 38,511 風力発電関連の投資業務を行う沃旭西北大彰化控股の設立、大彰化西北控股への投資。
電気・電子 ASML オランダ 8月 33,101 ウェハー生産設備の生産および技術サポートを行う台湾ASMLに増資。
電力 Totalenergies Renewables、OSW Investments Taiwan JVCO 2 フランス、英国 11月 32,291 風力発電関連の投資業務を行う海鼎二国際投資への増資。
電力 ノースランド・パワー・ハイロン・ホールディングス(NP Hai Long Holdings) オランダ 7月 26,002 風力発電関連の投資を行う海龍控股への増資。
保険 東京海上日動火災保険 日本 5月 19,323 子会社の新安東京海上産物保険への増資。

〔注〕 (1)1台湾元=0.032ドル、1ユーロ=1.07ドルで換算。(2)投資額は経済部投資審議委員会への申請ベース。
〔出所〕経済部投資審議委員会発表資料より作成

2023年の台湾の対外直接投資(認可ベース、中国除く)は前年比2.4倍の235億7,724万ドルだった。国別に金額をみると、1位は米国向け96億9,003万ドル(構成比41.1%)、2位はドイツ向け39億1,065万ドル(16.6%)、3位がシンガポール向け24億3,756万ドル(10.3%)となった。米国、ドイツ向けは台湾積体電路製造(TSMC)の大型投資が牽引した。TSMCはTSMCアリゾナ向けに80億ドルの増資を行ったほか、ドイツに設立する合弁会社ヨーロピアン・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(ESMC)向けに35億ユーロの投資を行った。シンガポール向けでは、陽明海運(Yang Ming Marine Transport)が子会社のヤンミンライン(シンガポール)〔Yang Ming Line(Singapore)〕に8億ドルの大型投資を行ったほか、鴻海精密工業が子会社のフォックスコン・シンガポール(Foxconn Singapore)に合計約8億ドルを増資し、インド法人などに再投資する案件があった。

中国への投資は、前年比39.8%減の30億3,681万ドルであった。台湾の対外投資は1993年に対中直接投資が解禁されて以来、2022年まで30年間は中国向けが首位だったが、ピーク時の2010年に83.8%を占めていた構成比は減少が続き、2023年は11.4%まで低下した。

表7 台湾の主な対外直接投資案件(2023年)(単位:万ドル)
業種 企業名 投資国・地域 時期 投資額 概要
電気・電子 台湾積体電路製造(TSMC) 米国 9月 450,000 TSMCアリゾナへの増資。
電気・電子 台湾積体電路製造(TSMC) ドイツ 10月 374,500 合弁会社ヨーロピアン・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー (ESMC) への投資。
電気・電子 台湾積体電路製造(TSMC) 米国 3月 350,000 TSMCアリゾナへの増資。
海運 陽明海運(Yang Ming Marine Transport) シンガポール 9月 80,000 ヤンミンライン(シンガポール)(Yang Ming Line(Singapore))への増資。
電気・電子 国巨(YAGEO) フランス 2月 71,700 シュナイダーエレクトリック(SCHNEIDER ELECTRIC)を通じて、傘下のハドソン・フランス(HUDSON FRANCE)の株式を取得。
電気・電子 康舒科技、康躍科技 米国 5月 55,000 AcLeap Power (USA)を通じて、傘下のABBのアダプタ部門Lineage Power Holdingsの株式を100%取得。
電気・電子 鴻海精密工業 シンガポール、
インド
3月 50,000 フォックスコン・シンガポール(Foxconn Singapore)への増資を通じて、フォックスコン・ホンハイ・テクノロジー・インディア・メガ・デベロップメント(Foxconn Hon Hai Technology India Mega Development)に再投資。
保険 富邦人寿保険 英領ケイマン諸島 7月 50,000 FWDグループ ホールディングス(FWD Group Holdings)への投資。

〔注〕 (1)1ユーロ=1.07米ドルで換算。投資額は経済部投資審議委員会への申請ベース。
〔出所〕経済部投資審議委員会発表資料より作成

対日関係 
半導体関連の減速により対日貿易も輸出入ともにマイナス

台湾の通関統計によると、2023年の台湾の対日輸出は前年比6.5%減の314億3,616万ドルとなった。品目別にみると、68.6%の構成比を占める機械および電気機器が1.5%減、次いで卑金属および同製品が14.0%減、プラスチック・ゴムおよび同製品が15.7%減、化学工業品が24.1%減と主要品目は軒並み減少した。

対日輸入も前年比18.8%減の443億3,004万ドルとマイナスとなった。輸出同様、機械および電子機器(25.8%減)、化学工業品(16.4%減)など、主要品目が軒並み減少した。

対日輸入において、台湾の原子力委員会は8月24日、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出を受け、台湾の周辺海域の海水と水産品などに対するモニタリングの強化を継続すると発表した。その後も定期的にモニタリングの基準値と検査結果を公表している。

表8 台湾の対日主要品目別輸出入[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2022年 2023年 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械および電気機器 21,897 21,572 68.6 △ 1.5 25,794 19,148 43.2 △ 25.8
階層レベル2の項目電子部品 16,242 16,051 51.1 △ 1.2 11,682 9,011 20.3 △ 22.9
階層レベル2の項目情報通信機器 2,924 2,624 8.3 △ 10.2 454 464 1.0 2.3
階層レベル2の項目一般機器 1,826 1,996 6.4 9.3 11,289 7,726 17.4 △ 31.6
階層レベル2の項目電子機器 860 860 2.7 △ 0.1 2,045 1,653 3.7 △ 19.2
卑金属および同製品 2,922 2,512 8.0 △ 14.0 5,573 4,529 10.2 △ 18.7
プラスチック・ゴムおよび同製品 1,998 1,684 5.4 △ 15.7 3,123 2,542 5.7 △ 18.6
化学工業品 1,882 1,429 4.5 △ 24.1 8,378 7,003 15.8 △ 16.4
精密・光学機器 1,035 1,058 3.4 2.3 3,463 2,655 6.0 △ 23.3
食料品 856 712 2.3 △ 16.8 1,025 1,003 2.3 △ 2.1
鉱物品 578 426 1.4 △ 26.2 606 468 1.1 △ 22.7
輸送機器 521 484 1.5 △ 7.1 3,259 3,765 8.5 15.5
繊維製品 325 279 0.9 △ 14.2 181 176 0.4 △ 3.0
合計(その他含む) 33,609 31,436 100.0 △ 6.5 54,626 44,330 100.0 △ 18.8

〔注〕食料品は、酒・たばこを含む。
〔出所〕 財政部統計処データベースより作成

日本の対台湾投資は前年比減、台湾の対日投資は大幅増

投資審議司によると、2023年の日本からの対台湾直接投資は前年比63.5%減の6億2,017万ドル、件数は216件であった。大型案件としては、東京海上日動火災保険による新安東京海上産物保険(Tokio Marine Newa Insurance)への増資や、日東紡績の福隆玻璃纖維(NITTOBO ASCO Glass Fiber)への増資などがあった。

対日直接投資は前年比2.9倍の2億1,480万ドル、件数は45件であった。大型案件としては、製薬会社の薬華医薬(Pharmaessentia)による日本子会社のファーマエッセンシアジャパン(PharmaEssentia Japan)に対する増資があった。

今後の見通しとしては、半導体関連の対日投資が期待される。2024年2月にはTSMCが熊本の第2工場建設を発表した。2024年下半期に着工し、2027年の生産開始を目指すとした。このほか、2023年10月に力晶積成電子製造(PSMC)とSBIホールディングスが準備会社として設立したJSMCの宮城県黒川郡大衡村に建設予定の工場について、第1期は2024年後半~2025年初に着工の見通しという。

基礎的経済指標

(△はマイナス値)
項目 単位 2021年 2022年 2023年
実質GDP成長率 (%) 6.6 2.6 1.3
消費者物価上昇率 (%) 2.0 3.0 2.5
失業率 (%) 4.0 3.7 3.5
貿易収支 (100万米ドル) 87,963 68,238 95,859
経常収支 (100万米ドル) 118,298 100,926 105,329
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 548,408 554,932 570,595
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 213,592 202,146 206,499
為替レート (1米ドルにつき、台湾元、期中平均) 28.0 29.8 31.2


貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
出所
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率:行政院主計総処
貿易収支、経常収支、対外債務残高(グロス):中央銀行