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台北における住宅事情 -台北郊外であってもマイホームを持ちたい

2013年8月

台湾には「有人斯有土、有土斯有財」ということばがあり、一般的に家を構えることは財を築くことと同じだと認識されているため、台湾人の不動産購買意欲は非常に高い。他方、往復通勤時間が3時間以上かかっても構わないと考える台湾人は稀であり、マイホームを購入するとなるとMRTに近く通勤に便利な地域を優先的に考える人が大多数を占める。しかし、近年では、台北市内の不動産価格は高騰しており、台北市内に居を構えるのは一般のサラリーマンには難しくなっている。最近の台北市およびその近郊の不動産事情および若い世代の住宅購買傾向を探った。

2013年に入り、ある不動産会社の経営者が、大台北地区(台北市およびそれを取り囲む新北市、基隆市を合わせた地区)を不動産の価格別に卵黄、卵白そして卵殻に例えてみせた。卵黄とは、台北市の12の行政区のうち交通の要所となる台北駅がある中正区、高級ホテルやブティックショップが立ち並ぶ中山区、101がそびえ立つ信義区、富裕層が多く居住する大安区、そして住宅地と商業地が混在する松山区の5つのエリアを指す。卵白はそれら以外の7つの行政区を指し、卵殻は台北市を囲む新北市エリアを指している(図)(※1)。ちなみに、台湾の市の中で最も人口が多いのは新北市である。

(※1)卵黄地域:高層ビルや商業施設が立ち並び、交通網が発達し、不動産価格が特に高いのが特徴。卵白地域:交通の便がよく、都市機能が整っている。卵殻地域:郊外にあたり、交通がやや不便ではあるものの、近年都市開発が進んでいる地域。

図:卵黄・卵白・卵殻エリア

大台北地区の卵黄・卵白地域では、一部の投資家等が投機的な不動産売買を行っていることもあり、地価上昇が続いているようだ。台湾政府はぜいたく税を導入し不動産価格の上昇を抑えようとしているが、現在のところあまり奏功しているようには見えない。このため、住宅購入を考えている者の多くは、台北市から離れた卵殻地域にあたるベッドタウンにマイホームを購入することを余儀なくされている。淡海ニュータウンもその一つである。
淡海ニュータウンは新北市淡水区に位置しており、ここ数年開発が進んでいる。この地域を台北市内のMRTと結ぶライトレールの着工も決定した。ライトレールが人口増加の起爆剤になると考えられており、将来的には淡海ニュータウンは人口30万人規模の都市になると期待されている。また、それを見込んだ商業施設等の建設ラッシュも続いている。「カルフール」と「ニトリ」の淡海店が2013年4月末にオープンし、毎日多くの客で賑わっている。来店者の多くは、当該区域で生活する新婚夫婦や核家族の人々のようだ。

この地域は、不動産事業者や投資家からも注目されており、予約販売のマンション物件が続々と出てきている。主流は900万台湾元から1,000万台湾元前後のマンションであり、台北市内のマンション価格(表1、2)と比較すると割安ではあるが、台湾の一般のサラリーマンの賃金を考えると、決して安くはない(※2)。さらに、2012年の給与水準が十数年前のそれよりも下回るとテレビでは報道されており、淡海ニュータウンでマイホームを手に入れることも簡単ではないことがわかる。

(※2)一人あたりの台湾の平均年収は52.5万台湾元(2012年)であり、2011年台北市と新北市の世帯年収は、それぞれ153.8万台湾元、111.6万台湾元となっている。(参考データ:行政院主計総処)

さて、台湾の物件情報を見る際には、一つ注意すべき点がある。それは面積だ。たとえば3LDKで「50坪」と表示されていても、これにはマンション内における廊下やジムおよびプール等の娯楽施設等の共有スペースを部屋数で割った面積も含まれている(※3)。最近では、マンション内で共有スペースの面積はますます拡大しており、全体の35~40%を占める物件が主流になりつつある。これは、実際の居住スペースが狭くなっていることを意味する。しかも、車庫付きで販売している物件の場合、居住スペースが全体の半分にも満たないことも珍しくない。

(※3)1坪=3.3058平方メートル

台湾の中央銀行が2013年5月27日に発表した統計によると、4月に住宅の購入資金として銀行が融資した金額は前月比132.18億台湾元増加した。そのうちの99億台湾元は若い世帯向けの融資であり、借り手の大半は初めて住宅を購入した者である。前述のカルフールやニトリ淡海店に来店する若い夫婦は、いったい世帯年収の何倍の住宅ローンを組んでいるのか。不動産市場が高騰を続ける中、今の若い世代の不動産購買嗜好は、たとえ台北市中心から離れた郊外の卵殻地域であっても、そこでマイホームを手に入れたいという風に変わってきているようである。

表1:台北市(卵黄地域)における住宅マンションの平均取引額 (2013年第1四半期)
1坪あたりの価格
(万元)
マンション1戸の価格
(50坪の場合/万元)
中正区 73.3 3665
中山区 59.0 2950
信義区 73.1 3655
大安区 129.5 6475
松山区 63.9 3195
表2:新北市(中心地)における住宅マンションの平均取引額 (2013年第1四半期)
1坪あたりの価格
(万元)
マンション1戸の価格
(50坪の場合/万元)
板橋区 38.5 1925
三重区 36.8 1840
永和区 43.7 2185
中和区 36.8 1840
表3:淡海ニュータウンの予約販売マンションの平均取引額 (2012年)
1坪あたりの価格
(万元)
マンション1戸の価格
(50坪の場合/万元)
新市段51-100地号 19.7 985

※表1、表2、表3には、車庫の面積および価格は含まれていないため、車庫料金は別途発生。

出典:內政部不動產交易實價查詢服務網

(台北 黄俊福)

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