関税制度
最終更新日:2024年01月10日
管轄官庁
財務省関税局(Customs Department, Ministry of Finance)
財務省関税局ウェブサイト(Customs Department, Ministry of Finance:英語)(タイ語)
関税率問い合わせ先
財務省関税局
財務省関税局(Customs Department, Ministry of Finance:英語)(タイ語)
所在地:1 Soontornkosa Road, Klongtoey, Bangkok 10110
Tel:0-2667-6000, 0-2667-7000(関税ケアセンター(24時間対応)1164)
E-mail:1164@customs.go.th
関税体系
一般税率、ASEAN共通効果特恵関税(CEPT)税率、自由貿易協定(FTA)の適用税率、一般特恵関税制度(GSP)税率、世界的貿易特恵関税制度(GSTP)税率
品目分類
タイの現在の関税品目表はWCO(世界関税機構) Harmonized Commodity Description and Coding(Harmonized System:HS)協定に基づいている。
この関税分類の統一は、関税法令B.E.2530に基づいて行われ、1988年1月1日に施行された。2012年1月1日以降、新関税番号(WCO HS2007)の導入により10桁の関税番号[HS2012(6桁)+AHTN2012(2桁)+税率表示番号(2桁)]に変更。2017年1月以降、AHTN2012に代わり、AHTN2017が適用された。そして、2022年1月1日からは、AHTN2022が利用されている。また、JTEPAに適用されているHSコードは、2021年7月5日に行われた日タイ両国の同意により、2022年1月1日よりHS2002からHS2017に切り替えられた。
関税の種類
大部分の品目には従価税が課せられるが、一部の品目には従量税が課せられる。
課税基準
CIF価格
対日輸入適用税率
一般税率。ただし、「経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定(JTEPA)」もしくは「日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)」に基づく原産地規則を満たせば、それら協定のタイ国譲許表に定める条件に従って関税を撤廃、または引き下げる。
特恵等特別措置
ASEAN物品貿易協定(ATIGA)、自由貿易協定(FTA)の適用税率、一般特恵関税制度(GSP)、世界的貿易特恵関税制度(GSTP)、ASEAN特恵統合システム(AISP)の適用税率
- ASEAN物品貿易協定(ATIGA)
ASEAN域内の関税率は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイの先行加盟6カ国が、2010年1月1日付で、一部例外を除く原則すべての品目について実施済み。ASEAN後発加盟国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)は、2015年1月1日付で、一部例外(全品目の7%まで)を除く品目について関税を撤廃。残る品目の関税撤廃についても、2018年1月1日に撤廃された。 - 自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)
- 二国間FTA
日本(2007年11月発効)のほか、オーストラリア、ニュージーランド、ペルー、チリとの間で締結、発効済。また、インドとのFTAは、2006年9月より、アーリーハーベストとして83品目の関税を先行して引き下げている。対象品目はマンゴスチン、ドリアン、竜眼など熱帯果実、シーフード缶詰、ポリカーボネートなどの石化製品、扇風機、エアコン、冷蔵庫、テレビなどの家電製品、自動車部品など幅広い分野にわたる。なお、日本とのFTA(JTEPA)は付属書2および運用上の手続き規則が改正され、2022年1月1日から発効した。詳細は次を参照。
2021年7月9日付ジェトロの記事「日タイ経済連携協定(JTEPA)が改正、品目別規則がアップデート」
2021年12月3日付ジェトロの記事「日商がJTEPA改正に伴う手続き変更を周知、2022年からPDF発給に」 - 多国間FTA
ASEAN加盟国として、日本、中国、インド、韓国、オーストラリア・ニュージーランドとのFTAが発効し、香港とのFTA(物品貿易協定(AHKFTA)および投資協定(AHKIA))は順次2019年6月11日および2019年6月17日に発効。 - 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
ASEAN、日本、中国、韓国、オーストラリアおよびニュージーランドの計15カ国が参加する経済連携協定として、2020年11月15日に各国が署名し、2022年1月1日に発効(ただし、韓国では2022年2月1日、マレーシアでは2022年3月18日、インドネシアでは2023年1月2日、フィリピンでは2023年6月2日発効)。発効時点で、RCEPに基づいて、タイは日本に対し総品目のうち66.3%について関税を撤廃。
- 二国間FTA
- 一般特恵関税制度(GSP)
GSPにより、先進国を中心とした特恵供与国(3カ国)へのタイ原産の特定輸出製品の関税率が軽減または免除されている。
EU、カナダおよびトルコについては、2015年1月より、GSPの適用対象国からタイを除外。また日本は、2019年4月よりタイを除外。さらにロシアを含むユーラシア経済連合(EAEU)は、2021年10月12日よりタイを除外。現在、次の3カ国が、タイに対して一般特恵関税を供与している。
ノルウェー、スイス、米国。ただし、米国によるタイに対するGSP供与は、2020年4月25日から573品目につき除外されている。さらに、231品目につき2020年12月30日から除外された。
- 世界的貿易特恵関税制度(GSTP)
GSTPは、発展途上国間で特恵的な取引を提供することによる貿易の促進のための経済協力である。GSTPは、77カ国の発展途上国(G-77)によって1964年6月15日に創設された。1988年4月に、G-77のうちタイを含む48カ国がGSTP協定に調印。農産物、工業製品1,626品目が対象。GSTPによる関税引き下げ幅(特恵マージン)は2.5~100%。 - ASEAN特恵統合システム(AISP)
ASEAN内の先進6カ国が、後発4カ国(CLMV=カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)からの輸入に対して特恵関税を与えるスキーム。6カ国が独自に、CLMVそれぞれに対して、品目ごとに特恵関税を与えている。
関連法
関税法B.E.2560(2017年)およびその関税率布告
関税以外の諸税
付加価値税(VAT)、個別物品税
- 付加価値税(VAT)
原則として、すべての財貨・サービスに対して7%の付加価値税が課せられる。 - 個別物品税
タバコ、石油製品、清涼飲料、車など、特定の物品の製造者または輸入者に課税される。税率は、品目によって異なる。
その他
輸出を振興するタイ関税局の様々な措置の中で、優遇税制措置は、生産原価を減少させ、かつ輸出者の競争上の優位性を高めるために広く利用されている。優遇税制措置は、各管轄機関により優遇内容が異なる。
これまでに実行された重要な措置は、次のとおり。後述の1.~3.の措置は、タイ関税局の直接責任において税の払戻しおよび免税がなされる。4.と5.の措置は、タイ工業団地公社(IEAT)およびタイ投資委員会(BOI)事務局の管轄の下に行われる。関税局は、輸出入の形式的手続きにかかわるだけである。
- 関税法B.E.2560(2017)29条、30条による輸出のための部品・素材輸入関税の払戻し
2017年の関税法B.E.2560第29条、30条に基づく払戻しは、輸入品に関して支払済みの輸入税を還付するもので、輸入の日付から1年以内に、製造、混合、組み立てまたは梱包を経て輸出されたものに対して行われる。輸入業者は、輸入税を支払う代わりに、銀行保証または財務省によって発行された保証を提出してもよい。製造された製品を輸出した後に、払戻しの手続きが行われる。利用者は、税関への登録をあらかじめ要する。 - 保税倉庫スキームに基づき保管された物品に対する関税の減免
保税倉庫スキームに基づき、再輸出の目的で保税倉庫に保管された輸入品は、輸入された状態のままで輸出されるか、あるいは他の製品として製造、混合、組み立てがなされた上で輸出されるかに関わらず、輸入/輸出税および関税の支払いを免除されるものとする。 - フリーゾーン(FZ)へ持ち込まれた物品に対する免税
FZは、産業活動、商業活動または経済成長や経済発展にかかわるその他の活動のために指定された地域である。FZに持ち込まれる生産のための工場建屋建設資材、生産用機械設備、生産用原材料・部品の輸入関税が免除される。 - タイ工業団地公社(IEAT)フリーゾーンへ持ち込まれた物品に対する免税
IEATフリーゾーン(注)は、製品の輸出を目的とする産業活動、貿易またはサービス活動に対して、またはそれに関連する活動に対して便宜を図るために指定された地域である。生産のための工場建屋建設資材、生産用機械設備、生産用原材料・部品の輸入関税が免除される。
(注)IEATフリーゾーン:従来、輸出加工区(EPZ)と呼ばれていたもので、2008年IEAT法改正により名称が変更となった。 - タイ投資委員会(BOI)スキームに基づく輸出用製品製造のための原材料・資材輸入関税に対する免税
BOI奨励企業は、所定の手続きにより、輸出生産用の原材料・資材の輸入関税が免除される。生産用機械設備についても、輸入関税が免除される。