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外食産業の動向 ‐ タイ・バンコクにラーメンブーム到来

2011年1月
分野:食品・農林水産物

タイ・バンコクで日本のラーメンがブームになっている。従来からタイでは小麦麺を使ったバミーが食べられているが、日本の「ラーメン」はタイ語でもバミーではなく、そのまま「ラーメン」と呼ばれている。タイでは小麦麺を使った日本の「ラーメン」はバミーと区別されていることに加え、中国由来の小麦麺ではなく、日本料理の一種と認識されているのである。

ラーメンは日本人駐在員からタイ人消費者のものに

タイで日本のラーメン店がオープンしたのは、数十年前のことである。当時、ラーメン店の客は日本人駐在員がメインで、タイ人客はごく一部だった。現在では、バンコクの人気ラーメン店の客の8割以上がタイ人客である。

現在タイには、日本の有名ラーメン店チェーンがこぞって出店している。既にタイ国内に90近くの支店を持つ「八番ラーメン」(本店石川県)、筑豊ラーメン「山小屋」、長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」、「桂花ラーメン」、「ばんからラーメン」など、既に150以上のラーメン店がしのぎを削っている。

テレビ番組がきっかけのラーメンブーム

タイでラーメンがブームになったきっかけは、テレビ東京のバラエティー番組「TVチャンピオン」がタイで放送され、同番組を通じてラーメンへの関心が高まったことが一因と言われている。

このように多くのラーメン店がある中、さらにブームに火をつけたのは、バンコクでも日本人など外国人が住む高級住宅外スクンビット通りソイ・エカマイに2010年11月末にオープンしたラーメン店街「らーめんチャンピオンズ」である。出店しているのは東京の「初代けいすけ」、「東京・せたが屋」、豚骨つけ麺の「めん徳二代目つじ田」、「支那そば・きび」、つけ麺「東京池袋・大勝軒」、長野県の「助屋」と「吟屋」のコラボ店「助屋×吟屋」の全6軒、すべて有名店ばかりである。

「らーめんチャンピオンズ」のコンセプト

この「らーめんチャンピオンズ」をプロデュースし、タイ側の株主となっているのが、オイシ・グループの元社長タン・パーサゴーンナティー氏である。同氏は1999年にオイシ・レストランを創業し、タイにおける日本食ブームの火付け役ともいわれている。2010年9月にオイシ・グループのCEOから退き、現在は新たに設立した「マイタン株式会社」の代表取締役社長を務めている。

タン氏は、「タイで日本のラーメンを食べられる場所を作りたいと考えたことが『らーめんチャンピオンズ』のコンセプトになった」という。また「一店だけではつまらない。たくさんある店の中から自分で選んで食べ歩きたい」という思いもラーメン街を作ることにつながった。味は一切調整していないという。その理由を聞くと「タイ人は10年程前から日本料理を食べるようになった。初めのうちはタイ人好みに味を調整する必要があったが、今はタイ人消費者が日本オリジナルの味を求めている」とのことだった。ただ、タイ人にとって日本のラーメンは器が大きすぎるらしく、食べきれない人が多いという(タイのバミーは日本のラーメンの半分程度の量しかない)。そのため「タイ人のために小さめのサイズを増やすことを検討している」とのことだった。

タイ人消費者の価格感

「らーめんチャンピオンズ」で食べるラーメンの価格は決して安くない。タイの庶民的なラーメンは一杯20バーツ程度であるのに対して、「らーめんチャンピオンズ」の平均的な価格は1杯200~250バーツだという。タイ人消費者はこの価格を高いと思わないのかと質問をした。「飛行機に乗って日本に食べに行くよりはずっと安い。麺やスープを日本から持って来ているのでこれ以上安くはできない。」というのがタン氏の回答である。ただ、同氏は「2011年中にバンコク市内のスクンビット通りソイ22に同様のラーメン街をもう1カ所、そして2012年にはタイ第2の都市であるチェンマイに『らーめんチャンピオンズ』を出店する」という。同氏は「タイ国内で麺やスープを生産し、チェンマイに支店を出す頃には一杯120~150バーツにまで価格を引き下げることができると考えている」とのこと。「最終的にはタイ国内で5カ所の『らーめんチャンピオンズ』を出店する計画をもっている」とのことだった。

日本料理ブームの理由、そして今後の傾向

タイにはイタリアン、韓国料理、中華料理など多様な料理店がありながら、とりわけ日本食が継続的にタイ人消費者から支持を得ている理由をタン社長に尋ねてみた。

「日本料理はバラエティーに富んでおり、見た目も美しい。そしてタイ人は日本食がヘルシーというイメージを持っている点が大きな理由だ。10年前は日本食レストランでは一般的な日本料理がすべてカバーされ提供されるスタイルが主流だった。現在のタイ人消費者は、よりおいしいラーメン、とんかつ、鰻丼を食べられる専門店を求めている。今後はとんかつ、天ぷら、鰻丼、お好み焼きなど、日本のオリジナルの味を提供できる専門店が増えていくだろう」

タン社長の考えに従えば、今後タイ人消費者に求められているのは、より日本オリジナルな味に近い専門料理店である。タイにはまだ出店していない日本料理のメニューは数多くある。その中でタイ人の嗜好にあるものが何であるのか、またそれをどのように提供すれば、タイ人消費者は関心を持つのか。戦略を立てるのは決して簡単ではない。しかし、タイで日本食ブームを起こし、緑茶飲料をヒットさせた実績を持つタイの日本食業界第一人者から「タイで日本食はまだ売れる余地がある」と断言されたことは、日本食の普及を進める上で心強い。

(バンコク・センター)