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市場・トレンド情報

円高の影響少ないタイの食品市場

2010年12月
分野:食品・農林水産物

タイの日系食品メーカーや日本食レストランでは、原材料や食材の多くをタイ国内から調達しているため、円高の影響は限定的である。また日本産農水産物・食品の輸入にかかわる業者は、タイのバーツも対ドルで強いため円高の影響は総体的にそれほど大きくないと語る。日本向け冷凍食品の輸出にとって円高はむしろプラスだ。プレミアムのついた日本産果実などは、円高でもタイ人富裕層を中心に根強い人気を維持している。

日系食品メーカーや日本食レストランへの影響は限定的

タイでは、豊富で安価な農水産物が入手可能なため、国際的な食料供給基地としての地位が既に確立されており、これら農水産物を調達し、同製品をタイ国内で販売、もしくは日本などに輸出している日系食品メーカーが多く存在する。こうした日系食品メーカーにとって円高の影響はほとんどないか、もしくは日本への輸出では逆に利益も生じているという。あるメーカーの現地法人は、「タイ国内で製造したもののうち内販に回すものについては、当然円高の影響はない。日本に輸出している冷凍食品などは、円高でむしろ日本側が安く購入できるためプラスの効果も生じている。影響があるとすれば、タイでの売上や利益の一定割合に課されるロイヤリティーや配当金くらいだ」と語る。

また、食材の多くを、タイ産の農水産物や日系食品メーカーの現地生産品で賄っている日本食レストランも、円高の影響は限定的である。バンコク市内にある老舗の高級日本料理店は「たらばがになどの高級食材を日本の業者に委託して築地市場で買い付けてもらうような場合には、円決済のため影響が大きい。ただ、輸入業者から日本食材をこれまで通りの値段で仕入れているので、円高の影響は余り受けていない」と語る。

日本からの水産物、加工食品には一部大きな影響も

一方、在タイ日系水産物輸出入業者に話によると、2010年度は、いか、さんま、秋さけ等の不漁による供給不足が起き、円高の影響よりもその影響の方が強く価格を押し上げているという。刺身用のまぐろは、日本の相場がタイトになったところに円高が加わったダブルパンチで、タイで漁獲されたまぐろとの価格差が広がっているという。

また、一般的に加工食品はタイ輸入時の関税率が高い(平均20~30%)ため、円高の場合はその跳ね返り分も大きくなる。よって同社は、切り詰められる経費は極力抑えているという。それでも自助努力で抑えきれないものに関しては顧客に理解を求め、価格改定の可能なものから売価を引き上げて行く方針。そして顧客の理解が得られない場合、あるいは今以上の円高になるようであれば、他産地の商品への切り替えを検討する、としている。

一方、ツナ缶用のまぐろ原料は、円高にもかかわらず日本からの輸入が堅調か増加傾向にあるという。これは同品目が国際商品のため通常米ドル建ての取引となっているためで、2010年度は、前年度と比べて輸入が伸びているそうだ。

さらに同社によると、さばについては、従来の主力であるノルウェー産の価格が高く、また流通量も少ないため、既に日本産への切り替えが一部で起きているという。

輸入業者の円高に対する見方、分かれる

日本産の農水産物や食品を輸入する際、円からバーツに換算した金額に関税がかけられるため、円高のときはコスト高になる。酒類のように、CIF(運賃・保険料込み)価格をもとに関税のみならず物品税などが課せられる品目では、価格上昇の影響はより増幅される。しかしながら、最近タイバーツも高いので円高が相殺され、結果的に大きな影響は出ていないというのが多くの輸入業者のコメントである。

ただ「日本から輸入する全ての品目で円高の影響を受けている。円とバーツの相場がわずかに動くだけでも大きな違いだ。円が安くなってくれるよう祈るだけ」と語る日系の輸入業者もいるため、食品市場全体を総合的にコメントすることは率直に言って難しい。

日本産果実などに対する人気は堅調

こうしたなか、プレミアムのついた日本産果実は、タイ人富裕層を中心に根強い人気を博している。

10月下旬に日系大手デパートの食品売場で実施された「九州・沖縄物産展」では、大分県の特産品である大玉の「日田梨」の販売が行われ、1個350バーツ(約1,000円)という高価格にもかかわらず、100個以上が4日で完売した。このように、プレミアムのついた日本産果実については、高価であっても高品質であれば、タイ人富裕層には受け入れられる傾向がうかがえる。

また、日本産スィーツの人気も堅調である。ある日系輸出入商社によれば「タイの消費が伸びているためか、日本から輸入した菓子も全体的に売上げが伸びている。ある生チョコレートは売上げが前年比10%以上、増加した」とのことである。

このようにタイでは、品目によっては、円高であってもタイ富裕層をターゲットにした日本産農水産物・食品の売上げは好調で、輸出促進の余地はまだまだ残されていると言える。

図:バーツ/主要通貨の比較

出所:タイ中央銀行

(バンコク・センター)