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市場・トレンド情報

日本産品および日系企業現地生産品 小売での販売動向
日本食を自宅で調理する人が増加‐高所得層向け需要が堅調な日本産食材‐

2010年9月
分野:食品・農林水産物

タイにおける日本食の普及は、外食産業だけにとどまらず、日本食材を買い求め自宅で日本食を調理するというタイ人消費者の「内食産業」にまで浸透しつつある。

日本食を自宅で調理するタイ人消費者が増加

タイにおける日本食ブームは2000年にオープンしたバイキング形式の日本食レストラン「オイシ」に端を発するといわれている。それ以前は日本人駐在員をターゲットとした高級日本食レストランがわずかに存在していたが、一般的なタイ人消費者にとって日本食は価格が高く、なじみが薄い料理と認識されていた。オイシは300バーツ(2010年9月30日時点で約828円)という低価格でバイキング形式によって日本食を提供し、連日行列ができるほどの大盛況となった。それ以降タイでは一般的なタイ人消費者をターゲットとした日本食レストランが年々増加し、2010年には日本食レストランの店舗数は1,200を超えている。

日本食普及の新しい傾向として、自宅で日本食を調理する消費者の増加を挙げることができる。高級ショッピングセンターを運営する「ザ・モール・グループ」、駐在日本人およびタイ人の富裕層を主な客層としている「フジスーパー」および「伊勢丹」に日本食材の小売状況について問い合わせたところ、そろってタイ人消費者の日本食材購入が増えているとの回答が得られた。

ザ・モール・グループ購買部食品担当チャイラット氏によると、現在タイのテレビの料理番組、雑誌などで日本料理や日本食材が紹介されることが増えており、外食するだけでなく、食材を買って自宅で日本食を調理する消費者が増えているとのこと。特に売れ行きがよいのは、そのまま食べることができる果実、菓子、調理が簡単な即席めんやカレーのルーなどであり、調味料、乾麺などは、関心を持つ顧客は多いものの、調理方法や使い方がわからないため、問い合わせを受けることが多々あるという。

エンターテイメント分野における韓国ブームに伴う韓国食品市場の拡大

近年タイでは韓国のドラマ、歌謡曲が流行している。数年前までは、これらエンターテイメント分野でも日本が韓国をリードしていたが、ここ数年は韓国に押されている感がある。韓国文化がタイで広まるとともに、小売店の食品コーナーでも韓国産品を見かけることが多くなってきた。韓国食品の動向を小売店各社に確認したところ、各社ともに韓国産食品、特にカップラーメンは品目数が増え、販売量も伸びているとの回答が得られた。しかし日本産食品と比較すると、日本産のほうが食味においてタイ消費者からより高い評価を得られていることに加えて、日本産食品はパッケージングが美しく、購買欲をくすぐられるということを理由に、同種の食品であれば韓国産より日本産の方がよく売れているとのことだった。

日本から輸入された食材とタイ産日本食材

タイでは豆腐、みそ、しょうゆ、納豆、漬物、うどん、かまぼこなど、多くの日本食品が生産されている。小売店の店頭には日本産とタイ産の日本食品が一緒に陳列されているが、タイ産の価格は、同品目の日本産の価格を大きく下回っている。タイ人消費者が日本食品を買うときには、価格が安いタイ産と、価格は高いが食味およびパッケージの美しさで勝る日本産のどちらを好む傾向があるのか、日本食材を販売しているバンコク市内の高級スーパーマーケットに聞き取り調査を行った。

調査の結果、みそや調味料などは、日本産を選ぶタイ人消費者が多いとのコメントが得られた。日本食材を買って自宅で調理しようと考えるタイ人消費者は概して舌が肥えており、日本産のほうが食味は良いと理解していること、そして包装デザインも日本産のほうがきれいであること、などが挙げられた。タイ人の高所得層の消費者は価格が大幅に高くても品質がよいものを買う傾向があるといえる。

日本産食材を必要としているのは高級食材店

高級食品小売店への聞き取り調査により、高所得層の消費者による日本食材の購入が増加傾向にあることが確認できたが、中間所得層のタイ人消費者にまで日本食材が浸透しているかという動向を把握するため、中間所得層をターゲットとしているハイパーマーケットの大手「テスコ・ロータス」の購買部スティン氏に日本食品の販売動向を問い合わせた。

同氏によると、テスコ・ロータスでは、日本食材は豆腐、うどん、かに風味かまぼこなどタイの消費者にもある程度認知されている食材しか販売しておらず、これらの日本食材もすべてタイ産であり、日本産食材はまったく販売していないとのことだった。店頭で販売している果実、野菜の大部分はタイ産および中国、オーストラリアからの輸入品で占められている。日本産食材は、品質が高いことはわかっているが、価格が高すぎるため、タイの中間所得層を主な客層としている同店では販売することは難しいという。

日本産食材の販売は高所得層向けに限られるが、贈答需要を中心に需要は伸びる

今回の聞き取り調査の結果、日本食材のうちタイ産のものは、価格が低いこともあり、中間所得層を対象としたショッピングセンターでも販売可能だが、日本産の食材を販売できるのは、日本人駐在員およびタイの高所得層が集まる高級店に限られることがわかった。また高級店の主要な顧客である高所得層は、目新しく、品質が高いものに対しては高い対価を支払うことも厭わない傾向がある。

タイでは年末年始にかけて果実、菓子などをバスケットに詰めて贈答する習慣がある。日本産の食材、特に果実、菓子などは外見がよく、しかも食味もよいことから、タイの高所得層からは贈答用需要が高い。このような贈答需要を見きわめることこそが、タイで日本産食品を販売する絶好のチャンスにつながるといえる。

(バンコク・センター)