日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛肉のHSコード

0201.10.00.001:生鮮および冷蔵の牛肉(枝肉および半丸枝肉)
0201.20.00.001:生鮮および冷蔵の牛肉(その他の骨付き肉)
0201.30.00.001:生鮮および冷蔵の牛肉(骨付きでない肉)
0202.10.00.001:冷凍の牛肉(枝肉および半丸枝肉)
0202.20.00.001:冷凍の牛肉(その他の骨付き肉)
0202.30.00.001:冷凍の牛肉(骨付きでない肉)

タイの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年8月

タイ向けに輸出する牛肉は、都道府県などによる審査手続きを経て、日本の厚生労働省による確認後、タイ農業協同組合省畜産局に認定されたと畜場・食肉処理場で処理されたものでなければなりません。
認定手続きの詳細については、関連リンクの農林水産省のウェブサイト「証明書や施設認定の申請」(タイ)にある「タイ向け輸出牛肉の取扱要綱」、認定施設のリストについては、同リンク内の「認定施設 施設リスト」で確認することができます。
「タイ向け輸出牛肉の取扱要綱」で定められているタイ向け輸出牛肉の要件については、「個体識別番号により平成13年11月1日以降に日本において生まれ、飼育されたことが確認できる牛由来であること」、「回腸遠位部を含まないこと」、「と畜検査員または食品衛生監視員の監視下にある施設においてと畜、加工および保管されたものであること」、「ヒトの健康を害する保存料、添加物またはその他の物質を含んでいないものであること」、「食品衛生法等に基づく残留物質および微生物の検査プログラムに従って製造されたものであること」などの条件が定められています。

なお、保健省告示第377号(2016年)「BSEリスクを伴う食品輸入原則及び条件の規定」では、日本を含む「BSEリスクが非常に少ない国」(Negligible BSE Risk)に該当する国からの輸入条件として、次のとおり規定されています。

定義
「牛肉」(Meat)とは、肉、皮、脂、内臓、骨、乳、血液、胆汁、扁桃腺など食用として利用する牛の各部分を意味する。
「生鮮牛肉」(Fresh Meat)とは、官能的、物理化学的特性を不可逆的に変化させる何らの工程または処理も経ていない牛肉を意味する。これには、冷凍牛肉、冷蔵牛肉、牛ひき肉も含む。
生鮮牛肉の輸入条件
  1. 次のと畜および解体工程による牛由来の脱骨牛肉(deboned skeletal muscle meat)〔機械的に除去された骨に付着した部分の牛肉(mechanically separated meat)は除く〕
    (A)と畜前の疾病検査およびと畜後の畜産物、内臓検査(ante-and-post-mortem inspections)においてBSEではないこと、またはその疑いがないことが確認されていること。と畜前に、頭蓋腔への圧縮空気またはガスを注入する方法による気絶処理(stunning process)、または頭蓋腔に穴をあける処理(pithing process)または脳もしくは脊髄を裂傷し飛散させるそのほかの処理を受けていないこと。
  2. 1以外の生鮮牛肉の場合、
    (A)反すう動物由来の肉骨粉(meat and bone meal, MBM)または脂かす(greaves)の反すう動物への給与禁止措置後に出生した牛由来であること。
    (B)(A)の牛は、と畜前の疾病検査およびと畜後の畜産物、内臓検査(ante-and-post-mortem inspections)においてBSEではないこと、またはその疑いがないことが確認されていること。

これらの生鮮牛肉を輸入する場合は、タイの農業協同組合省畜産局による家畜・畜産物の生産施設の認定を受けなければならない。また、輸入者は輸入の都度、次の証拠または証明書(1および2)を食品医薬品委員会事務局検査所で係官に提示しなければならない。

  1. タイ畜産局発行の家畜・畜産物の生産施設の認定の証拠もしくは証明書、または畜産物輸入許可の証拠
  2. 前述の1、2の条件の詳細を記した、日本の所管官庁または所管官庁から認可を受けた機関が発行する食肉衛生証明書(Health Certificate)の写し

なお、輸出国での伝染病発生などを理由に、一時的に輸入が停止される場合は、畜産局告示として発表され、畜産局獣医官検疫部のウェブサイト上(関連リンクのその他参考情報)に掲載されます。

また、保健省告示により次の食品は輸入が禁止されています。

  • 保健省告示第310号 食品ではないものを含む食品(食品の品質維持や調理目的のもので、かつ消費者の健康被害がないものは例外とする)
  • 保健省告示第345号 遺伝子組換えまたは遺伝子工学によりCry9C DNA Sequenceを有する食品およびこの食品を成分として含有する食品
  • 保健省告示第391号 次の1〜13およびこれを原料とする食品
    1. 臭素化植物油
    2. サリチル酸
    3. ホウ酸
    4. ホウ砂
    5. 塩素酸カリウム
    6. クマリンまたは1,2−ベンゾピロンまたは5,6−ベンゾ−α−ピロンまたはcis-o-クマル酸無水物またはo−ヒドロキシケイ皮酸ラクトン
    7. ジヒドロクマリンまたはベンゾジヒドロピロンまたは3,4-ジヒドロクマリンまたはヒドロクマリン
    8. ジエチレングリコール、ジヒドロキシジエチルエーテル、ジグリコール、2,2'−オキシビスエタノール、2,2'−オキシジエタノール
    9. ズルチンまたは4-エトキシフェニル尿素またはp-フェネトールカルバミド
    10. AF − 2または2−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリルアミドまたはフリルフルアミド
    11. 臭素酸カリウム
    12. ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド溶液、p-ホルムアルデヒド
    13. メラミンおよびその類縁体(シアヌル酸)
  • 保健省告示第424号および第430号で指定される植物、動物、動植物の部位80種類
  • 保健省告示第431号 食品医薬品委員会事務局が承認する機関による食品の生物学的安全性評価を経ていない遺伝子組換え生物由来の食品(遺伝子組換え植物/動物/微生物)(2022年12月4日から適用)。ただし、同告示付属資料1に掲載の品種由来の食品は輸入可能。付属資料6に掲載の品種由来の食品は安全性評価中でも2027年12月3日までに限り輸入可能。

その他、保健省告示第390号(2018年)「販売用製造、販売用輸入、販売食品における材料使用基準、条件、方法」において、ヨウ素酸カルシウムやステビアなどの使用基準が規定されています。

関連リンク

※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁サイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。

関係省庁
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ農業協同組合省畜産局(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
1979年食品法(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(178KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(114KB)
保健省告示第377号(2016年)「BSE リスクを伴う食品輸入原則及び条件の規定」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(115KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(213KB)
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第377号(2016年)「牛海綿状脳症(BSE)リスクのある食品輸入規定・条件」の説明」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(419KB)
保健省告示第310号(2008 年)「製造・輸入・販売禁止食品」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(30KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(24KB)
保健省告示第345号(2012年)「製造・輸入・販売禁止食品」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(35KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(32KB)
保健省告示第390号(2018年)「販売用製造、販売用輸入、販売食品における材料使用基準、条件、方法」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(93KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(96KB)
保健省告示第391号(2018年)「製造・輸入・販売禁止食品」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(131KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(100KB)
保健省告示第424号(2021年)「製造・輸入・販売禁止食品」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(367KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(203KB)
保健省告示第430号(2021年)「保健省告示第424号の改正」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(104KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(78KB)
保健省告示第431号(2022年)「遺伝子組み換え生物由来の食品」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(14.6MB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(425KB)
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第431号(2022年)「遺伝子組み換え生物由来の食品」に関する説明」(タイ語)(ジェトロ仮訳)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.0MB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル(785KB)
2015年動物伝染病法(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(216KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(838KB)
農業協同組合省畜産局法令検索サイト(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
保健省食品医薬品委員会事務局法令検索サイト(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
官報検索サイト(タイ語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
農林水産省動物検疫所「偶蹄類の畜産物の輸出(タイ 牛肉)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「証明書や施設認定の申請」タイ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ ビジネス短信「遺伝子組み換え食品規制に係る説明会での新情報」(2023年02月14日)
タイ畜産局獣医官検疫部畜産局告示「輸入・通過停止」一覧(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年8月

日本側では、「タイ向け輸出牛肉の取扱要綱」に基づき対タイ輸出牛肉を取り扱うと畜場・食肉処理場の認定を受ける必要があります。また、日本で動物検疫所の輸出検査を受け、輸出検疫証明書を取得するにあたっては、同要綱で定められた食肉衛生証明書が必要です。同証明書は、当該牛肉の処理を行った認定と畜場・食肉処理場を管轄する食肉衛生検査所に申請して発行を受けます。同要綱および認定を受けた「タイ向け輸出牛肉取扱施設リスト」は、関連リンクの農林水産省「証明書や施設認定の申請」を参照してください。

日本・タイ経済連携協定(JTEPA)、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)税率の適用を受ける場合、日本商工会議所発行の特定原産地証明書を取得する必要があります。なお、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)については、牛肉は関税削減・撤廃の除外品目となっているため利用できません。

GMP製造基準適合証明書について
食品医薬品委員会事務局は、食品の製造方法などに関する基準を定めており、タイ国内の食品製造施設に基準の順守を求めています。販売用輸入食品については、タイ国内と同レベル以上の製造施設で製造されていることを担保するため、保健省告示第420号「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」で定められる基準と同等以上の基準に基づく規格などの証明書(GMP製造基準適合証明書)を提出することが求められています。個別商品の登録を行う場合は、食品登録時と輸入通関前にシステムに証明書を登録することが必要です。個別商品の登録を行わない場合は、輸入通関前にシステムに証明書を登録します。
輸入時にGMP製造基準適合証明書が求められる食品は、未加工の生鮮水産物、アルコール飲料を除くほぼすべての食品となるため、牛肉においても必要です。保健省告示第420号では、食品共通で順守することが求められる基本要求事項が定められているほか、飲料水、ミネラルウオーター、氷には個別要求事項1が、低温殺菌ミルク製品には個別要求事項2が、密閉容器に入った低酸性・酸性化食品/飲料には個別要求事項3への対応がそれぞれ追加で求められます。
この証明書については、次の2つの条件を満たすことが必要です。
  1. 保健省告示第420号に定められた基準と同等以上の基準に基づく規格等の証明書であること。
  2. 保健省の認める発行主体(・食品製造国の政府機関、・食品製造国の政府が認めている認証機関、・IAF(International Accreditation Forum)メンバーでIAFから認められた認定団体によって認定された認証機関、または・Guidelines for the Design, Operation, Assessment and Accreditation of Food Import and Export Inspection and Certification Systems (CAC/GL 26-1997)に準拠した検査および認証システムを備えた機関など、信頼性のある機関のいずれか)が発行した証明書であること。
    タイ保健省からはISO22000の適合証明書などが具体例として挙げられていますが、具体例として公表されていない場合でも、法令に適合していれば使用可能なものがあります。例えば、日本の食品衛生法第55条(2021年6月の改正前は第52条)に基づく営業許可証は、保健省告示第420号の基本要求事項を満たす証明書として使用可能とされています。
    なお、牛肉と豚肉については食肉衛生証明書をGMP証明書としても使用できるようタイ政府と協議し、合意しています。新様式(2021年11月29日以降に発行されたともの)の食肉衛生証明書はGMP証明書として有効です。
証明書がタイ語または英語でない場合は、タイ語または英語への翻訳が必要です。翻訳は1. 製造国のタイ国大使館または領事館、2. タイ国内の食品製造国の大使館または領事館、3. 国際的水準の翻訳機関、4. 証明書に表示されている言語について学士課程以上の水準の教育を修了したタイ人、5. その言語の高等教育機関の教師のいずれかから、正しい翻訳である旨の証明を受ける必要があります。
原本ではなく写しを使用する場合は、1. 証明書発行機関、2. タイ国内の食品製造国の大使館または領事館、3. 食品製造国の政府機関、4 政府機関に認められた者(Notary public / Chamber of commerceなど)のいずれかから、原本と相違ない旨の証明を受ける必要があります。
また、証明書に有効期限が記載されていない場合は、証明書発行日から1年以内は使用可能となります。
表.使用できる証明書の例
食品の種類 順守が求められる規定 使用できる証明書の例 すべての食品で使用可能な証明書
大半の食品 保健省告示第420号基本要求事項

○Good Hygiene Practices (GHPs)CXC 1-1969
○SQF:Edition 8.1
○SQF:Edition 9
○Global Seafood Assurances Global Aquaculture Alliance Best Aquaculture Practices (BAP)
など

なお、日本の食品衛生法第55条(旧第52条)に基づく営業許可証も使用可能。また、青果物の場合は、保健省告示第386号に基づく証明書も使用可能(行政機関による衛生証明書、JFS規格適合証明書、J-GAP等)。牛肉・豚肉の場合は、食肉衛生証明書(Health Certificate)(※)も使用可能。

○ISO 22000:2018
○FSSC 22000
○Global Standard for Food Safety Issue 8 British Retail Consortium.
○International Food Standard;IFS
○JFS-B
○JFS-C
○農林水産省発行の GMP証明書 (保健省告示第386号の対象を除く)
一部青果物(さつまいも、柿、桃等)
飲料水、ミネラルウオーター、氷 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項1 ○CAC/RCP 48-2001.
○CAC/RCP 33-1985.
○SQF:Edition 8.1
○SQF:Edition 9 など
低温殺菌ミルク製品 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項2 ○CAC/RCP 57-2004.
○SQF:Edition 8.1
○SQF:Edition 9 など
密閉容器に入った低酸性・酸性化食品/飲料 保健省告示第420号基本要求事項および個別要求事項3 ○CAC/RCP 23-1979.
○CAC/RCP 40-1993.
○SQF:Edition 8.1
○SQF:Edition 9 など
保健省告示第386号で指定される青果物
(りんご、いちご等)
保健省告示第386号 ○行政機関発行の証明書
○JFS規格適合証明書
○GLOBAL G.A.P. / ASIA GAP / J-GAP
○CAC/RCP 53-2003 など

関連リンク

※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁サイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。

関係省庁
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ財務省関税局(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
1979年食品法(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(178KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(114KB)
保健省告示第420号(2020年)「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(473KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(187KB)
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第420号「食品の製造方法、製造におけるツール、用具及び保管」に関する説明」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.3MB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル(294KB)
食品医薬品委員会事務局告示「食品輸入用の製造システム規格書又は証明書」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.5MB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル(238KB)
保健省告示第420号の付表と同等以上の食品製造システム規格の例(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(350KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(321KB)
財務省告示「日本原産品の関税減免」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.3MB)
財務省告示「ASEAN・日本自由貿易協定の関税減免」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.7MB)
保健省食品医薬品委員会事務局法令検索サイト(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
財務省関税局法令検索サイト(タイ語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
官報検索サイト(タイ語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
保健省告示第420号(2020年)「食品の製造方法、製造における設備器具及び保管」に基づく食品輸入及び製造システム規格適合書又は証明書の食品医薬品検査所での検査に関するガイドライン(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(362KB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル(1.1MB)
保健省告示第420号(2020年)「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」の輸入に関する部分に対するQ&A(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(187KB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル(337KB)
保健省告示第420号に該当する輸入農産物・食品・製造工程を検討するためのガイドライン(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日本商工会議所EPAにもとづく特定原産地証明書発給事業外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「証明書や施設認定の申請」タイ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「輸出入手続き」タイ
農林水産省 「タイ向け輸出食品の製造施設に求められる衛生基準に係る規則への対応」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ ビジネス短信「食肉輸入に必要な証明書として衛生証明書が使用可能に」

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年8月

動物検疫所で輸出検査を受け、輸出検疫証明書を取得する必要があります。
同検査を受けるにあたっては、「タイ向け輸出牛肉の取扱要綱」で定められた食肉衛生証明書(当該牛肉の処理を行った認定と畜場・食肉処理場を管轄する食肉衛生検査所に申請のうえで発行)が必要です。

タイの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年8月

牛肉の食品規格については、「2.残留農薬および動物用医薬品」などの各項目を参照してください。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年8月

1. 動物用医薬品残留規制

保健省告示第303号(2007年)において44グループの動物用医薬品の最大残留基準(MRL)が規定されており、牛肉については次のとおりです。

牛肉における動物用医薬品の最大残留基準(MRL)(µg/kgまたはµg/ℓ)
動物用医薬品名 筋肉 肝臓 腎臓 脂肪
クロルテトラサイクリン/オキシテトラサイクリン/テトラサイクリン(Chlortetracycline/Oxytetracycline /tetracycline) 200 600 1,200 100
クロサンテル(Closantel) 1,000 1,000 3,000 3,000
ゲンタマイシン(Gentamicin) 100 2,000 5,000 100 200
スルファジミジン(Sulfadimidine) 100 100 100 100 25
ゼラノール(Zeranol) 2 10
セフチオフル(Ceftiofur) 1,000 2,000 6,000 2,000 100
シペルメトリンとアルファシぺルメトリン(Cypermethrin and alpha-Cypermethrin) 50 50 50 1,000 100
シフルトリン(Cyfluthrin) 20 20 20 200 40
シハロトリン(Cyhalothrin) 20 20 20 400 30
デルタメトリン(Deltamethrin) 30 50 50 500 30
ダノフロサキシン(Danofloxacin) 200 400 400 100
ドラメクチン(Doramectin) 10 100 30 150 15
ジミナゼン(Diminazene) 500 12,000 6,000 150
ジヒドロストレプトマイシン/ストレプトマイシン(Dihydrostreptomycin/Streptomycin) 600 600 1,000 600 200
チルミコシン(Tilmicosin) 100 1,000 300 100
酢酸トレンボロン(Trenbolone Acetate) 2 10
トリクロルホン(Trichlorfon) 50
トリクラベンダゾール(Triclabendazole) 200 300 300 100
チアベンダゾール(Thiabendazole) 100 100 100 100 100
ネオマイシン(Neomycin) 500 500 10,000 500 1,500
ベンジルペニシリン/プロカインベンジルペニシリン(Benzylpenicillin/ Procaine Benzylpenicillin) 50 50 50 4
ピルリマイシン(Pirlimycin) 100 1,000 400 100 200
フルメキン(Flumequine) 500 500 3,000 1,000
フルアズロン(Fluazuron) 200 500 500 7,000
フェバンテル/フェンベンダゾール/オクスフェンダゾール(Febantel/Fenbendazole/Oxfendazole) 100 500 100 100 100
モキシデクチン(Moxidectin) 20 100 50 500
リンコマイシン(Lincomycin) 150
レバミゾール(Levamisole) 10 100 10 10
スペクチノマイシン(Spectinomycin) 500 2,000 5,000 2,000 200
スピラマイシン(Spiramycin) 200 600 300 300 200
イミドカルブ(Imidocarb) 300 1,500 2,000 50 50
エプリノメクチン(Eprinomectin) 100 2,000 300 250 20
アバメクチン(Abamectin) 100 50 100
アルベンダゾール(Albendazole) 100 5,000 5,000 100 100
イソメタミジウム(Isometamidium) 100 500 1,000 100 100
イベルメクチン(Ivermectin) 100 40 10

2. 残留農薬規制

食品中の残留農薬については、保健省告示第387号「残留有害物質を含有する食品」、第393号「残留有害物質を含有する食品」第2版に規定されおり、第387号のリスト1に掲載する製造、輸入、輸出、所有が禁止されるカテゴリー4の有害物質(※)については、不検出(検出限界未満)であることが求められます。これ以外については、次のように規定されています。

  1. リスト2に最大残留基準を設定、
  2. 1に規定がないものはコーデックス基準に従う、
  3. 1、2に規定がないもので、リスト3の植物用規定値以外については、一律基準0.01mgを適用、
  4. リスト4の外因性最大残留基準を超えてはならない
牛肉関連における最大残留基準(MRL)(mg/kg)(保健省告示第387号リスト2に規定)
化学物質名 牛肉 牛の臓物 哺乳類の肉 哺乳類の臓物 哺乳類の脂肪
カルバリル(carbaryl) 0.05 1
カルベンダジム/ベノミル(Carbendazim / benomyl) 0.05 0.05
カルボスルファン(carbosulfan) 残留する物質の種類:カルボスルファン 0.05(脂肪) 0.05
残留する物質の種類:カルボフラン 0.05 0.05
シペルメトリン(cypermethrin) 2(脂肪) 0.05
2, 4-D(2,4-dichlorophenoxyacetic acid) 0.2 1
デルタメトリン(Deltamethrin) 0.5(脂肪) 0.03
ジクロルボス(dichlorvos) 0.05
ジコホール(Dicofol) 3(脂肪) 1
ジチオカルバメート(dithiocarbamates) 0.05 0.1
ジメトエート(dimethoate) 0.05 0.05 0.05
ダイアジノン(diazinon) 2(脂肪) 0.03
トリアゾホス(Triazophos) 0.01
ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl) 0.01 0.01
プロフェノホス(profenofos) 0.05 0.05
フェンバレレート(Fenvalerate) 1(脂肪) 0.02
フェニトロチオン(fenitrothion) 0.05
メチダチオン(methidathion) 0.02 0.02
アセフェート(acephate) 0.05 0.05
アバメクチン(abamectin) 0.01 0.1 0.1
エテホン(ethephon) 0.1 0.2
畜産物における外因性残留基準(EMRL)(mg/kg)(保健省告示第387号リスト4に規定)
食品の種類 アルドリンおよびディルドリン(aldrin and dieldrin) クロルデン
(chlordane)
DDT エンドリン
(endrin)
ヘプタクロル
(heptachlor)
哺乳類の肉および臓物 0.2(脂肪) 0.05(脂肪) 5(脂肪) 0.05(脂肪) 0.2(脂肪)

また、2021年6月1日から有効となった保健省告示第419号「残留有害物質を含有する食品」第3版により、第387号のリスト1に規定するカテゴリー4の有害物質として新たに次の5物質が追加されています。この5物質については検出限界(LOD)が公表されており、食品からの検出は不検出(検出限界未満)であることが求められます。

保健省告示第419号により追加されたカテゴリー4の有害物質
食品中の残留物質 食品の種類 LOD(mg/kg)
〇クロルピリホス(chlorpyrifos)
〇クロルピリホス-メチル
(chlorpyrifos-methyl)
生鮮青果実およびその他の植物 0.005
穀物および乾燥豆類 0.01
肉、乳、卵 0.005
〇パラコート(paraquat)
〇パラコートジクロリド
(paraquat dichloride)
〇パラコートジメチルサルフェート
{paraquat [bis (methyl sulfate)]}
またはパラコートメトサルフエート
(paraquat methosulfate)
生鮮青果実およびその他の植物 0.005
穀物および乾燥豆類 0.02
肉、乳、卵 0.005

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年8月

食品中の重金属および汚染物質については、2020年11月16日から保健省告示第414号「汚染物質を含む食品の規格」による次の基準が適用されています。

  1. 保健省告示第414号付表1に設定する食品別の重金属、カビ毒、そのほかの汚染物質(塩化ビニルモノマーなど)、放射性物質の基準値を超えないこと。
  2. 1以外の汚染物質については、食品および飼料中の汚染物質および毒素に関するコーデックス一般規格; CODEX STAN193-1995に規定する最大値を超えないこと。
  3. 1および2以外の汚染物質については、FAO/WHO合同食品規格 コーデックス委員会 (Codex Alimentarius Commission)の汚染物質の最大量規定指針に基づき検討する最大値を超えず、また、販売用食品製造者または輸入者が、当該の汚染物質量が許容できる最大水準内にあることを示す責任を負うこと。

病原性微生物に関する規制については、保健省告示第416号(2020年)「食品中の病原性微生物の品質規格、原則条件、分析方法」に規定されています。リスト2で食品別の基準値が掲載されている場合を除き、リスト1に掲載されている食品の病原性微生物は不検出となっています。そのほか、分析方法を確認することができます。

また、全食品を対象に、保健省告示第269号(2003年)、第299号(2006年)において食品中不検出とする化学物質汚染に関する基準が規定されています。不検出とされる化学物質は、次のとおりです。

  1. クロラムフェニコールおよびその塩(Chloramphenicol and its salts)
  2. ニトロフラゾンおよびその塩(Nitrofurazone and its salts)
  3. ニトロフラントインおよびその塩(Nitrofurantoin and its salts)
  4. フラゾリドンおよびその塩(Furazolidone and its salts)
  5. フラルタドンおよびその塩(Furaltadone and its salts)
  6. マラカイトグリーンおよびその塩(Malachite Green and its salts)
  7. βアゴニストおよびその塩(β-Agonist chemical groups and its salts)

1~7の物質の代謝物を含む。

関連リンク

※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁サイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。

関係省庁
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
1979年食品法(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(178KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(114KB)
保健省告示第414号(2020年)「汚染物質を含有する食品規格」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(345KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(255KB)
Q&A「保健省告示第414号(2020年)汚染物質を含む食品規格に関する質疑応答の要点」(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ジェトロ仮訳)PDFファイル(409KB)
保健省告示第416号(2020年)「食品中の病原性微生物の品質規格、原則条件、分析方法」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(657KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(368KB)
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第416号(2020年)「食品中の病原性微生物の品質規格、原則条件、分析方法」の説明」 (タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(238KB)(ジェトロ仮訳)PDFファイル (310KB)
Q&A「保健省告示第416号(2020年)食品中の病原性微生物の品質規格、原則条件、分析方法に関する質疑応答の要点」(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
保健省告示第269号(2003年)「β-agonist 類の化学物質に汚染されている食品の基準について」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(28KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(43 KB)
保健省告示第299号(2006年)「特定の化学物質に汚染されている食品の基準について」(第2版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます) (52KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(33KB)
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その他参考情報
食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関するコーデックス一般規格; CODEX STAN193-1995(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(日本語訳)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(446KB)

4. 食品添加物

調査時点:2023年8月

食品添加物については、食品法に基づき、保健省告示第281号(2004年)「食品添加物」に定義、品質規格など、第381号(2016年)第4版に保健省告示の規定以外の使用に向けた手続きなど、第444号(2023年)「食品添加物の使用基準、条件、方法及び比率の規定」(第3版)に使用基準(食品添加物名、対象とする食品、基準値など)が規定されています。また、食品添加物のデータベース「Food Additive Search」が公開されており、同データベースから食品添加物の使用基準などを検索することも可能です。
規定以外の食品添加物の使用については、安全性評価を経たうえで、食品医薬品委員会事務局の承認に基づいて使用する必要があります。

食品製造用の酵素の使用基準については、保健省告示第443号(2023年)「食品製造に使用する酵素」に規定されています。

関連リンク

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関係省庁
タイ保健省食品医薬品委員会事務局(FDA)(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
1979年食品法(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(178KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(114KB)
食品添加物関連規制一覧(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
保健省告示第281号(2004年)「食品添加物」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(42KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(37KB)
保健省告示第381号(2016年)「食品添加物」(第4版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(129KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(74KB)
保健省告示第444号(2023年)「食品添加物の使用基準、条件、方法及び比率の規定」(第3版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5.3MB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5.1MB)
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第444号(2023年)「食品添加物の使用基準、条件、方法及び比率の規定」(第3版)の解説」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(787KB)
保健省告示第443号(2023年)「食品製造に使用する酵素」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(653KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(680KB)
食品医薬品委員会事務局告示「食品医薬品委員会事務局が認める食品安全性評価機関および食品安全性評価ガイドライン」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(715KB)
保健省食品医薬品委員会事務局法令検索サイト(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
官報検索サイト(タイ語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
タイ保健省食品医薬品委員会事務局「Food Additive Search」(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「各国の食品・添加物等の規格基準」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品添加物の安全性評価申請マニュアル(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(887KB)
ジェトロ ビジネス短信「保健省、食品添加物の使用基準に関する新告示を施行」(2023年12月11日)

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年8月

食品包装の規制については、食品法に基づき、保健省告示第92号(1985年)「食品容器、食品容器の使用品質基準、食品容器への禁止物質」および、従来の保健省告示第295号(2005年)に代わり2022年6月18日に施行された保健省告示第435号(2022年)「プラスチック容器の品質規格」において定義、品質規格、禁止事項などが規定されています。

第92号
  • 食品容器の品質規格、条件など。
    • 清潔であること
    • 再利用ではないこと(材質により例外あり)
    • 健康を害する恐れのある量の重金属またはほかの物質が食品を汚染しないこと。
    • 病原菌を含有していないこと。
    • 色素が溶出して食品を汚染しないこと。
    • セラミック、ホーロー製の場合、付属表1の鉛およびカドミウムの溶出基準以下であること。
    • 肥料、有害物質、健康に害を及ぼす可能性のある物質の包装に使用したことのある容器を使用してはならない。
    • 食品用途以外の容器、容器内の食品について誤解を招く文言やデザインのある容器を使用してはならない。
第435号
  • プラスチック容器(バージンプラスチック製および再生プラスチック製)の品質規格、条件など。
    • 清潔であること
    • 溶出移行して健康を害する恐れのある量の危険物質を含有していないこと。ただし、告示付属表1の品質規格に記載する種類および量の物質は除外する。
    • 食品収納時に物質が食品に溶出移行して、食品または食品成分の特性が許容できないほど劣化するもしくは食品感覚特性が劣化することのないこと。
    • 容器包装を着色する場合、色素は食品接触グレード (food contact grade) のものであり、色素が溶出して食品を汚染しないこと。
    • 容器包装に柄や文章を印刷する場合、印刷インキはしっかりと付着して、食品へと剥落しないこと。
    • 告示付属表1に規定する品質規格を満たすこと。
    • 材料が食品接触用グレードのポリエチレンテレフレート(PET)であること。(二次リサイクルの再生プラスチック容器の場合)
    • 効果的に汚染物を除去できる製造プロセスを経た再生プラスチックペレットから製造した容器であること、タイリスク評価センター(TRAC)など食品医薬品委員会事務局が認める評価機関による安全性評価結果報告書を提出すること。(二次リサイクルの再生プラスチック容器の場合)
    • 肥料、有害物質、健康に害を及ぼす可能性のある物質の包装に使用したプラスチックから作られた容器を食品容器として使用してはならない。
    • 食品用途以外のプラスチックから作られた容器、容器内の食品について誤解を招く文言やデザインのある容器を使用してはならない。

付属表1の規定以外のプラスチック容器を使用する場合は、プラスチック関連情報、容器関連情報、補足書類、安全性評価結果報告書などを食品医薬品委員会事務局に提出する必要があります。

なお、保健省告示第435号の施行日から3年間(2025年6月18日まで)は、従来の保健省告示第295号と同等の品質・規格のプラスチック容器包装の使用も認めるとする猶予期間が設けられています。

関連リンク

※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁サイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。

関係省庁
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保健省告示第435号(2022年)「プラスチック容器の品質規格」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(437KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(293KB)
食品医薬品委員会事務局告示「保健省告示第435号(2022年)「プラスチック容器の品質規格」の説明」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5.7MB)
食品医薬品委員会事務局告示「食品容器、哺乳瓶、乳幼児用ミルク容器分析結果の受け入れに関するガイドライン」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(907KB)
食品医薬品委員会事務局告示「食品容器またはプラスチック容器の安全性評価機関名および食品安全性評価ガイドライン」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(428KB)
食品医薬品委員会事務局告示「プラスチック容器の分析検査」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.5MB)
保健省食品医薬品委員会事務局法令検索サイト(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
官報検索サイト(タイ語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
食品容器またはプラスチック容器の品質規格・安全性評価マニュアル(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます) (1.4MB)
再生プラスチック安全性評価合格者リスト(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(58KB)
e-submissionシステムからの安全評価申請について(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
e-submissionユーザーマニュアル(安全評価申請)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7.2MB)
ジェトロ ビジネス短信「タイ保健省、食品プラ容器の品質・規格に係る新基準を制定」(2022年07月26日)

6. ラベル表示

調査時点:2023年8月

包装食品の表示項目については、保健省告示「包装食品のラベル表示について」において規定されていますが、未加工の生鮮食品(冷蔵・冷凍を問わず)については、食品医薬品委員会事務局から記載が免除されています。

なお、日本からタイに輸出する牛肉の梱包には、英語で次の事項を表示する必要があります。農林水産省「タイ向け輸出牛肉の取扱要綱」を参照してください。

  1. 獣畜の種類および部位名
  2. 原産国名(Product of Japanと記載すること)
  3. 製造所名
  4. 施設番号
  5. と畜年月日(月、日、年の順番に記載すること)
  6. 重量

遺伝子組換え生物由来の食品 (保健省告示第432号) (2022年12月4日から適用)

  • 対象は、遺伝子組換え植物/動物(個々の原材料において5%以上使用し、組換えによる遺伝物質またはタンパク質を検出するもの。ただし、意図的な使用の場合は5%未満の場合も表示が必要。)、遺伝子組換え微生物(割合は問わない)を含む食品
  • 告示規定の条件に応じて、食品名または原材料名に「遺伝子組換え」と表示するか、「遺伝子組換え(植物/動物の種類または微生物名を記載)から製造した(食品/製品名)」と表示する。
  • 太字で読みやすく、文字の色はラベルの背景色と対照的な色で、サイズはラベルの面積に適切に応じた表示であること。任意で背景が黄色の三角形に黒字でGMOと表記したロゴやアプリケーションやウェブサイトを通じた消費者への追加情報のための文言を表示してもよい。
  • 生物学的安全性評価結果により提案された消費におけるメッセージ、禁止事項、注意事項または同様のその他のメッセージを表示する。
  • すべての食品ラベルにおいて「遺伝子組換えフリー」、「遺伝子組換え食品ではない」、「遺伝子組換え食品の原材料を含まない」、「遺伝子組換え原材料を除外または分別した」または同様のその他の文言やロゴは使用してはならない。
  • 告示第432号の適用外(使用が認められていない文言、ロゴは除く)となるものは、
    • 製造工程において遺伝子組換え食品である原材料を使用していないことを示すトレーサビリティシステムの証拠がある製造者または輸入者
    • 消費者に直接販売し、情報を直接提供することもできる小規模製造者
    • 消費者に直接販売する調理者
    • 最終製品に遺伝子組換えによる遺伝物質およびタンパク質が残っていない遺伝子組換え生物由来の食品
    • 加工助剤として使用する遺伝子組換えによるタンパク質
  • 告示第432号の適用日(2022年12月4日)前に遺伝子組換え生物由来の食品の製造または輸入許可を取得していた遺伝子組換え生物由来の食品のラベル表示については、適用日から最大2年間使用することができる。

7. その他

調査時点:2023年8月

タイ向け輸出牛肉の取扱要綱には、その他の留意事項として、(1)梱包後の製品を輸送する車両やコンテナは消毒や洗浄などを行い、衛生的な状態を維持すること。(2)牛肉の細切を行う場合、細切を行う場所は、認定と畜場などの敷地内にある別棟の食肉処理場に設けることができること。(3)牛肉の細切を行うため、認定と畜場などの敷地内にある別棟の食肉処理場へ牛肉を運搬する場合は、個包装するなど牛肉の汚染を防ぐための措置を講じるとともに適切に温度管理を行うことと規定されています。

その他

調査時点:2023年8月

ハラール認証

輸出に際し必ず必要になるものではありませんが、タイ国内外のイスラム教徒やハラール食品製造業者をターゲットに含む場合には、ハラール認証を取得しておくことが、バイヤーとの取引上有効である場合があります(参考:タイ人口に占めるイスラム教徒の割合は2018年時点で約5.4%)。
タイのハラール認証機関は、1997年に制定された「イスラム教組織運営法」に基づき設立されたタイ国イスラム中央委員会(The Central Islamic Committee of Thailand/CICOT)および全国40県に配置されているイスラム委員会の事務局です。
「ハラール認証に関するイスラム中央委員会規則」に基づき、政府関連機関との連携によりタイのハラール認証を受けている企業は約1万4,500社、製品数は約15万8,000品目(2023年7月現在)となっています。
認証取得会社、品目は、タイ国イスラム中央委員会が運営するハラール認証製品情報ウェブサイト(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますまたは「Halal Thai」アプリで確認することができます。

有機認証

現在、タイにおける有機食品に関する法律、基準は次のとおりです。これらの認証を受けた製品は「Organic Thailand」のマークが与えられます。

  • 農産物規格法(2008)第2版(2013)第3版(2018)
  • 農産物規格 有機農業:有機生産物および製品の製造、加工、表示、販売(TAS9000-2021)

認定機関はタイ農産物食品規格局で、認証機関は農業局、米局、水産局、畜産局、生産システム認証機関(ICAPS)、タイ科学技術研究所(TISTR)などとなっています。

有機表示

有機表示

日本の有機JASなどを含め、有機認証マークをパッケージに表示する場合は、その認証書の期限が切れていなければ、表示することが可能です。また、包装に「Organic」と表示することについても同様に、取得した有機認証書の期限が切れていなければ、表示することが可能です。この認証書は、食品登録番号を取得する食品の場合は、食品登録の際に提出します。また、食品登録番号の取得の有無にかかわらず、通関時にも認証書の確認が行われます。この認証書が日本語の場合は、タイ語または英語に翻訳し、翻訳証明が入ったものが必要です。

なお、食品医薬品委員会事務局告示「食品製造システム規格認証取得に関する文言またはマークの表示基準」において、GAP(Good Agricultural Practice)、有機認証(「Organic」の表示も含む)、ハラール認証などの任意認証を表示する際には、認証を示すマークまたはロゴ(Certification mark/Logo)に加え、次の情報を併記することが規定されています。

  1. 認証を受けた食品製造施設名
  2. 認証を受けた食品製造システム規格の種類
  3. 認証書を発行した認証機関名

関連リンク

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