輸出入手続

最終更新日:2017年02月20日

輸出入許可申請

シンガポールでは「トレードネット」と呼ばれるEDI(電子データ交換)システムが導入されており、輸出入や貨物の積み替えにかかわる申告から許可通知、関税・諸税や手数料等の支払いに至るまでの手続きが自動的に一括処理されている。


貿易関連事業者の登録

シンガポールで輸出入に関連する事業を営むに当たっての手続きは次のとおり。
  1. 会計・企業規制庁(ACRA、旧企業登録局(RCB))に会社を登記する。
  2. 個別企業登録番号(Unique Entity Number:UEN)の登録
    会社を登記した際にACRAより発行される個別企業登録番号(UEN)をシンガポール税関(Singapore Customs)に登録する。このUENは、従来シンガポール税関より取得していた事業者登録番号(Central Registration (CR) Number)に代わる登録番号で、2009年1月以降、貿易事業者登録のみならず政府機関への各種申告業務にUENが一本化して利用されるようになった。駐在員事務所、社団法人など直接貿易事業に関わることがなくともサンプル、カタログ、出版物などを海外より輸入する際にはUENが必要となり、所管する政府機関に申請することでUENを取得できる。個人や支店などには発行されない。
  3. 税関への申告業務について
    シンガポール税関に登録されたUENは「トレードネット(TradeNet)」と呼ばれる電子データ交換(EDI)システムを通じた輸出入申告等の際に必要となる。一般に郵送品を含む貨物をシンガポールへ輸入する際には消費税(GST)かつ関税の納税義務があり、貨物の輸入・輸出・トランジットには税関への申告が義務付けられている。貿易関連事業者が直接税関に対して輸出入許可を申告するには、申告代理人(Declaring Agent)として税関に登録して、TradeNetシステムのユーザーIDを取得するほか、同システムの認定ネットワーク管理者からソフトウエアの購入、税関への諸税自動引き落とし口座の開設、銀行保証の差し入れなどが求められるため、貨物取扱事業者を指定して税関への申告業務を代行してもらうのが一般的である。
関連ウェブサイト
UEN番号について "Search for UEN外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
シンガポール税関:
TradeNetシステムの認定ネットワーク管理者リスト "TradeNet Front-end Solution Providers外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
Declaring Agentの登録について"Register as Declaring Agent or Declarant外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"


トレードネット

トレードネットは1989年1月に運用が始まった貿易手続きのEDIシステムで、輸出入あるいは輸入貨物の積み替えにかかわる申告から許可通知、関税・諸税や手数料等の支払いに至るまでの手続きが電子的に一括処理されている。トレードネットは毎週日曜日の午前4時~午前8時までの4時間、システム・メンテナンスのために停止される以外、365日・24時間稼動している。現行システムは数回のバージョンアップを経て2012年1月に導入された「バージョン4.1」で、申告内容に問題がなければ数分以内で手続きが完了するようになった。このトレードネットは2007年10月より、TradeXchangeと呼ばれる貿易物流業界の情報交換プラットフォームの核となるアプリケーションとして統合され、海外の企業や規制当局のシステム、航空会社や船会社など貨物輸送会社、物流サービス事業者、貨物保険会社、金融機関とも接続を実現することが可能となっている。具体的にこのTradeXchangeでは、トレードネット以外に次のモジュール等で構成されている。

TradeXchangeウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  1. 統合マルチモーダル・ソリューション(Integrated Multimodal Solution)
    航空・海上貨物のスケジュールや貨物追跡システムを運用する貨物業界ネットワーク(Cargo Community Network:CCN)および港湾システムPortnetとの接続性を提供している。
  2. 海外税関ハイウェー(Overseas Highway Customs)
    オーストラリア、台湾、香港、マカオ、韓国、マレーシア、タイなどの税関当局との接続性を実現し、貿易申告データを再入力することなく利用してオンラインでの通関申告業務を簡素化している。
  3. ロゼッタネット自動化処理(RosettaNet Automated Enablement:RAE)
    ロゼッタネットの枠組みを利用して、顧客や仕入先との注文書、パッキングリスト、インボイスなどの貿易書類の交換を可能にする。
  4. 船会社との接続(Shipping Line Linkages)
    船腹の予約、引き合いなど船会社とのメッセージ交換を電子的に可能とする。
  5. 船荷証券電子登録(Electronic Bill of Lading (eBL) Registry)
    貿易業務の一環として、船荷証券の荷主、荷受人、荷送人、銀行などの間でアップロード、移転、元地回収などを電子的に実現する。
  6. 海外ハイウエー・マニフェスト(Overseas Highway Manifest)
    オーストラリア、カナダ、米国などの税関当局との接続性を実現し、貨物マニフェストに関するデータの電子的転送を可能にする。
  7. 金融機関との接続(Trade Finance)
    トレードファイナンス業務のオンライン化を実現し、買手、売手、金融機関間の手続きの簡素化や迅速な承認が可能とする。
  8. 海上貨物保険会社との接続(Marine Cargo Insurance)
    貨物取扱事業者がTradeXchangeを通して複数の保険会社とオンラインでアクセスすることができ、貨物保険にかかわる業務の時間を大幅に短縮することを可能とする。
  9. 電子原産地証明の準備(Electronic Certificate of Origin Preparation)
    荷主やその代理人は非特恵原産地証明を電子的に申請するため、税関で承認された輸出入許可のデータを再入力することなく利用することが可能となる。


輸出入手続き

  1. ユーザー登録
    輸出入事業者が自らトレードネットを通じて輸出入許可の申告を行うには、同システムのネットワーク管理者であるクリムゾンロジック社(CrimsonLogic Pte Ltd、Tel:(65)6887-7888)または他のサービスプロバイダにユーザー登録する。あるいは、貨物代理店、貨物取扱事業者を指定して輸出入申告業務を代行してもらうこととなる。
  2. 輸出入申告の免除規定
    1. 輸出入管理品目でなく、次の場合は税関の輸出入・積み替えにおける許可が不要となる。
      1. 空路・陸路・海路にて個人が携帯品として個人使用目的で搬入・搬出する身の回り品・家庭用品(車輛を除く)
      2. 郵便小包により輸入・輸出される品目で輸出入規制法第6条の規定に基づいて輸出入・積み替えが禁止されていないもの
      3. 外交文書
      4. シンガポール国防省、シンガポール警察、民防部隊、外務省の士官・外交官などにより輸出入される身の回り品、家庭用品(一般車輛を除く)
      5. シンガポール自動車協会(AAS)により裏書きされた自動車カルネ(Carnet de Passage)が付保された中古車輛
      6. 貿易見本品、分析試験用見本、贈答品で総額が400Sドルを越えないもの[管理品目のうち、農食品・獣医庁(AVA)により管理されている魚介類(CITES管理品目を除く)、生鮮果実・野菜(中南米諸国原産のものを除く)、生花(CITES管理品目および中南米諸国原産品を除く)、国際企業庁(IEシンガポール)により管理されている米については含まれる]
      7. 商業用書類、報道用写真・陰画、ニュース用記事・フィルム・テープ
      8. 人間の遺体、人骨、遺灰
      9. 移植用臓器
    2. 輸入される商品で、[1] 輸入管理品目でなく、[2] 総額が400Sドルを越えず、[3] 空路により輸入される場合は輸入許可が不要となる。
    3. 輸出される商品で、[1] 輸出管理品目でなく、[2] 総額が1,000Sドルを越えず、[3] 空路により輸出される場合は輸出許可が不要となる。
    4. 積み替えされる商品で、[1] 積み替え(トランシップ)管理品目でなく、[2] 自由貿易地区(FTZ)から他のFTZに移送されず、空路で搬入・搬出される総額が1,000Sドルを越えないものは積み替え(トランシップ)許可が不要となる。
    なお、輸出入管理品目については「貿易管理制度」の「輸入品目規制」、「輸出品目規制」を、輸入課税品目については「関税制度」の「関税体系」、「関税以外の諸税」を参照のこと。
  3. 輸入申告
    1. 輸入はすべて事前申告となる。貨物がシンガポールに輸入される前にトレードネットを通じて輸入許可「In Permit」を取得し、輸入時点の為替レートで換算し、諸税をシンガポール税関に支払う。輸入許可は大きく分けて2種類あり、通関の際に一般関税・GSTなど諸税を支払う義務のある「In-Payment Permit」と小口貨物や引越し貨物の輸入、保税倉庫やライセンス倉庫への搬入、一時的輸入制度に基づく輸入など諸税の支払いを猶予された「In-Non-Payment Permit」に分類される。
    2. 輸入許可通知が届いた後、申告者は貨物通関許可証(Cargo Clearance Permit)をプリントアウトし、署名の上、通関の際に提示する。
    3. 特定のハイテク製品を輸入する場合、輸出国側からシンガポールの輸入業者に輸入証書・通関確認(Import Certificate and Delivery Verification:ICDV)を求めるケースがある。この場合、シンガポール税関は輸入業者による申告に基づき、直接シンガポールに輸入され第三国に再輸出されないことを条件にICDVを発行することができる。
    4. 展示会、オークション、博覧会などに出展する目的で出展品(タバコ類、酒類は除外される)を輸入する場合、一時的輸入制度(Temporary Import Scheme)またはATAカルネを利用することができる。
      これら制度の下で管理品目が輸入される場合、関連するシンガポールの管轄機関から事前承認を取得する必要がある。
      展示会主催者、出展者または貨物運送業者は、税関の手続きシステム部(Procedures & Systems Branch)許可課(Permits Unit)に、一時輸入の目的、期間、展示会開催場所など詳細を記した書状を船荷証券(Bill of Lading)または航空貨物運送状(Airway Bill)、商業送り状(Invoice)、パッキングリストなど必要書類とともに提出する。同時に関税およびその他諸税額に相当する担保(銀行保証もしくは保証保険)を税関に差し出すことが要求されている。税関は申告に基づき、一時的輸入制度では輸入未払(一時貨物)許可[In-Non-Payment (Temporary Consignment) Permit]を発行する(ATAカルネでは許可が不要)。
      なお、一時的輸入に対する期間は最長6カ月に設定されているが、カルネによる輸入は輸入日より最長3カ月間に制限されている。
  4. 輸出申告
    1. 貨物が船舶や航空機によって輸出される場合は、港湾または空港の貨物取扱業者に輸出用貨物を搬入する以前にトレードネットを通じて輸出許可「Out Permit」を取得する。従来、輸出申告はシンガポール出港後の事後となっていたが、2013年4月1日よりすべての品目につき出港前の事前輸出申告(Advance Export Declaration)に改められた。
    2. 貨物が輸出管理品目の場合、あるいは車輌や鉄道によって陸路で貨物を輸出する場合、貨物が国外に搬出される前にトレードネットを通じて輸出許可「Out Permit」を取得しなければならない。
    3. 一時的輸入制度(Temporary Import Scheme)により輸入された貨物を国外に輸出する場合、事前にトレードネットを通じて輸出許可「Out (Temporary Consignment) Permit」を取得しなければならない。
    4. 一時的輸出制度(Temporary Export Scheme)により貨物を輸出する場合、事前にトレードネットを通じて輸出許可「Out (Re-imported Goods) Permit」を取得しなければならない。
  5. 積み替え(トランシップ)申告
    1. 管理品目の輸入貨物を一時的保管のために自由貿易地区(FTZ)に搬入し、積み替え(トランシップ)が同一のFTZ内で行われる場合、トレードネットを通じて積替許可「Transhipment (TTF) Permit」を取得しなければならない。
    2. 輸入貨物をFTZに搬入し、積み替えが別のFTZで行われる場合、トレードネットを通じて積替許可「Transhipment (TTI) Permit」を取得しなければならない。
  6. 諸税(一般関税、GST)の支払いは、輸入者(代理人)が予めシンガポール税関に対し開設している専用口座から自動的に引き落とされる(電信振替)。

[参考] シンガポール税関
輸入手続き "Quick Guide for Importers外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
輸出手続き "Quick Guide for Exporters外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

必要書類等

輸出入管理の対象となる品目は、それぞれの監督省庁により、事前登録やライセンス取得などが義務付けられている。肉類、魚類、生鮮果実・野菜、生卵、米、加工食品の輸入手続きを例示する。

輸出入管理の対象となる品目は、それぞれの監督省庁により、事前登録やライセンス取得などが義務付けられている。輸出入管理品目は、「貿易管理制度」の「輸入品目規制」、「輸出品目規制」の項を参照。

具体的に、肉類、魚介類、生鮮果実、生鮮野菜、米、加工食品、生卵の輸入手続きを概要のあとに例示する。

概要

  1. 輸入者は監督機関である農食品・家畜庁(AVA)から事前にライセンスを取得する。

    〔問い合わせ先〕
    農食品・獣医庁(Agri-food and Veterinary Authority:AVA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    52 Jurong Gateway Road, #14-01, Singapore 608550
    Tel:(65)6805-2992
  2. 年間ライセンス料は、肉・魚介類が84Sドル、生鮮果実・野菜が378Sドル、生卵が無料。
    LicenceOne (AVA e-Licensing)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. ライセンス申請にあたって、[1] 会計企業規制庁(ACRA)より取得した個別企業登録番号(Unique Entity Number:UEN)をシンガポール税関に登録、[2] ライセンス料や輸入許可手数料をAVAが自動引き落しするための銀行口座を開設する必要がある。
    各種ライセンスはAVAのLicenceOne(AVA e-Licensing)を通じてオンライン申請が可能となっている。通常、申請から1営業日(生卵は5営業日)でライセンスを取得することができる。
  4. 輸入者は、輸入しようとする食品が、それを規定するシンガポールの法令に準拠していることを確認すること。特に肉・同製品は、AVAにより認定された生産国の認定生産者からのみ輸入することができるので留意を要する。また、輸入時の梱包に表示するラベル表示規制も遵守しなければならない。
  5. 輸入に当たっては、事前に輸入許可を取得する。AVAよりライセンスを取得した輸入業者は、シップメントごとに、UEN番号、AVAライセンス番号、製品情報(HSコード、AVA製品コード、数量と単位)をトレードネットに入力して申告する。輸入業者は、必要に応じて輸出国の管轄政府機関から検疫証明書(Health Certificate)などの書類を取得して、AVAに提出しなければならない。
  6. AVAにより発行される輸入許可はシップメントごとに必要となる。
  7. 輸入が許可されると、貨物通関許可(Cargo Clearance Permit:CCP)が発行され、輸入者のターミナルでCCPを印刷することができる。輸入者はCCPに特別な条件が付いていないか承認コードをチェックしなければならない。例えば CCPの承認コードがA03となっていると、輸入貨物はAVAによる検査を受けなければならないという意味である。
    輸入者は貨物がシンガポールに到着する前にAVAの検査・試験所eサービスを通じて検査をオンライン予約し、AVA係官による検査を手配することができる。試験所での分析のためサンプルが採取され、試験所での分析結果が出るまで貨物が封印されることもある。
    検査結果で不合格となると、輸入業者は輸入した貨物を輸出元へ返送するか廃棄処分しなければならない。貨物が放射性物質で汚染されていることが判明した場合、シンガポール国内での廃棄処分は認められず、輸入業者は返送または再輸出することが求められる。ノンコンプライアンスの程度に応じて、輸出業者または輸出元がシンガポールへの輸出を差し止められたり、輸入業者がシンガポールへの輸入を差し止められたりすることもある。

    〔参考〕AVAの検査・試験所eサービス・サイト "Inspection & Laboratory e-Services外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

輸入手続きの具体例

食品の種類によって取得するライセンスが異なる。また、必要書類、検疫・検査や表示義務等、細かい規定がある。詳細は次のPDFを参照。

福島原発事故以降に発令された日本産食品に対する輸入規制

  1. 2016年12月末現在、輸入停止措置が取られているのは、[1]福島県(全市町村)産の林産物、水産物、[2]福島県南相馬市、川俣町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村の全食品および農産物である。また、[2]以外の福島県内の市町村の米、食肉、牛乳・乳製品、卵、野菜・果物とその加工品、緑茶およびその製品については、政府作成の市町村ごとの産地証明書に加え、検査機関発行の放射性物質検査報告書を提出する必要がある。
  2. 茨城県、栃木県、群馬県の林産物および水産物については、政府作成の放射性物質検査証明書が要求されている。また、食肉、牛乳・乳製品、卵、野菜・果物とその加工品、緑茶およびその製品については、政府または商工会議所作成の都道府県ごとの産地証明(商工会議所の場合はサイン証明)が要求されている。
  3. 上記1. 2.以外の都道府県の食肉、牛乳・乳製品、卵、野菜・果物とその加工品、緑茶およびその製品、水産物については、政府または商工会議所作成の都道府県ごとの産地証明(商工会議所の場合はサイン証明)が要求されている。

農林水産省(日本):シンガポール向け輸出証明書等の概要について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

査証

不要

その他

2011年6月に日本とシンガポールは二国間の認定事業者(AEO)制度の相互承認協定(MRA)を締結し、それぞれのAEO事業者を相互に承認することにより、二国間物流におけるセキュリティレベルを向上させつつ、通関手続きの簡素化・迅速化が図られている。シンガポールは日本以外に、カナダ、韓国、台湾、中国、香港、米国ともMRAを締結している。

ご相談・お問い合わせ

現地日系企業の皆様

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