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日本産および日系企業現地生産品小売での販売動向

日本産みかんの売上げが堅調 ‐ 味と外見でローカル消費者を魅了

2011年2月
分野:食品・農林水産物

シンガポールのスーパーマーケットでは、日本産みかんの売上げが堅調で、シンガポール人による消費が伸びているようだ。輸入業者やスーパーマーケットにとっては、賞味期間が短く扱いにくいといわれる日本産みかんであるが、「おいしさ」や「外見の美しさ」でローカル消費者を魅了している。円高による為替リスクに加え、2010年夏以降の異常気象による青果物の品質低下や仕入れ価格高騰など悪条件の中、各小売店では、袋詰めの数量を例年より減らすなどの工夫をして販売している。地場系スーパーマーケットでは毎年旧正月前になると、低価格の中国産かんきつ類が店頭に並び、華人系シンガポール人消費者が買い求める光景を目にする。しかし近年では、あえて日本産みかんを求める消費者が増えているようだ。日本産みかんの人気に牽引され、他のかんきつ類の売上げも伸びているものと思われる。

小売店における売上げ動向

現地スーパーマーケットで販売される日本産みかんのほとんどが「温州みかん」で、温室みかんのように収穫時期の早い「極早生温州みかん」も含め、売上げが堅調だ。地場系小売最大手のNTUC フェアプライス(Fairprice)で日本産青果物を販売しているバン・チョーン・マーケティング社(Ban Choon Marketing Pte Ltd)では、2010年10月から2011年1月までの日本産みかんの売上げが前年同期比で約10%増加したという。同社のタン・チン・ヒャン(Tan Chin Hian)社長は、「今シーズンは、日本産みかんの仕入れ価格が15%以上上昇しているが、同様に価格が高騰した果物・野菜と比較すると、みかんの売上げは順調に伸びている。2011年は旧正月の元日が2月3日と前年より10日ほど早かったことで、2011年1月の日本産みかんの売上げが前年比で大きく伸びた」と語る。

日系スーパーマーケットの明治屋でも、日本産みかんの売上げは順調に伸びている。同店では「温州みかん」の2010年通年の売上げは、前年比10.2%増であった。同店の名越秀二常務取締役は、「日本産かんきつ類のなかでもみかんは在庫保管単位が大きいこともあり、売上構成比は全体の約78%を占める。温室みかんを含めると売上構成比は93%になる」と話す。また、「ローカルの顧客は全体的にかんきつ類が大好きで、日本産みかんにも高い関心を示している」と述べている。

スーパーマーケットでは、りんごやなしなどと比較して競合商品が少ないことも日本産みかんの売上げ増加の要因になっていると指摘する声もある。また、みかんを購入するローカル消費者の多くが、同じかんきつ類でもオレンジなどとしっかり区別して購入しているようだと指摘する青果物輸入業者もいた。

シンガポール向けの輸出動向

日本の財務省貿易統計によると、シンガポール向けのみかん(HSコード:0805.20.000、マンダリン、タンジェリンおよびうんしゅうみかんならびにクレメンタイン、ウィルキングその他これらに類するかんきつ類の交雑種)の輸出額、輸出量は、ここ2年間は、前年比2ケタ以上増加している(表1)。特に2010年は輸出額が2,248万円で前年比48.9%増、輸出量が7万2,457キロで前年比23.6%増と大きく上昇した(表2、表3)。日本からみるとシンガポールは決して大きな市場とはいえないが、みかんに関しては、国・地域別でカナダ、香港、台湾に次ぐ主要輸出国である。

表1:日本のみかんのシンガポール向けの輸出推移
2008年 2009年 2010年 前年比(%)
輸出額(1,000円) 13,193 15,092 22,478 48.9
輸出量(キロ) 43,546 58,609 72,457 23.6
表2:日本のみかん輸出額の国・地域別推移
国・地域 輸出額(1,000円) 前年比(%)
2008年 2009年 2010年
1 カナダ 286,889 174,242 131,708 △24.4
2 台湾 93,624 67,888 92,239 35.9
3 香港 40,851 53,386 67,461 26.4
4 シンガポール 13,193 15,092 22,478 48.9
5 ニュージーランド 1,593 12,772 8,652 △32.3
世界計 470,646 355,449 345,115 △2.9
表3:日本のみかん輸出量の国・地域別推移
国・地域 輸出量(トン) 前年比(%)
2008年 2009年 2010年
1 カナダ 2,924 2,065 1,648 △20.2
2 香港 157 213 223 4.5
3 台湾 131 114 166 45
4 シンガポール 44 59 72 23.6
5 米国 109 103 56 △46.1
世界計 3,408 2,648 2,227 △15.9

(HSコード)0805.20.000
(表1~3の出所)財務省貿易統計

シンガポールにおける日本からのみかん(HSコード:0805.20.00、マンダリン、タンジェリンおよびうんしゅうみかんならびにクレメンタイン、ウィルキングその他これらに類するかんきつ類の交雑種)の輸入は、シンガポール国際企業庁(International Enterprise Singapore)の統計をみても順調に伸びている。

2010年の輸入額は、前年比83.3%増の51万5,000シンガポール・ドル(以下Sドル)(表4、5)であった。輸入量は2008年の44トンから、2009年には41トンに減少したが、2010年には94トンと、前年の2.3倍増となった(表4、表6)。日本産みかんの需要が高まっていることがうかがえるが、シンガポールにおけるみかんの輸入相手国・地域をみると、2010年に日本は輸入額が7位、輸入量が8位にとどまっている。上位の輸入相手国・地域との差は、依然として大きい。

表4:シンガポールにおける日本のみかんの輸入推移
2008年 2009年 2010年 前年比(%)
輸入額
(1,000Sドル)
213 281 515 83.3
輸入量
(トン)
44 41 94 129.3
表5:シンガポールにおけるみかんの輸入額の相手国・地域別推移
国・地域 輸出額(1,000Sドル) 前年比(%)
2008年 2009年 2010年
1 中国 17,240 13,444 17,113 27.3
2 アルゼンチン 765 926 2,309 149.5
3 オーストラリア 1,778 1,989 1,341 △ 32.6
4 台湾 1,238 656 1,120 70.7
5 パキスタン 1,056 717 793 10.6
7 日本 213 281 515 83.3
世界計 24,578 19,603 24,894 27
表6:シンガポールにおけるみかんの輸入量の相手国・地域別推移
国・地域 輸出量(トン) 前年比(%)
2008年 2009年 2010年
1 中国 14,437 12,699 14,595 14.9
2 アルゼンチン 643 653 1,567 140
3 パキスタン 1,422 988 1,122 13.6
4 オーストラリア 983 1,138 606 △ 46.7
5 台湾 465 258 400 55
8 日本 44 41 94 129.3
世界計 19,603 16,838 19,469 15.6

(HSコード)0805.20.00
(表4~6の出所)シンガポール国際企業庁(International Enterprise Singapore)

味と外見で消費者を魅了

一般的に、シンガポール国内では、日本産の果物は高級食材として位置付けられており、他国・地域の競合品より良質でおいしいと多くのローカル消費者から思われている。ただ、小売価格が高いことから、実際に購入するのは富裕層を中心とした客層が多い。日本産みかんを求める客層も、その例外ではない。

NTUC フェアプライス(FairPrice)のなかでも高級食材を扱うFinestと呼ばれる店舗で、日本産みかんの購入理由について、ローカル消費者を対象に聞き取り調査をしたところ、日本産みかんは他の外国産みかんと比較して、果肉が軟らかくジューシーでとても甘味があるからという声が多かった。また、オレンジのように1年を通して購入できるものではなく、季節が限定された商品だからという理由や、外見が美しく、剥きやすくて食べやすいなどの理由も挙がった。外見上の美しさという点において、店内で日本産みかんの競合相手となっていた中国産みかんは、表皮が黒ずんでいたり、形にばらつきがあったりして、やや外見に難があるという印象を受けた。日本産みかんの購入者の中には、2008年の乳製品へのメラミン混入事案以来、中国産商品を購入しないというローカル消費者もいた。これは、極端な事例ではあるにせよ、近年、食に「安全・安心」を求めるローカル消費者が増加傾向にあるのは確かで、富裕層の中には、外見や安全性に対して敏感に反応する消費者も増えているようだ。このような状況が、日本産みかんの認知度が高まる材料となっていると考えられる。

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NTUC Fairprice Finestブキ・ティマ店で販売されている日本産みかん(左)と、中国産みかん(右)

日系スーパーマーケットの伊勢丹に日本産青果物を卸しているアンジ社(ANZI (S) PTE LTD)の菅野権一社長によると、悪天候の影響で、今シーズンの日本産みかんは味が例年よりやや酸っぱいというローカル消費者からの声もあるようだが、売上げにはほとんど影響が出ていないという。このフィードバックも、日本産みかんの認知度が高まっていることの表れではないかとみているようだ。

商品形態と価格帯

現地スーパーマーケットにおける外国産かんきつ類全般の商品形態は、旧正月前に箱入り形態で販売される商品以外、基本的に1個ずつのばら売りが主流で、1個30~40Sセント、キロ単位で3.5~4.0Sドルと低価格に設定されている。一方、日本産みかんの多くはきれいにパック詰めされたものや袋詰めされた形態で販売されており、小売価格は個数や重量によって設定されている。

バン・チョーン・マーケティング社(Ban Choon Marketing Pte Ltd)では、主に福岡県産、佐賀県産、愛媛県産、そして和歌山県産のみかんを仕入れ、販売している。生産地によって仕入れ価格の違いがあるようだが、ほとんどのローカル消費者は生産地に対するこだわりが強くないため、商品に生産地の記載をせず、大きさや数量を調整することで、小売価格の大きなばらつきをできるだけ抑制する場合もあるという。2010年11月から2011年1月にかけて、同社の日本産みかんの小売価格は、6個入りの袋詰めが6.9Sドル、8個入りの袋詰めが8.9Sドルであった。日系スーパーマーケットの明治屋や伊勢丹でも日本産みかんの多くはパック詰めと袋詰めが主流のようだ。こちらもサイズや生産地によって小売価格に違いがあるが、10個入り袋詰めの価格帯が12.8S~16.8Sドルとなっていた。

農産物価格の高騰や円高の影響もあり、日本産みかんの仕入れ価格が前年比で15~30%上昇しているようで、各スーパーマーケットでは小売価格を据え置く代わりに数量をやむを得ず減らすなどの工夫をしているところが多いようだ。また、こうした厳しい現状の中で、明治屋は、消費者に買い得感をもってもらう販売戦略で売上げを伸ばしているという。前述の名越常務取締役は、「バルク売りという販売方法が売上げ増加に大きく貢献した」と指摘する。みかんだからこそ可能な販売方法が、食材小売価格の高騰を懸念するローカル消費者に受け入れられた形となった。

需要拡大の可能性

関係者の大方の見方としては、シンガポール市場における日本産みかんの需要は、今後数年間は高まるものとみられる。一方で、現地で販売されている日本産みかんは高級果物の一つとして認知度は高くなってきているが、市場が小さいこともあり、需要はすぐに頭打ちとなる可能性もあるのではないかと指摘する関係者もいる。食品輸入業のフォニェン・フード社(Fonyen Food Pte Ltd)のC.K. スーン(Soon)取締役社長は、「健康志向の強いローカル消費者へ、日本産みかんの持つ栄養分に関する情報を提供するなどの努力をすることで、客層を少しでも広げることが出来るのではないか」と話し、ローカル消費者が商品を購入する以前に求めている情報を把握することの重要性を指摘した。

バン・チョーン・マーケティング社(Ban Choon Marketing Pte Ltd)のタン・チン・ヒャン(Tan Chin Hian)社長は、日本産みかんが傷みやすくシンガポールに輸入された時点で2割以上が商品価値を失ってしまうガ、日本における生産側の品質改良や物流面で改善ができれば、輸入業者の立場からも、取り扱いやすい商品となり、需要拡大に繋げることは可能だと話している。同社が日本産青果物を販売しているスーパーマーケット最大手のNTUC フェアプライス(Fairprice)では、日本産みかんの売れ行きがよく、在庫切れになり入荷まで数日間店頭に並ばないことも時折あるようだ。日本産みかんの需要が高まっていることは理解しているものの、在庫リスクの観点から、仕入れの数量に関しては慎重にならざるを得ないのが現状のようだ。

その他の日本産かんきつ類の販売動向

将来的には、みかんが牽引し、デコポン、いよかん、甘夏柑、ぽんかん、はっさくなどの日本産かんきつ類の需要も高まるのではないかと注目する業者が多い。すでに日系スーパーマーケットだけではなく、地場系スーパーマーケットでも、みかん以外の日本産かんきつ類が少量ではあるが店頭に並び、新しいものが好きなローカル消費者の購買意欲を掻き立てているようだ。

明治屋スーパーマーケットでは、日本産みかん以外のかんきつ類の売上げも増加傾向にあり、2010年のかんきつ類全体の売上げは前年比で13.6%伸びた。品目別では、ギフト用で高額のデコポンが、ローカルのかんきつ類が主流である旧正月用ギフトに押されたため27%減となったものの、いよかんが137%増、ぽんかんが67%増、甘夏柑が80%増とそれぞれ飛躍的に伸びた。これら品目をすべて合わせても売上構成比では7%と低いものの、今後も、それぞれの品目の売上げは伸びそうだ。

みかん同様、他の日本産かんきつ類の今後の販売動向にも注目したい。

(シンガポール・センター)

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