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外国産品の先行事例分析

販売シェア拡大を目指す韓国産「板のり」 ‐ 健康志向のスナック菓子として売り込み

2010年12月
分野:食品・農林水産物

シンガポールでは、昨今の韓流ブームや韓国人の人口増加を背景に韓国産食品市場の拡大が見込まれ、販路開拓への動きや地場の輸入業者によるプロモーション活動が活発になっている。韓国産食品といえば、従来は香辛料のきいたキムチやインスタントヌードルをはじめとしたスパイシーな食材が目についたが、最近は、シンガポール人の健康志向に合わせて、栄養価の高い「板のり」などの売り込みにも力を注いできているようだ。また、「板のり」の中でも「味付けのり」をスナック商品として売り出し、「板のり」市場におけるシェア拡大を目指している。

積極的な韓国食品業界の動き

近年、韓国の食品業界は地場系スーパーマーケットに対して、積極的な商品の売り込みを展開している。地場系スーパーマーケットNTUC FairPrice Finestで開催された「韓国フェア」は、在シンガポール韓国大使館の後押しもあってか盛況だったという。フェア期間中は、日本でも人気商品となっている韓国産「板のり」などの販売促進活動が積極的に行われたようだ。

韓国食品企業単独の動きとしては、韓国の食品工業でトップクラスのCJグループが、NTUC FairPrice のFinest部門に対して、韓国産加工食品の独占販売契約を持ちかける話があり、同ブキ・ティマ店の韓国産加工食品コーナーで、自社ブランドBEKSULの「Crispy Toasted Seaweed」という「味付けのり」の販売に力をいれることになった。

地場系小売業界では、最近の韓国ドラマを中心とした韓流ブームで、韓国食品に興味を持つ国内消費者が増加傾向にあるとみており、積極的な売り込みをかける韓国の食品業界にもおおむね好意的なようだ。同ブキ・ティマ店のノア・チェック部長は、現在、日本食品を購入する消費者層が、かつてドラマをはじめとした日本のテレビ番組に強い影響を受けた年齢層であることを指摘した上で、現在国内で人気となっている韓国ドラマの影響は、やがて、韓国産食品に手を伸ばす消費者の増加という形で現れるだろうと予想している。また、韓国食品業界の関係者もこのシンガポールにおける韓流ブームをうまく利用しない手はないと話している。

在留韓国人の多い地域で販売促進活動

シンガポールで、韓国産食品の市場拡大が見込まれているもう一つの理由は、在留韓国人の増加だ。2010年2月4日付けの地元紙「ストレーツ・タイムズ」では、在留韓国人の人口が1993年の7,000人から2010年初めには1万6,000人まで増加したと伝えている。こうした中、「韓国フェア」で、韓国産食品のプロモーション活動を続けてきた現地小売店では、ここ数年、フェア開催中の売り上げが毎年10~25%ずつ伸びているという。

韓国食品専門の輸入業者も、在留韓国人の多い地域にあるスーパーマーケットの催事を中心に販売促進活動に力を入れているという。韓国人駐在員が増加している南部リバーバリー地区にある明治屋スーパーマーケットでは、2010年9月に「韓国フェア」が開催され、売り上げが前年比で25%増加し、商品別では、キムチに続いて「板のり」が2番目に高い売り上げを記録したという。

同じく、韓国人が多く滞在する中西部ブキ・ティマ地区に位置する地場系スーパーマーケットNTUC FairPriceのFinest部門のブキ・ティマ店では、同年11月に過去最大規模の「韓国フェア」が開催され、韓国のりの販売が好調だったという。

韓国人の多い地域で消費者を囲い込みながら、シンガポール人消費者に商品を売り込む戦略が功を奏した結果となった。

シンガポールののり市場

2006年以降、シンガポールでは、のりの輸入量が減少傾向にある中、韓国はシンガポールののり輸入先国として3位の地位を築き、そのシェアを高めている。2009年の年間輸入量は45トンで、2位の中国(47トン)に肉薄した(表1)。2010年に入っても、1~9月期の輸入量は前年同期比で76.5%増加し、順調な伸びを見せている(表2)。

表1:シンガポールにおけるのり輸入量の国別推移(年間)
順位 国名 輸入量(トン)
2006 2007 2008 2009
1 日本 19 43 103 97
2 中国 228 171 73 47
3 韓国 2 5 11 45
4 タイ 82 86 37 13
表2:シンガポールにおけるのり輸入量の国別推移(1~9月)
順位 国名 輸入量(トン)
2008 2009 2010 2010年の
前年同期比(%)
1 日本 81 78 73 -6.41
2 中国 56 33 72 118.18
3 韓国 9 17 30 76.47
4 タイ 31 12 20 66.67

(表1および表2出所:シンガポール国際企業庁(International Enterprise Singapore))

上記の表1、2は、品目がHSコード「12122090(その他ののりや海藻)」に当たる。シンガポール国際企業庁の統計品目からは、「板のり」の輸入量を把握することはできない。韓国関税局の統計でも、日本の「板のり(HSコードは210690100)」のように限定したHSコードはなく、類似品目ではHSコード「2106904010(乾燥のり)」が存在するのみである。また、韓国産「板のり」を輸入している業者へのヒアリングでは、「板のり」でも、別の品目のHSコードが割り当てられているケースもあり、シンガポール向けに輸出された韓国産「板のり」の厳密な統計データは把握できない状況にある。

しかしながら、業界関係者は、韓国食品専門のミニマートが増加していることや、大手スーパーマーケットにおける韓国産「板のり」の品数を見る限り、輸入量は増えていると見ているようだ。大手スーパーマーケットで販売されている「板のり」は、これまで日本産品が高いシェアを誇り、日本メーカー数社がしのぎを削る状態であったが、最近では韓国メーカーの「板のり」も店頭での存在感を増しているようだ。

健康志向に合わせた商品販売

シンガポールでは、近年、消費者の健康志向が強くなり、味付けに関する嗜好も少しずつ変わってきているといわれている。従来は、味付けの濃いものが好まれる傾向にあったが、最近では香辛料や塩分の摂取に気を使う消費者も増えており、のりの高い栄養分と比較的あっさりした味は、健康志向の消費者を引き付ける商品として注目されている、と話す業界関係者が多い。韓国食品の催事では、キムチ、インスタントヌードル、チヂミといった香辛料が多く使用された定番の食品と共に、比較的塩分の少ないあっさりした味の韓国産「板のり」の売り上げも伸びているという。

韓国食品専門のミニマートを2店舗経営するHI KOREA PTE. LTD. では、現在4種類の「板のり」を販売している。韓国産「板のり」は、ごま油と塩による味付けが特徴的だが、比較的薄味の商品を求める消費者が増え、塩分控えめの「味付けのり」に人気が集まっているという。韓国の輸入業者によると、あっさりとして上品な味がする「板のり」の商品開発に力を注ぎ、健康食として売り出そうとする韓国ののりメーカーの動きもあるという。

栄養価の高いスナック菓子として認知される板のり

のりの輸入業者の中には、「焼のり」、「もみのり」、「きざみのり」は、料理に使用することが前提とされる商品であるため、外食に依存する傾向が強いシンガポール人の消費人口を増やすのは容易ではないと指摘する声もある。その一方で、「板のり」に味付けを施した「味付けのり」は、以前からスナック菓子の代わりとして口にするシンガポール人も多く、また子供のおやつや職場での間食用に購入するケースもあり、小売商品としての期待は高いという。

日本のメーカーは、シンガポール人のこのような食習慣に着目し、スナック商品として「味付けのり」の認知度を上げるため、販売促進活動を行っている。一方、韓国のりの場合は、韓国のメーカーより、むしろシンガポールのマーケットに精通した輸入業者や小売店が「味付けのり」を栄養価の高いスナック商品として売り込む戦略を展開しているようだ。

前述の明治屋スーパーマーケットにおける「韓国フェア」では、韓国産「味付けのり」を栄養価の高いスナック菓子と位置付けて販売を試みたところ、健康志向の強い消費者だけでなく若年層を取り込むことができ、消費者層の拡大に成功した。同店の名越秀二常務取締役は、こうした販売戦略により、フェア開催期間中(9月16~29日)の韓国産のりの売り上げは予想を大きく上回る3,200 シンガポール・ドル(以下Sドル ※) を記録したという。
※ 1Sドル=63.63円(2010年12月27日現在)

明治屋スーパーマーケットで販売されている韓国産「板のり」

同店ではこのフェアでの反響に応じる形で、11月後半より小売価格6.95 Sドルの韓国産「味付けのり」(5g、10パック入り)を常時店頭に並べて販売することになった。8パック(1袋〔8切8枚入り〕×8袋)で5.35~5.80 Sドルの価格帯で販売されている日本産「味付けのり」と比較しても決して安い商品とはいえないが、販売開始直後から売れ行きは好調のようだ。特に、ごま油の代わりにオリーブオイルを使用した「味付けのり」が人気を博している。日本産「味付けのり」がほかの「板のり」と同じ場所に陳列されているのに対し、韓国産「味付けのり」は距離を置いた別の棚に並べられ、スナック菓子としてのイメージを消費者にうまくアピールできているという。

今後期待される戦略

2010年に開催された「韓国フェア」で、韓国ののり業界、輸入業者、大手スーパーマーケットは韓国産「板のり」の販売にある程度の手応えをつかんだようだ。しかし、韓国食品専門の輸入業者「KMG Enterprise」のコー・ピーエス代表は、韓国ののり業界全体における、シンガポール向けの輸出の動きは十分ではないと指摘する。コー代表は、韓国食品メーカー「宗家(ジョンガ)」の「板のり」を2年ほど前から輸入しているが、同社の卸し量が増えているのは、単に国内の韓流ブームの勢いに便乗しているだけではないかと分析している。

シンガポール国内で韓国産「板のり」の販売シェアを伸ばすためには、韓国ののりメーカーと協力して、のりで健康を増進する活動の展開や、スナック菓子としての「味付けのり」のブランディング化に本腰を入れて取り組むことが必要不可欠と考えている輸入業者もいる。

健康志向が強い消費者への商品アピールやスナック菓子としての売り込みは、日本ののりメーカーも継続的に行っているが、明治屋店内での他商品と区別した陳列方法で日本産「板のり」との差別化を図るなどの策を講じることは効果的だと考えられる。

(シンガポール・センター)

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