福島県産含め日本食品の輸入規制を大幅緩和

(シンガポール)

シンガポール事務所

2014年06月03日

農食品・獣医庁(AVA)は5月31日、東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故を受けて実施していた福島県を含む日本食品の輸入規制を即日緩和すると発表した。規制の緩和は同日、シンガポールで行われた安倍晋三首相とリー・シェンロン首相との首脳会談での合意後に発表された。ただ、福島県産の水産物などの輸入停止措置は継続される。

<福島県の農産品、加工食品の輸入停止措置を即日解除>
AVAの発表によると、日本食品の輸入規制を緩和するのは、2011年3月11日の東日本大震災による事故以来実施していた両国による検査がこれまで良好だったことを受けての措置。日本側での食品検査では放射性物質の検出数値は極めて低いほか、AVAが2014年初めに日本での検査体制を現地で確認した結果、今回のさらなる規制緩和に踏み切ったとしている。AVAはこれまで日本産食品の規制を段階的に緩和していた。

5月31日付で輸入規制解除が決定されたのは、福島県産の農産品と加工食品(果物・野菜、牛乳・乳製品、食肉、緑茶・緑茶製品、コメ)。また、東京、千葉、茨城、群馬、神奈川、埼玉、静岡、栃木の1都7県産の果物・野菜、牛乳・乳製品、食肉、卵、緑茶・緑茶製品について、放射性物質検査証明書の添付義務が廃止される。

ただ、今回の規制解除でも全ての日本産食品は、具体的な都道府県産を明記する原産地証明書の添付が引き続き義務付けられる。AVAは発表の中で、今後、日本当局と規制解除の詳細を詰めていくとしている。

<福島県産の水産物輸入は引き続き停止>
一方、日本産食品で現在も残る規制は以下のとおり。

(1)茨城、栃木、群馬の3県の水産物と森林の産品(野生のキノコ、野イチゴ、野生のイノシシ肉など)に対する放射性物質検査証明書の添付義務。
(2)福島県産の水産物と、福島県の旧警戒区域などの農産品および森林の産品は、引き続き輸入停止。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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