輸出入手続

最終更新日:2023年11月01日

輸出入許可申請

輸出入禁止品目と輸出入規制品目および許可発給機関については、貿易管理制度参照。

フィリピン「貿易管理制度

必要書類等

必要書類、税関現代化・関税法(CMTA)の制定、知的財産権部の創設、フィリピン経済区庁(PEZA)登録企業の輸入手続き簡素化(2005年7月7日開始)、木材梱包材の検疫規制(2005年1月1日開始)、税関公共保税倉庫(CBW)利用料金の改定(2004年5月6日)、関税事後調査および書類保管義務について、未払いの付加価値税税額控除証明の現金化プログラム、輸入業者、通関業者認証の改正

必要書類

輸入の通関時には、輸入・内国歳入税申告様式、船荷証券、商業インボイス、パッキングリストなどを、関税局に提出する。加えて、輸入品がフィリピン国家規格の対象品目である場合は、貿易産業省製品標準局から輸入商品許可証の発給を受けなければならない。
なお、委員会命令(Commission Order)第2017-01号および関税通達(CMO)第30-2016号により事前教示制度(Advance Ruling System)が定められているが、同制度の申請は対象となる貨物の輸入申告の90営業日前に行わなければならない。

  1. 輸入時の必要書類
    1. 輸入・内国歳入税申告様式(関税局様式236)
    2. 船荷証券または航空運送状(Bill of LadingもしくはAir Way Bill
    3. 商業インボイス
    4. パッキングリスト
    5. 原産地証明書(必要な場合)
    6. その他関税局が義務付ける追加書類
  2. 輸入商品許可証
    輸入品が、貿易産業省製品標準局(BPS)が管轄する強制的な規格制度であるフィリピン国家規格(Philippine National Standards)に該当する場合は、輸入商品許可証(Import Commodity Clearance)の発給を受ける必要がある。輸入商品許可証は、輸入品の品質が、フィリピン国家規格またはBPSが認める国際・外国規格に合致していることを証明するものである。2015年7月22日、関税局回状(CMC)第95号(s.2015)が発行され、輸入商品許可証の発給を受ける必要のある品目のリストが整備された。発給のための申請書は、政府共通窓口(National Single Window:NSW)から提出する。

    申請時に提出が求められる書類は商品の類型ごとに定められているが、概ね次のとおり。

    1. パッキングリスト
    2. 輸入許可の認証謄本
    3. 商業インボイス
    4. 船荷証券または航空運送状(Air Way Bill
    5. 関税調査官の所見の認証謄本
    6. 貿易産業省の事業登録証明書/証券取引委員会の登録証明書
    7. 対象製品のバッチ番号、シリアル番号の概要
    8. 委任状(輸入商品許可書を発給する会社を管理・監督する人物により、申請書が提出される場合)
    9. 取締役会の決議書(輸入商品許可書を発給する会社を管理・監督する人物により、申請書が提出される場合)
    10. 該当する場合、原産国の認定試験所から得た試験報告書の原本は、申請書を提出する貿易産業省地域・州事務所に直接送付される。

    なお、2015年4月10日、関税局通達(CMO)第9号(s.2015)が発せられ、6,900点に及ぶ輸入規制物品のリストおよび通関の手続きが整理された(貿易管理制度参照)。

  3. 輸出時の必要書類
    1. 輸出申告書
    2. 商業インボイス
    3. パッキングリスト
    4. 船荷証券(Bill of Lading
    5. 原産地証明書
    6. 保険証書(必要な場合)
    7. 荷積後証明書(Post-Loading Certificate)(オプション)

詳細:
フィリピン国家規格(Philippine National Standards):

政府共通窓口:National Single Window:NSW外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(ホットライン:+63-2-(8) 705-6096~6099)
関税局:輸入品目規制に関する規制当局リスト "Regulated Import Products外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

税関現代化・関税法(CMTA)の制定

2016年5月30日、大統領が、税関現代化・関税法(CMTA)(共和国法第10863号)に署名し、同法は官報または新聞への公告から15日後に発効した。同法は、関税法(共和国法第1937号)を改正し、税関手続に関するルールの現代化や汚職の防止等をめざすものである。
同法は、免税輸入価格の10ペソから1万ペソへの引き上げ(関税行政令(CAO)第2-2016号、関税通達(CMO)第28-2016号)、バリクバヤン・ボックス(フィリピン向けの国際宅配便)についての免税限度額の500米ドルから15万ペソへの増額(関税行政令(CAO)第5-2016号、関税通達(CMO)第33-2016号)、輸入品への輸入許可および原産国表示の義務付け(関税行政令(CAO)第2-2019号)などを定めている。また、輸入申告は、輸入者自身または通関業者によって行われなければならないとされていたが、同法施行から2年が経過したことにより、これらの者に限らず、正当に授権された者であれば輸入申告をすることができることとなった。

なお、CMTAは税関手続についての枠組みを定めるものであり、実際の実務運用については実施細則(IRR)によるが、実施細則(IRR)は2023年11月1日時点で46の関税行政令(CAO)により具体化されている。CAOは財務省ウェブサイトにて確認することができる。
財務省:Customs Administrative Orders(CAOs)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

詳細:

  • 税関現代化・関税法(CMTA)(共和国法第10863号)"AN ACT MODERNIZING THE CUSTOMS AND TARIFF ADMINISTRATION外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(5.81MB)"
  • AEOプログラム設立に関する関税行政令(CAO)第5-2017号、AEOプログラムの予備的実施に関する関税行政令(CAO)第9-2020号、AEOプログラムのオンラインポータルシステムに関する関税行政令(CAO)第26-2021号
  • 郵便物のクリアランスに関する関税行政令(CAO)第3-2017号
  • 旅行者及びクルーの荷物のクリアランスに関する関税行政令(CAO)第1-2017号

知的財産権部の創設

行政命令(Executive Order)第736号(s.2008)、および税関行政命令(CAO)第09-2008号に基づき、関税局内に常設の知的財産権部が創設された。これは水際での取り締まり強化のために、既存の手続きの有効性を高めることを目的としている。関税局が行っている「知的財産権登録制度(知的財産権保有者もしくは代理人が、保有する知的財産権を自主的に関税局に登録する)」を担当し、コピー品や知的財産権違反商品の水際での取り締まりを行う。

フィリピン経済区庁(PEZA)登録企業の輸入手続き簡素化(2005年7月7日開始)

関税局は2005年7月7日、PEZA登録企業の免税貨物輸入手続き簡素化を目的として、関税通達(CMO)第29-2005号を発行(同日発効)。輸入貨物の陸揚げ港からPEZA登録企業の所在地までの運搬には、「積替許可証(Transshipment Permit)」の代わりに「通貨輸入手続き・内国税申告書(Transit-IEIRDs)」を適用することとした。また、陸揚げ地から経済区までの関税局管轄地域通過時に賦課される税金やその他すべての税に充当するため、PEZA登録企業に「一般運輸保証金(GTB)」の提出を義務付けている。
本通達実施のため、関税局はPEZAと「合同通関事務所(CPCO)」を創設する。

木材梱包材の検疫規制(2005年1月1日開始)

2005年1月1日から「植物衛生措置のための国際規格」(ISPM)No.15(国際貿易における木製梱包材料の規制ガイドライン)に沿った検疫規制が開始された。
原木材からできた木製の梱包材(ベニヤなどの加工済み木製梱包材は対象外)について、熱処理ないし薫蒸処理と、消毒済みマーク表示(輸出用木材こん包材消毒実施要領(平成15年10月16日付消費・安全局長通知)別記様式4の押印)を義務化する。

税関公共保税倉庫(CBW)利用料金の改定(2013年4月11日)

関税局(BOC)は2013年4月11日付で税関行政命令(CAO)第3号を発令し、CBW第31番(Philippine Skylanders Inc.)、第55番(Philippine Airlines)、第83番(Paircargo)、第124番(Delbros)、第125番(Cargohous)、第128番(DHL Philippines)、第158番(Miascor Logistics)、第182番に保管する物品の保管料・サービス料等を引き上げた。新料金体系の詳細は同CAOを参照。
( )内の各倉庫の会社名は変更されている可能性あり。

関税事後調査および書類保管義務について

2001年4月27日付共和国法第9135号、2001年11月16日付税関行政命令(CAO)第5-2001号、2002年1月2日付関税局通達(CMO)第2-2002号、2003年1月6日付行政命令(Executive Order)第160号等は、輸入品目の評価に取引価格を使用すること、さらに関税局が特別経済特区入居企業を含む、輸入者の申請情報の正確さを過去3年間に遡り事後調査を行う権限を付与している。これに基づき、輸入者は輸入取引日から3年間、関連書類を保管することが求められる。

未払いの付加価値税税額控除証明の現金化プログラム

2014年1月13日、行政命令第68号(s.2012)を改正する行政命令第68-A号(S. 2014)が公布された。同令は、未払いの付加価値税税額控除証明(Value-Added Tax Tax Credit Certificates:VAT TCCs)の現金化プログラムを規定したもの。同規定は、納税者登録を行った資格ある納税者が、未払いの付加価値税税額控除証明相当額の現金を受け取ることのできる仕組みを提供する。同プログラムは2016年6月30日までに完全施行された。
同プログラムは、2012年12月31日時点でのすべての未払い付加価値税税額控除証明およびすべての税額控除証明の付加価値税払い戻し額を構成するものに適用される。VAT TCCsは次の方法により発行される。

  • 歳入庁(Bureau of Internal Revenue:BIR)が単独で発行する。
  • 関税局(Bureau of Customs:BOC)が単独で発行する。
  • 税額控除・関税払戻しワンストップ統合センター(One-Stop-Shop Inter-Agency Tax Credit and Duty Drawback Center)において共同で発行される。

BIRおよびBOCは、前述の期間後はVAT払い戻しのためのTCCsを発行しない。ただし納税者により申請があった場合はこの限りでなく、VAT TCCs現金化プログラムではなく、別に規定される現金交換メカニズム(cash conversion mechanism)により支払いを受けることができる。

輸入業者、通関業者認証の改正

2014年5月22日、関税局(BOC)は、関税局通達(CMO)第11-2014を発行した。同通達は、財務省令(DOF Department Order)第33-2014に基づくBOCへの輸入業者および通関業者の登録に関するガイドラインを改正するものである。これにより、すべての輸入業者および通関業者は、まず歳入庁(BIR)に対し、輸入業者証明(BIR Importer Clearance Certificate:ICC)または通関業者証明(BIR Broker Clearance Certificate:BOC)発給のための申請を行い、その後、BOC会計管理事務所(BOC-Account Management Office)にて認証のための申請を行うよう求められることとなった(関税局通達3条)。同通達は認証後の報告要件についても規定している(関税局通達7条)。この規定は、BOCと取引があり、または取引しようとするすべての輸入業者および通関業者に対し適用される。ただし、次の場合を除く(関税局通達2条)。

  1. 1年に1回のみの輸入。
  2. 郵便物による、または公式な通関によらない輸入。
  3. フィリピン政府または政府の機関による輸入。
  4. 個人使用物品、自動車、二輪自動車、家族・海外労働者その他居住者の帰国のための引っ越し用の家財道具。
  5. 外国大使館、領事館、公使館、外国政府機関、フィリピン政府によって認められた外交上の地位を有する国際機関(アジア開発銀行、世界保健機構など)からの輸入(これらには、外国人労働者、専門家、公務員、大使館・領事館・公使館の職員および、その他の外国政府代表者の個人使用物品および家財道具を含む)。

同通達にいう「輸入業者」とは、フィリピンに物品を持ち込もうとするすべての者を指し、同人の取引の中でフィリピンに実際に物品が持ち込まれたかどうかを問わない。また免税措置の対象とされない者が、免税対象となる者、企業、または機関から免税輸入品を獲得する場合は、その者を含む。

査証

不要。

その他

特になし。