関税制度
最終更新日:2024年11月01日
管轄官庁
関税局(BOC)、関税委員会(Tariff Commission)、国家経済開発庁(NEDA)
関税局(Bureau of Customs:BOC
)
連絡先
G/F OCOM Building, 16th Street, South Harbor, Port Area, Manila City
Tel:63-2-(8) 705-6000(Hotline)
E-mail:boc.cares@customs.gov.ph
関税委員会(Tariff Commission
)
4th Floor, West Insula Condominium, 135 West Avenue, Quezon City, Philippines 1105
Tel:63-2-(8) 926-8731/ (8) 928-8419 (課税分類事前通知関係)
Tel:63-2-(8) 926-8731(FTA関係)
Tel:63-2-(8) 928-8419(貿易救済措置関係)
E-mail:info@tariffcommission.gov.ph
国家経済開発庁(National Economic and Development Authority:NEDA
)
関税率の変更、輸入数量制限の設定などを管轄。
連絡先
No. 12 St. Jose Maria Escriva Drive, Ortigas Center, Pasig City
Tel:63-2-(8) 631-0945~56
関税率問い合わせ先
関税委員会(Tariff Commission)
関税委員会(Tariff Commission
)
4th Floor, West Insula Condominium, 135 West Avenue, Quezon City, Philippines 1105
Tel:63-2-(8) 926-8731
Fax:63-2-(8) 921-7960
E-mail:TC.Assist@mail.tariffcommission.gov.ph
関税体系
最恵国(MFN)税率、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の適用税率
最恵国(MFN)税率
フィリピン関税委員会は、税関現代化・関税法(CMTA)の第1章から第97章に属する全製品を対象に、2024年から2028年までの最恵国(MFN)関税表の包括的な見直しを積極的に実施している。この見直しは2023年初頭に開始され、2024年6月20日付行政命令(Executive Order)第62号にて大幅な調整がなされた。
概要:行政命令第62号(Executive Order No.62, s.2024
)
行政命令第62号では、さまざまな製品に対する輸入関税率の変更が導入され、特にコメの関税率が35%から15%に引き下げられた。この変更は、供給問題への対応、価格水準の管理、インフレ抑制を目的としており、最終的には、生活必需品の価格を引き下げることで競争力を高め、消費者福祉の促進を目指すものである。この新しい関税率表は、現在進行中の見直しの結果を反映し、2024年から2028年までの最恵国(MFN)待遇税率を定めている。
自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の適用税率
「WTO・他協定加盟状況」を参照。各協定によって特恵関税が適用される。
なお、関税率については、関税委員会のTariff Finderで検索をすることができる。
品目分類
ASEAN統一関税品目分類コード(AHTN)2022年版に基づく(2022年7月1日より適用)。
品目分類の見解の相違を避けるため、関税委員会からルーリング(事前教示)を取得することが望ましい。
2018年10月17日付関税委員会通達第2018-01号にて、品目分類に関する紛争解決手続きが規定された。関税局または品目分類に異議のある輸出入業者は関税委員会に紛争解決の申し立てをすることが可能となった。
関税委員会(TC)は、2022年5月27日に国家経済開発庁(NEDA)理事会によりASEAN統一関税品目分類コード(AHTN)2022年版の採択が承認されたことを受け、2022年7月1日より、同コードの適用を開始した。
関税の種類
従価税のみ
課税基準
関税行政令(Customs Administrative Order:CAO)第4-2004号に従い、原則として、CIF価格に相当する取引価格を基に計算される。取引価格で計算できない場合は、同一品の取引価格などを基に計算される。
輸入品の課税価格は、次の優先順位に基づき決定される。
- 取引価格を用いる方法
輸入品に対して実際に支払われた、または支払われるべき価格に、輸出港から輸入港までの輸送費、保険料など、関税法により定められた加算要素を加えた価格を用いる方法。 - 同一品の取引価格を用いる方法
輸入品と同時か、ほぼ同時期に輸出された同一品の取引価格に基づき計算する方法。同一品とは、物理的特長、品質などすべての点において、その輸入品と同一のものを言う。 - 類似品の取引価格を用いる方法
輸入品と同時か、ほぼ同時期に輸出された類似品の取引価格に基づき計算する方法。類似品とは、輸入品とはすべての点においては同一ではないが、同様の特徴を有し、かつ、同様の材料から成っており、輸入品と同じような使用が可能で、商業上の交換も可能なものを言う。 - 推定価格を用いる方法
輸入品またはそれと同一あるいは類似する商品の、フィリピン国内での販売価格に基づき計算する方法。 - 計算価格を用いる方法
輸入品の製造にかかった材料や加工の費用に、利益、輸入に関連する運賃、保険料などを積み上げて計算する方法。 - 代替価格を用いる方法
1.~5.の方法での価格決定ができないとき、それ以外の合理的な方法、またはフィリピン国内で入手可能なデータに基づいて決定する方法。
なお、4.と5.の優先順位は、輸入者の要請により、逆にすることが可能である。
対日輸入適用税率
最恵国待遇(MFN)税率、日フィリピン経済連携協定(JPEPA)適用税率、日ASEAN経済連携協定(AJCEP)適用税率
2014年2月13日公布の行政命令(Executive Order)第157号(s.2014)にて、日フィリピン経済連携協定(The Agreement Between Japan and the Republic of the Philippines for an Economic Partnership:JPEPA)に基づく行政命令(Executive Order)第767号(s.2008)で定められていた自動車の構成品、部分品および付属品の関税引き下げスケジュールが改正された。
JPEPAでは、”S”と表示される特定品目の関税率については2009年交渉に従い、規定された特定品目の関税率については2013年までに削減するとされていた。前記の行政命令第157号(s.2014)は、外国貿易の促進のため、次のような輸入関税の修正を行っている。
- 自動車の構成品、部分品および付属品の関税の引き下げ
- 日本からの輸入品については、日本からの適正な原産地証明書(Certificate of Origin:CO)を提出することにより、JPEPA税率を適用することができる。
- 別表の品目の税率は、原産地規則に従う。フィリピンの保税倉庫に搬入または消費のためにそこから搬出された別表に記載されたすべての物品は、JPEPA第3章に規定する原産地規則(Rules of Origin)に従って、規定された税率が適用される。
特恵等特別措置
「WTO・他協定加盟状況」を参照。各協定に基づく特恵関税が適用される。関税局通達(Customs Memorandum Order:CMO)第12号(2023年)、関税局覚書(CMC)第21号(2024年)、行政命令(Executive Order:EO)第12号(2023年)、行政命令(EO)第62号(2024年)。
関税局(BOC)による関税局通達(CMO)第12号(2023年)により、2023年5月26日、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に基づく、原産地証明の発行、特恵関税待遇の付与および検証手続に関するガイドラインが制定された。
関税局覚書(CMC)第21号(2024年)により、コメ、トウモロコシ、豚肉などの主要農産物に対する最恵国待遇関税の軽減税率が2024年12月31日まで延長された。
行政命令(EO)第12号(2023年)により、税関現代化・関税法(CMTA)のもとで電気自動車(EV)とその部品、コンポーネントの輸入関税率を一時的に変更していたが、2024年5月15日、国家経済開発庁(NEDA)理事会は、34のバッテリー式電気自動車関税品目に対する最恵国(MFN)ゼロ関税を2028年まで延長することで合意した。また、同委員会は減税対象品目のリストを拡大し、電動オートバイ、電動自転車、ニッケル水素蓄電池を含めることを決定し、それらの関税を2028年までゼロに引き下げることとし、これらを含めた2024年から2028年までの最恵国(MFN)待遇税率が行政命令(Executive Order)第62号にて定められた。
関連法
関税法(共和国法第1937号)および税関現代化・関税法(CMTA)(共和国法第10863号)、セーフガード法(共和国法第8800号)および施行細則(共同行政命令第03-00号)、アンチダンピング法(共和国法第8752号)、相殺関税法(共和国法第8751号)、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の下での関税コミットメント・スケジュールの実施及び特定の輸入品に対する輸入関税率変更に関する行政命令第25号(s.2023)など。
- 歳入細則(Revenue Regulations)
詳細はPDFファイル参照。
ジェトロ:フィリピンへの石油・石油製品の輸入にかかる税務管理体制強化(170KB)(2012年2月17日、RR No.2-2012)
- 税関行政令(Customs Administrative Order)
詳細はPDFファイル参照。
ジェトロ:関税局に対する義務遂行の徹底を目的とする倉庫証券に関する規定(128KB)(2003年12月12日、CAO No.12-2003)
関税以外の諸税
付加価値税(VAT、12%)、物品税など。共和国法第12023号(2024年10月18日施行)。
輸入品には、関税のほかに12%の付加価値税(VAT)が課される。
さらに、国内消費用に輸入されるたばこ、蒸留酒、ワイン、自動車、鉱物製品などは、関税のほかに物品税を支払わなければならない。
内国歳入法の一部を改正する共和国法第12023号(2024年10月18日施行)により、非居住者のデジタルサービスプロバイダーに12%の付加価値税(VAT)が課される。オンラインマーケットプレイス、ストリーミングプラットフォーム、クラウドサービス、デジタル広告、デジタル商品の販売など、幅広いデジタルサービスが対象となる。これらのサービスによる総売上高にVATが課され、デジタル商品やサービスの販売またはリースによる収益の12%を納税することが事業者に義務付けられる。
この法律により、年間総売上高が300万ペソを超える非居住者のデジタルサービスプロバイダーは、内国歳入庁(BIR)への登録が必要となる。また、フィリピン国内での納税義務を管理する現地代理人を任命することも義務付けられる。この法律に従わない企業は、フィリピンでの事業の一時停止を命じられる可能性がある。
その他
特になし。