中古車の現地輸入規則および留意点:フィリピン向け輸出

フィリピン向け中古車輸出の可否および輸出可能な場合、現地輸入規則および留意点を教えてください。

フィリピンでは自動車の製造やノックダウン(CKD)産業を育成するため、特定の場合を除き中古車の輸入が禁止されています。

I. 中古自動車の輸入に関する規制
フィリピンでは自動車の製造やノックダウン(CKD)産業を育成するため、自動車開発プログラム(Motor Vehicle Development Program: MVDP)を制定し、大統領令(Executive Order)第156号にて、特定の場合を除き、中古車の輸入を禁止しています。特定の場合とは、以下に掲げる場合をいいます。ただし、特定の場合、輸入許可証の取得が必要です(フィリピン中央銀行〔Bangko Sentral ng Pilipinas: BSP〕通達1389号)。右ハンドル車は、フリーゾーン向けを除いて、全面的に輸入禁止となっています(共和国法第8506号)。

中古車の輸入が許可される特定の場合とは、以下に記載の事項を指します。

1. No-Dollar Importation(NDI)プログラムによる輸入
以下の条件を満たす者が、総重量3トン未満の中古車を輸入する時は、貿易産業省輸入業務局(Department of Trade and Industry, Bureau of Import Services: DTI-BIS)の輸入許可を取得した上で輸入することができます。ただし、少なくとも3年間は転売することができません。

  1. 申請直前の3年間に1年以上海外に居住したフィリピン国民が帰国する際に、個人使用目的で持ち込む場合
  2. ビザ13Aまたは13Gを所持する移民または二重国籍の者が個人使用目的で持ち込む場合

2. 外交官が使用するもので、フィリピン外務省から輸入許可を取得したもの。

3. その他以下に掲げる範疇の車両

  1. ピックアップ・トラックを除くトラック:
    総重量(GVW)が2.5〜6.0トンで 貿易産業省(DTI)から輸入許可証を取得しているもの。総重量が6.0トンを超えるものは、輸入許可証不要。
  2. 多数の乗客を乗せる目的のバス:
    総重量が6.0〜12.0トンで DTIから輸入許可証を取得しているもの。総重量が12.0トンを超えるものは、輸入許可証不要。
  3. 以下に掲げる特殊な用途に使用する自動車(輸入許可証不要):
    消防車、救急車、霊枢車、クレーン車、トラクター・ヘッドまたは牽引用トラック、ブームトラック、タンク車、高圧スプレーガンを有するタンク車、冷車または保冷トラック、移動式掘削装置、ミキサー車またはコンクリート・ミキサー車、移動式放射線測定車両、レッカーまたは牽引トラック、コンクリート・ポンプ車、高所作業車(aerial/bucket flat-form trucks)、街路清掃車、バキューム・カー、ゴミ回収車、セルフローダートラック(self-loader trucks)、人が乗るリフト付きトラック(man lift trucks)、照明用トラック(lighting trucks)、特殊機器を搭載したトラック、その他特殊な用途のために設計された車両

II. 日本からの輸出手続き
日本からの輸出手続きに必要な書類は、文末の参考資料・情報に記載の「ジェトロ:貿易・投資相談Q&A「中古車輸出の際の必要書類と手続き:日本」」をご参照ください。

III. 輸入業者の資格認定
1. 個人または輸入業者は、輸入を行う前に、関税局(Bureau of Customs: BOC)に登録するか、資格認定を申請することが求められています。また、毎年、更新の手続きを行います。なお、NDIプログラムのもとで輸入する者はBOCに登録する必要はありません。

2. 前述の輸入業者は、DTI-BISが指定した書式を使用し、事前に輸入許可証を取得する必要があります。

関係機関
貿易産業省(Department of Trade and Industry: DTI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas: BSP)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税局(Bureau of Customs: BOC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令
大統領令第156号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
共和国法第8506号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン中央銀行(BSP)通達第1389号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報
ジェトロ:
貿易・投資相談Q&A「中古車輸出の際の必要書類と手続き:日本」

調査時点:2016/01

記事番号: A-041107

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