日本からの農水産物・食品輸入はほぼ順調
2010年11月
分野:食品・農林水産物
冷凍魚の輸入量は約8割増
2010年1~7月の日本からの農水産物・食品輸入額は、前年同期比24.4%増の9,885万リンギ(1リンギ=約27円)だった。
輸入額を品目別にみると、1位は冷凍魚(全輸入額に占めるシェアは15.2%)で、前年同期比55.2%増の1,502万リンギ、輸入量は同78.4%増だった。2位は調製食料品(シェア12.7%)で、1,253万リンギ(同67.6%増)、3位は醸造酒(シェア8.3%)で、前年同期の2.8倍の822万リンギだった。調製食料品、醸造酒および生鮮・冷蔵の魚の3品目は、輸入額では増加しているが、輸入量では減少した。これは円高による価格上昇で買い控えが起きたものとみられる。その他の上位品目は、輸入量、輸入額ともに増加している。
最近のスーパーマーケット内の惣菜売り場でのすし販売や新たなすし店の開店などに代表されるすしブームなどにより、全体的に日本食品の需要は底堅く、円高でもほぼ順調に伸びている。
表:日本からの農産品・食品の輸入品目(上位10品目)(単位:1,000リンギ、%)
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出所:World Trade Atlas
国産・韓国産に押される日本産野菜
マレーシアが日本から輸入する農水産物・食品は、上表で見るように、主に刺身、すしなどに使用される水産物が中心で、農産物については輸入量、輸入額とも少ない。
日本産の野菜に関しては、保存期間が長いじゃがいも、ごぼう、にんじん、長いもなどの根菜類が月に1回程度、みず菜、ねぎ、三つ葉などの葉物野菜が、航空便で週に1~2回程度入荷している。これらの商品は、円高の影響で店頭価格が若干上昇してきているようだ。
しかし、これら日本産野菜は一部の高級スーパーを除き、一般のスーパーではほとんど見かけないため、円高の影響は限定的と思われる。マレーシアではキャメロンハイランドという高地で生産され、「グレイスカップ」というブランド名を冠した、日本産野菜の品種に近い味で高品質なトマトや、キャベツ、きゅうり、ねぎなどが存在し、既に日本産の代替品となっている。価格も、ローカルの一般野菜より1割高い程度で、日本産と比べると価格競争力は高い。
また、通常の野菜とあまり変わらない値段でオーガニック野菜も流通しており、健康志向が高い消費者の間で徐々に浸透している。最近は韓国産のサツマイモ、なし、しいたけ、しめじなど、品質的にも日本のものと変わらないものがウォン安を追い風に安く流通し始め、日本産野菜の入り込む余地がますます狭められてきている。
(クアラルンプール・センター)