2015年4月から物品・サービス税導入へ、税率は6%

(マレーシア)

アジア大洋州課・クアラルンプール事務所

2013年11月06日

消費税に相当する物品・サービス税(GST)が2015年4月1日から導入される。税率は6%。政府は、財政赤字の削減と課税ベースの拡大に向けて本格的に取り組む意向だ。

<販売税とサービス税は廃止に>
2015年4月1日から導入されるGSTは、日本での消費税や各国で導入されている付加価値税(VAT)に相当する。マレーシア政府は2005年予算案で2007年1月からの導入を提案したものの、産業界や消費者の反対が相次いだため、2006年2月に導入延期を決定していた。現在、マレーシア国内にはGSTに類似する税として、販売税とサービス税がある。販売税は、国内で製造された、または輸入された課税対象品に課せられている。一段階式の税であることが多段階課税のGSTと異なる。販売税は、使用、処分、または輸入された課税対象品の価格に対応した従価税で、税率は通常10%だが、特定の食品や建材、酒、たばこは5%になっている。

サービス税も一段階式の税で、国内での特定のサービスの提供に対して課せられる。税率は、課税対象サービスの価格、料金または保険料の6%で、レストランやホテルの料金、ゴルフのプレー料、弁護士・会計士への支払いのほか、私立病院、測量士、コンサルタント、自動車修理などを含む課税対象者と課税対象サービスに対して課せられている。GSTの導入と同時に、これらの2つの税はGSTに置き換えられる。

<食品などの生活品は税率0%>
GSTの税率は6%となり、特定の物品・サービスについては0%または免税となる。マレーシア製造者連盟(FMM)は、6%の税率が想定よりも高いと指摘し、少なくとも施行後5年間は税率を引き上げるべきではないと主張している。

課税の範囲は、a.課税対象者が国内での事業目的で行う課税取引となる物品の販売またはサービスの提供、b. 輸入された物品またはサービスで、広範にわたり課税される多段階課税となる。年間売上高が50万リンギ(約1,550万円、1リンギ=約31円)以上の事業者は、GSTの登録が必要になる。

原則として全ての物品の販売とサービスに対して課税されるが、国民生活に直結しているもの、例えば農産物(コメ、野菜)、食品(卵、魚、砂糖、食卓塩、調理用食用油など)、牛、羊、豚、鶏などの家畜、食肉および食肉加工品などの税率は0%とする。また、公共交通機関、高速道路、居住者用不動産、金融・医療・教育サービスなどについては免税となる。

政府はGST導入の影響を緩和するため、個人所得税率および法人税率を引き下げる(2013年11月1日記事参照)。個人所得税は、居住者については1ポイントから3ポイント、非居住者については1ポイントの引き下げで、2015賦課年度から適用される。法人税は1ポイント引き下げられ、2016賦課年度から24%の税率が適用される。

また、GSTのスムーズな導入、税務コンプライアンスの順守およびビジネスコストの削減を行うために、税制優遇措置も決定している。具体的には、会社秘書役報酬や税務申告に係る費用の損金参入(2015賦課年度から)、会計やITの従業員研修費用の二重控除(2014賦課年度、2015賦課年度が対象)、IT機器およびソフトウエアの購入費用の加速度償却(2014賦課年度から2016賦課年度までが対象)が認められる。

(手島恵美、新田浩之)

(マレーシア)

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