関税制度
最終更新日:2023年11月09日
管轄官庁
計画・財務省関税局
計画・財務省関税局国際関係部(International Relation Section, Custom Department, Ministry of Planning and Finance)
Tel:95-1-387161
Fax:95-1-387161
関税率問い合わせ先
計画・財務省関税局
計画・財務省関税局国際関係部(International Relation Section, Custom Department, Ministry of Planning and Finance)
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関税体系
賦課課税方式
日本の申告納税方式(インボイス価格ベースでの課税)とは異なり、従来、税関が課税価格を決定してきた(ミャンマー関税法)。ただし、ミャンマーはWTO加盟国であり、同関税評価協定に沿う申告納税方式へと変更するため、2015年3月17日、関税法の改正法が公布された。改正法においては、課税価格の決定は別途計画・財務省の省令により定める旨規定されており、これに基づき、申告納税方式を導入することに関する省令の制定作業が進められている。
また、2016年11月に日本の電子通関システム(NACCS)をベースとした新たな通関システム、MACCS(Myanmar Automated Cargo Clearance System)が始動した。
あわせて、2016年11月22日付商業省通達により、輸出入ライセンスをオンラインで申請し、請求書原本、売買契約書原本、請求書および売買契約書に記載された価格が実際の価格であることについての誓約書等を提出すれば、インボイスまたは売買価格ベースで輸出入ライセンスが発行されることが発表された。ただし、当該輸出入ライセンスにかかる物品の輸出入についての課税は、法、規則および計画財務工業省(現、計画・財務省)の命令、手続、指導に従うこととされており、依然として通関の際、ミャンマー関税法が適用される可能性に留意する必要がある(2016年11月22日付商業省大臣官房通達第74号)。
また、インボイスまたは売買契約の価格に従った輸出入ライセンスが発出される場合のインボイスまたは売買契約の偽造等の不正行為に関して、輸出および輸入価格の検査手続の概要を規定した商業省通達が発布されていた(2017年6月21日付商業省大臣官房通達第38号)が、2020年5月11日付商業省大臣官房通達第35号により廃止された。
品目分類
HSコード分類
関税の種類
従価税
課税基準
CIF価格
* 輸入関税はCIF価格および陸揚費用(CIF相当額の0.5%)の合計額に課せられる。
原則CIF条件での輸入となるが、他条件の場合は次のとおり。
現行、たとえ保険を付与していない場合でも、一定基準により課税価格に算入されることになっている。
- FOB条件の海上貨物輸入の場合:FOB価格の20%を運賃および保険料として申告する。
- FOB条件の航空貨物の場合:FOB価格の5%を加算。
- CFR(C&F)条件の場合:海上航空ともCFR条件価格の1.1%を保険料として付保し、課税価格として輸入申告する。
対日輸入適用税率
原則として、日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定税率
特恵等特別措置
輸出入とも各協定に基づき、関税削減スケジュールがある。
ミャンマーからの輸出に関しては、後発開発途上国として一般特恵関税制度(GSP)が適用されている。
ミャンマーへの輸入
- ASEAN:AFTA(CEPT)とATIGA
2010年5月17日に発効したASEAN物品貿易協定(ATIGA)により、ミャンマーは2018年までに原則、輸入関税を撤廃予定だったが、未だに一部物品には輸入関税がかかっている。 - 日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定
ミャンマーでは2008年4月14日署名、2008年12月1日発効。ミャンマーは、2019年、2021年、2023年、2026年に段階的に関税撤廃予定(関税削減が始まったのは2011年)。 - その他の国とASEANとの自由貿易協定(FTA)
ASEANは、日本だけでなく、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドとFTAを締結している。ミャンマーについても、それぞれの国に対し、関税削減スケジュールが決められている。 - 地域的な包括的経済連携(RCEP)
2020年11月15日に署名。日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国がASEANと結んでいる5つのFTAを束ねる広域的な包括的経済連携構想であり、2011年11月にASEANが提唱した。貨物自動車(15年目または20年目に撤廃)、自動車用ゴム製タイヤ(20年目に撤廃)等の関税が規定年数時に撤廃される予定である。
ミャンマーからの輸出
- 特別特恵関税制度
先進各国は、途上国一般に対して、関税を引き下げる一般特恵関税制度(GSP)を適用している。ミャンマーは後発開発途上国(LDC)に当たるため、先進各国からさらに特別特恵関税制度を適用されている。
- 日本は、「後発開発途上国(LDC)に対する特別特恵措置(LDC特恵措置)」として、原則、無税・無枠措置を適用している。また2011年に、日本から輸出された原材料を使って生産された物品は、ミャンマーの原産品とみなされる「自国関与制度」が導入され、委託加工貿易がやりやすくなった。ただし、革靴など自国関与の例外品目となっている品目(関税暫定措置法施行令別表第2を参照)は対象とならない。ミャンマーで生産した自社商品を日本に輸入した場合の特恵関税適用の可否、関税分類番号(HSコード)など、日本国税関に事前に書面で確認することをお勧めする。
- 米国はこれまで、ミャンマーに対して経済制裁を課してきた。しかし、2011年3月末の民政移管を受け、2012年11月16日、一部宝石などを除き、ミャンマー製品の輸入禁止措置を解禁した。また、2016年9月14日、ミャンマーへの一般特恵関税制度(GSP)の適用を27年ぶりに再開すると発表したことで、ミャンマーは2016年11月13日に米国のGSPの適用国となった。さらに、2016年10月7日、ルビーおよび翡翠を除いて、ミャンマーに対する経済制裁を全面解除し、2017年10月30日には、ミャンマー産のルビーおよび翡翠に対する経済制裁を解除した(CBP Dec. 17-15)。米国財務省は、財務省の制裁リストに掲載されていた軍事政権の元幹部ら約100の個人および団体を制裁リストから除外したが、2021年2月1日に国軍が権力を掌握したことにより、2023年11月1日の時点で、173の個人および団体が制裁リストに掲載されている。また、貿易投資枠組み協定(TIFA)に基づくミャンマーへの通商面での関与を停止すると2021年3月に発表した。
- EUは、2012年5月、武器禁輸措置を除き、木材、貴石などの分野における禁輸措置などを1年間停止していたが、2013年4月、武器禁輸を除いて解除を決めた。加えて、同年6月には停止していた一般特恵関税(GSP)の再付与を決定した。しかし、2019年1月19日より、ミャンマー産のインディカ米に対して3年間、一般特恵関税(GSP)の適用を停止することを決定した。また、商業省は、2018年6月8日付商業省大臣官房通達第32号を発出し、一般特恵関税を享受し、EU加盟国、ノルウェー、スイスおよびトルコへ輸出する場合の申請書を公開した。
2021年2月に起きたミャンマー国軍による権力掌握およびその後の市民による抗議のデモ活動に対する弾圧への制裁として、EUは2023年11月1日時点で合計99人と19の企業・団体を制裁の対象としている。
- ASEAN:AFTA(CEPT)とATIGA
2010年にASEAN原加盟国6カ国については、原則、すべての品目について0%への引き下げが行われたが、カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマーには猶予期間が設けられていた。しかし、2018年1月1日、カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマーが、原則関税を撤廃した。したがって、ミャンマーからASEAN域内への輸出については原則関税が撤廃された。 - 日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)
日本は、2018年までに90%の品目につき関税を0%とすることが目標とされていたが、2018年3月1日、インドネシアとの間でのみAJCEPに基づく特恵関税制度の運用が開始した。 - その他の国とASEANとの自由貿易協定(FTA)
中国は2010年、韓国は2010年、インドは2011年までに関税を0%とする。オーストラリア、ニュージーランドについては、2020年までに関税を0%とする。 - 地域的な包括的経済連携(RCEP)
署名国15カ国で、世界のGDP、貿易総額および人口の約3割を占める広域な経済連携協定。WTO協定または本協定に基づくもの以外は、他の締約国の産品の輸入もしくは他の締約国の領域に仕向けられる産品の輸出について、非関税措置を採用もしくは維持してはならない義務を規定。RCEPにより、投資誘致や貿易拡大の促進、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済の回復が期待される。2022年1月1日、日本、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、 ベトナム、オーストラリア、中国、ニュージーランドの10カ国について発効した 。また、韓国については2月1日に発効し、マレーシアについては3月18日に発効した。その後、2023年1月2日にインドネシア、6月2日にフィリピンについてそれぞれ発効した。ASEANのRCEP加盟国はミャンマーに関するRCEP協定発効について、各国で自由に決定し、その後にASEAN事務局に通知し、ほかのRCEP加盟国に通知することで合意したとされている。ミャンマー商業省によると、ミャンマーはRCEPを批准済み(2021年5月時点)であるが、日本を含む複数の国からの通知がないとしている。日本との関係においては、現時点(2023年11月1日)ではミャンマーについてはRCEPを利用できない(前記「ミャンマーへの輸入 4.地域的な包括的経済連携(RCEP)」参照)。
- 中国の国務院関税税則委員会は2022年4月27日、「ミャンマー原産の一部輸入貨物に対する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定税率実施に関する公告」(税委会公告〔2022〕5号)にて、2022年5月1日からミャンマー原産の一部輸入貨物に対して、ASEAN加盟国向けRCEP協定税率を適用すると発表した。具体的税率は「中華人民共和国輸出入税則(2022)」(税委会公告〔2021〕10号附属文書)で示されており、協定税率の欄の「東盟R」と記載されている箇所で確認できる。
- タイ税関は2022年3月21日、税関通達第38/2565号を出し、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の特恵関税が利用可能な国のリストに、ミャンマーを加えた。同通達によると、ミャンマーの特恵待遇が適格となった日付(発効日)は2022年1月1日としており、遡及して適用される。
関連法
1992年関税法
入手可能な最新の関税率表は2022年10月18日関税局発刊の“CUSTOMS TARIFF OF MYANMAR 2022”である。しかし、随時変更の可能性があるため、最新の関税率は関税局に確認することが望ましい。
関税以外の諸税
商業税(原則5%)、前払法人税(2%)。
輸出税は現在、1品目のみに課税されている。
商業税
諸外国で一般的に課されている付加価値税(VAT)に相当する税である。輸入品については、税関において関税と同時に徴収され、基本となる税率は5%であるが、乗用車、宝石類、酒類、たばこなどの特定品目については、最大80%と比較的高い税率が課せられている。課税対象額は陸揚時の価格(輸入関税課税対象額と輸入関税額の合計)。
税率の詳細は「その他税制」参照。
なお、従来の輸出税は、2023年3月30日公布の2023年連邦租税法では、商業税のうちの特定品目税の1項目として、第11条(b)において次のとおり規定されている。
「次の特定品目を国外へ輸出する者は、同輸出金額に加えて、所定の税率のとおりに特定品目の税を上乗せしなければならない。規定した特定品目以外に、その他の特定品目を国外へ輸出するため特定品目税を上乗せはしてはならない。税を上乗せした特定品目を国外へ輸出するために、上乗せした税金額から、財を購入、輸入、製造する際に、課税済の特定品目税を規定に従い控除しなければならない。」
具体的には、次の1品目については、ミャンマーからの輸出時、輸出代金相当額が輸入者からミャンマー側の銀行に振り込まれる際、税が課税され、源泉徴収されている。
Sr. No. | 品目 | 税率 |
---|---|---|
1 | 木材および加工品 | 10% |
前払法人税
2013年6月14日から新たに導入され、原則すべての輸出入貨物を対象に徴収されている。所管官庁は関税局ではなく、計画・財務省国税局(Internal Revenue Department)である。
輸出の場合は輸出申告書類の提出前に、輸入の場合は関税納付時に合わせて、課税価格の2%を納付する(2019年4月8日付計画財務省大臣官房通達第38号)。チャットでの納付が必要なため、ドルの課税価格は中央銀行の公示する為替レートでチャットに計算する。これは法人税の一部前払いのため、年度末に調整、必要があれば還付されることになっているが、実際の運用はよく確認する必要がある。
また、ミャンマー投資委員会(MIC)の認可を得た輸入者が輸入する貨物、委託加工用に輸入する原材料、ODAに係る無償貨物、個人名で輸入する自動車などは対象外であり、前払法人税の支払いが免除される(詳細はInternal Revenue Department、Tax Office:01-378372)。
その他
なし。
通関手続きなどは、「輸出入手続き」のページを参照。