ミャンマーの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2023/24年度の実質GDP成長率は2.5%とプラスに転じる。
  • 2023年の輸出入額は低下。チャット下落とエネルギー価格上昇で貿易赤字は拡大。
  • 2023/24年度の外国直接投資認可額(ティラワ経済特区を除く)は前年度比約60%減。
  • 各種金融規制措置、徴兵制の人材確保への影響など投資環境は厳しい。
  • ビジネス環境悪化や物価上昇は国民生活に大きな影響。

公開日:2024年9月25日

マクロ経済 
2023/24年度実質GDP成長率はプラス2.5%

国際通貨基金(IMF)によると、2023/24年度(注1)、2023年10月~2024年9月)のミャンマーの実質GDP成長率は2.5%増であった。2021/22年度の10.5%減、2022/23年度の4.0%減から3年ぶりにプラス成長に転じた。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大や、2021年2月の国軍による政権掌握(以下、政変)による影響で低迷していた経済だが、2023/24年度でようやく回復に転じた。IMFは、2024/25年度の成長率を1.5%、また2025/26年度を2.0%と予測している。外貨不足と外国直接投資の低迷、その背景にある政府の度重なる非常事態宣言の延長、それに伴う欧米などからの経済制裁は継続している。また、少数民族武装勢力や市民防衛隊(PDF)と国軍との紛争の激化、徴兵制の導入など、引き続き経済的にも厳しい情勢が続くと予想される。そのため、経済の先行きは引き続き不透明であり、2010年から2019年まで続いた5%以上の高成長への回帰は難しい。

(注1)ミャンマーの会計年度は4月から翌3月だが、IMFのデータは年度の対象期間を10月から翌9月としてい る。

ミャンマーの消費者物価指数(CPI)の上昇率は2023/24年度は27.1%となり、2010年以降で最も高い値を記録した。政変が発生した2021/22年度の3.6%から、2022/23年度の18.4%を経て、CPI上昇率は急上昇した。外貨不足とチャット安などを背景に、燃料をはじめとした輸入品価格の上昇は国民生活に大きな影響を与えている。CPI上昇率は2024/25年度も15.0%と2桁の上昇が続くと予測されている。

ミャンマーの主な外貨収入源としては、輸出に加えて、外国人観光客による国内消費やミャンマー人の海外就労者からの送金がある。しかし、新型コロナの感染拡大で減少した観光客数は、その後の政変の影響、少数民族武装勢力などと国軍との紛争の激化などによって回復の見込みが立っていない。一方、海外就労者については、ミャンマー国内での雇用環境が経済低迷によって悪化したことに加え、2024年2月に施行が公表された徴兵制から逃れるためもあり、外国への出稼ぎ労働者やその希望者が急増している。このことから、海外からの外貨の送金増は一定程度期待できると思われる。しかし、2011年の民主化以降、ミャンマーの外貨獲得の新しい柱であった外国からの政府開発援助(ODA)と外資企業による対内直接投資は政変以降低迷している。国内の外貨不足は深刻となっており、政府は外貨流出を抑制するための輸入削減措置を近年強化している。具体的には、輸入時にライセンス取得が必要となる品目の数を断続的に拡大させている。まず、2022年1月、それまでの3,931品目から7,001品目に拡大した。その後も、数回に渡り対象を拡大する旨の通達を発出し、現在(2023年11月時点)は9,029品目となっている。また2022年6月には、輸入ライセンスの有効期間をアジアからの輸入では30日間、それ以外の地域からの場合は45日間に短縮した。しかし、エネルギー価格の高止まりなどから、輸入額は思うように削減できていない。そのため、政府は輸出で得た外貨収入の管理も強化しており、2022年4月からは、外貨収入の1営業日以内の強制的な現地通貨への兌換を開始した。当初は、外貨収入の100%を現地通貨へ兌換することが求められたが、輸出企業などからの批判もあり、断続的に兌換比率が見直された。2023年12月には、輸出で得た外貨収入の現地通貨への1営業日以内の兌換義務を35%に低減し、企業は外貨収入の65%は1カ月間保有できるようになった。しかし、引き続き厳しい外貨管理が行われていることに変わりはなく、在ミャンマー企業は自由に原材料などの輸入調達ができず、国内での生産活動に支障が生じているケースもある。

貿易 
輸出が減少し、貿易赤字が大幅拡大

2023年の輸出(通関ベース)は前年比13.6%減の147億5,300万ドル、輸入は5.5%減の164億4,000万ドルと、ともに前年を下回った。貿易収支の赤字幅は2022年の3億1,800万ドルから16億8,700万ドルに大幅に拡大し国際収支を圧迫している。

表1-1 ミャンマーの主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
鉱物性燃料(天然ガス、石油)(27) 4,014 3,574 24.2 △ 11.0
衣類・付属品(布帛製品)(62) 3,577 2,911 19.7 △ 18.6
食用の野菜・根など(07) 1,569 1,578 10.7 0.6
衣類・付属品(ニット製品)(61) 1,984 1,477 10.0 △ 25.6
穀物(10) 1,448 1,197 8.1 △ 17.3
魚介類(03) 731 659 4.5 △ 9.8
船舶(08) 13 459 3.1 3430.8
履物(64) 617 381 2.6 △ 38.2
食用の果実及びナッツなど(08) 271 258 1.7 △ 4.8
ゴム及びその製品(40) 448 235 1.6 △ 47.5
合計(その他含む) 17,085 14,753 100.0 △ 13.6

〔注〕品目欄の括弧内数値はHSコード。
〔出所〕Global Trade Atlasより作成

表1-2 ミャンマーの主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
鉱物性燃料(天然ガス、石油)(27) 5,219 5,402 32.9 3.5
一般機械・部品 (84) 897 965 5.9 7.6
電気機械 (85) 672 778 4.7 15.8
動物性または植物性油脂 (15) 718 653 4.0 △ 9.1
鉄鋼 (72)輸送機器 666 650 4.0 △ 2.4
人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及び人造繊維製品(54) 522 633 3.9 21.3
肥料(31) 587 587 3.6 0.0
プラスチック製品(39) 684 575 3.5 △ 15.9
人造繊維の短繊維・織物 (55) 789 542 3.3 △ 31.3
医療用品(30) 604 408 2.5 △ 32.5
合計(その他含む) 17,403 16,440 100.0 △ 5.5

〔注〕品目欄の括弧内数値はHSコード。
〔出所〕Global Trade Atlasより作成

輸出を品目別(HSコード2桁)でみると、金額ベースの1位は引き続き鉱物性燃料(天然ガス、石油)で、前年比11.0%減の35億7,400万ドルとなった。主に、タイと中国向けの天然ガスである。2位は衣類・付属品(布帛製品)で、18.6%減の29億1,100万ドルであった。ミャンマーでは、縫製業を中心に原材料を外国から免税で調達し、安価な労働力を活用して加工し輸出する「裁断・縫製・包装(CMP)」と呼ばれる委託加工業が盛んである。また、4位の衣類・付属品(ニット製品)も25.6%減の14億7,700万ドル、8位の履物(38.2%減、3億8,100万ドル)なども大幅に減少した。縫製品の主要輸出先である欧州経済の低迷によるものと考えられる。一方、2023年の縫製品の日本向け輸出は、過去最高を記録した前年並みを維持し、好調であった。また、食料についても、穀物が17.3%減、魚介類が9.8%減となった。輸出全体で見ると、ミャンマーの輸出上位品目である鉱物性燃料や衣類、食品などが軒並み前年実績を下回った。

一方、輸入では、政府の輸入抑制政策にもかかわらず、主要品目は前年比で増加した。最大の輸入品目である鉱物性燃料(天然ガス、石油)は、国際的なエネルギー価格の高騰が継続したため、前年比3.5%増加(54億200万ドル、輸入総額の32.9%)、政府の輸入抑制政策の効果を打ち消し、貿易収支に大きな影響を与えている。一般機械・部品(7.6%増、9億5,600万ドル)、電気機械(15.8%増、7億7,800万ドル)と合わせて、上位3品目の輸入がともに増加した。

国・地域別でみると、輸出では2022年から順位に変動はないものの、1位のタイが前年比7.0%減の35億8,000万ドル、2位の中国も7.0%減の34億2,800万ドルと共に減少した。ミャンマーは二大輸出相手国である両国と国境を接している。両国との陸路国境貿易の減少は、雨期の雨による土砂崩れなどの自然災害に加え、国境周辺地域での少数民族武装勢力と国軍との紛争激化により、主要な国境税関が閉鎖になったことなどが原因と考えられる。特に、地方での紛争激化は早期収束が見込めない状況であり、陸路国境貿易への影響は長期化する可能性がある。3位は前年に続き日本だが、タイや中国に比べると、輸出は1.0%減にとどまり、前年並みの輸出額であった。タイ、中国、日本への輸出は、ミャンマーの輸出総額の55.6%を占め、その割合は前年より4.4ポイント上昇した。

一方、輸入は、前年に引き続き中国(前年比8.9%減、50億9,100万ドル)、シンガポール(14.3%減、37億500万ドル)、タイ(2.6%減、20億9,700万ドル)が上位3カ国で、全体の66.3%を占めた。

表2-1 ミャンマーの主要国・地域別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
タイ 3,848 3,580 24.3 △ 7.0
中国 3,687 3,428 23.2 △ 7.0
日本 1,212 1,200 8.1 △ 1.0
インド 900 839 5.7 △ 6.8
米国 761 588 4.0 △ 22.7
ドイツ 680 519 3.5 △ 23.7
ポーランド 470 468 3.2 △ 0.4
スペイン 622 441 3.0 △ 29.1
韓国 340 404 2.7 18.8
英国 623 346 2.3 △ 44.5
合計(その他含む) 17,085 14,753 100.0 △ 13.6

〔出所〕Global Trade Atlasより作成

表2-2 ミャンマーの主要国・地域別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
中国 5,587 5,091 31.0 △ 8.9
シンガポール 4,322 3,705 22.5 △ 14.3
タイ 2,154 2,097 12.8 △ 2.6
マレーシア 1,140 1,368 8.3 20.0
インドネシア 1,038 1,185 7.2 14.2
韓国 274 553 3.4 101.8
インド 562 448 2.7 △ 20.3
ベトナム 395 293 1.8 △ 25.8
日本 277 199 1.2 △ 28.2
米国 171 175 1.1 2.3
合計(その他含む) 17,403 16,440 100.0 △ 5.5

対内直接投資 
2023/24年度の対内直接投資認可額、大幅減

2021年2月の政変は、外国企業のミャンマーへの投資マインドを冷え込ませた。ミャンマー投資企業管理局(DICA)が発表した2023/24年度(2023年4月~2024年3月)の統計によると、対内直接投資認可額(ティラワ経済特区を除く)は前年度比59.7%減の6億6,162万ドルと大幅に減少した。新型コロナ流行前の2019/20年度(2019年4月~2020年3月)の投資認可額(48億8,097万ドル)と比べると約7分の1となっている。

国・地域別にみると、投資認可額の上位の国・地域は、前年度と同様、シンガポール(3億4,522万ドル、前年度比70.2%減)が最多であったが、認可額を大きく減らしている。2位は前年の3位から大幅に認可額を増やした中国(2億2,583万ドル、86.6%増)であった。この2カ国で全体認可額の86.4%を占めている。以下、タイ(2,510万ドル、74.4%減)、香港(2,311万ドル、86.4%減)が続いた。日本からの投資は1件のみで、認可額は323万ドル(84.6%減)であった。日本についても、政変前の2019/20年度は、認可件数が6件、金額が7億6,800万ドルであったことと比較すると、件数・金額ともに大きく減少している。

業種別にみると、電力分野が3億7,453万ドル(前年比54.3%減)で2022/23年度に引き続き1位となった。製造業も44.3%減の1億5,139万ドルと低迷したが、他の業種でも軒並み投資が減少したため、業種別で2位に浮上した。これら2分野で認可額全体の79.5%を占めた。一方、製造業は、投資認可件数ベースでは40件と、全体の56.3%を占め、最多であった。3位の運輸・通信分野(7,782万ドル)、4位の畜産・水産業(2,347万ドル)はともに前年から増加した。「その他サービス(注2)」は件数ベースで前年度の5件から3件の減少にとどまったが、金額ベースでは95.8%減の2,112万ドルに急減した。

(注2)運輸通信、ホテル・レストラン、不動産、工業団地を除く。

表3 ミャンマーの国・地域別対内直接投資[認可ベース](単位:件、100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2022/23年度 2023/24年度
件数 金額 件数 金額 構成比 伸び率
シンガポール 17 1,159 7 345 52.2 △ 70.2
中国 43 121 40 226 34.2 86.6
タイ 2 98 1 25 3.8 △ 74.4
香港 13 170 9 23 3.5 △ 86.4
サモア 1 2 1 18 2.7 796.0
台湾 2 4 1 7 1.1 76.7
英国 1 2 1 4 0.7 124.2
日本 1 21 1 3 0.5 △ 84.6
韓国 5 53 3 2 0.4 △ 95.4
米国 0 0 3 2 0.3
ベトナム 1 0 0 2 0.3 466.7
合計(その他含む) 87 1,640 71 661 100.0 △ 59.7

〔注1〕 ティラワ経済特区への投資は含まれない。
〔注2〕 ミャンマーの会計年度は4月~翌年3月まで。
〔注3〕 追加投資は件数にカウントされず、金額のみ計上されている。
〔出所〕 ミャンマー投資企業管理局(DICA)

表4 ミャンマーの業種別対内直接投資[認可ベース](単位:件数、100万ドル、%)(△はマイナス値)
業種 2022/23年度 2023/24年度
件数 金額 件数 金額 構成比 伸び率
電力 11 820 3 375 56.6 △ 54.3
製造業 64 272 40 151 22.9 △ 44.3
運輸・通信 0 0 78 11.8
畜産・水産業 1 2 23 3.5 1,073.5
その他サービス 5 504 3 21 3.2 △ 95.8
不動産開発 1 29 1 11 1.6 △ 63.7
農業 2 4 4 3 0.4 △ 31.1
建設 0 0 0 0 0.0
ホテル・観光業 2 3 0 0 0.0 △ 100.0
鉱業 1 7 0 0 0.0 △ 100.0
工業団地 0 0 0 0 0.0
合計(その他含む) 87 1,641 71 662 100.0 △ 59.7

〔注1〕 ティラワ経済特区への投資は含まれない。
〔注2〕 ミャンマーの会計年度は4月~翌年3月まで。
〔注3〕追加投資は件数にカウントされず、金額のみ計上されている。
〔出所〕ミャンマー投資企業管理局(DICA)

一方、ティラワ経済特区への企業の進出状況は、同経済特区の運営会社によれば、2024年6月時点で、契約締結・投資認可取得済が110社(非日系含む)であった。そのうち、102社が操業中で、3社が工場を建設中である。親会社の所在国・地域別で見ると、日系企業は55社と最多を占め、タイが16社、韓国が8社、台湾7社の順に多い。業種別では、建設資材(16社)、包装・容器(10社)、食品・飲料(11社)、縫製(9社)、電力・電気(9社)などが上位となる。

投資環境 
ドルを中心とした外貨流動性が回復せず

2021年2月の政変以降、欧米の相次ぐ経済制裁や新規投資の低迷などにより外貨不足が顕著となっている。2023年12月には、米ドル収入の柱であった天然ガスの輸出において、米国の金融制裁を理由にドル決済ができなくなり、主要輸出先であるタイのバーツや中国の人民元での決済に移行した。政府の輸出促進、輸入抑制政策にもかかわらず、輸入エネルギー価格の高止まりが響き、貿易収支は大幅な赤字を計上し、外貨準備高に影響を与えている。また、ミャンマー政府は2021年8月以降、ドル高・チャット安に歯止めをかけるために管理変動相場制を採用している。市中の銀行や両替商は、ミャンマー中央銀行(以下、中銀)が公表する参考レートから、上下0.3%以内の為替レートでの取引が義務付けられている。しかし、実態は市中両替商が提示する実勢レートと中銀の参考レートは乖離している。具体的には、中銀は2022年4月から参考レートを1ドル=1,850チャットに固定するも、8月8日から2,100チャットに変更した。また、2023年6月22日から開始された民間銀行を通じた外貨取引を中銀に報告・承認するオンライン取引の仕組みでも、1ドル=2,900チャット程度で開始したが、その後下落が進み、同年末以降は3,400チャット程度のレートで推移している。これに伴い、市中の両替商が提示する実勢レートは、同年半ばに1ドル=3,400チャットを超え、2024年に入ってからは3,900チャット前後のレートで推移している(2024年4月時点)。

対日関係 
対日貿易、6年連続で黒字を維持

2023年のミャンマーの対日輸出は12億ドル(前年比1.0%減)と前年並みを維持した。一方、輸入は1億9,900万ドル(28.2%減)と3年続けて減少した。結果、対日貿易収支は10億100万ドルの黒字(7.1%増)となり、6年連続黒字を維持した。品目別(HSコード2桁)でみると、輸出は、上位3品目の衣類・附属品(布帛製品、ニット製品)、履物はいずれも前年から減少したが、これら3品目の合計は10億1,900万ドルと、対日輸出全体の84.9%を占めた。一方、輸入は1位の電気機械が7,200万ドル(44.0%増)、2位の一般機械(建設機械など)が1,900万ドル(40.6%減)、3位の医療機器などが1,300万ドル(48.0%減)となった。前年2位だった鉄道用機関車・車両などは、これまで続いていたODA関連プロジェクトが、国内情勢混乱の影響を受けて工事が停滞したこと、また完工により事業が終了したことなどから500万ドル(87.8%減)と大幅に前年比で減少した。

表5-1 ミャンマーの対日主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:百万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
衣類・衣類付属品(布帛製品)(62) 705 672 56.0 △ 4.7
衣類・衣類付属品(ニット製品)(61) 286 284 23.7 △ 0.7
履物(64) 69 63 5.3 △ 8.7
電気機械(85) 15 52 4.3 246.7
魚介類 (03) 36 27 2.3 △ 25.0
食用の野菜・根(豆など)(07) 19 26 2.2 36.8
真珠・貴金属など(71) 9 9 0.8 0.0
革製品(42) 12 8 0.7 △ 33.3
ゴム及びその製品(40) 5 6 0.5 20.0
光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器及び医療用機器並びにこれらの部分品及び附属品(90) 3 6 0.5 100.0
合計(その他含む) 1,212 1,200 100.0 △ 1.0

〔注〕品目欄の括弧内数値はHSコード。
〔出所〕 Global Trade Atlasより作成

表5-2 ミャンマーの対日主要品目別輸出(CIF)[通関ベース](単位:百万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
電気機械(85) 50 72 36.2 44.0
一般機械(建設機械など(84) 32 19 9.5 △ 40.6
医療機器など(90) 25 13 6.5 △ 48.0
人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及び人造繊維製品(54) 10 11 5.5 10.0
人造繊維の短繊維・織物 (55) 15 10 5.0 △ 33.3
雑品(96) 9 9 4.5 0.0
特殊織物、タフテッド織物類、レース、つづれ織物、トリミング及びししゅう布(58) 7 7 3.5 0.0
鉄鋼(72)鉱物性燃料(27) 15 7 3.5 △ 53.3
プラスチック及びその製品(39) 4 6 3.0 50.0
鉄道用機関車・車両など(86) 41 5 2.5 △ 87.8
合計(その他含む) 277 199 100.0 △ 28.2

〔注〕品目欄の括弧内数値はHSコード。
〔出所〕 Global Trade Atlasより作成

現地進出日系企業は様子見を継続

ミャンマー日本商工会議所の会員数は、2023年4月時点の374社から、2024年3月末には342社へと32社減少している。2021年2月の政変に併せて発出された非常事態宣言が、2024年2月に5回目の延長となり、事業環境の先行き不透明感は今後も長期化すると想定される。ジェトロが実施した「2023年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」(2023年8~9月実施)によれば、2023年の営業収益見込みについて、「黒字」と回答した在ミャンマー日系企業の割合は32.4%(前年比1.4ポイント増)となり、調査対象である北東アジア(5カ国・地域)、ASEAN(9カ国)、南西アジア(4カ国)、オセアニア(2カ国)の計20カ国・地域の中で最低であった。さらに、「赤字」と回答した企業の割合も48.2%(2.0ポイント増)となり、同じく調査対象国・地域中で最も多かった。一方、今後1~2年の事業展開の方向性について、「拡大」と回答した企業の割合は17.1%(5.4ポイント増)、「縮小」および「第三国(地域)への移転・撤退」という回答割合の合計は26.1%(11.1ポイント減)だった。不安定な政治や経済の状態が継続する中だが、「現状維持」との回答が56.8%(5.7ポイント増)を占め、過半数の日系企業は様子見の状態といえる。

日本での就労への関心高まる

国際交流基金ヤンゴン日本文化センターによると、2023年7月に実施された日本語能力試験(JLPT)のミャンマーでの応募者数が10万人を超えた。過去に1カ国で10万人超の応募者がいたのは中国以外になく、ミャンマーは史上2番目に10万人を超えた国となった。2021年の政変以降、ミャンマー経済が低迷し、雇用情勢が悪化したことで、国外での就労を検討する人が増加している。日本で就労する場合は、条件の1つとして日本語能力試験合格が求められる場合が多いため、応募者数が増加した大きな要因と考えられる。ミャンマーの人材紹介関係者によれば、日本に派遣するために必要な日本語能力を身に着ける語学学校のミャンマー国内での設立も増加傾向にあった(2023年7月時点)。一方、現在(2024年8月時点)では、引き続き語学学校の新設はあるものの、受講者数は増加一辺倒ではなくなってきている。

(注1)ミャンマーの会計年度は4月から翌3月だが、IMFのデータは年度の対象期間を10月から翌9月としている。
(注2)運輸通信、ホテル・レストラン、不動産、工業団地を除く。

基礎的経済指標

(△はマイナス値)
項目 単位 2021/22年度 2022/23年度 2023/24年度
実質GDP成長率 (%) △10.5 △4.0 2.5
1人当たりGDP 米ドル 1,271 1,146 1,190
消費者物価上昇率 (%) 3.6 18.4 27.1
失業率 (%) n.a. n.a. n.a.
貿易収支 (100万米ドル) 823 △318 △1,687
経常収支 (100万米ドル) △201 △2,843 △3,963
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) n.a. n.a. n.a.
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) n.a. n.a. n.a.
為替レート (1米ドルにつき、ミャンマー・チャット、年平均) n.a. n.a. n.a.

注:
ミャンマーの会計年度は4月から翌3月だが、IMFのデータは年度の対象期間を10月から翌9月としている。
1人あたりGDP:推計値
貿易収支:対象期間は1~12月、通関ベース
出所:
1人当たりGDP、実質GDP成長率、消費者物価上昇率 、失業率 、経常収支、外貨準備高(グロス)、対外債務残高(グロス)、為替レート:IMF
貿易収支:Global Trade Atlas