税制
最終更新日:2023年12月28日
法人税
「2021年内国歳入法(改正)第10号」(2021年5月13日公布)、「2022年内国歳入法(改正)第45号」(2022年12月19日公布)により、2017年内国歳入法第24号第1明細書第4項(企業に対する税率)第1号から第4号までが改正され、法人税率が以下のとおり改正された。
法人所得税率
2023年度の政府予算案で税制改訂案が提案され、企業の課税所得の一般税率は以下のとおりとなった(2022年内国歳入法(改正)第45号第33項第3号を参照)。
- 2022/23会計年度の前半6カ月間(2022年4月1日~2022年9月30日)の税率は24%、後半6カ月間(2022年10月1日~2023年3月31日)の税率は30%。
- 2023年4月1日以降の税率は30%。
内国歳入法が改正され、2020年1月から、特定の区分に属する法人の所得に対する法人税は以下のとおりとなっていた。前述の税制改正に合わせて、この措置についても2023年1月1日以降、次表のように改正された。
- 2021年内国歳入法No. 10 “INLAND REVENUE (AMENDMENT) ACT, No. 10 of 2021(247KB)”
- 2023年1月発効の法人所得税に関する通達(2022年12月9日の国会決議による2017年内国歳入庁法の改正) “Changes to the Inland Revenue Act, No. 24 of 2017 as passed in Parliament on December 09, 2022(958KB)”
- 2022年内国歳入法(改正)第45号 “INLAND REVENUE (AMENDMENT) ACT, No. 45 of 2022(204KB)”
法人などの区分 | 現行※1 | 改定後※2 |
---|---|---|
a. 中小企業 | 14% | 30% |
b. 物品または商品の販売事業において、販売代金が外貨で銀行経由でスリランカに送金された場合 | 14% | 30% |
c. 特定事業 ※3 | 14% | 30% |
d. 教育サービス | 14% | 30% |
e. 観光の振興 | 14% | 30% |
f. 建設サービス | 14% | 30% |
g. 農産物加工 | 14% | 30% |
h. ヘルスケアサービス | 14% | 30% |
i. 国内企業からの受取配当金 | 14% | 30% |
j. 保健省、保健サービス局、スリランカ陸軍、スリランカ海軍、スリランカ空軍、スリランカ警察、COVID対策センターに健康保護器具や同様の製品を供給するBOI登録輸出会社 | 14% | 30% |
k. 2021年1月1日以降、2021年12月31日以前にライセンスを受けコロンボ証券取引所に株式を上場した企業(2022年4月1日から始まる3年間の評価対象年度に適用) | 14% | 30% |
l. 宝石・貴金属に関して受け取る対価からの利益・収益 | 14% | 30% |
m. 再生可能エネルギーによる電力供給を行う企業(2021年4月1日より施行) | 14% | 30% |
n. a.b.c.j.k.に関する製造による所得や利益 | 18% | 30% |
o. 賭博・ゲームによる所得や利益 | 40% | 40% |
p. 酒・タバコの製造・輸入・販売による所得や利益 | 40% | 40% |
※1:2022年10月1日から2022年12月31日まで
※2:2023年1月1日以降
※3:2017年内国歳入法No.24および2021年内国歳入法No. 10では「特定事業」を次のとおり定義している。
中継貿易、オフショア事業、海外の顧客へのフロント業務およびサービス、大手バイヤーの本社業務、保税倉庫やスリランカにおける多国間統合などの物流サービス、積み替え、貨物輸送、輸出業者への特定サービスの提供、非伝統的な商品の生産・製造および輸出業者への供給、特定サービス(船舶やコンテナの修理・改修、コンピューター・ソフトウエア、コンピューター・プログラム、コンピューター・システムの提供等)の実施、宝石・宝飾品の国内における外貨での販売、BOI法17条のもとでBOIと契約を締結した輸出中心型企業によるスリランカ国内で製造した物品の販売、船舶用の燃料を供給するサービス。
キャピタルゲイン税(CGT)
企業の課税所得に投資資産の現金化による利得(または固定資産による利得)が含まれる場合(2022年内国歳入法(改正)第45号第33項第3号(d)参照)、これらの利益は、2022年10月1日以前は10%、2022年10月1日以降は30%の税率にて課税される。残りの課税所得については、2022年4月1日に始まる評価年の前半6カ月間は24%、後半6カ月間は30%、2023年4月1日以降は30%の税率が適用される。
2023年1月1日以降の法人所得税免除
内国歳入法の第3表が修正され、2022年内国歳入法(改正)第45号の第35項(1)では、2023年1月1日から、法人所得税免除は以下の項目にのみ適用されるようになった。
- スリランカ政府が全額出資する企業が、事業の固定資産もしくは負債の現金化、または投資資産の現金化から利益を得て、その当該利益がスリランカの経済発展に不可欠であるとスリランカ政府によって決定され、大臣の書面による事前承認があった場合は、法人所得税が免除される。
2020年1月1日発効の法人所得税免除
以下から得られる収益および利得については法人所得税が免除される。この措置は内国歳入庁が発行した2020年4月8日付の通知No.PN/IT/2020-03(Revised)により通知され、内国歳入法の改訂(2021年内国歳入法No.10)により正式なものとなった。発効日は2020年1月1日である。その後、2022年内国歳入法(改正)第45号により変更されている。
- アグロファーミングにおいて、同一事業者による加工・製造のための農産物への使用はみなし売上とする。2019年4月1から2024年1月まで適用。
- 情報技術と情報技術により可能となるサービスの提供。2020年1月1日以後2023年3月31日まで適用(内国歳入法(改正)2022年第45号第35項第6号)。
- スリランカ国外で利用されるサービスに対する支払が外貨で受領され、銀行経由でスリランカに送金された場合(2020年1月1日以降適用)。
- 前項以外の収益で、外国で派生した利益が外国通貨により銀行を通じてスリランカに送金された場合(2020年1月1日以降適用)。
- 2023年1月1日以前に、第三次職業教育委員会(Tertiary and Vocational Education Commission)によって規制されている技術職業教育訓練標準に沿って実施される職業訓練教育プログラム(2021年4月1日から始まる2年間の評価年度の直前の評価年度の当該プログラムの学生受入数が、翌年初年度の当該プログラムの学生受入数と同様に維持された場合(内国歳入法(改正)2022年第45号35項(6)の項目b-(i)(ii)(iii))。
- 2023年1月1日以前に、金、宝石、ジュエリーの輸出事業、またはスリランカに持ち込まれた宝石のカッティング・研磨事業に対し、その切断・研磨後に輸出され、支払いが外貨で行われた場合(2022年内国歳入法(改正)第45号第35項第6号c)。
- 非居住者によって提供される試験所サービスまたは規格認証サービス。
- 以下の活動にかかる新規事業から得られた事業所得。ただし、2021年4月1日以降2023年4月1日以前に開始されたもの(2022年内国歳入法(改正)第45号第35項第7号)。
- スリランカ国内に設立された特定の場所でリサイクルされた建設資材の販売。適用期間は10年間。
- 技術職業教育訓練構想(TVECコンセプト)により標準化され、高等職業教育委員会の監督下にある職業教育機関で職業教育を無事終了した後、個人が開始した事業。適用期間は5年間。
- スリランカ国内における船舶の製造・供給。適用期間は7年間。
- 国の送電網に供給する能力を持つ100MW以上の太陽光発電または風力発電のための再生可能エネルギー事業が設立された場合。適用期間は7年間。
- スリランカ国内の労働力と現地原材料を使用した通信塔および関連機器の建設・設置、またはその建設・設置に必要な技術サービスの提供。適用期間は5年間。
- コロンボ港とハンバントタ港における保税倉庫またはオフショア事業に関連する倉庫の賃貸に関する契約。
配当税の優遇措置
- 2022年内国歳入法(改正)第45号第35項第3号により、2020年1月1日以降、2022年10月1日以前の期間については、以下のとおり法人税免除が適用されていた。
- 居住者である会社が株主に支払う配当金
- 非居住者である株主に支払われる配当金
- 2022年内国歳入法(改正)第45号第35項第4号に基づき、以下の項目については法人税が免除されるようになった。
- 2022年10月1日以降に、居住者である企業が支払う配当金で、スリランカBOIとの協定に基づき、商業ハブ活動に該当する以下の事業に少なくとも一つ従事する企業が支払う配当金。
- 輸入、小加工、再輸出を含む輸出入貿易。
- ある国から物品を調達し、またはある国で製造し、スリランカに持ち込まずに他国へ輸送するオフショア事業。
- 商品をスリランカに持ち込むことなく、ある国から調達したり、ある国で製造したりしたものを別の国へ発送するオフショア・ビジネス。
- 海外の顧客に提供するフロントエンドサービス。
- 金融サプライチェーンと請求業務の管理のための大手バイヤーの本部業務。
- スリランカでの保税倉庫や複数国での混載を含む物流サービス。
- 2022年10月1日以降に、居住者である企業が支払う配当金で、スリランカBOIとの協定に基づき、商業ハブ活動に該当する以下の事業に少なくとも一つ従事する企業が支払う配当金。
共同経営企業(パートナーシップ企業)の法人所得税
共同経営企業には、2020年1月1日以降、次に示す税率が適用されている(2021年内国歳入法(改正)第51条第2項)。
課税所得の種類 | 収入 | 税率 |
---|---|---|
1. 投資資産の現金化により得られた収入にかかる課税所得 | 投資資産の現金化により得られた収入 | 10% |
2. 1.を除く課税所得 | 100万ルピーを超えない場合 | 0% |
100万ルピーを超える場合 | 100万ルピーを超える所得に対して6% |
二国間租税条約
スリランカは、次の国・地域と二重課税防止条約を締結している。
オーストラリア、バングラデシュ、ベラルーシ、バーレーン、ベルギー、カナダ、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、香港(限定合意)、インド、インドネシア、イラン、イタリア、チェコ*、日本、韓国、クウェート、ルクセンブルク、マレーシア、モーリシャス、ネパール、オランダ、ノルウェー、オマーン(限定合意)、パキスタン、パレスチナ、フィリピン、ポーランド、カタール、ルーマニア、ロシア、サウジアラビア(限定合意)、セーシェル、シンガポール、スウェーデン、スイス、タイ、英国、アラブ首長国連邦(限定合意)、米国、ベトナム
* 旧チェコスロバキアが締結し、現在チェコに引き継がれている。
日本とスリランカの間には租税条約が結ばれている。スリランカの税法に基づく源泉徴収税の税率は、日本国とスリランカの間の租税条約の関連規定に基づき、次のとおりとなる。
- 配当金
日本スリランカ租税条約 第6条が、スリランカの配当金への源泉徴収税の免除を意味するのか、軽減税率の6%の適用を意味するのか明確でないため、現在、両国の財政当局がこの問題を協議中である。国内法の税率は14%である。 - 利子
日本スリランカ租税条約における「利子」の条項は、スリランカの居住者が日本の貸し手から受ける貸付金の利子、またはその反対の場合に支払われる利子に適用される税率に特に言及していない。このため、2017年内国歳入法第24号の規定が、スリランカ国外の者や企業、その他の団体がスリランカ国内の者に対して行った貸付金の総利子に対する所得税率として適用される。国内法で定められている利率は5%であり、これが日本の貸し手の借入金利息に適用される。なお、日本スリランカ租税条約では、スリランカ政府に供与される援助資金から金融機関、政府機関、または承認された日本企業が受け取る利子は非課税である。 - ロイヤルティー
日本スリランカ租税条約におけるロイヤルティーに関する条項は、ロイヤルティーに対して課される租税をその50%に等しい額に軽減するよう定めている。国内法上のロイヤルティー率は14%であるため、日本人居住者に対して支払われるロイヤルティーに対して適用される率は7.5%である。
また、日本スリランカ租税条約は、工業用、商業用または学術用機器の使用または使用の権利の対価として受領するすべての賃貸料および類似の支払金をロイヤルティーとして取り扱うことを規定している。著作権と映画フィルムのロイヤルティーは免税である。
日本・財務省:日本・スリランカ租税条約(1.75MB)"
その他税制
2023年1月以降、所得税率が上昇するとともに、課税対象範囲が広がった。
課税所得および課税所得の源泉
年間課税所得とは、雇用、事業、投資、その他の4つの源泉からなる所得をいう。従って、ある者の賦課年度の課税所得は、賦課可能所得源泉(assessable income sources)と呼ばれる以上の4つの源泉の合計となる。
個人所得税
2020年4月1日からPAYE税の代わりに個人所得税(Advance Personal Income TaxAPIT)が導入され、2020年4月1日以降の所得に適用されている。2017年内国歳入法第24号の「雇用主による源泉徴収」に関する第83条にて、給与所得に対するAPIT控除について規定されている。その後、2021年法律第10号「内国歳入法(改正)」および2022年法律第45号「内国歳入法(改正)」が発行されており、雇用主は、2020年4月1日以降、同法本体の第5条「給与所得」に規定されている利得および利益として特定される支払いから個人所得税(APIT)を控除しなければならない。
給与所得からAPITを控除するために以下のような税額表が設けられていた。
- 内国歳入庁ウェブサイト:APIT控除税額表(2023年1月1日~2023年3月31日) "Advance Personal Income Tax Tables"
税額表 番号 |
概要 |
---|---|
01 | 雇用による定期的な収入から控除される月額の税額 |
02 | 一括払いの税額控除率 |
03 | 一時金(期末手当)からの税額控除 |
04 | スリランカ国民でない非居住者の雇用による定期的な利益からの税額控除率 |
05 | 雇用による累積利得・利益に対する税金の控除 |
06 | 税率に関する税金 |
07 | 二次雇用から税金を控除するための税率 |
2023年予算案で所得税制が変更され、APITの税率は時期によって以下の2種類が適用されるようになった。
- 2021年法律第10号「内国歳入法(改正)」および2022年法律第45号「内国歳入法(改正)」により改正された法律本体の83A(1A)条に従い、雇用主はガイドラインおよび別表に規定の税率および基準によって、内国歳入庁評価年2022/2023年の第二四半期(2023年1月1日から同3月31日まで)分についてAPITを控除しなければならない。
- 2021年法律第10号「内国歳入法(改正)」、2022年法律第45号「内国歳入法(改正)」、2022年12月28日付臨時官報No.2312/16により修正された同法本体第83A(1A)条に基づき、雇用主は2023年1月1日以降、前払個人所得税(APIT)を控除する必要がある。この条項に基づく税率と基準は、内国歳入庁評価年2023/2024年のガイドラインと別表に規定されている。
2022/2023評価年度の最初の3カ月および2023/2024評価年度の雇用による通常の利益からの月々の税額控除は以下のとおり。本人の同意の有無に関わらず、税額控除は強制的に行わなければならない。
すべての居住者および非居住者で、雇用による通常の利益が10万ルピーを超える者は、以下の税表により課税対象となる。
No. | 雇用による毎月の定期的な課税収入の額 | 個人所得税額 |
---|---|---|
1 | 100,000ルピー未満 | 免税 |
2 | 100,000以上141,667ルピー未満 | 雇用による月間定期収入の6%から6,000ルピーを差し引いた金額 |
3 | 141,667以上183,333ルピー未満 | 雇用による月間定期収入の12%から14,500ルピーを差し引いた金額 |
4 | 183,333ルピー以上225,000ルピー未満 | 雇用による月間定期収入の18%から25,500ルピーを差し引いた金額 |
5 | 225,000ルピー以上266,667ルピー未満 | 雇用による月間定期収入の24%から39,000ルピーを差し引いた金額 |
6 | 266,667ルピー以上308,333ルピー未満 | 雇用による月間定期収入の30%から55,000ルピーを差し引いた金額 |
7 | 308,333ルピー以上 | 雇用による月間定期収入の36%から73,500ルピーを差し引いた金額 |
APITの対象となる所得
従業員が提供した働きに対して、次のような所得を現金または現物で受け取った場合、または雇用から生じた利益の価値が、APITの課税対象となる。
- 給与、賃金、休暇手当、時間外手当、手数料、年金、コミッション、謝礼、ボーナス、その他類似の支払い
- 生活費、家賃、交際費、旅費などの個人的な手当て
- 従業員または従業員の関係者が負担した経費の免除または償還を提供する支払い
- 雇用条件に対する個人の合意に対する支払い
- 余剰人員、雇用の喪失または終了のための支払い
- 従業員に代わって退職基金に拠出した退職金および雇用に関して受領した退職金
- 従業員または従業員の関係者の利益のための他人への支払いまたは譲渡
- 従業員または従業員の関係者の利益のための他人への支払いまたは移転
- 従業員または従業員の関係者が雇用によって受け取った、または得られた給付の公正な市場価値
- 従業員または従業員の関係者が、雇用によって受け取った、または得られた利益の公正価値
- 雇用に関して受け取った贈与を含むその他の支払い
- 従業員株式制度に基づき割り当てられた株式の時価。株式取得のためのオプションまたは権利の行使の結果として割り当てられた株式の時価を含む(当該株式に対する従業員の拠出金を除く)。
次のような雇用元から受け取った利益や収益は、税金の対象外である。
- 非課税額および最終源泉徴収額
- 個人が雇用主のために負担した費用の免除または償還
- 個人の健康保険料の免除または払い戻しで、給付金がある場合
- 非差別的に従業員に対して行われる支払い、または従業員に発生する給付金
- 従業員株式制度に基づき従業員に付与される株式取得の権利またはオプションの価値
- コミッショナー総長が承認した年金、積立金、または貯蓄基金の従業員口座に雇用主が拠出した金額
- 退職時に受け取る退職金。ただし、それぞれの退職金がすでに所得税法上考慮されており、従業員がその退職金に対して前審査年度で納税していること
次に示す雇用による利得や利益の源泉は、雇用による利益から免除される。
- 人身事故または死亡に対して支払われる補償金または謝礼金
- スリランカ政府または政府省庁から受け取った年金
- 内国歳入庁長官によって承認された退職準備基金、または調整された退職準備基金からの退職時に支払われる金額
- 年金基金または従業員信託基金からの退職時に支払われる金額で、1987年4月1日以降に開始した期間に稼得した投資所得に相当するもの
- 外交特権法およびその他の特定の条約に基づく特権を有する個人が得た所得
- 政府職員が、当該職員に付与された道路運送車両許可証から得られる利益
- 内国歳入庁通知:従業員からの前払い個人所得税の控除のためのガイドライン "Guideline for Employers on Deducting Advance Personal Income Tax (APIT) from Employment Income(1257KB)"
源泉徴収税(WHT)および前払い所得税(APIT)の控除
2023年1月1日より、スリランカを源泉とする配当、利息、割引、手数料、天然資源の支払い、家賃、ロイヤルティー、プレミアムの支払いから投資所得を受け取った者は、源泉徴収税(WHT)を支払う義務がある(2022年内国歳入法(改正)第45号の84Aおよび84A(1A)を参照のこと)。
第85-1A条および第1B条により、非居住者に支払われるスリランカを源泉とする配当、利息、割引、手数料、天然資源の支払い、家賃、ロイヤルティー、保険料、サービス料に対しても源泉徴収税が課される。第85-1C条に従い、支払者の従業員ではないが、スリランカを源泉とするサービス料を受け取った居住者個人にも、源泉徴収税の納税義務が発生する。
- 内国歳入庁通知:WHTとAPITの控除にかかる通達 "Deduction of Witholding Tax and Advance Income Tax(1740KB)"
項目 | 課税対象支払 | WHT率(%) |
---|---|---|
1 | 支払利息または割引 | 5% |
2 | 居住者に対する家賃(本制定書第195条に定義)の支払い(支払い総額が1カ月間に100,000ルピーを超える場合) | 支払額合計の10% |
3 | 非居住者に対する家賃の支払い | 14% |
4 | 宝くじ、報酬、賭け事、ギャンブルの賞金として支払われる金額 | 14% |
5 | 料金、天然資源への支払(主要制定法195条により定義)または保険料 | 14% |
6 | ロイヤリティー(本制定案第195条により定義) | 14% |
7 | 非居住者に対するサービス料または保険料の支払い | 14% |
8 | 配当金 | 15% |
9 |
支払者の従業員でない居住者に対するサービス料(1カ月の支払い総額が100,000ルピー以上の場合) ・教育、講義、試験、試験監視または監督への料金 ・居住者の保険代理店、販売代理店または勧誘代理店への手数料または仲介料 ・医師、エンジニア、会計士、弁護士、ソフトウエア開発者、研究者、学術関係者、その他規則で定める独立したサービス提供者の資格で提供されるサービス |
5% |
10 | 第85条第2項および平成30年4月1日付臨時官報告示第2064/51号に基づく、陸上、海上、航空運送または電気通信の役務に係る非居住者への支払額 | 2% |
11 | 国立宝石ジェリー庁が実施するオークションで落札された宝石の売主に支払われる売却価格 | 2.5% |
ただし、次の項目については、WHTを控除する必要はない。
- スリランカ政府(地方公共団体、政府省庁を含む)による支払い(公社、大学、政府所有の事業体および企業を除く)
- 個人による支払い(事業を行う上での支払いを除く)
- 金融機関が行う通常の融資および貸付に対する金融機関への支払利息
- 地方債条例(第417条)に基づく証券または国債の利子または割引料
なお、2023年1月1日、預金の利息や割引に対して5%の課税を課す通達(SEC/2022/E/02)が発行された。
- 内国歳入庁通知:預金の利息や割引に対するAPITの控除について "Deduction of Advance Income Tax on Interest or Discount on Deposits(1338KB)"
従って、84A(1A)条に従い、銀行や金融機関がスリランカを源泉とするイスラム金融取引から受け取る利息、割引、所得に支払う場合は、5%の付加価値税を控除する義務がある。ただし、次に示す所得税項目については、銀行や金融機関は法人税を控除する必要はなく、非課税となる。
- 2020年1月1日以降に商業銀行や専門銀行で開設された外貨建て口座から受け取る、または発生する利息。
- 2017年外国為替法第12条第29項第7号の規定に基づきスリランカで開設・維持されている「特別預金口座」から2020年4月8日以降に指定外貨またはスリランカ・ルピーのいずれかで受領または発生する利息(その後の更新口座は除く)。
- (a)外交特権法または類似の法律で定められた範囲内の外国領土の外国政府、(b)外交特権法または類似の法律または当該機関とスリランカ政府との協定で定められた範囲内の国際機関によって得られた金額。
- 内国歳入庁発行の2020年4月1日以降の収入にかかるAPIT税に関する通知(PN/APIT/2020-01, 2020年4月20日) "Deduction of Advance Personal Income Tax (APIT) on Gains and Profits from Employment(212KB)"
- 2021年内国歳入法No.10"INLAND REVENUE (AMENDMENT) ACT, No.10 of 2021(247KB)"
- 内国歳入庁:税制変更に関する通知"Notice to the Taxpayers and Withholding Agents (WHA)(444KB)"
送金税(Remittance Tax)
根拠法令:2017年内国歳入法第24号第62条
スリランカの恒久的施設を通じてスリランカで事業を行う非居住者には、次の項目に対して14%課税される。
- 当該評価年度に発生した送金利益
- 利益の送金日から30日以内に、本法の第1表の率で送金利益の総額に対して最終税を支払う。
- 送金利益とは、非居住者が得た、スリランカにおいて課税対象となる利益および収入のうち、海外に送金または留保された額をさす。
- スリランカでビジネスを行ったことにより、非居住者もしくは非居住者の代理としてスリランカ国外で受け取った、スリランカにおいて課税対象となる額も送金利益に相当する。
非居住企業の関与があるスリランカ国内の企業が非居住者に支払った配当は送金税が免除される。ここで言う非居住企業の関与があるスリランカ国内の企業とは、非居住企業が自己株式 (償還株式を除く) の10%以上を保有し、会社の議決権の10%以上を直接または間接に保有している場合をさす。
ただし、非居住者が2021年4月1日以降に開始する評価年度において得た総所得を、その所得が得られた直後の評価年度の初日から最低3年間スリランカに留め、事業の拡大、スリランカ証券取引委員会が認可したコロンボ証券取引所の株式や証券の取得、国庫証券の取得のためにスリランカに投資した場合は、送金税はゼロ(0%)となる(2021年内国歳入法(改正)第62条10項を参照)。
付加価値税(VAT)
内国歳入法(改正)第10項(v) - 第(1)項に次のような修正が施され、その修正は2022年付加価値税法(改正)第44号に盛り込まれた。従って、VATについては次の2つの改正を考慮する必要がある。
- VATの登録を目的とした物品またはサービス、あるいは物品とサービスの課税供給額(VAT登録閾値)が、2020年1月1日以降2022年9月30日までに、四半期7,500万ルピー以上、または年間3億ルピーを超える場合。
- VAT登録を目的とした物品またはサービス、あるいは物品とサービスの課税供給額(VAT登録基準)が、2022年10月1日以降、四半期2,000万ルピー以上、あるいは年間8,000万ルピーを超える場合。
2023年付加価値税法(改正)第32号により次の税率が適用されるようになった。
- 課税対象となる物品もしくはサービスの供給または物品の輸入に対してVAT 税率を2024年1月1日付で18%の税率が課される。
- 根拠法(内国歳入庁):2022年付加価値税法新法No.44 "Value Added Tax (Amendment) Act, No.44 of 2022(147KB)"
- 根拠法(内国歳入庁):2023年付加価値税法新法No.32 "Value Added Tax (Amendment) Act, No.32 of 2023(139KB)"
2019年12月発効のVAT制度
2019年12月以降、VATの税率は以下のとおりとなった(2019年11月29日付官報2151/52号)。
- 以下の製品・サービスの提供のVAT税率は0%である(2019年11月29日付臨時官報2151/51)。
- ホテル、ゲストハウス、レストラン、またはスリランカ観光開発局に登録されたこれらのサービスを提供する類似業種企業によるサービスの提供に関し、投入の合計額(※1)の60%が国内の物資もしくは国内供給源から供給されている(※2)場合は0%。
※1:投入の合計額とは、課税対象年度の前年度中に購入した商品の総価値額を指す。
※2:国内で生産された農産物、野菜、魚介類、畜産物、乳製品、および国内で製造された少なくとも10%の国内付加価値のある商品に関する支出の合計を指す。 - 金融サービスの提供にかかる税率は15%。
- 2018年11月1日付臨時官報告示第2095/20号の別表列IおよびIIに記されるH.S.コードの商品(布)の輸入で、同表の列IIIに対応する割合のものは0%。
- a.b.c.以外の物品もしくはサービスの輸入もしくは供給は8%。
- コンドミニアム住宅ユニットの販売による居住用の住宅供給は0%。
- ホテル、ゲストハウス、レストラン、またはスリランカ観光開発局に登録されたこれらのサービスを提供する類似業種企業によるサービスの提供に関し、投入の合計額(※1)の60%が国内の物資もしくは国内供給源から供給されている(※2)場合は0%。
- 前記の項目に加え、以下の項目について VATが免除されることになった。
- COVID-19に対応するための保健サービス提供に必要なものとして保健省次官が推奨する機器、医療・外科・歯科器具、付属品、部品、病院および医療用家具、医薬品、化学品、これらの類似品(2020年5月20日より適用)
- 住宅宿泊施設の販売(かかる販売が2019年12月1日以降に行われた場合)
- 2020年1月1日以降に開始される、別途規定する情報技術および情報技術により可能となるサービス
- スリランカ観光開発局に登録された旅行代理店による、2020 年 4 月 1 日以降のスリランカ訪問に関するサービス
- BOI輸出業者が2020年4月29日以降に保健省、保健サービス局、軍隊および警察に供給する健康保護具および同様の製品
- 2002年付加価値税法第14号(2014年1月1日までの改正を含む)のパートⅡ(c)に記載の、2021年5月13日以降に輸入された場合に、輸入時点でVATが免除される商品の現地供給
資本財および原材料のVAT免除または繰延べ
- 輸出向け事業
- 資本財に対する免除(輸出加工区(EPZ)*内)
- 事業期間中の原材料に対する免除(EPZ内)
- 事業実施期間中の資本財**に対する繰延べ(a.に記載されたEPZ内およびEPZ外)
- 事業期間中の工場、機械、設備に対する更なる繰延べ(a.記載のEPZ内およびEPZ外)
- 事業期間中の原材料に対する免除(EPZ内)
- 事業のライフタイム期間中の原材料に対する繰延べ(a.記載のEPZ内およびEPZ外)
- 衣料品製造業および繊維製造業による原材料の輸入に対する事業期間中の特別免除(a.記載のEPZ内およびEPZ外)
* Katunayake EPZ, Biyagama EPZ, Koggala EPZ, Kandy IP, Wathupitiwala EPZ, Malwatta EPZ, Mirigama EPZを指す。
** 資本財とは、プラント・機械・設備・工事項目を指す。 - 非輸出志向型事業
- 事業実施期間中の資本財の繰延べ(経済特区内外)
2002年法律第14号「付加価値税法」第22条に対する最近の改正は、2023年法律第32号「付加価値税 (改正) 法」に掲載されており、2024年1月1日からVATが免除される商品およびサービスについては、2002年法律第14号「付加価値税法」付表1第III部を参照している。
2023年法律第32号(付加価値税(改正)法)"VALUE ADDED TAX(AMENDMENT) ACT, No. 32 OF 2023(139KB)"
SVAT
2011年4月1日より、内国歳入庁による2002年VAT法第14号第2条(2)に沿いSVAT制度が発効した。以下の者は、同制度に基づいて登録を受ける資格があり、これらの者は登録識別購入者(RIP)と呼ばれる。登録者に商品またはサービスを供給する者は特定供給者(RIS)と呼ばれる。
- 2002年VAT法第14号第7条に基づき、VAT税率0%の輸出者、または課税対象の総供給量の50%以上がVAT税率0%の輸入である者。
- 戦略的開発事業に携わる登録者(VAT法第II部第1表(f)(i)(ii)に記載)。
- 同法22条(7)に基づき登録され、本法に基づく仕入れ税額(支払税額)を請求する権利を有する者。
- スリランカで生産されたVAT対象の商品を輸出業者に供給する製造業者。ただし、この商品が輸出用商品の生産に使用されること。また、当該製造業者の供給およびVAT税率が0%とされる供給の価値が、課税対象の総供給量の50%を超える場合に限る。
- 輸出向けに生産された商品の品質・特性・価値の向上をもたらすサービスを、輸出業者に供給する付加価値サービス供給者。
- 1.~5.の物品またはサービスの供給者で、当該の仕入れの合計が課税対象仕入れの50%を超える場合。
VAT法第7条に基づく輸出業者またはVAT税率0%のサービス供給者。
自分で製造した商品(みなし輸出業者)を輸出業者に供給する製造業者。
課税対象の事業に使用される、物品(資本財を含む)およびサービスの輸入・購入時の1カ月間の支払税額は、売上税額の100%または実際に支払われた支払税額のうちの少ない方を限度として、同月の売上税額から差し引くことができる。
特別物品サービス税(GST)
2021年の予算では、異なる法律が作られ、異なる政府部門によって管理されている特定分野に対して、特別物品サービス税という複合税が提案された。また、同税にはオンライン管理制度が導入される予定であったが、2021年12月現在発効していなかった。
2022年の政府予算案では、再びこの課題が取り上げられ、同税の導入が2022年1月1日に実施すると提案された。これを受け、2022年1月7日に特別物品サービス税法案(A Bill for Special Goods and Service Tax)が公布された。この法案によると、同税は以下の2つのカテゴリーの品目に課される。
- 酒類、たばこ、自動車(自動車組立部品を含む)
- 電気通信、賭博・ゲーム
同税の担当当局や実施プロセスはまだ公示されていない。法案によると、物品・サービスの項目とそれらに対する税率は、以下のとおり、大臣による命令によって通知されることになっている。
大臣は、官報に掲載される命令により、以下の事項を随時定める。
- 当該命令に関連する特定の物品またはサービスに適用される、従価税または個別税の税率
- 当該命令に関連するそれぞれの特定物品またはサービスに関連する特別物品およびサービス税の計算基準
以下は、2022年政府予算案にて特別物品税の対象としている各分野の現状について記した。
- 通信サービス
電気通信事業に対しては、2011年にVATおよびNBTに代わって電気通信税という複合課税が導入され、その後、2016年に電気通信税に加えてVATおよびNBTが再賦課された。2019年12月以降、NBTは撤廃されている。 - 自動車
自動車には、VATおよびNBTに代えて、関税指針第87章に規定される自動車の輸入および供給に対する複合税が2014年に導入された。さらに、輸入の際には、同複合税に加えて関税および港湾空港開発税が課されている。2019年には、特定の自動車に対して、年間高級自動車税の代わりに、高級品税が課されるようになった。2017年4月から自動車の輸入に課されていた経済サービス税(ESC)は、2020年1月から撤廃された。 - たばこ・酒類
たばこと酒類には、2014年にVATとNBTに代わる複合税が導入された。2016年11月からはVATとNBTが再導入された。2019年12月からはNBTが撤廃され、現在では物品税とVATが課せられている。 - 賭博とゲーム
現在、賭博業を営むための年次納付金と事業の総徴収金に対する課税があり、さらに賭博場に入場する者に対してカジノ入場料が課されている。
社会保障負担賦課金(Social Security Contribution Levy:SSCL)
2022年9月8日に社会保障負担賦課金(SSCL)の導入が国会で可決され、2022年10月1日から社会保障負担賦課法第25条が施行された。
この法律の規定は、「課税対象者」と呼ばれる以下のすべての者に適用される。
- あらゆる物品の輸入者
- あらゆる物品の製造業者
- あらゆる種類のサービスを提供する事業者
- 2.の規定の適用を受ける製造業者による販売以外の物品の輸入および販売を含む物品の卸売または小売の事業者
SSCLは、2022年10月1日以降の四半期ごとに、2.5%の税率で課される。納税義務のある売上高の一覧は、本法律第2条に記載されている。
- 2022年社会保障負担賦課法第25条 "Social Security Contribution Levy Act, No. 25 of 2022(243KB)"
なお、2022年12月、2023年予算案が承認され、以下の品目がSSCLから免除されることになった。
- ソーラーパネル(HS 8541.10)およびインバーター(HS 8504.40)
- 物品税の対象となる特定HSコードの自動車の輸入(2844.10, 2844.20, 2844.30のもの以外の放射性元素、同位体、化合物、これらの元素、同位体、化合物を含む合金、分散体(サーメットを含む)、セラミック製品、混合物、放射性残渣物)
また、2023年4月1日以降、以下の品目はSSCLの適用除外となる。
- 25%以上の現地付加価値を持つ自動車の組み立てと、必要な部品の現地生産
- 障害者が使用する機器
- HSコード2844.40の医薬品
- 商用ハブ企業
追加課金税(Surcharge Tax)
2022年度予算審議において追加課金税法案が承認され、2022年4月8日に追加課金税法(No.14 of 2022)が発効され、追加課金税(ST)が導入された。追加課金税法は、2022年予算で提案されたもので、1回限りの課税であり、次の者が課税対象である。
- 2020/2021年度の課税所得が20億ルピーを超える個人、パートナーシップ。
- 会社
- 会社単体で2020/2021年度の課税所得が20億ルピーを超える場合
- 企業グループのすべての子会社と持株会社の2020/2021年度の課税所得の合計が20億ルピーを超える場合
以上により、追加課金税を支払う義務のある、個人、パートナーシップ、子会社を含む企業、企業グループの持株会社は、2020/2021年評価年度の課税所得の25%を追加課金税として支払うことになった。
- 内国歳入庁通知:追加課金税法(No.14 of 2022)の導入 "Implementation of Surcharge Tax Act, No.14 of 2022(239KB)"
輸入関税(Import Duty)
輸入関税は、税関条例(235条)別表Aおよび、1962年内国歳入保護法第19号に基づき発令された内国歳入令により規定される。輸入関税は、輸入品のCIF価格に課される。現在の税率は、原材料0%、中間財15%、完成品30%の3種類である。ただし、この税率は、市場の状況に応じて変更されることがある。たとえば、国内産の商品を増加させる目的で、輸入財を減らすべく関税率を引き上げることがあり、また、その逆もある。なお、関税条例(第235章)の別表Aに従い、特定輸入品は減税・免税となる。
輸出志向型の事業や生産のために輸入される原材料およびこれらの事業での資本財(工場、機械・設備)の輸入は関税が免除される。
次の項目は、減税の対象である。ただし、いずれの場合も産業商務省次官の勧告に基づいて輸入され、税関局長官の承認を得る必要がある。
- 宝石と宝飾品の包装を目的とする容器 7.5%
- 化粧品の包装を目的とした容器およびその部品 5%
- 誘導電動機の自動巻線に使用されるエナメル銅線7.5%
- ミラー産業に使用されるミラー裏地用の熱硬化性塗料 15%
詳細は「関税制度」の項を参照。
輸入税(Import Cess)
輸入税は、「非必須」と分類された品および国産品と競合する物品に課される。税率は価格に応じて10~35%である。10%の帰属利益幅を加えたCIF価格に課税される(1979年スリランカ輸出開発法40号)。輸入価格に課税されるのではなく、最大小売価格の65%が課される場合もある。なお、税構造を合理化するため、2017年と2018年、スリランカ政府は、350品目を輸入税の対象外とした。
輸出税(Export Cess)
輸出税は、様々な形態の茶、ココナツ、原料ゴム、胡椒、バニラ、シナモン、クローブ、ナツメグ、メイズ、コメその他数品目の国内生産品(※)の輸出に対し課税される。税額は、FOB価格または単位当たりの税率によって、適宜算出される(根拠法令:Sri Lanka Export Development Act No 40 of 1979)。
宝石の輸出には、輸出価額の10%が徴収される。
物品税(Excise Duty)
物品税は、車両、アルコール飲料、甘味飲料(シュガー税)、プラスチック樹脂、タバコに対し課税される。アルコール飲料とは、スピリッツ、ワイン、トディ、ビール、アルコールを成分とする/含む液体、および大臣が本税の目的に照らし、アルコール飲料であると公示する物質および「国産アルコール飲料」「外国アルコール飲料」とみなされるものを指す。物品税はCIFに課税され、税率は商品/品目ごとに規定されている(根拠法令:Excise Ordinance)。
物品(特別規定)税(Excise (Special Provisions) Duty)
物品(特別規定)税は、特定品目(輸入品または現地生産/製造品)に対して課税される特別税で、たばこ、パイプたばこ、軽油、ガソリン、灯油、自動車、炭酸水、ミネラル水、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、テレビ・アンテナ、電機製品、競馬公告が課税対象となる(根拠法令:Excise (Special Provisions) Duty Act No. 13 of 1989)。
港湾・空港開発税(PAL)
港湾・空港開発税は、2009年1月に発効した。すべての非スリランカ産の輸入貨物につき、税率1%が課された(2002年ファイナンス法11号)。その後、2011年港湾・空港開発税法第18号に則り、税率が5%になり、除外項目が設けられた。その後の税制変更により、2019年12月6日以降は以下の税率が適用されている。
- HS表の表I-コラムIIIに記載の物品(コラムIおよびIIのHS項目およびHSコードに対応する)は5% (※)
- HS表の表II-コラムIIIに記載の物品(コラムIおよびIIのHS項目およびHSコードに対応する)は7.5%
- HS表の表III-コラムIIIに記載の物品(コラムIおよびIIのHS項目およびHSコードに対応する)はPAL免除
- 1、2、3に該当しない物品は10%
なお、「外資に関する奨励」の「BOI法に基づく免税と種優遇措置」の欄で、PALの免除について記載している。
- 輸出入管理法(表I)カテゴリー変更に関する官報について "IMPORTS AND EXPORTS (CONTROL) ACT, No. 01 OF 1969(39KB)"
特別物品税(Special Commodity Levy)
特定品目にかかる各種税、課徴金、その他料金の代わりに徴収される複合税である。CIFに課税される。対象品目は官報で通知され、税率は商品や品目ごとに規定されている。(根拠法令:Special Commodity Levy Act No. 48 of 2007)。
2020年11月17日に発表された2021年度予算案では、国内の需給バランスを整えるため、特定の農産物に特別商品税を課す方針が示された。
観光開発税(Tourism Development Levy)
観光開発法(1968年法律第14号)に基づいて認可を受けたすべての観光施設は、2003年9月1日より、その課税売上の1%を観光開発税として納付する。なお、同税は同法のもとで認可された総代理店には適用されない。(根拠法令:Finance Act No. 25 of 2003)。
5つ星ホテルの宿泊料金に対する課税(Levy on Rooms of Five Star Hotels)
コロンボ市議会およびデヒワラ・マウントラビニア市議会の管轄地域における5つ星ホテルの一泊当たりの宿泊料が125ドル未満の場合、2011年4月より20ドルまたはそのルピー換算相当額が宿泊料金に組み込まれ徴収される(根拠法令:Finance (Amendment) Act, No 15 of 2011)。
賭博・ゲーム税
1988年賭博・ゲーム課税法第40号および、2006年賭博・ゲーム課税法第14号を含むその後の改正に基づき、ブックメーカーおよびゲーム事業に対して本税が課せられる。年間の課税額は次のとおり。以下は2015年4月1日以降の適用金額である。
- 代理人を通じてブックメーカー事業を行う場合:400万ルピー
- テレビ中継設備を使用する場合:60万ルピー
- テレビ中継設備を使用しない場合:5万ルピー
- ルジノ(Rudjino)を含む賭博業(カジノ)は、1事業所につき2億ルピー
- カジノ入場料は一人100米ドル、もしくはこれに相当する外国通貨かスリランカ・ルピーであり、カジノに入場するすべての者に課される。
これらの税は1年を単位として課され、4分割で納付することができる。
月間総売上高が100万ルピー以上の場合は、10%の税率が月ごとに適用される(根拠法令:1988年賭博・ゲーム課税法40号(2013年4月30日までの改定を含む)。納税者はVATとNBTが免除される(根拠法令:2015年賭博・ゲーム課税法(改定))。
国際テレコム事業者に対する課税(International Telecommunications Operator Levy)
本税は、電気通信規制委員会(TRC)から国際通信サービス免許の交付を受けているすべての通信事業者に対して、国外からスリランカ国内に着信する国際電話の暦月ごとの総分数に応じて課税される。具体的な税率は次のとおり。
- 国外から国内への国際電話に対する税率:0.12ドル/分
- 着信ローカル・アクセス料金としての税率:0.06ドル/分
- 電気通信開発料金としての税率:0.06ドル/分
- 発信ローカル・アクセス料金に対する税率:3ルピー/分
- 特定番号の国際電話の着信に対する税率(STNチャージ):3ドル/電話番号
本税は毎月、月末から30営業日以内に電気通信規制委員会に納入する(根拠法令:Finance Act No. 11 of 2004)。
非営利団体(NGO)に対する推定課税
2017年法律第24号、内国歳入法(同変更)に従い、非営利団体(NGO)が受けた寄付金、助成金、献金は税率28%である。ただし内国歳入庁長官は、以下の活動を行うNGOについてこれを免除できる(根拠法令:he Inland Revenue Act No. 24 of 2017)。
- 政府が国内避難民のための復旧活動やインフラの供与が必要であると認めた地域における、復旧活動、インフラの供与、生計支援
- 災害の特質や深刻さ、救難の必要性を考慮し、大臣が承認するその他の人道的支援
株式取引税(Share Transaction Levy)
株の売買双方において、株取引高の0.3%が株式取引税として課税される。本税は取引において、買い手の処分価値額および買い手の購入価値に課税されるため、税収入は株式市場の取引量に左右される。本税は毎月、株式取引所が内国歳入庁に納入する(根拠法令:2011年1月1日発行の2005年ファイナンス法5号)。
電気通信課税(Telecommunication Levy)
2011年1月1日より、すべての電気通信サービス利用者に電気通信課税が課されている。現在、インターネットサービス以外の電気通信サービスに対して課されており、税率は11.4796%である(インターネットサービスは非課税である)(根拠法令:2004年ファイナンス法11号(改定)パートII、2011年電気通信課税法21号)。
建設産業保証金税(Construction Industry Guaranteed Fund Levy)
建設請負業者に対し、建設産業保証金税が0.25~1%課税されていたが、2016年以降は廃止された。
たばこ税(Tobacco Tax)
たばこ、またはパイプたばこの原料となるスリランカ産タバコの葉に対したばこ製造業者に対して課税される。税率は、財務担当の大臣により適宜設定される(根拠法令:1953年たばこ税27号)。
印紙税(Stamp Duty)
印紙税は1909年に導入され、1982年印紙税法43号により、証券や文書およびこれに係る事項に対して課税されるようになった。当時、印紙税は、憲法第13条の改定に従い、州政府の発展のために、不動産および特定の動産の取引に対して課されていた。2002年5月1日、中央政府による印紙税の運用が停止されたが、その後、2006年4月4日より2006年法律第12号印紙税法(特別条項)に従い、以下の10項目に対し印紙税が再導入された(根拠法令:Stamp Duty (Special Provisions) Act No.12 of 2006)。
- 宣誓書
- 保険証
- 公証人認証状
- 通商、商業、専門業、職業に対して定期的に発行されるライセンス
- クレジットカード保有者がカードの使用に関して起こすクレームや要求
- 株式の新規・追加発行、譲渡、割当
- 資産に対する特定金額の抵当
- 手形
- 資産のリースまたは貸付
- 資金またはその他の資産に対して発行された領収書または借金返済
- 内国歳入庁ウェブサイト:印紙税率 "Stamp Duty(39KB)"
遊興税(Entertainment Tax)
遊興税は、地方自治体が、各管轄地域内で開催される興行の入場料金の5%以上、25%以下の範囲内で独自の税率により課税する(根拠法令:1946年遊興税12号)。1942年1月1日に発効した。遊興税は、利益を目的としない、公的・宗教的・教育的・慈善的・チャリティーを目的とした遊興には課されないか、もしくは課されたものとみなされる。
地方自治体税、その他地方公共団体税(Municipal and other Local Council Rates)
地方税、市税、その他地方自治体による税の課税率は、一般的に不動産の公正賃料に基づいて決定される。
許認可費用(License Fees)
郡議会は、郡内の建物や場所の使用の認可、または商業行為や専門業の実施の認可に対し、商業許認可税を年次で課すことができる。税額は以下を考慮し、各郡議会が適宜決定する(根拠法令:1987年プラデーシヤサバー(郡議会)法15号147条)。
- 課税対象の建物の年間価値額
- 課税対象の商業行為の売り上げ
- 課税対象の取引から発生する利益
- 課税対象の取引が納入する物品やサービスの必要性
金融取引税(Debt Repayment Levy: DRL)
2018年10月1日以降、銀行およびその他の金融機関が行う金融サービスに関しては、7%の債務返済特別徴収税(Debt Repayment Levy)が課されていた(根拠法:the finance act No 35 of 2018)。
しかし、税制変更により、2020年1月1日からこの金融取引税は撤廃され、銀行等はこれを支払う必要がなくなった(※)。今後、ファイナンス法35番の変更が国会で決議される予定である。
※金融機関にかかる債務返済税について "Removal of Debt Repayment Levy (DRL)(405KB)"
資本利得税(Capital Gains Tax)
2018年4月1日以降、投資により得られた報酬と、投資を実施した際の費用の差が投資所得とみなされ、この不動産の処分から得られた収益に対して、10%の資本利得税が課せられていた(根拠法令:Inland Revenue Act No.24 of 2017)。しかし、税制変更により、2019年12月1日からこの資本利益税は撤廃された(公式書類は未発行)。
2021年度予算案では、資本利得税を、不動産の売却価格もしくは評価額のいずれか高い方を基準に算出する方針が示された。ただし、評価額の定義、資本利得税の計算方法については明確に示されていない。2021年度政府予算案では、不動産投資信託(REIT)を通じた住宅投資に対する資本利得税の非課税措置方針も示された。
炭素税(Carbon Tax)
電気自動車を除くすべての自動車に対して2019年1月より炭素税が課せられる(根拠法:the finance act No 35 of 2018)。
オンライン代替納税制度(ATPS)
COVID-19の影響に対応するため、内国歳入庁は2020年4月8日から納税のためのオンラインシステムを導入した。納税者は、以下の銀行を使用してオンライン納税を行うことができる。
内国歳入庁発行のオンライン納税システムについての通知(PN/PMT/2020-4, 2020年8月10日発行), Alternative Tax Payment System (ATPS) Further Instructions
- Bank of Ceylon (BOC)
- People’s Bank
- Commercial Bank of Ceylon PLC
- Nations Trust Bank PLC (NTB)
- Sampath Bank PLC
- HSBC
- Cargills Bank Limited
- National Development Bank (NDB)
- Standard Chartered Bank (SCB)
- Seylan Bank PLC
- Hatton National Bank PLC (HNB)
- Citibank
- Deutsche Bank