輸出入手続

最終更新日:2024年04月26日

輸出入許可申請

事前に輸出入許可が必要な品目や、その他輸出入許可が必要な対象品目(医薬品、化粧品、食品、農業資材、農畜水産品など)については、各所管省庁あるいは地方当局で輸出入許可を得る必要がある。

事前に輸出入許可の取得が必要な品目

「貿易管理制度」の「輸入品目規制」、「輸出品目規制」の項を参照。

管轄する省庁に輸出入許可申請書、企業登録証明書、納税証明書、その他品目ごとに必要な書類を提出し、輸出入許可証の発給を受ける。

木製品の輸出

木製品の輸出の管轄省庁は2023年に商工省から農林省へ移譲された。加工木製品については、輸出のための木材・ラタン・竹製品リストに関する農林大臣合意第4912号(2023年12月7日付)により、植林木製品、天然木製品、竹・ラタン製品については、条件付きの輸出が認められている。該当品を輸出する場合は、事前に農林省森林局に相談する必要がある。品目によりサイズ等の規定があることから原文を参照されたい。
また天然木由来の木製品の輸出に関する商工省ガイドライン第0332号(2022年3月22日付)および外国への植林木の輸出に関する商工省ガイドライン第0981号(2021年10月19日付)で詳細が規定されている。

  1. 天然木由来の木製品の輸出許可は次の書類が必要である。
    1. 商工省輸出入局の規定のフォーム(MOIC.01形式)に従った植林木輸出許可証(ドラフト)
    2. 商工省輸出入局の規定のフォームに従った天然木リスト表(ドラフト)
    3. 天然木の輸出者の事業ライセンスコピー
    4. 年次納税証明書のコピー
    5. 木製品の生産証明のコピー
    6. 木材の原産地証明
    7. 各種の納税・手数料支払い証明
    8. 木材の売買証明書
  2. 植林木由来の木製品の輸出許可には以下の書類が必要である。
    1. 商工省輸出入局の規定のフォーム(MOIC.02形式)に従った植林木輸出許可証(ドラフト)
    2. 商工省輸出入局の規定のフォームに従った植林リスト表(ドラフト)
    3. 植林木の輸出者の事業ライセンスコピー
    4. 年次納税証明書のコピー
    5. 伐採した植林木の植林登録もしくは植林証明書のコピー
    6. 木材の売買証明書もしくは契約書

農林省:

食品

食品は保健省食品薬品局が管轄しており食品の輸出、輸入、トランジットに関する保健省大臣合意第1166号(2018年6月21日付)にて詳細が規定される。食品の輸出入・トランジットを行う者は次の条件を満たす必要があり、事前に会社登録を保健省食品薬品局に行う必要がある(第7条)。

  1. 食品の保存や配送に適した場所を有すること(倉庫、冷蔵庫、運送車両、機材)。
  2. 食品安全に関する基本的なトレーニングを受講した職員を有すること。
  3. 食品の品質や安全性を管理・確認するシステムを有すること。
  4. ラオスへの輸入時に食品の消費期限が60%以上残っており、品質と安全性が確保されていること(トランジットは除く)
  5. トランジットの場合は、5営業日前までに保健省食品薬品局もしくは県・都の食品薬品課に書類を提出し手数料を支払うこと。
食品の輸入

本合意別添5で定める食品のリスク分類において高リスク食品に該当する食品と、今までラオスで消費されたことのない新しい食品をラオスに輸入する際は、事前に保健省食品薬品局にて食品登録が必要である(第6条)。ただし、食品でも原則として未加工(生鮮、冷蔵、冷凍)の肉と魚、野菜果物については本条に該当せず、農林省畜産漁業局(肉と魚)もしくは農業局(野菜)が窓口となる。リスク分類で中リスク・低リスクに該当する食品の輸入には食品登録は不要で、輸入許可の申請のみでよい(第13条)。ここでは高リスク食品に分類されるのは、乳製品、ソーセージ、魚卵、清涼飲料水、サプリメント等が分類されるが詳細は保健省食品薬品局に確認すること。
食品の輸入時には食品登録に加えて保健省食品薬品局に毎回輸入許可証の申請・取得が必要である(第14条)。申請から3営業日以内に発行され、30日間有効、1回限り30日の延長が可能である(第15条)。
輸入許可申請に必要な書類は次のとおり。

  1. 保健省食品薬品局所定の輸入許可証申請書
  2. インボイス(2部)
  3. パッキングリスト(2部)
  4. 輸出国による食品安全証明書(例:食品登録証明書、自由販売証明書、GHP・GMP・HACCP・ISO22000証明書、輸出国の食品安全管理機関が発行し3カ月以上の有効期限を有する安全証明書(英語記載の原本、コピーの場合には輸入会社の印が必要)(1部)
  5. 輸出国の食品安全管理機関が発行する分析証明書もしくは有効期限内の公式に認められた分析室の証明書(英語記載の原本、コピーの場合には輸入会社の印が必要)(2部)
  6. 企業登録証(1部)
  7. ラオス語のラベル(1部)
  8. 食品のサンプル(各1つ)
  9. 食品登録証明書(あれば)(1部)

なお、詳細はジェトロ調査レポート「ラオス投資ガイドブック2019」の第7章 食品の輸出入・トランジットに関する保健省大臣合意の施行を参照。

医薬品、医療機器

保健省が医薬品・医療機器の生産、輸出、輸入、販売、流通を管轄しており、医薬品および医療機器は保健省食品薬品局に登録しなければならない。登録の権利を有するのは法律に基づき認可された医薬および医療用具の工場や法人に限られる。また、毎回の輸入時に輸入許可証を保健省食品薬品局から取得する必要がある。

医薬品の登録

医薬品の新規登録には、食品薬品局に医薬品サンプル輸入申請を行う。サンプルの輸入後フォームに従い登録を行う(薬品登録に関する保健省規定1441号(2003年8月13日付))。書類審査およびサンプル検査が行われた後、製品登録証が発行される(有効期間は3年間)。

医療機器の輸入

医療機器の輸入では以下の書類を保健省食品薬品局へと申請する必要がある。なお、中古医療機器の輸入許可は審査されない(治療薬、医療製品の製造と販売のための原料、容器、医療機器の輸入に必要な書類に関する保健省食品薬品局告示2660号(2016年6月16日付))。

  1. 申請書(フォームに従う)
  2. 発注書コピー
  3. インボイス
  4. パッキングリスト
  5. ISO13485証明書
  6. WHO基準の品質分析証明書(コンシューマーデバイスの場合)

化粧品

化粧品の生産、輸入、販売は保健省食品薬品局に事前登録しなければならない。また毎回の輸入時に輸入許可証を保健省食品薬品局から取得する必要がある。

化粧品の登録

サンプルの輸入後フォームに従い登録を行う(化粧品の品質管理に関する保健省規定2580号(2003年11月12日付))。書類審査およびサンプル検査が行われた後、製品登録証が発行される(有効期間は5年間)。

農産物(植物、果物、野菜)

原則として未加工の野菜や果物、種子などは農林省農業局が主管している。農林省計画財務局からの農林業事業者ライセンス(1年間有効)の取得と、農業局植物検疫課への個別輸出入許可の申請が必要となる。生鮮・冷蔵・冷凍ともに同じ手続きである。野菜・果実の加工食品(他の材料との混合や加熱など)は原則として保健省食品薬品局の管轄であり、同省・地方当局への申請となる。農林省と保健省どちらか一方のみへの申請となっており、該当する品がどちらの省が管轄するか不明な場合は窓口へ相談する必要がある。
輸出入を行う際には次の手順が必要となる。

農林業事業者ライセンスの取得

輸出入者はまず、農林省計画財務局へ農林業事業者ライセンス申請書を提出し、審査を受ける必要がある。農林省計画財務局は書類審査のうえ、農林業事業者ライセンスを発給する。必要な書類は次のとおり。なお、農薬や肥料の取り扱いについても同様のプロセスでライセンスを取得する。

  1. 農林業事業者ライセンス申請書(フォームに従う)
  2. 企業登録証
  3. 納税者番号登録証
  4. 会社定款
  5. 輸入計画
  6. その他
農産物の輸入

農林業事業者ライセンスの取得後、輸入ごとに輸入許可を申請する。植物検疫課所定の様式を用いる。輸入に必要な一般的な書類(インボイス、パッキングリスト、船荷証券など)に加え、作物の種類によっては輸出国機関による検疫証明書が必要となる。

  1. 農林業事業者ライセンスのコピー
  2. 年間輸入計画と利用計画
  3. 研究計画(作物研究の場合)
  4. 委任状(該当する場合)
  5. インボイス、パッキングリスト(ともに作物の学名、数量、梱包形態、作物重量、梱包重量、価格、識別マークが記載されていること)
  6. 都・県・郡の農林局発行の農地証明書(栽培実証の場合)

審査後、植物検疫課は輸入許可証および作物の種類に応じて輸入条件同意書(英文)を発行する。本同意書を輸出国側の植物検疫証明書の申請時に提出し、植物検疫証明書の発給を受ける必要がある。

なお、詳細はジェトロ調査レポート「ラオス投資ガイドブック2019」の第8章 生鮮品(野菜・肉・魚)の輸入許可手続きを参照。

家畜・畜産品、水産物(生体、生鮮、冷凍)

家畜や畜産品については家畜および畜産品の輸入、輸出、トランジットに関する農林省大臣合意第0795号(2019年4月18日付)が、水産物については水棲動物およびその製品の輸入、輸出、トランジットに関する農林大臣合意第4211号(2019年11月29日付)が発布されており、輸出入は農林省畜産漁業局が主管している。一方で加工食品との区分が不明な場合は保健省食品薬品局にも確認すること。農産物と同様に、あらかじめ農林事業ライセンスを取得しておく必要がある。

家畜・畜産品、水産物の輸入

畜産漁業局へ輸入ごとに次の書類を提出し輸入許可を得る。

  1. 輸入許可申請書(フォームに従う)
  2. 企業登録証のコピー
  3. パスポートのコピー
  4. 健康証明書もしくは動物検疫証明書(輸出国の動物検疫管理機関から)
  5. B/LもしくはAir Waybillコピー
  6. 禁止・管理種に対してはCITES証明書
  7. 動物品種の場合には、血統証明書コピー
  8. ワクチン接種証明書(ラオス側が必要とした場合)

審査後、畜産漁業局が発行する輸入許可証および輸入条件書を輸出者に送付し、輸出国側で動物検疫管理機関に輸出許可を申請し、動物検疫証明書の発給を受ける必要がある。

農薬

農薬登録

農薬は輸入の前に農薬登録を農林省農業局へ行う必要がある。登録には一時的農薬登録を行い、一定の評価試験を国内で実施した後に恒久的農薬登録が行われる(農薬の技術的登録に関する農林大臣合意第3604号(2019年9月17日付))。あらかじめ農産物同様に農薬事業ライセンスを取得しておく必要がある。
なお、ラオスで使用が禁止されている農薬リストは「ラオスで使用可能および使用禁止である農薬リストに関する農林省農業局告示第1766号(2019年8月13日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照。

  1. 一時的農薬登録に必要な書類は以下のとおり。
    1. 申請書(フォームに従う)
    2. 企業登録証のコピー
    3. 農薬事業者許可証のコピー
    4. 農薬のラベルのサンプル、デザインサンプル
    5. 農薬添付書類の容器の写真
    6. 技術的書類一式とサンプル
    7. 試験室や農場における効果試験計画
  2. 技術的書類は以下の7文書で構成される。
    1. 原体混在物の情報
    2. 薬害の情報
    3. 薬効の情報
    4. 残留性の情報
    5. 人や環境への安全性の情報
    6. パッケージ、保存方法の情報
    7. その他の情報

    サンプルは適切な容器に入れ、検査用、販売禁止と記載する必要がある。

  3. 一時的農薬登録後、農地や試験室での有効性試験を実施したのち、恒久的登録を行う場合には農林省農業局へと以下の書類を提出する。
    1. 申請書(フォームに従う)
    2. 企業登録証のコピー
    3. 農薬事業者許可証のコピー
    4. 試験室の農薬分析証明書、試験場での評価試験報告書
    5. 農地試験結果証明書
    6. 技術的書類一式
    7. 農業局からのラベルの承認書
    8. 農薬製造元からの委任状

なお、詳細はジェトロ調査レポート「ラオス投資ガイドブック(法務・労務編)2021」の第9章 ラオスにおける農薬の登録についてを参照。

農薬の輸入

各輸入時に県・都農林局へと輸入許可申請を行う必要がある。

輸入会社の自社倉庫保有義務

原則、輸入された商品については、脱税、密輸等を防止する観点から、倉庫を介さず設置場所へ運ぶことおよび顧客に販売することは、禁止されており、商品、燃料およびガス(以下、関連商品)を輸出入、国内で販売する業者(商品等の生産・加工業および組み立て業も含む)は自社倉庫が必要とされることに注意。
詳しくはジェトロ調査レポート「ラオス投資ガイドブック2020」の第6章 商品、燃料およびガス輸入販売業者に対する倉庫管理に関する財務省通知を参照のこと。

必要書類等

通関は、ASEAN統一書式の税関申告書(ACDDフォーム)によって行う。2014年より、関税等の支払いにカード決済方式が導入されている。

貨物が国境に到着してから24時間以内に運送書類を税関に提出する。輸送書類到着後、15日以内に次の書類を税関に提出する。貨物の到着前7日以内の事前の税関申告も可能。ただし関税は貨物到着時に支払わなければならない。

  1. ACDDフォーム
  2. インボイスもしくは販売契約書
  3. B/Lなどの船積書類
  4. パッキングリスト
  5. 原産地証明書
  6. 輸入許可証

全国の国境検問所でASYCUDA(Automated System for Customs Data、UNCTADが開発した電子通関システム)を利用した電子申告が可能である。

通関審査終了後、国境近くの銀行あるいは税関内窓口で関税を支払い、領収書を税関に提出した後、税関職員による検査を経て通関が行われる。2014年11月より電子決済が導入され、国境での関税や諸税の支払いが簡便になった。

査証

日本からラオスに輸出する際、駐日ラオス大使館での領事査証手続きは不要。

その他

ASEAN Single Window(ASW)による域内貿易の迅速化に向け、ラオスでのナショナルシングルウインドウ(NSWA+)が稼働している。

ASEAN域内での貿易手続きを統一・ネットワーク化することで貿易迅速化を実現するASEAN Single Window(ASW)構想について、そのパイロット実施が行われている。2005年12月に「アセアン・シングル・ウィンドウの構築・実施に係る協定」(Agreement to Establish and Implement the ASEAN Single Window)を締結、2006年12月に「アセアン・シングル・ウィンドウ構築・実施のための議定書(ASW PROTOCOL)」が採択された。現在、ASEAN全10カ国での速やかな本格稼働を目指している。

ASEAN Single Window(ASW)の導入には各国の貿易窓口統一システムであるNational Single Window(NSW)が土台となる。2013年に財務省主導で委員会が発足したラオスでは、財務省とBIVAC Lao sole Co.,Ltd.との合弁でLao National Single Window(LNSW)の運用が2019年からラオス‐タイ国境の第1友好橋で開始され、順次各国境に配備された。しかしながら、関税申告にはASYCUDA(電子通関システム)を使用する必要があり、データをそれぞれに入力する必要があった。このため2023年初旬よりLNSWとASYCUDAをシームレスに連携させたNational Single Window A+(NSWA+)が導入された。利用を希望する企業は登録を行うことで利用を開始することができる。
また税関は電子決済(Smart Tax)を導入しておりすべての関税や手数料の支払いを電子式に行うことができる。

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