知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 発明振興法の一部改正法律案(議案番号:2114550)

2022年01月25日

議案番号:2114550

提案日:2022年1月25日

提案者:ク・ジャグン議員外9人

提案理由

知的財産の価値評価は、知的財産の経済的価値を評価することとして、知的財産基盤のイノベーション成長の持続に不可欠であり、企業の借り入れ・保証・投資等の資金調達、事業化・取引及び侵害訴訟の損害賠償額算定等、多様な用途に活用されているため、価値評価の重要性が増している。
しかし、現行の発明振興法は、知的財産の価値評価に対するモニタリング・管理システムがないため、全般的な管理体系等を構築することで信頼性を高めることが至急の状態である。
したがって、発明の評価機関が評価を行う際に順守すべき基準及び手法を開発して普及し、銀行・裁判所等が依頼して行った知的財産の価値評価資料を評価管理センターに登録することを義務付け、評価結果書に対する妥当性調査、標本調査等を通じて価値評価に対する品質を管理しようとするものである。

主要内容

  1. 発明等の評価の定義規程を新設(案第2条第11号)
    「発明等の評価」を国内又は海外に出願中であるか、登録された発明、「商標法」第2条第1号による商標、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号による営業秘密及び「半導体集積回路の配置設計に関する法律」第2条第2号による配置設計に対する現在又は将来の経済的価値を価額・等級又は点数等で表示するものと定義する。
  2. 発明の評価機関の指定要件及び事業範囲等の規程を整備(案第28条)
    1. 発明等の評価を専門的に遂行する機関を発明の評価機関として指定するように規定する(案第28条第1項)。
    2. 発明の評価機関として指定を希望する者は、評価専門人材、評価組織及び施設を備えるよう明確に規定する(案第28条第2項)。
    3. 発明等の評価を受けようとする者が発明の評価機関に評価を依頼すれば、評価を依頼された評価機関は遅滞なく評価結果書を発行するように規定する(案第28条第3項及び第4項)。
    4. 発明の評価機関の遂行事業を発明等の評価、発明等の評価に対する需要の調査及び分析等と具体的に規定する(案第28条第5項)。
  3. 発明等の評価の公正性と合理性を保障するために、発明等の評価を遂行する際に評価機関が順守すべき評価基準及び手法を開発して普及する(案第31条の2新設)。
  4. 評価結果書が発行された後、職権により又は利害関係人の要請がある場合、評価に対する妥当性調査を調査することができ、その場合、評価を依頼した者及び妥当性調査を要請した者に意見陳述の機会を提供し、国、地方自治体等からの要請がある場合、妥当性調査の結果を提供することができ、発明等の評価に関する制度を改善するために評価結果書に対する標本調査を実施できるように規定する(案第31条の3新設)。
  5. 評価機関が遂行した発明等の評価の結果及び関連資料を効率的に管理するために、情報統合体系を構築・運営できるようにする(案第31条の4新設)。
  6. 発明等の評価に対する調査・管理等、評価の信頼性を高めるための業務を体系的に推進するために、評価管理センターを設置できるようにする(案第31条の5新設)。
  7. 発明の評価機関が発明等の評価を歪曲する行為を禁止し、違反の際は処罰する(案第31条の6、第58条第1項第2号新設)。
  8. 発明の評価機関及び所属従業員、情報統合体系に関する業務を遂行した者に対して業務上知り得た秘密を漏洩するか、又は盗用する行為を禁止し、違反の際は処罰する(案第31条の7、第58条第2項新設)。

発明振興法の一部改正法律案

発明振興法の一部を次のように改正する。
第2条に第11号を次のように新設する。
11.「発明等の評価」とは、次の各目に対する現在又は将来の経済的価値を価額・等級又は点数等で表示するものをいう。
  1. 国内又は海外に出願中であるか、登録された発明及び「商標法」第2条第1号による商標(以下「商標」という。)
  2. 「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号による営業秘密(以下「営業秘密」という。)
  3. 「半導体集積回路の配置設計に関する法律」第2条第2号による配置設計(以下「配置設計」という。)
第28条第1項中「産業財産権として登録された発明の迅速な事業化が必要であると認められれば、その発明の評価のために関係行政機関の長と協議して国公立研究機関、政府出捐研究機関、民間研究機関又は基術性・事業性」を「発明等の」に改め、同条第2項中「専門人材」を「評価専門人材、評価組織」に改め、同条第3項中「発明を事業化しようとする」を「発明等の評価を受けようとする」に改め、「対して発明の技術性と事業性に関する評価を要請」を「発明等の評価を依頼」に改め、同条第4項中「要請を」を「依頼を」に、「発明を先に分析・評価し、その結果を遅滞なく通知」を「第31条の2による評価基準を順守して評価しなければならず、評価を実施した後、評価を依頼した者に遅滞なくその評価結果書(「電子文書及び電子取引基本法」第2条に基づく電子文書になっている評価結果書を含む。)を発行」に改め、同条第5項及び第6項をそれぞれ第6項及び第7項に改め、同条に第5項を次のように新設し、同条第6項(従前の第5項)第1号を次のようにする。
⑤第1項に基づく評価機関は、次の各号の事業を行う。
1.発明等の評価
2.発明等の評価に対する需要の調査及び分析
3.発明等の評価に対する情報の収集・分析・流通及び関連情報網の構築
4.発明等の評価に対する情報の共同活用及び拡散
1.評価の対象及び範囲
第31条の2から第31条の7までをそれぞれ次のように新設する。
第31条の2(発明等の評価基準)①特許庁長は発明等の評価の公正性と合理性を保障するために、発明等の評価を遂行する際に評価機関が順守すべき評価基準及び手法を開発して普及しなければならない。
②第1項による評価基準及び手法の内容、範囲、その他必要事項は大統領令で定める。
第31条の3(発明等の評価に対する調査)①特許庁長は第28条第4項による評価結果書が発行された後、職権により又は利害関係人の要請がある場合、当該評価が第31条の2第1項による基準及び手法に従って妥当に行われたかを調査(以下「妥当性調査」という。)することができる。
②第1項による妥当性調査を行う場合は、当該評価機関、当該発明等の評価を依頼した者及び妥当性調査を要請した者に意見陳述の機会を与えなければならない。
③第1項及び第2項に基づく妥当性調査の手続き等に関して必要な事項は大統領令で定める。
④特許庁長は国、地方自治体、「公共機関の運営に関する法律」に基づく公共機関又はその他大統領令で定める公共団体の要請がある場合、第1項による妥当性調査の結果を提供することができる。
⑤特許庁長は発明等の評価に関する制度を改善するために、大統領令で定めるとおりに第28条第4項による評価結果書に対する標本調査を実施することができる。
第31条の4(情報統合体系の構築・運営)①特許庁長は評価機関が遂行する発明等の評価の結果及びそれに関連する資料を効率的に管理するために、情報統合体系を構築・運営することができる。
②評価機関は第28条第4項による評価結果書を情報統合体系に登録しなければならない。ただし、個人情報保護等、大統領令で定める正当な事由がある場合は、この限りでない。
③評価機関は、第28条第4項による評価結果書を発行する際、当該評価を依頼した者に情報統合体系への登録に対する事実を通知しなければならない。
④特許庁長は情報統合体系の構築・運営のために必要な場合、関係機関に資料の提出を要請することができる。この場合、資料の提出を要請された機関は、特別の理由がなければその要請に従わなければならない。
⑤特許庁長は情報統合体系を運営するためのデータベースの構築・運用を専門機関に委託することができる。
⑥その他情報統合体系の構築及び運営に関して必要な事項は大統領令で定める。
第31条の5(評価管理センター)①特許庁長は発明等の評価に対する調査・管理等の評価の信頼性を高めるための業務を体系的に推進するために、評価管理センターを設置する。
②評価管理センターは、次の各号の業務を行う。
1.発明等の評価に関連する研究・教育及び広報
2.第31条の2による評価基準及び手法の開発・普及の支援
3.第31条の3による妥当性調査及び標本調査の支援
4.第31条の4による情報統合体系の構築・運営の支援
5.第1号から第4号までの業務に付随する業務
③政府は予算の範囲で評価管理センターの運営に必要な費用を支援することができる。
④評価管理センターの構成、運営、業務遂行等に関して必要な事項は大統領令で定める。
第31条の6(発明等の評価結果の誘導・要求の禁止)①誰でも評価機関やその所属従業員に発明等の評価を特定の結論に誘導又は要求する行為をしてはならない。
②評価機関やその所属従業員は第1項で定める誘導又は要求に従ってはならない。
第31条の7(発明等の評価関連秘密保持等)①評価機関及びその所属従業員又は評価機関であったか、その所属従業員であった者は、業務上知り得た秘密を漏洩するか、又は盗用してはならない。ただし、この法又は他の法令に特別の定のある場合は、この限りでない。
②情報統合体系に関する業務を遂行しているか、又は遂行していた者は、情報統合体系に保管・管理された情報を漏洩するか、又は盗用してはならない。ただし、この法又は他の法令に特別の定のある場合は、この限りでない。
第58条第1項中「第19条に違反して不正な利益を得るか、又は使用者等に損害を加える目的で職務発明の内容を公開した者に対しては」を「次の各号のいずれかに該当する者は」に改め、同項に第1号及び第2号をそれぞれ次のように新設し、同条第2項を第3項とし、同条に第2項を次のように新設し、同条第3項(従前の第2項)中「第1項」を「第1項第1号」に改める。
1.第19条に違反して不正な利益を得るか、又は使用者等に損害を加える目的で職務発明の内容を公開した者
2.第31条の6に違反した者
②第31条の7に違反した者は、1年以下の懲役又は1,000万ウォン以下の罰金に処する。

附則

この法律は、公布後6ヶ月が経過した日から施行する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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