知的財産情報(知財関連法律改正の動き) デザイン保護法の一部改正法律案(代案)(議案番号:2111659)

2021年07月22日

議案番号:2111659

提案日:2021年7月

提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

1.代案の提案経緯

議案名 議案番号 代表発議 発議日 審査経過
デザイン保護法の一部改正法律案 2104856 ヤン・クムヒ議員 2020年11月2日 第384回国会(臨時会)第3回産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021年2月23日)上程した後、提案説明、検討報告、代替議論及び小委員会回付
第387回国会(臨時会)第1回産業通商資源特許小委員会(2021年5月11日)に上程
第387回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)に上程、逐条審査及び議決(代替反映廃棄)
デザイン保護法の一部改正法律案 2105442 イ・ソヨン議員 2020年11月17日 第384回国会(臨時会)第3回産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021年2月23日)上程した後、提案説明、検討報告、代替議論及び小委員会回付
第387回国会(臨時会)第1回産業通商資源特許小委員会(2021年5月11日)に上程
第387回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)に上程、逐条審査及び議決(代替反映廃棄)
デザイン保護法の一部改正法律案 2106346 イ・ギュミン議員 2020年12月10日 第384回国会(臨時会)第3回産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021年2月23日)上程した後、提案説明、検討報告、代替議論及び小委員会回付
第385回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年3月16日)に上程、逐条審査
第387回国会(臨時会)第1回産業通商資源特許小委員会(2021年5月11日)に上程
第387回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)に上程、逐条審査及び議決(代替反映廃棄)
  1. 第387回国会(臨時会)の第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)で、上記の3件の法律案を審査した結果、それぞれの法律案を本会議に付議しないことにし、各法律の内容を統合・調整して当委員会の代案を設けることにした。
  2. 第388回国会(臨時会)の第1回産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021年6月28日)で、産業通商資源特許小委員会が審査報告した通り、3件の法律案はそれぞれ本会議に付議しない代わりに、産業通商資源特許小委員会が設けた委員会の代案を提案することに議決した。

2.代案の提案理由

現行の産業通商資源部令では、「災難及び安全管理基本法」による災害事態又は特別災難地域として宣言された場合、登録料と手数料を減免するようにしているが、新型コロナウイルスの拡散のような国家的災難により苦労している中小企業などの負担を軽減するためには、明確な法的根拠を設けなければならないという意見が提起されている。
また、登録料と手数料を虚偽や不当な方法で減免を受けた者については、減免額を徴収し、減免優遇を制限する等のせ制裁を設ける必要があり、デザイン登録の出願後1ヶ月以内にそれを取り下げ又は放棄する場合には、事実上提供されないサービスである秘密デザイン請求料と出願公開申請料を返還するようにする等、制度を改善する必要がある。
一方、産業財産権紛争の際、資金力のない中小・ベンチャー企業は、審判又は訴訟で紛争が長期化する場合、苦労することになるため、審判の調停の連携を通じて産業財産権紛争調停制度を活性化し、審判手続きに民事訴訟法上の適時提出主義を導入するという意見がある。
そこで、国家的災難事態又は特別災難地域として宣言された地域の居住者等に対して登録料及び手数料を減免できるようにし、審判–調停連携制度を導入する等、関連する法的根拠を設けようとするものである。

3.代案の主要内容

  1. 「災難及び安全管理基本法」による災難事態又は特別災難地域として宣言された地域に居住するか、又は主たる事務所を置いている者のうち産業通商資源部令で定める要件を備えた者には、登録料及び手数料を減免することができる根拠を新設する(案第86条第2項)。
  2. 登録料と手数料を虚偽や不正な方法で減免を受けた者については、減免額の2倍額を徴収することができるようにし、該当の出願人の減免優遇を一定期間制限できるようにする(案第86条第3項)。
  3. デザイン登録出願後1ヶ月以内にそれを取り下げるか、又は放棄する出願人に秘密デザインの請求料と出願公開の申請料を返還するようにする(案第87条第1項第3号)。
  4. 審判事件の合理的な解決のために必要な場合、審判長が当事者の同意を得て、審判事件を産業財産権紛争調停委員会に回付することができるようにする(案第152条の2新設)。
  5. 審判事件が調停委員会に回付される場合、調停のために審判事件に関する書類を搬出できるようにする(案第207条第1項第1号の2新設)。
  6. 審判手続きにおける主張・証拠の提出に関しては、「民事訴訟法」上の適時提出主義の関連規定を準用するようにする(案第146条の2新設)。

4.参考事項

この法律案は、産業通商資源中小ベンチャー企業委員長が同日提案した「発明振興法の一部改正法律案」の議決を前提にするもので、同法律案が議決されないか、又は修正議決される場合には、それに合わせて調整しなければならない。

デザイン保護法の一部改正法律案

デザイン保護法の一部を次のように改正する。
第86条第2項のうち「『国民基礎生活保障法』に基づく医療給付受給者又は産業通商資源部令で定める者」を「次の各号のいずれかに該当する者」とし、同項に各号を次のように新設し、同条の第3項を第4項にし、同条に第3項を次のように新設する。
1.「国民基礎生活保障法」に基づく医療給付受給者
2.「災難及び安全管理基本法」第36条による災難事態又は同法第60条による特別災難地域に宣言された地域に居住するか、又は主たる事務所を置いている者のうち産業通商資源部令で定める要件を備えた者
3.その他産業通商資源部令で定める者
③特許庁長は、第2項による登録料及び手数料の減免を虚偽やその他の不正な方法で受けた者に対しては、産業通商資源部令の定めにより、減免を受けた登録料及び手数料の2倍額を徴収することができる。この場合、その出願人又はデザイン権者のデザイン登録出願又はそのデザイン登録出願をして受けたデザイン権については、産業通商資源部令で定める期間の間に第2項を適用しない。
第87条第1項第3号各目以外の部分の本文のうち「デザイン登録出願料及び優先権主張申請料」を「デザイン登録出願料、優先権主張申請料、秘密デザイン請求料及び出願公開申請料」とする。
第146条の2を次のように新設する。
第146条の2(適時提出主義)審判手続きにおける主張や証拠の提出に関しは「民事訴訟法」第146条、第147条及び第149条を準用する。
第152条の2を次のように新設する。
第152条の2(産業財産権紛争調停委員会に回付)①審判長は、審判事件を合理的に解決するために必要であると認められる場合、当事者の同意を得て、その審判事件の手続きを中止し、決定により該当の事件を「発明振興法」第41条による産業財産権紛争調停委員会(以下、「調停委員会」という。)に回付することができる。
②審判長は、第1項により調停委員会に回付した際には、該当の審判事件の記録を調停委員会に送付しなければならない。
③審判長は、調停委員会の調停手続きが調停不成立で終了されれば、第1項による停止決定を取り消し、審判を再開し、調停が成立した場合には当該の審判請求は取り下げられたものと見做す。
第207条第1項に第1号の2を次のように新設する。
1の2.第152条の2第2項による調停のためにデザイン登録出願、審査、デザイン一部審査登録の異議申立、審判、再審に関する書類やデザイン登録原簿を搬出する場合

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後3ヶ月が経過した日から施行する。但し、第86条及び第87条の改正規定は、公布後6ヶ月が経過した日から施行する。
第2条(登録料及び手数料の減免に関する適用例)①第86条の改正規定のうち、手数料減免に関する部分は、同改正規定の施行後に出願するデザイン登録出願から適用する。
②第86条の改正規定のうち、登録料減免に関する部分は、同改正規定の施行後、第65条によるデザイン登録決定又は第157条第1項によるデザイン登録拒絶決定の取消審決(デザイン登録を決定した審決に限定するが、再審審決を含む。)の謄本の送達を受けたデザイン登録出願から適用する。
第3条(登録料及び手数料の返還に関する適用例)第87条第1項第3号の改正規定は、同改正規定の施行後に取り下げられるか、又は放棄したデザイン登録出願から適用する。
第4条(審判事件の調停委員会回付に関する適用例)第152条の2の改正規定は、この法律の施行当時に審判が進行中である事件にも適用する。
第5条(減免額徴収等に関する経過措置)第86条第3項の改正規定の施行前に虚偽やその他の不正な方法で特許料や手数料の減免を受けた者については、同改正規定にも関わらず、従前の規定に従う。

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