知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 特許法の一部改正法律案(代案)(議案番号:2111662)

2021年07月22日

議案番号:2111662

提案日:2021年7月

提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

1.代案の提案経緯

議案名 議案番号 代表発議 発議日 審査経過
特許法の一部改正法律案 2104855 ヤン・クムヒ議員 2020年11月2日 第384回国会(臨時会)第3回全体会議(2021年2月23日)上程した後、提案説明、検討報告、代替議論及び小委員会回付
第387回国会(臨時会)第1回産業通商資源特許小委員会(2021年5月11日)に上程
第387回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)に上程及び議決(代替反映廃棄)
特許法の一部改正法律案 2105036 イ・チョルギュ議員 2020年11月6日 第384回国会(臨時会)第3回全体会議(2021年2月23日)上程した後、提案説明、検討報告、代替議論及び小委員会回付
第385回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年3月16日)に上程及び審査
第387回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)に上程及び議決(代替反映廃棄)
特許法の一部改正法律案 2105093 イ・チョルギュ議員 2020年11月9日 第384回国会(臨時会)第3回全体会議(2021年2月23日)上程した後、提案説明、検討報告、代替議論及び小委員会回付
第385回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年3月16日)に上程及び審査
第387回国会(臨時会)第1回産業通商資源特許小委員会(2021年5月11日)に上程
第387回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)に上程及び議決(代替反映廃棄)
特許法の一部改正法律案 2105443 イ・ソヨン議員 2020年11月17日 第384回国会(臨時会)第3回全体会議(2021年2月23日)上程した後、提案説明、検討報告、代替議論及び小委員会回付
第387回国会(臨時会)第1回産業通商資源特許小委員会(2021年5月11日)に上程
第387回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)に上程及び議決(代替反映廃棄)
特許法の一部改正法律案 2105532 ユン・ヨンソク議員 2020年11月19日 第384回国会(臨時会)第3回全体会議(2021年2月23日)上程した後、提案説明、検討報告、代替議論及び小委員会回付
第385回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年3月16日)に上程及び審査
第387回国会(臨時会)第1回産業通商資源特許小委員会(2021年5月11日)に上程
第387回国会(臨時会)第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)に上程及び議決(代替反映廃棄)
  1. 第387回国会(臨時会)の第2回産業通商資源特許小委員会(2021年5月20日)で、上記の5件の法律案を審査した結果、それぞれの法律案を本会議に付議しないことにし、各法律の内容を統合・調整して当委員会の代案を設けることにした。
  2. 第388回国会(臨時会)の第1回産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021年6月28日)で、産業通商資源特許小委員会が審査報告した通り、建議された法律案はそれぞれ本会議に付議しない代わりに、産業通商資源特許小委員会が設けた委員会の代案を提案することに議決した。

2.代案の提案理由

現行の産業通商資源部令では、「災難及び安全管理基本法」による災害事態又は特別災難地域として宣言された場合、特許料と手数料を減免するようにしているが、新型コロナウイルスの拡散のような国家的災難により苦労している中小企業などの負担を軽減するためには、明確な法的根拠を設けなければならないという意見が提起されている。
また、特許審判院は、訓令と例規を根拠に特許取消申請、審判、再審に関する調査・研究事務を担当する審判研究官を置いているが、その法的根拠がない。特許審判の専門性と信頼性を強化するためには、審判支援人員の法的根拠を設ける必要がある。
一方、産業財産権紛争の際、資金力のない中小・ベンチャー企業は、審判又は訴訟で紛争が長期化する場合、苦労することになるため、審判の調停の連携を通じて産業財産権紛争調停制度を活性化し、審判手続きに民事訴訟法上の適時提出主義を導入するという意見がある。
加えて、職権補正において、出願人が意図していない権利の発生を防止するために職権補正を無効と見做す規定を導入し、特許審査において実際に投入された行政サービスを基準に審査請求料を返すことができるように返還要件を緩和し、特許料・手数料の不当な減免者に対する制裁を新設する等、特許出願及び審査関連制度を改善する必要がある。

3.代案の主要内容

  1. 審査官の誤った職権補正を無効と見做す規定を新設する(案第66条の2第6項)。
  2. 「災難及び安全管理基本法」による災難事態又は特別災難地域として宣言された地域に居住するか、又は主たる事務所を置いている者のうち産業通商資源部令で定める要件を備えた者には、特許料及び手数料を減免することができる根拠を新設する(案第83条第2項)。
  3. 特許料と手数料を虚偽や不正な方法で減免を受けた者については、減免額の2倍額を徴収することができるようにし、該当の出願人の減免優遇を一定期間制限できるようにする(案第83条第4項)。
  4. 先行技術調査業務の結果通知が出された後に特許出願を取り消し、又は放棄する場合でも、審査請求料を全額返還するようにし、協議結果の申告命令が出されてから申告期間が満了する前、又は拒絶理由通知が出されてから意見書の提出期間が満了する前に特許出願を取り消し、又は放棄する場合には、審査請求料の3分の1を返還するようにする(案第84条第1項第5号)。
  5. 特許審判院に特許取消申請、審判及び再審に関する調査・研究とその他の事務を担当する人員を置くようにする(案第132条の16)。
  6. 審判事件の合理的な解決のために必要な場合、審判長が当事者の同意を得て、審判事件を産業財産権紛争調停委員会に回付することができるようにする(案第164条の2新設)。
  7. 審判事件が調停委員会に回付される場合、調停のために審判事件に関する書類を搬出できるようにする(案第217条第1項第1号の2新設)。
  8. 審判手続きにおける主張・証拠の提出に関しては、「民事訴訟法」上の適時提出主義の関連規定を準用するようにする(案第158条の2新設)。

4.参考事項

この法律案は、産業通商資源中小ベンチャー企業委員長が同日提案した「発明振興法の一部改正法律案」の議決を前提にするもので、同法律案が議決されないか、又は修正議決される場合には、それに合わせて調整しなければならない。

特許法の一部改正法律案

特許法の一部を次のように改正する。
第66条の2第1項に後段を次のように新設し、同条に第6項を次のように新設する。
この場合、職権補正は、第47条第2項による範囲内でしなければならない。
⑥職権補正が第47条第2項による範囲から外れているか、明らかに誤っていない事項を職権補正した場合、その職権補正は最初からなかったものと見做す。
第83条第2項のうち「『国民基礎生活保障法』に基づく医療給付受給者又は産業通商資源部令で定める」を「次の各号のいずれかに該当する」とし、同項に各号を次のように新設し、同条に第4項を次のように新設する。
1.「国民基礎生活保障法」に基づく医療給付受給者
2.「災難及び安全管理基本法」第36条による災難事態又は同法第60条による特別災難地域に宣言された地域に居住するか、又は主たる事務所を置いている者のうち産業通商資源部令で定める要件を備えた者
3.その他産業通商資源部令で定める者
④特許庁長は、第2項による特許料及び手数料の減免を虚偽やその他の不正な方法で受けた場合には、産業通商資源部令の定めにより、減免を受けた特許料及び手数料の2倍額を徴収することができる。この場合、その出願人又は特許権者の特許出願又はその特許出願をして受けた特許権については、産業通商資源部令で定める期間の間に第2項を適用しない。
第84条第1項第5号各目以外の部分のうち「含む。)」を「含む。以下この条において同じ。)」とし、同号のロ目を削除する。
第84条第1項に第5号の2を次のように新設する。
5の2.出願審査の請求をした後、次の各目のいずれかに該当する期間内に特許出願を取り下げるか、又は放棄した場合、既に出した審査請求料の3分の1に該当する金額
  1. 第5号イ目による申告命令後、申告期間の満了前まで
  2. 第5号ハ目による拒絶理由通知(第47条第1項第1号に該当する場合に限る。)の後、意見書提出期間の満了前まで
第109条のうち「産業財産権紛争調停委員会」を「産業財産権紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)」とする。
第132条の16第3項を第4項とし、同条に第3項を次のように新設する。
③特許審判院に第1項による調査・研究とその他の事務を担当する人員を置くことができる。
第158条の2を次のように新設する。
第158条の2(適時提出主義)審判手続きにおける主張や証拠の提出に関しては「民事訴訟法」第146条、第147条及び第149条を準用する。
第164条の2を次のように新設する。
第164条の2(調停委員会に回付)①審判長は、審判事件を合理的に解決するために必要であると認められる場合、当事者の同意を得て、その審判事件の手続きを中止し、決定によりその事件を調停委員会に回付することができる。
②審判長は、第1項により調停委員会に回付した際には、該当の審判事件の記録を調停委員会に送付しなければならない。
③審判長は、調停委員会の調停手続きが調停不成立で終了されれば、第1項による停止決定を取り消し、審判を再開し、調停が成立した場合には当該の審判請求は取り下げられたものと見做す。
第217条第1項に第1号の2を次のように新設する。
1の2.第164条の2第2項による調停のために、特許出願・審査・特許取消申請・審判・再審に関する書類又は特許原簿を搬出する場合

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後3ヶ月が経過した日から施行する。但し、第83条及び第132条の16第3項の改正規定は、公布後6ヶ月が経過した日から施行する。
第2条(職権補正に関する適用例)第66条の2第6項の改正規定は、この法律の施行後に設定登録された特許権から適用する。
第3条(特許料及び手数料の減免に関する適用例)①第83条の改正規定のうち、手数料減免に関する部分は、同改正規定の施行後に提出する特許出願から適用する。
②第83条の改正規定のうち、特許料減免に関する部分は、同改正規定の施行後、第66条による特許決定又は第176条第1項による特許拒絶決定の取消審決(特許登録を決定した審決に限定するが、再審審決を含む。)の謄本の送達を受けた特許出願から適用する。
第4条(審査請求料の返還に関する適用例)第84条第1項の改正規定は、この法律の施行後に取り下げられるか、又は放棄した特許出願から適用する。
第5条(審判事件の調停委員会回付に関する適用例)第164条の2の改正規定は、この法律の施行当時に審判が進行中である事件にも適用する。
第6条(減免額徴収等に関する経過措置)第83条第4項の改正規定の施行前に虚偽やその他の不正な方法で特許料や手数料の減免を受けた者については、同改正規定にも関わらず、従前の規定に従う。
第7条(他の法律の改正)実用新案法の一部改正法(法律第18098号で改正されたものをいう。)の一部を次のように改正する。
第33条のうち「第155条から第166条まで」を「第155条から第158条まで、第158条の2、第159条から第164条まで、第164条の2、第165条、第166条」とする。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195