知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2107846)

2021年02月02日

議案番号:2107846

提案日:2021年2月2日

提案者:イ・チョルギュ議員外12人

提案理由及び主要内容

韓流の影響力が拡大して有名人の肖像・氏名等を使用する製品及びサービスが多様化しており、それに関連する不法商品の製作・販売行為も増加している。
しかし、これは有名性を取得するために相当な時間を投資した努力に対するただ乗りであり、優秀な品質を期待して製品やサービスを購入する消費者に損害を引き起こす行為であるため、適切に制裁する必要がある。
民法に基づいて、これらのただ乗り行為を一部は規制することができるが、これは肖像等を人格権として保護するものであり、慰謝料による精神的な損害賠償のみを認めているため、有名人等に発生した財産的損害に対する保護としては限界がある。
また、これまで有名人の肖像等を、いわゆる「パブリシティ権」という権利で保護すべきであるという議論もあったが、肖像等が持つ一身専属的な性格のため権利の譲渡が不可能で、有名人に投資した企画会社等に発生した財産的損失を適切に保護することができないという限界がある。
さらに、現行の商標法は、氏名が含まれている商標の登録を許可しているため、有名人の氏名を譲渡不可能な権利として保護すれば、商標権者が有名人の本人ではない場合、パブリシティ権の行使と登録された氏名商標に対する権利行使が衝突する副作用が発生する可能性がある。
一方、最近は、法院で有名人の肖像・氏名等が持つ有名性を「相当な投資と努力の成果」として認められ、それを無断使用して写真集を制作・販売する行為を不正競争行為として制裁した。但し、これは不正競争防止法の補充的一般条項に基づくもので、今後発生する可能性のある全ての多様な形態の無断使用行為を適切に制裁するには限界があるため、法令に明示的な規定を設ける必要がある。
そこで、有名人の肖像、氏名等に対する無断使用行為を別途の不正競争行為に明確に規定することで、公正な取引秩序を確立し、不当な被害から消費者を保護しようとするものである(案第2条第1号ル目新設)。

法律第     号

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第2条第1号ル目をヲ目とし、同号にル目を次のように新設する。
ル.国内に広く認識されており、経済的価値を持つ他人の氏名、肖像、音声、署名等、その他人を識別することができる標識を公平な商取引の慣行や競争秩序に反する方法で自分の営業のために無断で使用することにより、他人の経済的利益を侵害する行為
第7条第1項のうち、「ル目」を「ヲ目」とする。
法律第17529号不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律第8条第1項のうち、「ル目」を「ヲ目」とする。
第15条第2項のうち、「ル目」を「ヲ目」とする。
第18条第3項第1号のうち、「ヌ目及びル目」を「ヌ目、ル目及びヲ目」とする。

附     則

第1条(施行日)この法律は、公布後3ヶ月が経過した日から施行する。
第2条(適用例)第2条第1号ル目の改正規定は、この法律の施行後に発生した違反行為から適用する。

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