知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2107796)

2021年01月29日

議案番号:2107796

提案日:2021年1月29日

提案者:イ・ギュミン議員外10人

提案理由及び主要内容

現行法と類似な条文を持つ「商標法」は、先使用による商標を継続して使用する権利を認めていることに反して、本法律には標識の善意の先使用者に対する先使用権を認める規定がない。
そのため、大法院の判例(大法院2004年3月25日、言渡2002ダ9011判決)も、現行法上における善意の先使用者の行為を不正競争行為から排除する明文の規定がない限り、善意の先使用者も不正競争行為を構成することができると見做している。
しかし、先使用者が知らないうちに発生する、後使用者の周知性の取得という予期せぬ事件により、先使用者がこれまで使い続けてきた標識に対して、使用差し止め及び損害賠償請求を訴えられ、さらに刑事処罰の可能性まで発生することは公正な取引の秩序であると見做し難い。
そこで、標識の善意の先使用者にその標識を続けて使用する権利を認め、周知性を取得した他人は先使用者に商品出所の誤認や混同を防止するために必要な標識を請求できるようにすることで、善意の先使用者を保護する一方、健全かつ公正な取引の秩序を導くためのものである(案第14条の8新設)。

法律第     号

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第14条の8を次のように新設する。
第14条の8(先使用による標識を継続して使用する権利)①国内に広く認識されている他人の氏名、商号、商標、商品の容器・包装、その他、他人の営業や商品であることを表示した標識と同一であるか、又は類似なものを不正競争の目的が無く、その他人の標識が国内に広く認識される前から継続して使用したもの(その地位を承継した者を含む。以下「先使用者」という。)は、該当の標識を継続して使用する権利を有する。
②第1項の他人は、第1項により先使用者にその者の商品と本人の商品の間における出所の誤認や混同を防止するために必要な表示をすることを請求できる。

附     則

この法律は、公布後3ヵ月が経過した日から施行する。

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