知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 発明振興法一部改正法律

2020年02月04日

国会で成立した発明振興法一部改正法律を公布する。
大統領 ムン・ジェイン
2020年2月4日

法律第16938号

発明振興法一部改正法律

発明振興法の一部を次のように改正する。

第41条第1項第3号を次のようにし、同項に第4号を次のように新設し、同条第2項の「40人」を「100人」にし、同条に第6項を次のように新設する。

3. 営業秘密

4.「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第1号による不正競争行為(以下「不正競争行為」という)

⑥委員会の業務を支援するため第55条の2第1項による韓国知識財産保護院に事務局を置く。

第41条の3を次のように新設する。

第41条の3(委員の解嘱)特許庁長は委員が次の各号のいずれか一つに該当する場合には該当委員を解嘱することができる。

1.心身障害により職務を遂行できなくなった場合

2.職務と関連する非違事実がある場合

3.職務怠慢、品位損傷、その他の事由により委員として適合しないと認められる場合

4.第41条2第1項各号のいずれか一つに該当するにもかかわらず、回避しなかった場合

5.その他該当職務の遂行が難しいと認められる場合

第42条中「3人の委員で」を「3人以内の委員で」にする。

第43条の2第1項第6号中「営業秘密(技術上の情報に関連する営業秘密のみをいい、以下、第 7 号において同じ)」を「営業秘密」にし、同項第7号を第8号し、同項に第7号を次のように新設し、同項第8号(従前の第7号)中「職務発明及び営業秘密と」を「職務発明、営業秘密又は不正競争行為と」にする。

7.不正競争行為の紛争当事者

第45条第1項中「要求し、または必要な関係書類の提出を要求することができる。」を「要求することができる」にする。

第45条の2を次のように新設する。

第45条の2(事実調査等)委員会は該当の紛争調停事項に関する事実を確認するために必要な場合調査をするか、紛争当事者に対して関連資料の提出を要求することができる。

第48条中「委員会の」を「委員会及び第42条による調停部の」にする。

第49条の2中「産業財産に対する秘密」を「秘密」にする。

第6章の2(第55条の2から第55条の4まで)及び第6章の3(第55条の5から第55条の7まで)をそれぞれ次のように新設する。

第6章の2 韓国知識財産保護院

第55条の2(韓国知識財産保護院の設立)①知識財産保護に関する支援事業をするために韓国知識財産保護院(以下、「保護院」という)を設立する。

②保護院は法人とする。

③保護院はその主たる事務所の所在地にて設立登記をすることにより成立する。

④保護院ではない者は、韓国知識財産保護院の名称を使用することができない。

⑤保護院に関して、この法で定めたことを除いては 「民法」中、財団法人に関する規定を準用する。

第55条の3(保護院の業務等)①保護院は次の各号の業務を行う。ただし、「著作権法」第122条の5第1号から第6号までの規定による韓国著作権保護院の業務は除く。

1.国内外の知識財産保護に関する調査・研究

2.国内外の知識財産保護と関連する基盤造成及び教育・広報

3.国内外の知識財産保護のための国際協力

4. 国内外の知識財産保護のための紛争予防及び対応支援

5. 「司法警察官吏の職務を遂行する者とその職務範囲に関する法律」第5条第38号による不正競争行為、商標権及び専用使用権侵害に関する取締事務支援

6.委員会の業務支援

7.特許庁長が国内外の知識財産保護のために委託する業務

8.その他に保護院の設立目的の達成に必要な業務として大統領令で定める業務

②保護院は第1項による業務遂行に必要な財源を調達するために大統領令が定める収益事業を行うことができる。

③政府は予算の範囲で保護院に対し、事業費と運営に必要な経費を支援することができる。

第55条の4(保護院に対する指導・監督)特許庁長は保護院の業務を指導・監督する。

第6章の3 韓国特許戦略開発院

第55条の5(韓国特許戦略開発院の設立)①中央行政機関、地方自治団体、「知識財産基本法」第3条第4号による公共研究機関等の産業財産戦略の樹立及び効率的研究開発の遂行に関する支援事業のために韓国特許戦略開発院(以下、「戦略院」という)を設立する。

②戦略院は法人とする。

③戦略院はその主たる事務所の所在地にて設立登記をすることにより成立する。

④戦略院ではない者は、韓国知識財産保護院の名称を使用することができない。

⑤戦略院に関して、この法で定めたことを除いては 「民法」中、財団法人に関する規定を準用する。

第55条の6(戦略院の事業)①戦略院は次の各号の事業を行う

1.特許調査・分析支援

2.研究企画段階での特許動向調査支援

3.研究開発過程での特許創出戦略支援

4.標準特許創出のための支援

5.国家研究開発特許成果の調査・分析及び管理

6.産業財産連携研究開発の戦略関連政策開発、実態調査及び成果分析

7.その他に関係中央行政機関の長が委託す機関固有事業

②戦略院は第1項による事業遂行に必要な財源を調達するために大統領令が定める収益事業を行うことができる。

③政府は予算の範囲で戦略院に対し、事業費と運営に必要な経費を支援することができる。

第55条の7(戦略院に対する指導・監督)特許庁長は戦略院の業務を指導・監督する。

第56条第2項中「発明機関の」を「保護院、戦略院、発明機関の」にする。

第56条第1項中「特許技術事業化斡旋センター及び韓国発明振興会の」を「特許技術事業化斡旋センター、韓国発明振興会、保護院及び戦略院の」にし、同条第2項中「情報化専門機関及び韓国発明振興会は」を「情報化専門機関、特許技術事業化斡旋センター、韓国発明振興会、保護院及び戦略院は」にする。

第60条第1項に第6号及び第7号をそれぞれ次のように新設する。

6.第55条の2第4項を違反し韓国知識財産保護院の名称を使用した者

7.第55条の5第4項を違反し韓国特許戦略開発院の名称を使用した者

附則

第1条(施行日)この法は、公布後6カ月が経過した日から施行する。

第2条(韓国知識財産保護院の設立に関する経過措置)①この法施行当時「民法」第32条により設立された財団法人韓国知識財産保護院がその地位の承継に関して理事会の議決を経て特許庁長の認可を受けてから設立登記をした場合には第55条の2により設立された保護院に見なす。その場合、財団法人韓国知識財産保護院は「民法」中、法人の解散及び清算に関する規定にもかかわらず解散したものとする。

②財団法人韓国知識財産保護院の財産と権利・義務は保護院の財産と権利・義務とみなし、その財産と権利・義務に関する登記簿とその他の公簿に表示された財団法人韓国知識財産保護院の名義は保護院の名義とみなす。

③保護院の財産とみなす財産の価額は第1項による設立登記日前日の帳簿価額とする。

④この法施行前に財団法人韓国知識財産保護院が行った行為は保護院が行った行為で、財団法人韓国知識財産保護院に対して行った行為は保護院に対して行った行為とみなす。

⑤この法施行当時に財団法人韓国知識財産保護院の役職員は保護院の役職員で選任又は任命されたものとみなす。その場合役員の任期は財団法人韓国知識財産保護院の定款が定める任期の残任期間とする。

⑥この法施行当時の財団法人韓国知識財産保護院に対し企画財政部長官が「公共機関の運営に関する法律」により公共機関に指定したものは保護院に対して指定したものとみなす。

第3条(韓国特許戦略開発院の設立に関する経過措置)①この法施行当時「民法」第32条により設立された財団法人韓国特許戦略開発院がその地位の承継に関して理事会の議決を経て特許庁長の認可を受け設立登記をした場合には第55条の5により設立された戦略院に見なす。その場合、財団法人韓国特許戦略開発院は「民法」中、法人の解散及び清算に関する規定にもかかわらず解散したものとする。

②財団法人韓国特許戦略開発院の財産と権利・義務は戦略院の財産と権利・義務とみなし、その財産と権利・義務に関する登記簿とその他の公簿に表示された財団法人韓国特許戦略開発院の名義は戦略院の名義とみなす。

③戦略院の財産とみなす財産の価額は第1項による設立登記日前日の帳簿価額とする。

④この法施行前に財団法人韓国特許戦略開発院が行った行為は戦略院が行った行為で、財団法人韓国特許戦略開発院に対して行った行為は戦略院に対して行った行為とみなす。

⑤この法施行前に財団法人韓国特許戦略開発院の役職員は戦略院の役職員で選任又は任命されたものとみなす。その場合役員の任期は財団法人韓国特許戦略開発院の定款が定める任期の残任期間とする。

⑥この法施行当時の財団法人韓国特許戦略開発院に対し企画財政部長官が「公共機関の運営に関する法律」により公共機関に指定した者は戦略院に対し指定した者とみなす。

改正理由及び主要内容

産業財産権紛争調停委員会の運営を改善するために審議・調停対象を拡大し、委員数の上限を40人から100人に引き上げ、委員会の業務を支援するために韓国知識財産保護院に事務局を置くようにする一方、
知識財産保護に関する支援事業を遂行する韓国知識財産保護院と中央行政機関等の産業財産戦略の樹立及び効率的研究開発遂行に関する事業を遂行する韓国特許戦略開発院は韓国の知識財産の競争力強化のために重要な役割を遂行しているにもかかわらず、機関設立の法的根拠が不備しており、安定的事業推進が困難なため、韓国知識財産保護院と韓国特許戦略開発院の設立及び事業範囲を法律に明確に規定するためのものである。        <法制処提供>

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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