知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 特許法一部改正法律案

2019年04月03日

議案番号:19551

提案日:2019年4月3日

提案者:共に民主党 キム・ミンギ(金敏基)議員外13人

提案理由および主要内容

特許権侵害訴訟で侵害を受けた特許権者は、損害の発生事実と損害額を証明しなければならないが、特許権は無体財産権でありその侵害が特許権者の財産的価値に与える影響が不明確であるため、特許権の侵害による損害額の立証が非常に困難な側面がある。

このような特許権者の損害額立証責任の軽減のため現行法では特許権者が損害額を証明することが極めて困難な場合は、法院が弁論全体の趣旨と証拠調査の結果に基づいて相当な損害額を認定できるよう定めている。

しかし、当該の規定にもかかわらず、実際は法院が算定する損害賠償額が実際の損害より低く策定され、被害を受けた特許権者を救済するには十分ではないのが現状だ。例えば、米国の特許法では、法院が算定する損害賠償額の最低限度を明示し規定している。

これを受けて法院は損害賠償額を算定する場合、特許発明の実施料、利子及び訴訟費用を含めた金額より少ない金額に算定できないようにするとともに、実施料及び損害賠償額算定のために必要な場合は、関係する専門家の意見を聴取できるようにし特許権者の権利を保護する目的である。
(案 第128条第10項から第12項まで新設)

特許法一部改正法律案

法律第16208号特許法一部改正法律の一部を次の通り改正する。

第128条に第10項から第12項までをそれぞれ次の通り新設する。

(10)法院は損害賠償額を算定する場合、その特許発明の実施に対し、合理的に受けられる金額、利子及び訴訟費用を含めた金額より少ない金額に算定してはならない。

(11)法院はその特許発明の実施に対し、合理的に受けられる金額及び損害賠償額を算定するために必要な場合は関係する専門家の意見を聴取できる。

(12)第11項に基づく関係する専門家の範囲やその他必要な事項は大統領令で定める。

附則

第1条(施行日)この法は公布後6カ月が経過した日から施行する。

第2条(損害賠償額算定に関する適用例)第128条の改正規定はこの法の施行後最初に特許権又は専用実施権の侵害行為が発生した場合から適用する。

新旧条文対照表
現行
法律第16208号特許法一部改正法律
改正(案)
法律第16208号特許法一部改正法律
第128条(損害賠償請求権等)(1)~(9)(省略) 第128条(損害賠償請求権等)(1)~(9)(現行と同様)
【新設】 (10)法院は損害賠償額を算定する場合、その特許発明の実施に対し、合理的に受けられる金額、利子及び訴訟費用を含めた金額より少ない金額に算定してはならない。
【新設】 (11)法院はその特許発明の実施に対し、合理的に受けられる金額及び損害賠償額を算定するために必要な場合は関係する専門家の意見を聴取できる。
【新設】 (12)第11項に基づく関係する専門家の範囲やその他必要な事項は大統領令で定める。

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