知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 大・中小企業の共生協力促進に関する法律一部改正法律案

2018年11月09日

議案番号:2016473

提案日:2018-11-09

提案者:権七勝(共に民主党)議員以外9人

提案理由

大企業が中小企業の技術を奪取し、中小企業が受ける被害は相次いでいるが、実効ある処罰および救済は十分ではないのが現状である。中小企業の場合、契約取消および取引中止を恐れ、大企業に対して損害賠償訴訟を起こすことが容易ではない。また、訴訟を起こしても被害を立証することが難しいうえ、莫大な訴訟費用、損害額に比べて少ない損害賠償額などで廃業に追い込まれることが多い。 そのため、技術資料を提供する場合、秘密保持契約を義務付け、技術流用行為に対する是正命令、懲罰的損害賠償制度、損害額の推定などの根拠を作ることで、技術奪取による中小企業の権利救済を強化するためである。

主要内容

  1. 公然と知られておらず、合理的な努力によって秘密として管理される技術資料を不正な目的で使ったり、公開したりする行為を技術流用行為と定義する((案)第2条第12号新設)
  2. 受託企業が委託企業に技術資料を提供する場合、秘密保持契約を締結するようにし、中小ベンチャー企業部長官は標準秘密保持契約書を用意・勧告することができるようにする((案)第21条の2新設)
  3. 委託企業による技術資料要求禁止条項を別途の条文に新設し、委託企業の技術流用行為を禁止する((案)第25条の2新設)
  4. 中小ベンチャー企業部長官は技術資料提供要求禁止などを違反した委託企業に対して是正命令を出せるようにし、是正を行わない者は1億 5千万ウォン以下の罰金に処する((案)第28条の3および第41条第4項新設)
  5. 技術流用行為に対し、損害額の10倍以内で賠償責任を負う懲罰的損害賠償制度を導入し、損害額の推定規定を新設する((案)第40条の2第3項・第4項および第40条の3新設)
  6. 受託企業が委託企業に流用の対象となる技術資料を提供した事実と、受託・委託取引が終了した後、委託企業が受託・委託取引の対象であった物品等と類似の物品等を製造した事実などを立証できた場合、技術流用行為をしたと推定する((案)第40条の4新設)
  7. 被害企業の立証責任の負担を軽減するために、裁判所が当事者に資料提出を命じることができる資料提出命令制度を導入する((案)第40条の6新設)
  8. 損賠賠償請求に関する訴訟に秘密保持命令制度を導入し、秘密保持命令を違反した者に対する罰則規定を作る((案)第40条の7、第40条の8、第40条の9および第41条の2新設)
  9. 物品等の製造を委託する際、約定書を発行しない者、技術資料に対する秘密保持契約を締結しない者、技術資料を要求する際、書面を提供しない者に対して1千万ウォン以下の過料を科す((案)第43条第2項第1号・第2号・第3号新設)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195