知的財産ニュース 韓国特許庁と韓国中堅企業連合会、「名品特許」を生み出す環境づくりに向けた業務協約を締結
2025年4月3日
出所: 韓国特許庁
「名品特許」戦略と海外進出の拡大に向け協力を高める
韓国特許庁は4月2日水曜日、韓国中堅企業連合会と上場会社会館(ソウル市麻浦(マポ)区)にて中堅企業と知財懇談会を開き、「名品特許」を生み出す環境づくりに向けた業務協約を締結したと発表した。
中堅企業の「名品特許」の創出と海外進出の拡大に向けた業務協約を締結
今回の業務協約および懇談会は、特許を基盤にグローバルリーダーとして成長していく中堅企業が開発した革新的な技術や製品から「名品特許」を生み出す戦略を立てることで、世界市場への進出を図り、ビジネスエコシステムの全般にわたって品質が中心となる知財政策への転換を実現するために進められた。
業務協約には、特許ビッグデータの分析、特許路を活用した研究開発、知財の移転・金融、進出国の環境に応じた知財権の出願と紛争の予防・対応など、中堅企業が「名品特許」を生み出し、世界進出を拡大するための両機関による協力体系の構築が盛り込まれている。
とりわけ、特許庁と韓国中堅企業連合会は、中堅企業において「名品特許」への認識を向上させるためには、最高経営責任者(CEO)・最高技術責任者(CTO)などの関心や意志が何よりも重要であるため、今後も意見交換を重ねて「名品特許」向け政策を共に策定していくことで合意した。
中堅企業、輸出全体の17.8%を占める…進出国の環境に応じた特許戦略が求められる
韓国で中堅企業の数は5,868社と全体企業数の1.4%に過ぎないが、平均51.5件※以上の産業財産権を保有しており、それを基に韓国における全体輸出の17.8%(1,123.5億ドル)、全体売上高の15.2%(984.3兆ウォン)、全体雇用の13.6%(170.4万人)を占める、韓国経済の核心的主体であり、産業エコシステムの中心である。
※中堅企業における産業財産権の保有件数:平均51.1件(特許20.1、実用新案0.6、商標26.6、意匠4.2)
最近、中堅企業において主力技術と特許出願の動向が鈍化している中、特許・実用新案権分野の貿易収支の赤字幅が拡大傾向にあるため、中堅企業の質的成長に向け高品質の特許権を確保する重要性が浮上している。
※主力技術水準の平均(%):(2020年)68.5→(2021年)67.3→(2022年)66.4→(2023年)66.4
※中堅企業による特許出願(件):(2021年)11,222→(2022年)10,770→(2023年)9,760→(2024年)9,584
※中堅企業における特許・実用新案権の貿易収支(億ドル):(2021年)-0.5→(2022年)-0.8→(2023年)-1.0→(2024年)-1.2
とりわけ、4月2日施行予定のトラップ政権2期が掲げるアメリカファーストに基づいた通商政策では知財権の保護が重要な課題として取り上げられているため、米国市場への輸出の割合が56.8%と大きくなっている中堅企業には保有技術や製品について知財権の確保から原材料・部品などバリューチェーンの中での知財侵害の可能性まで視野に入れた徹底した対応が迫られている。
※海外輸出している中堅企業2,228社のうち、56.8%(1,265社)が米国市場に輸出しており、輸出額は188億ドル(約27.3兆ウォン)と全体輸出額の16.3%を占める(韓国中堅企業連合会)
特許庁長は「輸出中堅企業は知財権の創出や保護に全力で取り組む必要があると思う」とし、「中堅企業が新しい貿易や通商環境の変化の中でも突出した技術力を備え質的成長を図れるよう、各進出国の環境に最適化した『名品特許』の創出戦略や保護支援に力を入れる」と述べた。
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