知的財産ニュース 2023年米国における韓国企業の特許訴訟が107件と前年比3.9%増
2024年6月28日
出所: 韓国特許庁
海外で起こる特許紛争の状況を把握して企業に迅速な支援サービスを提供
米国で韓国企業と外国企業の間で起こった特許訴訟は、2023年107件に達し前年比3.9%増加している。
韓国特許庁は6月28日金曜日、米国に進出する韓国企業が特許紛争に適切に対応できるよう、昨年、米国における韓国企業の特許紛争の動向を分析した「2023知的財産(IP)動向(Trend)年次報告書」を発表した。
米国における韓国企業の特許訴訟107件のうち、大企業73件(68.2%)、中小・中堅企業34件(31.8%)
昨年、米国で起こった韓国企業と外国企業の間での特許訴訟107件のうち、大企業は73件(68.2%)、中小・中堅企業は34件(31.8%)※であることがわかった。大企業が関係する訴訟は2022年の75件から2023年は73件と少し減っているが、中小・中堅企業が関係する訴訟は2022年の28件から2023年は34件と増えている。
※米国における韓国系企業の特許訴訟のうち、中小企業の割合(%):(2019年)39.4→(2020年)11.3→(2021年)20.1→(2022年)27.2→(2023年)31.8
とりわけ、中小・中堅企業の特許訴訟34件のうち、中小・中堅企業が訴訟を提起した方が19件と、特許訴訟を起こされた方の15件に比べて多く、これは韓国の中小・中堅企業が外国企業に対し積極的に権利行使を行っているためだとみられる。
米国における韓国企業関係の特許訴訟の大半は電気・電子分野(85件)、全体の79.4%
電気・電子、機械・運送、機構・機器、化学・バイオ、その他産業など、5大産業分野別でみると、米国における韓国企業関係の特許訴訟は2022年に続き2023年にもコンピュータ・通信・半導体など電気・電子分野で多く起こっている。2023年、電気・電子分野の特許訴訟は全体の107件のうち85件と、79.4%※を占めている。
※米国における韓国企業関係の特許訴訟のうち電気・電子分野の割合(%):(2019年)84.4→(2020年)88.7→(2021年)82.1→(2022年)84.5→(2023年)79.4
米国で韓国企業が提訴した事件23件、提訴された事件84件…提訴された事件のうち64件(76.2%)はNPEが提起
昨年、米国における韓国企業関係の全体の訴訟107件のうち、韓国企業が提訴した事件は23件(21.5%)に過ぎず、韓国企業が提訴された事件が84件(78.5%)と多くを占めている。韓国企業が提訴された事件84件のうち、特許不実施主体※(NPE)が提起したのは64件(76.2%)、製造企業など(NPE以外)が提起したのは20件(23.8%)である。特許不実施主体(NPE)が韓国企業を提訴した64件(76.2%)※は2022年の74件(86.0%)に比べやや減少※※しているものの、韓国企業が特許不実施主体(NPE)に提訴される事件が相次いでいることがわかった。
※特許不実施主体(NPE、Non-Practicing Entity):保有特許を活用する直接的な生産活動をせず、特許権の行使のみで収益をえる事業者のこと
※※米国で韓国企業が提訴された事件のうち、原告がNPEの訴訟の割合(%):(2019年)71.6→(2020年)72.8→(2021年)78.5→(2022年)86.0→(2023年)76.2
また、特許不実施主体(NPE)が韓国企業を対象に提起した特許訴訟64件のうち、大企業は57件(89.1%)と大半を占め、中小・中堅企業は7件(10.9%)にとどまっている。
特許庁の産業財産保護協力局長は「海外で起こる韓国企業関係の特許紛争や特許不実施主体(NPE)から提訴された事件など状況をしっかり把握する必要があると思う」とし、「海外で特許紛争に巻き込まれた企業にたいして対応戦略の相談サービスなどを支援する考えだ」と述べた。
知的財産動向(IP Trend)年次報告書は、韓国知識財産保護院の「知識財産保護総合ポータルIP-NAVI」にて閲覧できる。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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