知的財産ニュース 特許庁の公益弁理士による審判・訴訟支援件数が過去最多、社会的弱者の知財権保護に大きく貢献

2024年3月14日
出所: 韓国特許庁

今年から知財権紛争支援強化へ、PCT国際出願の支援を開始する


小企業の特許権者への支援事例)清掃用品生産会社A社は、2022年に国内のライバル会社が提起した特許無効審判のため国内外市場で撤退する危機に陥ったが、公益弁理士から無効審判への対応支援を受けて7か月で勝訴し、13か国で輸出業績を達成している。
小企業の商標権者への支援事例)国内のPCソフトウェア開発業者B社は、2021年に海外企業から商標登録取消審判を提起されたが、公益弁理士から審判への対応支援を受けて21か月後勝訴し、商標権を守ることができた。

韓国特許庁は、2023年に公益弁理士による知財権に関わる「審判・訴訟支援件数」が151件と過去最多※となり、「相談支援件数」は10,934件とここ2年連続増加※※するなど、公益弁理士の活躍が社会的弱者の知財権保護に大きく貢献していると発表した。
※審判・訴訟の直接代理および民事訴訟費用の支援:(2021年)138件→(2022年)149件→(2023年)151件
※※知財権に関わる相談件数:(2021年)10,046件→(2022年)10,659件→(2023年)10,934件

公益弁理士は、特許庁が韓国知識財産保護院に設置した公益弁理士特許相談センターに勤めながら、個人発明家・生活保護受給者・青少年・小企業など社会的弱者を対象に知財権に関わる審判・訴訟の直接代理および出願書類の作成などサービスを無料で提供している。

全体の知財権紛争の91%、相談の55%が小企業への支援…小企業の知財権保護に大きく貢献

昨年に公益弁理士サービスを利用した対象者を分析したところ、小企業の割合が、全体の審判・訴訟支援件数の91%(138件)、相談件数の55%(6025件)に達し、知財権紛争への対応にコスト負担を大きく感じる小企業の知財権保護に大きく貢献していることがわかった。

知財権紛争で勝訴・合意などの結果が76.9%に達し…有効な効果が期待され

昨年の公益弁理士による知財権紛争への対応支援の結果を分析したところ、特許・商標など知財権紛争に関わる審判・審決取消訴訟の直接代理件数の76.9%※(2023年終結事件が対象)が勝訴や合意の結果になり、社会的弱者にとって有効が効果が期待されている。
※計39件のうち30件

特許庁、民事訴訟の際に専担弁理士を指定、産業財産権紛争調停との連携など支援強化へ

特許庁は今年、社会的弱者の知財権保護に向けて公益弁理士特許相談センターのサービスをさらに強化する方針だ。第一に、産業財産権に関わる民事訴訟の費用を支援する際に、専担弁理士を指定して権利を分析した意見を提供、産業財産権紛争調停および特許庁特別司法警察による捜査との連携を支援するなど、支援を強化する。

また、出願の支援範囲を国内の特許・商標・意匠からPCT国際出願まで拡大し、社会的弱者の国際権利確保を支援する。

特許庁の産業財産保護協力局長は「社会的弱者の知財権保護に向け公益弁理士特許相談センターの支援サービスをさらに強化していく」とし、「知財権紛争により困難を抱えている小企業などの方々に当サービスを積極的に活用してほしい」と述べた。

公益弁理士特許相談センターの支援対象、支援内容および手続きなどに関する詳細は、公益弁理士特許相談センターウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認でき、公益弁理士特許相談センター(電話:02-6006-4300)に問い合わせできる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
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