知的財産ニュース 韓国特許庁、地域経済活性化や知財権利化支援に向け小規模事業者を訪問

2024年3月7日
出所: 韓国特許庁

「小規模事業者IP創出の総合パッケージ」事業により商標・意匠制作を支援した「世宗市ハングルパン」を訪れ、知財に関する相談や意見をヒアリング

韓国特許庁は3月7日木曜日、小規模事業者との意見交換や地域経済の活性化を目的に世宗特別自治市にあるベーカリー「世宗(セジョン)市ハングルパン」を訪問した。

今回の訪問は、国民とのコミュニケーションを強化して小規模事業者が抱えている知的財産をめぐる悩みや相談をヒアリングし、解決方法について話し合う趣旨である。

「世宗市ハングルパン」は、地元の米と桃の果肉を原料で作ったハングル※文字の形をした米粉100%のパンを販売している宗特市の地域企業である。
※ハングル(한글):韓国語を表記するための表音文字(24文字)、1443年に李氏朝鮮第4代国王の世宗(セジョン、세종)大王が「訓民正音(훈민정음)」という文字体系を制定

特許庁は2023年、「小規模事業者IP創出の総合パッケージ」事業を通じ、従前の商標(世宗市ハングルパン)から、ハングル創製の理念である「天地人(天:ㅇ、地:ㅡ、人:ㄴ)」を表した新しい商標(美しいハングル、パンになる)とパッケージデザインの制作を支援した。

商標は、ハングルの子音「ㅇ」、「ㄴ」と母音「ㅡ」の文字が入った「ハングルパン」という商標に「美しいハングル、パンになる」という名前を付けた。パッケージのデザインには「美しいハングル、パンになる。ウリナラ、ハングルパン」という商標を入れて制作した

※ハングルは10の母音と14の子音のパーツの組み合わせで構成される。文字数が少なくシンプルだが、母音と子音を組み合わせると、表記可能な文字の数は1万1,172個に達する。
(例の「ㅇ」、「ㄴ」は子音、「ㅡ」は母音に該当する)

特許庁は「小規模事業者IP創出の総合パッケージ」事業により「世宗市ハングルパン」が知財権を活用して売上向上に成功した事例を小規模事業者に共有する計画だ。

「世宗市ハングルパン」の代表は、小規模事業者の売上向上のためには知的財産の権利化が非常に重要だとし、知的財産分野で小規模事業者向けの支援を引き続き拡大してほしいと伝えた。

特許庁の産業財産政策局長は「厳しい経営環境の中でも小規模事業者が持続的な成長を図るためには、差別化した競争力のある商標や意匠などで知財権を確保し、知財権の活用を売上高につなげる必要がある」とし、特許庁は小規模事業者の皆さんが知財権を基に実質的な売上高の向上を実現できるよう引き続き支援に取り組んでいく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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