知的財産ニュース 政府新設機構の評価結果、特許庁技術警察の実績が評価され組織正規化へ

2024年2月27日
出所: 韓国特許庁

半導体など国家コア技術の海外流出防止に貢献した成果が認められ

韓国特許庁は27日、行政安全部が新設機構を対象に行った評価の結果、技術デザイン特別司法警察課(2021年7月新設、以下「技術警察」)が正規職制化(以下、「正規化」、2024年2月27日)になったと発表した。

技術奪取・侵害を根絶し、半導体、蓄電池など国家重要技術の海外流出を防ぐために新設された技術警察は特許庁とその所属機関職制(大統領令)の改正(2月27日、公布・施行)により正規化となった。

中央行政機関職制改正による新設機構(室、局、課など)は、通常3年単位で行政安全部から評価を受けて存続の有無(正規化、廃止、評価期間の延長)が決まるが、今回の評価結果、技術警察は優秀な成果が評価され、組織が正規化となった。

今回の正規化は、最近の技術奪取・侵害犯罪の増加傾向、産業スパイによる海外への技術流出の深刻化など、国家経済・技術安保の観点から国レベルの技術犯罪への対応体系の強化および防諜機関間の協力体制を固める趣旨で行われた。

技術流出を遮断して数千億ウォンの経済損失を防止…累積約1,800人を摘発

技術警察は、国家情報院・検察・警察・関税庁など関係機関と協力して国家コア技術、先端技術などの海外流出を事前に遮断し、数千億ウォンの経済損失を防いだ。国家技術安保に貢献した成果が評価され2023年12月には大統領表彰を受賞した。また、国家情報院、法務部、関税庁、警察庁、海洋警察庁、国軍防諜司令部に次ぎ7番目の防諜機関として特許庁が選ばれる(2023年12月)成果を上げた。

技術警察は大田地方検察庁と協力して意匠権に関わる犯罪としては初めてSNSインフルエンサーである企業代表を逮捕(2023年9月)し、犯罪による収益の全額(24.9億ウォン)を国庫に帰属した。また、意匠権犯罪の新しい手法について産業財産権分野では初めて国際刑事警察機構(ICPO)から196か国の加盟国を対象に紫手配書※の発行(2023年12月)を受けた。また、文化体育観光部と共に意匠権犯罪の根絶および真正品購買への認識向上に向けた公正な消費者(フェアシューマー、FAIR+conSUMER)のキャンペーンも展開(2023年10月~12月)した。
※紫手配書(国際特殊手口手配書):ICPOが発行する8種類の手配書のひとつで、犯罪手法、犯罪過程、物体、道具、隠れ場所に関する情報をICPOの加盟国に提供

こうした取り組みで技術警察が初めて捜査を開始(2019年3月)した2019年には200人程度であった刑事事件の立件数は2.6倍増え、2023年には522人となり、累計1,855人に達する。

捜査協力支援体制づくり・捜査範囲の拡大により技術犯罪の捜査能力の向上が期待され

また、韓国知識財産保護院に知的財産権侵害の通報や相談を担当する「知的財産侵害ワンストップ申告相談センター」をオープン(2022年7月)し、技術警察による意匠権侵害の取締り支援やデジタルフォレンジック、商標警察による模倣品取締りへの支援などを担当する「詩的財産犯罪の捜査支援センター」をオープン(2023年6月)するなど、捜査協力支援体制も設けた。

今年1月からは司法警察職務法改正により、技術警察の捜査範囲を特許権・意匠権・営業秘密侵害から実用新案権の侵害、データ保護措置の無力化行為、営業秘密侵害の全般(予備・陰謀、未遂など)にまで拡大し、今後も技術奪取・侵害・海外流出犯罪に対する捜査の抜け穴を解消していく。

特許庁の産業財産保護協力局長は「世界で技術覇権争いが激化している中、韓国企業や国民が誠心誠意に研究してきた技術、知的財産権の保護がますます重要になっていく」とし、「今後も特許庁は技術警察の専門性をさらに強化し、人材増員、専門教育の拡大、インフラの改善などを図り、捜査能力をさらに高めていく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195