知的財産ニュース 韓国特許庁、半導体特許の優先審査等全方位に特許を支援

2022年7月25日
出所: 韓国特許庁

退職人材の特許審査への活用、特許ビッグデータ分析等コア特許の確保に総力

韓国特許庁は7月24日、国家安全保障資産であり、韓国経済の根幹である半導体産業の国全体的な支援に歩調を合わせ、半導体産業のコア特許の確保に総力を挙げることを明らかにした。半導体などを中心とした技術覇権争いの中で、各国はコア特許を確保するために力を尽くして取り組んでいる(※)。そこで、特許庁は、半導体特許の迅速な審査、コア発明者の人材管理支援、コア技術の特許ビッグデータの分析など、積極行政を通じて韓国が半導体の超格差を維持するのに力添えをする計画である。
※半導体分野の韓国内特許出願(件):(2019年)39,059→(2020年)39,913→(2021年)41,636(年平均3.2%増加)

まず、韓国企業が迅速に特許を確保するよう支援するために、半導体特許に対して優先審査を実施する予定である。グローバル半導体企業が3nm半導体などの次世代技術を開発するために激しく競争している(※)だけに、迅速な特許取得が急がれる状況である。
※3nm(GAA:Gate-All-Around、全周ゲート型)量産競争:(サムスン)2022年6月量産開始、(TSMC)2023年量産の見込み

そのため、特許法施行令を改正(※)して半導体などの先端技術関連特許出願を優先審査対象に追加する計画であり、現在約12.7か月がかかる半導体分野の特許審査が今後約2.5か月に大幅に短縮される見通しである。
※(予定)立法予告(8月)→法制処での審査、国務会議への上程(9月)→公布および施行(10月)
※※(平均審査着手期間)半導体分野12.7か月/優先審査平均2.5か月(2021年基準)

特許願書の発明者情報を通じて半導体産業の中枢といえるコア人材の管理も支援する。半導体特許の発明者情報で分野別のコア人材や発明者の平均年齢の変化などを分析し、今後、人材育成が優先的に必要な分野を提示する計画である。また、半導体などのコア技術分野の退職研究人材を特許審査に活用することで海外への転職による技術流出を防止し、正確な審査サービスも提供する計画である。半導体分野のコア特許を確保するために退職研究人材の現場での専門性を活用するという腹案である。

発明者情報が含まれている特許願書(例)

特許願書に氏名や氏名の英文表記、郵便番号等の発明者の情報が書いてある。

韓国と競争するグローバル半導体企業の特許ビッグデータを分析して今後の技術開発の方向性を占い、韓国が先取りすべき研究開発(R&D)分野を提示するなど、韓国の半導体産業戦略の樹立にも資する計画である。

韓国特許庁長は「半導体産業の競争力のポイントは技術イノベーションであり、技術を権利化できる一種の登記制度がすなわち特許だ」とし、「技術覇権争いの画竜点睛であるコア特許の確保を通じて韓国の半導体産業が世界トップになるよう積極的に支援していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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