知的財産ニュース 韓国特許庁、2022年上半期積極行政優秀事例の授賞式を開催

2022年6月29日
出所: 韓国特許庁

今年上半期に国民が肌で感じた積極行政の推進事例は?

韓国特許庁は、2022年上半期積極行政優秀事例の授賞式を6月29日水曜日午後2時30分に政府大田庁舎(大田)で開催すると発表した。受賞事例は計3件と、特許庁技術警察の先端技術流出防止(最優秀)、海外未認証KFマスクの無断使用防止(優秀)、知的財産経営コンサルティングによる「春川ジャガイモパン」企業への支援(奨励)等がオンライン国民投票と積極行政委員会を経て選定された。

最優秀賞には、特許庁技術警察が韓国国内の半導体生産設備のコア技術(※)を中国に流出させようとしていた産業スパイと海外ブローカーを検挙した事例が選定された。この事例は、被害企業の通報後、計1年半にわたる捜査の末に被疑者を検挙したことで韓国の半導体産業を保護し、約1,000億ウォン規模の経済的被害を予防する成果を上げた。特に、さまざまな機関の多様な能力(※※)が求められる技術犯罪捜査で、国家情報院や大田地方検察庁などと共助体制を構築して成果を創出した点が高く評価された。
※天井走行式無人搬送車(OHT、Overhead Hoist Transfer):半導体・ディスプレイ工場などの天井にレールを設置し、レールに沿って走行する搬送車(Vehicle)が自動的に対象物を持ち上げて目的地に移す設備
※※特許庁(技術侵害の判断)、国家情報院(情報収集)、検察(法医学(フォレンジック)捜査など)

一方、優秀賞には、中国、香港、マレーシアなど、海外でのKF標識の無断使用を予防した事例が選定された。特許庁は、海外でKF未認証マスクを販売し、「KF94」を商標として登録しようとする動きを捉え、外交部・食品医薬品安全処および現地の政府と協力して偽のKFマスクの製造・流通業者に対する取り締まりやオンラインでの販売遮断などを実施した。また、「KF」のような認証のための標識が海外で商標として登録されないよう、国際機関(WIPO、世界知的所有権機関)側に保護要請をするなど、再発防止にも積極的に取り組んだ。

奨励賞には、知的財産コンサルティングによる「春川ジャガイモパン」企業に対する支援事例が選定された。創業初期の企業の場合、斬新なアイデアを持っているものの、それをどのように保護すべきかに対する知識が不足し、他社との紛争を経験する場合が多い。特許庁はこのような困難に直面した企業に、新製品の製造方法に対する特許(紅じゃがいもを活用したジャガイモパンの製造方法)を確保し、商標権紛争予防戦略を立てるよう支援して安定的な経営に貢献した。

特許庁長は「特許出願・登録手続きの簡素化、企業アイデアの保護強化など、国民の皆様からいただいた『特許庁に望む積極行政』に対するさまざまな意見を参考にして、国民の日常と企業現場で実感できる積極行政を推進していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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